ラプターズvsセルティックス

もう逆転はムリかな。4ゲーム差があるから、2位を目指すというよりも3位をキープしたいセルティックス。勝てば3位も安泰。

2位だとファーストラウンドはマジックorネッツ
3位だとファーストラウンドはシクサーズが濃厚

どちらもセカンドラウンドには上がってきそうなのでプレーオフ前哨戦になります。そして「前哨戦らしい前哨戦」になった両HCの戦略が見えたのも面白い内容でした。

◎堅くて重い前半

前半は52-39で、ただただ堅くて重い前半でした。マジ、重い。ガッチガチ。そんな中で両チームに得点差がついた理由を書いていきましょう。

〇フリースロー
ラプターズ 7
セルツ 10

3本しか差がありませんが、2Q半分くらいまでラプターズは0本。そこからラウリーとヴァンブリードが強引に押し込むようになって2人で7本に増えました。2人しか打っていないのが問題

総じてセルティックスの方がクリーンに守っていました。とはいえ、ラプターズもクリーンに守るのですが、ハンドチェックしたり、速攻止めるのにファールをつかったらボーナススローが生まれてしまった感じ。

もう1つは、ここ最近のあるあるで、華麗にディフェンスをかわすパスワークを使ったラプターズ側の3Pが決まらず、そこそこパワープレーをする(テイタム&ブラウン)セルツの方がちょっとだけゴリゴリ。ちょっとだけね。

〇3P
ラプターズ 3/16
セルツ 5/23

共に決まりませんでしたが、3Pもフリースローもセルティックスの方が多い状況になっています。

シーズン中は気にならなかったりしますが、プレーオフになると「エースが大切」なんて言いますが、そのうちの半分はフリースローな気がします。ゴリゴリに押し込んでフリースローゲットするほうが強くなる理論。

ベースにあるのが堅いディフェンスとプレーオフならではの重い展開です。かつてのキャブスみたいに軽い展開にしていくチームもありますが。

セカンドラウンドで対戦する可能性が高い両チームですが、プレーオフも間違いなく重くなるでしょう。そんな中で「アンサーを持っているのはセルティックス」な空気を感じずにはいられない前半でした。

◎テイタムとパウエル

お互いに堅いディフェンスをしているのですが、ベースにあるのは「ドライブで押し込まれない」くらいに止めてしまうこと。共に抜ききられることがありません。

チームでやっても崩しきれないなら、個人に託そうぜ。セルツはわかりやすくテイタムの時間がありました。確率高いわけじゃありませんが、ディフェンスの戦いなら立派に通用する効率性。

堅い展開なのでミドルレンジから打ち切ること、躊躇なくプルアップ3Pを打てること、そしてドライブで最後のひと伸び、要するに

「止められているけど、決めきる強引さ」みたいな部分です。

ラプターズはラウリーとヴァンブリードに、そういう気持ちはありますが、メインはあくまでも「崩しきる」ことなので、役割的にはちょっと違うよね。そしてこの役割をノーマン・パウエルにやらせるのが面白い所。

重たい展開なので早々に登場したパウエル。求められた強引さを発揮しに行きました。中断前はこれが確変していたわけですが、そんな上手くいかないぜ。

っていうか、テイタムとパウエルだったら、差が出て当然。そしてカワイ・レナードが欲しかった久しぶりの展開でもありました。

果たしてラプターズはプレーオフでこういう時にどうするのか?

〇前半
テイタム 8点 FG3/8
パウエル 6点 FG3/6

さて、本当はパウエルじゃなくてシアカムなんじゃないかって話です。しかし、シアカムは意外とこういう時に得点がとれない。理由はシンプルでスピードに対応できるマッチアップをされると、自由を奪われ、ちょっとイライラする。

本日のマッチアップはジェイレン・ブラウン。セルツからするとプレーオフ想定でシアカムの対応がどうなるのか試す絶好の機会となりました。全く抜かれなかったブラウンなので、安心できるディフェンスでした。

まぁこれまでブラウンが相手にしてきた選手に比べたらイージーだわな。問題はポストムーブだけど、ここに違う問題もあったんだ。

◎ビッグマン達

エースムーブの違いとフリースローはあったものの、一番の問題は3Pです。両チームは5アウトが多く、広いスペースを作って攻略するのが持ち味。

「スペースを広く保つ」ためには3Pは重要です。加えて、両チームがドライブをシャットアウトするくらいのインサイドディフェンスをしているので、そこそこパスアウト3Pは生まれる環境でもあります。

ただし、ディフェンス側は「誰に打たせるか」を誘導しやすい環境でもあります。カバー担当を決めておけば、そのマークマンが空くわけだ。

狙っているかどうかは別にして、空けるならセンターだよね。ってことで、ただたんにチームとして3Pが決まらない以上に、空きやすいビッグマンが決めるかどうかは重要なポイントでした。

〇前半の3P
タイス 2/4

シアカム 1/4
ガソル 0/2
イバカ 0/1

セルティックスはビッグマンを捨ててカバーをすればよかったのですが、タイスを捨てたガソルによって6点が生み出されました。この差が響いたことに。特にシアカムはわざと空けられた印象です。ビッグマンにはもう1つ差が生まれました。

ガソルとイバカは万能系ですが、万能系過ぎて、ちょっとアウトサイド側に居すぎる傾向があります。この重たい展開ではフリースローを得ることも大切だし、広いインサイドに対してドライブ+アルファで攻略するのも大切。

