プレーイン ブレイザーズvsグリズリーズ

8位決定戦

現地の14:30、日本時間の3:30から始まった試合ですが、ウエストのチームがこの時間に試合があるのはバブルならでは。眠い目をこすりながら起きる予定でしたが、結局はラスト5分から見ました。

こんなド深夜から実況と解説するのも大変だなと思いましたが、実況が解説に話を振っているのに、「こいつ何言ってんだ」とばかりに解説の話を無視して進める実況なのがプロの仕事で面白かったです。そんなどうでもよいこと以上に、試合はもっと面白かったです。

◎お疲れ

バブル最強サンズは粘り強い戦い方で安定しており、その安定は相手が崩れたら一気に自分たちの勝利を確定しました。今のNBAは4Qだけみても何が起きたかわからないし、試合が決まっていることも多いわけです。

しかしブレイザーズは常に接戦。オールドタイプな4Qを制する戦い方で勝利を得てきました。そう思うと3Qまでは適当に思えてきますが、実際にはリラードとマカラムを交代させることが出来ず、かといってカーメロがいないとシュート力が足りず、ヌルキッチがいないと自分たちを表現できません。

4Q勝負なのに、3Qまでも主力を使い続ける戦い方になっているのでした。本日もまた、プレータイムが長かった。

〇プレータイム
リラード 44分57秒
マカラム 44分10秒
ヌルキッチ 40分39秒 
カーメロ 37分45秒

カーメロのダイエットが話題になりましたが、一番の効果は長時間プレーさせられても大丈夫になったことでした。

対するグリズリーズのプレータイム上位4人を並べておくと

〇グリズリーズのプレータイム
モーラント 41分52秒
ブルックス 37分41秒
バランチューナス 34分02秒
カイル・アンダーソン 27分10秒

こんな感じなのでブレイザーズの方が疲れていたでしょう。ただモーラントは置いといて、グリズリーズは自分たち本来のプレータイムシェアをしなかったという結論でもあります。

JJJがいなかったとはいえ、今シーズン成功していた戦い方を選択しきれなかったことは、来シーズンに向けてのロスター構成の課題になるのでした。

◎残り4分半の衝撃

そんなプレータイムで進んだ試合は、予想通りグリズリーズ側が優勢で進みました。バブルではグリズリーズの方が状態が良かったし、ブレイザーズは守れないので押し込まれがち。

同時にバブルでは勝利にまではもっていけないグリズリーズと最後に勝利するブレイザーズという構図でした。109-104とグリズリーズが5点リードで迎えた残り4分半は、まさにバブルでの戦いが詰まった展開になったのでした。

ブレイザーズの全ポゼッションを並べます。

①パスを回してトレントの3P成功

②ヌルキッチがファールドローでフリースロー

③マカラムの1on1プルアップ3P成功

④マカラムのドライブキックアウト→カーメロのコーナー3P失敗→ヌルキッチがプットバック&ワン

⑤マカラムの1on1ステップバック3P成功

⑥マカラムのフェイク&3P失敗

⑦リラードのドライブキックアウト→カーメロのコーナー3P成功

これで残り21秒122-116とブレイザーズが6点リードになりました。なんと⑥以外はすべてのオフェンスを成功させています。4分半でグリズリーズは7点とりましたが、ブレイザーズは18点も積み上げました。

ザ・ブレイザーズの勝ち方が濃縮された4分半となりましたが、御覧の通り「リラードが1本も決めていない」状況です。マカラムが3Pを決めた時点で、任せたようなリラードは自分がボールを持ててもマカラムにパスを出していました。

こういう余裕なところもリラードらしさ。そして決まらなければ自分が行くというスタイルです。

終盤だけ見たらブレイザーズは強すぎ!
レイカーズもこれに勝つのは至難の業でしょうが、終盤勝負迄もちこまれないだろう。みたいな予想です。

そして4分半にはもう1つ大事なことがありました。ヌルキッチが21リバウンドと1人で支えるとともに、モーラントのアタックを的確なカバーリングでギリギリのプレーを誘い出しました。