要は「インサイド合わせ」が圧倒的に足りなかったラプターズ。普段はここがアヌノビー担当っていう奇妙な構成ですが、時にはタイスがアヌノビーを守るなど、セルティックスは十分に警戒していました。

〇ロバート・ウィリアムス
6点 FG2/2

そしてセルティックスはスマートがインサイド合わせを活用して得点を生み出しました。前半はアウトサイドでもインサイドでもビッグマンで上回った印象です。

しかも、メインウエポンじゃない選手なわけで、全体が苦しい時に空きやすい選手を活用できたわけです。

ガソルがいないときは5人が絡めていたラプターズですが、ガソルが戻ってきてからは、その動きの悪さに足を引っ張られている印象もあります。

5人がプレーメイカーのチームゆえの苦しさがあったラプターズ
全員の役割分担が明確だったセルティックス

そんな前半の差でした。

◎逆襲の後半

前半にいろいろやっておいて、後半に修正して逆転するのが得意技のラプターズ。この試合もいろんな悪さがあった前半ですが、形としては作り上げていただけに、得意の試合展開な匂いがプンプンしました。

しかし、それをブラッド・スティーブンスのセルティックス相手にやるには13点の差は苦しいと予想していたら、その通りになります。

まずラプターズは問題だったシアカムに得点を取らせるために、逆サイドからローポストにくる形でスピンムーブを決めさせます。

ドライブがダメ、3Pがダメでイライラしていたエースに落ち着きを与える人情派HCがやることです。シアカムにはあまり難しいことをさせないっていうね。

加えて、ガソルがパス&ゴーでインサイドに詰めることが増えます。こちらも前半の修正が明確でした。得点は1本のポストムーブくらいでしたが、アウトサイドが広くなる目的もあります。ちなみに、このパターン(前半はアウトサイド、後半はインサイド)も昨シーズンからよくあります。

そんなわけで修正の第一歩にシンプルに成功したラプターズ。はいはい、予定通りの逆転パターンですよ。ヴァンブリードのスティール速攻も食らったので、開始2分でタイムアウトをコールすることになったセルティックスです。

でも、まだ点差は十分。余裕をもって立て直そうぜ。

ヴァンブリードのスティールで分かっているのは、アグレッシブにヘルプポジションからでも手を出してくる事。だから「手を出させれば誰かが空く」のも明確。そして空くポジションは両コーナーなのもわかっていました。

ここからセルティックスはコーナー3Pを連発します。しかも、テイタムとケンバをコーナーに持って行った徹底ぶりで、エースの仕事をしてもらいます。まぁケンバは動きが悪いので、ボール持たせるよりも良い使い方でした。

そして、これが思った以上に決まりまくるので、あっという間に試合が終わってしまいました。トランジションでの狙いも織り交ぜて、タイムアウトからの5分間を21-7と圧倒しました。うち3P5本です。決めすぎ。

さすがにここまで決まるとは両HCともに考えていなかったでしょうね。それが点差がある余裕だったのかもしれません。

ケンバ→テイタム→ケンバ→テイタムとコーナー3Pを連発したので、今度はドライブも決まりまくるぜ!そんな展開でした。おしまい。

◎反省させたのは正解か

管理人曰く「史上最高の戦術力」を誇るニック・ナースのラプターズは、本日もその良さを存分に発揮し、予定調和のような逆転にもっていこうとしましたが、

「そんな上手くいくわけないだろ」と完膚なきまでに反論したブラッド・スティーブンスのセルティックスでした。

前半の点差が余裕を生み出したイメージですが、そこには前半からは修正しないラプターズの余裕があって、余裕をもちすぎて負けた感じです。これを反省して、プレーオフではもう少し早めの修正をするのかどうか。

特にこんな展開だとガソルよりも走れるブシェイの方が使い道がある気もします。戦術的な修正よりも選手起用において前半に工夫が欲しかった感じ。なお、ブシェイは前半の終わりに起用されて3P決めました。

ブラッド・スティーブンスはスポルストラを苦手としており、手を変え品を変えで色んなことを繰り出してくるヒートに対して読み切れずに押し切られる印象があります。

一方でニック・ナースがやってきたことは「昨シーズンから見慣れた修正」でもあるので、存分に読み切ったといえるでしょう。

読み切れたことを良しとするのか、「読んでくる相手だ」と警戒されたことを悪しとするのか。答えはニック・ナース次第です。

ラプターズvsセルティックス” への4件のフィードバック

  1. お疲れ様です。

    3Qでナースが顔を赤くして選手を鼓舞していたのが虚しくなるくらいの結果でした。セルツは通常営業だと思いますが。

    あそこまで3Pが入らないならラプターズじゃなくてもキツいんですけど、今日は速攻もあまり出せなかったですね。

    ヘイワードがあちこち顔出してパスもらってすぐまたパスアウトみたいな事をしてディフェンスを振っていたのもかなり効いていたように見えました。

    正直次やったら真逆の結果にもなりうるカードなので笑
    シアカムのステップアップに期待してます。

    1. 前半はセルティックスも苦しんでましたが、スマートのパスがいろいろと。テイタムは強引に来ますが、ヘイワードが間に入ると、的を絞れず難しくなりますね。
      いずれにしても、延々とこんな戦いをしそうなプレーオフです。

  2. お疲れ様です。
    ミッチェルロビンソンではなく、ロバートウィリアムズです。

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