そんなギリギリにされたモーラントに対して、マークマンのゲーリー・トレントは、これまた見事な読みでパスが出る先を読んだプレーを繰り返しました。

〇残り4分半のトレント
3スティール 1ブロック

これが全てモーラントのターンオーバーに。この試合、35点8アシストを記録したモーラントですが、同時に8つのターンオーバーも喫しています。

試合終盤にまくりあげるブレイザーズスタイルは、ディフェンス面でもゲーリー・トレントがモーラントを急激にストップさせていたのでした。

で、レブロンにゲーリー・トレントではちょっとミスマッチ過ぎるでしょ。・・・っていう予想です。

◎偏ったのか、偏らされたのか

グリズリーズのタイラー・ジェンキンスのスタイルはペイント内攻略にあります。その点では、この試合もディフェンスの弱さに付け込んで見事に攻略しました。

〇ペイント内得点
ブレイザーズ 28
グリズリーズ 56

ザック・コリンズが出場していた1Qは抑えられていましたが、ケガで戻ってこなかったことにより、2Qから圧倒してペイント内はダブルスコアとなったのでした。

特にインサイドにホワイトサイドとなると、ピックの時点で簡単に崩して2on1みたいな状況を多く作れるので、バランチューナスとのコンビでの崩しが簡単に決まりました。

そもそもモーラントのスピードは止められないし、フィニッシュの上手さも持っているので、簡単には手を出せません。ギリギリの選択をさせるくらいまで追い込まれても、フルスピードからリバースレイアップを決めてくるので止めにくい存在でした。

本当に止められなかったモーラントでしたが、最後にはトレント&ヌルキッチに抑えられたことになります。ここが本日のグリズリーズのキーポイントです。

何故、トレント&ヌルキッチに止められてしまったのか?

大切なのは「止められた」ことではなく、「トレント&ヌルキッチに」の部分です。だって、ディフェンスの悪いブレイザーズの中で、しっかり守れる2人のところを攻めてしまっているじゃん。

グリズリーズはあまりマッチアップを気にしないでオフェンスに行く傾向があります。それは悪い意味ではなくて、そもそもPGとセンターのツーメンゲームだからスイッチ促せばミスマッチになること。そしてミスマッチが生まれるから、多くのチームはカバーにくるので次の展開に持って行きやすいこと。

わざわざモーラントのマークマンを変えておかなくても十分にオフェンスは機能するという算段です。そして、実際にこの試合でも高いFG%を記録しました。

〇FG
グリズリーズ 49%
ブレイザーズ 45%

加えてブランドン・クラークが3P4/5決めるものだから、3Pは56%も決まりました。うん、問題は56%だけど25本しか打っていない事です。

〇3P
グリズリーズ 14/25
ブレイザーズ 15/40

15本多く打ちながら1本しか上回れなかったブレイザーズなので、いかにグリズリーズが効率よかったかが伺えます。なお、ラスト4分半に4本決めている勝負強さ・・・。

で、3Pよりもペイント内を圧倒したグリズリーズ と スッカスカだったブレイザーズのインサイドディフェンス を考えると、ちょっとした疑問もわいてきます。

グリズリーズが偏り過ぎていたのか?
ブレイザーズが偏らせたのか?

ザック・コリンズがいた時は守っていたのだから、後者が正解とは思えません。なので前者が正解ってのが王道なのですが、あれだけスッカスカなのにカバーが足りなったってのもね・・・。

そしてこの試合でグリズリーズが圧倒できなかった理由も、ゴール下の密集にあります。

〇フリースロー
グリズリーズ 22
ブレイザーズ 41

つまりペイント内で圧倒してはいたけど、ファールを貰うのは少なかったのでした。ブレイザーズの方が17点多くフリースローで稼いだので、ペイント内の差は帳消しだったような。

フリースローが少ないのもグリズリーズらしさ。らしいオフェンスをしたのだけど、それが結果的に偏り過ぎていたようにも思えてくるのでした。

◎拍手と反省を

モーラントが1人で何とかしていくケースが見えていたように、そしてリラード、マカラム、カーメロ、ヌルキッチと終盤にタレント力を発揮されて負けたように、グリズリーズの戦力はプレーオフレベルとは言い難いものがありました。

それでもここまで勝ち残れたことには万雷の拍手を送りたいですし、モーラントという素晴らしいタレントを手に入れたことは未来を感じさせてくれます。バレットをパスするだけの理由があったね。

今シーズンを誇りに思うとともに、オフになったからには的確な補強も考えないといけません。よくできたチームだけに「誰を削るか」は決められないくらいですし、全体の成長を期待したいとはなるでしょう。

もしも通常のシーズンで9位になって終わっていたら、成長継続路線で進むのが正解でした。

しかし、バブルでの9試合はモーラントの大活躍、そして途中まではJJJもハイスコアを記録していながら「勝ち切れない」展開を続けたことは悩みも生み出します。

プレーオフで勝てるチームになるためには、成長だけで良いのか?

モーラントが活躍していなければ、成長待ちでも良かったのですが、しっかりと活躍してくれただけに、次のステージに向けては悩んでしまいます。ドンチッチクラスまで成長するのを待つっていうんじゃダメでしょ。

そんなわけでプレーインは1試合だけでしたが、この経験がグリズリーズにとって貴重な経験と出来るかが大切なのでした。

そういえば2年前の映像が頻繁に流されましたし、コメントにもありましたが、この試合は当時のナゲッツvsウルブズと比較されていました。

シーズン最終戦で「勝った方がプレーオフ」となった一戦はオーバータイムの大熱戦の末、ウルブズが勝利してプレーオフへ。そこではロケッツにコテンパンにされましたが・・・。

負けたナゲッツは46勝36敗でプレーオフに進めないという悲劇。ところが、2年経った今、成功しているのはナゲッツの方です。オフェンシブなチームはディフェンスでトップチームに駆け上がりました。

タイラー・ジェンキンズとモーラント。若い2人で成功したグリズリーズが、更に進化出来るのか。それも来期の楽しみになるのでした。

プレーイン ブレイザーズvsグリズリーズ” への10件のフィードバック

  1. 最終盤で高確率に得点を積み上げる勝負強さと結果的にFTで試合が決まるっていうのも2年前のMINvsDENに似てました。MEMはロスター大きく変えずJJJの回復を待って来季に挑戦するのが最善手ですけど、もう一人ウィングにフィニッシャーが欲しいですね。安く収まるならグレロビ3あたりが狙いどころかもしれないです。

    1. 確かにトレードで不遇となったグレン・ロビンソンは良い補強ですね。どっちのウイングもイケるし3P待ってくれる。
      JJJのケガ案件もかなり不安なので、ウイングは分厚くしておかないと。

      あとはジョシュ・ジャクソンで足りるのかどうか。ウィンスローもいますが、ベンチからスコアラーが欲しい。

  2. ヌルキッチが試合毎に痩せてしまうのではと思う仕事量。
    比較されるホワイトサイドはクラークをどフリーにし4本の3を提供。ピックも守れずで、もう少しハードワークしてくれてもいいのに。
    あと1人インサイド守れる、もしくはカバーリングできる人材いたらと、思うばかりです。アリーザ。。。

    1. ほほがコケて行くようなヌルキッチです。
      いまでもハークレスかアミヌが・・・なのが切ない

  3. マッカラムはホントに怪我してるのかっていうくらい働いてますね…
    今後に響かなければいいのですがデュラントなどの例を見てるとどうも心配です

    1. 上半身なら将来に響くことはない気がしますが、ケガしているとか信じられないパフォーマンスは、ちょっと怖いのも事実ですね。かなりの負荷がかかっていそう。

  4. やっぱり最後は経験の差でしょう。CJ怪我とは思えない働きぶりです。コリンズもなんだか不調なのか故障なのか分からないですが、ダメダメで使われない。ホワイトサイドも酷い出来でした。サイモンズもペジョニャはそもそも論外。ガブもハッスルするけど空回り。実質働いてるのが5人だけになっちゃいました。1試合だけなら今日見たいに何とかなるけど、LAL相手にこれではガードコンビがいくら頑張っても試合にならないでしょう。せめて8人位計算出来ないと無理ですね。

    1. 結局はシーズン前からわかっていた不安が現実に。誰が良いとか悪いとか関係なく、オフェンシブな選手集め過ぎてて、どうやって構成するのか難しくって。
      トレントがブレークしてくれたのは良かったけど、今シーズンもウイング系統に困るとはね。

  5. ホワイトサイドは(特にこの試合では)足引っ張りましたね。
    簡単にファウル取られるわ、DFがぬるいから3ptもゴール下でのフィニッシュも簡単にされるわで、ヌルキッチのバックアップCの役割すら出来てませんでした。
    ガブリエルも頑張ってますが物足りないですし、コリンズもケガで途中離脱、アリーザは残念ながら不参加で厳しいですね。

    1. まぁこの状況がリラードの偉大さを引き立ててくれたってことで。マカラムとヌルキッチも含めてメンタルの強いチームです。
      ・・・って、もうそういう選手ばかり集めれば良いのにな。サンダーやヒート路線

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