今シーズン話題のビッグマンシューターはボールを持たない。
ウォールとビールはいるけれど、路線変更と再建を目指し八村を手に入れたウィザーズですが、その「路線変更」の特徴的な選手は八村の控えとなるバータンズでした。
アイザイア・トーマスとイシュ・スミスという小さくアジリティに優れたPGを使ってトランジション天国なチームに変更し、積極的なシューティングはビッグマンにも意識され、バータンズの3Pはチームの武器になるだけでなく、リーグ全体の話題にもなりました。なお、その後でディフェンスを意識し始めたとかいうから路線変更はブレブレ。
そのバータンズがリーグトップの数字となっているのが、
ボールを持って2秒以内の3Pアテンプト
つまりはボールを持って迷わずに打つのがバータンズらしさであり、ウィザーズがスピードアップするための大切な武器でもあります。
〇2秒以内の3Pアテンプト
バータンズ 7.8本43%
ダンカン・ロビ 7.6本45%
Eゴードン 6.7本30%
ポルジンギス 6.6本35%
KAT 6.2本41%
コビントン 6.2本34%
マルカネン 6.2本35%
バータンズとダンカン・ロビンソンは一体どうなっているんだ!って数字です。この2人とコビントン以外は中心的な位置づけの選手のため、少し様相も変わってきますが「中心じゃないのに7.8本のアテンプト」ってのは凄い数字です。
◉伸びた理由
キャリアハイの15.4点のバータンズですが、トランジションの得点が大きく伸びたことが特徴的です。
〇トランジション
得点 4.1点
EFG70.3%
とにかくトランジションで驚異的な数字を残しているバータンズ。EFGが70%を超えるのですが、FGは50%を切っており、その中身が3P打ちまくりでの高確率になっています。ほぼ3Pを打っていると思って間違いないです。
ところで、この驚異的なEFGですが、実は昨シーズンまでも同じような数字を残していました。しかしアテンプト数が少ないため、選手としての特徴にはなっていなかったのです。
〇昨シーズンのトランジション
得点 1.6点
EFG68.8%
〇2シーズン前のトランジション
得点 1.1点
EFG72.2%
こう見るとウィザーズへ移籍したことでバータンズは自分の持つ能力を「発揮する機会が増えた」ことが成功につながっており、スパーズに残っていたら数字は伸びなかったかもしれません。時に適切とは思えないようなセレクションでも、トランジションの中で強気に打ち、そして決めています。
〇ディフェンスとの距離別アテンプト
4フィート以内 2.6本 40%
6フィート以内 4.0本 41%
6フィート以上 2.1本 48%
実際にバータンズの3Pはワイドオープンの方が少なく、タフでも40%も決めています。どんな状況でも決める能力が高いといえるわけですが、これがスパーズにいた昨シーズンだと
4フィート以内 0.5本 31%
6フィート以内 1.9本 45%
6フィート以上 2.0本 44%
つまりワイドオープンのアテンプトや成功率はほぼ変わりなく、オープン(6フィート以内)は確率は変わらないけどアテンプト数が半分になってしまっています。スパーズらしく「フリーを作って打つ」というオフェンスがバータンズの得点を減らしていたとも捉えられる数字です。
確率は変わらない。ワイドオープン以外のアテンプトが増えた。
これがバータンズが数字を伸ばした理由であり、シュート能力に大きな変化があったわけではなく、トランジション天国のウィザーズに来たことで可能性を広げることが出来たのでした。
ちなみにユーロに戻っていたら、ここまで打たせてもらえたとも限らないから、良いチームに移籍できたのだと思います。
◉アンチ・ミスマッチ
ビッグマン系シューターが数字を残せる理由に、「マークマンがアウトサイドまでついてこない」というものがあります。エンビードキラーのべインズみたいな理由です。
この点についてバータンズには少し違う一面があります。
もちろんディフェンスがついてこないならば迷わず打って決めるし、3Pラインの1m後ろからでも狙うシュート能力で強引なフリーを作ることもしています。ディフェンス側はこれらの問題に対応するために、ゾーンにすることが増えてきました。ヘルプ担当のビッグマンがチェイスしなくても良いようにゾーンにしてガードがチェイスするわけです。3Pなんだからブロックできなくてもバランスを崩させれば外れる理論。
バータンズはここでガード相手の3Pの上手さが際立っています。これはサイズのミスマッチで3Pを打つポルジンギスに似ていますが、バータンズはそこまでの高さはないけど、プレッシャーをかけられても関係なく打っていくのが強みです。
そんなこともあり、ビッグマンだと追いかけきれず、ガードだと上から打たれるのでバータンズのマークはSF系統のウイングが増えてきました。チームとして全体のサイズで上回れるのでディフェンス面でその利点を生かせればよいのですが、ウィザーズにはそういう匂いはしませんよっと。
一方でウィザーズにはビールがいます。ガード相手のマッチアップで3Pを決めていくのが得意なバータンズと、リーグ2位の得点を稼いでいるエースガードなわけですから、2人でピック&ロールをすれば、利点の大きいマッチアップを作れそうです。
〇ピック&ロール ロールマン
回数 0.7回
得点 0.7点
しかし、バータンズはロールマンとしてのプレーが非常に少なく、八村も少ないのがウィザーズの特徴です。ビールはハンドラーとして9.5回を記録しており、ピック&ロール自体が少ないわけではなく、ほぼセンター陣の役割になっており、それが効率的なのか疑問な部分も。
ビールがスピードでドライブするわけではないこと、そしてピックからのパスがあまり上手くない点も含めて、ストレッチ役との相性を考えると、ウォールの方が好ましいかもしれません。PGが変われば、もう少しバータンズの活用法が増えるかも。ネイピアーとのプレーは記憶にないな。
◉右か左か
今シーズン絶好調のバータンズですが、その3P成功率はスパーズ時代と大きく変わったわけではなく、シュートを打つ機会を大きく増やした戦術的な部分が関係していました。ウィザーズじゃなくてもペリカンズやホークスのようなチームが合っている様子です。
そのウィザーズでは八村の控えになっていますが、チームとして問題なのは同じポジションなのに、あまりにも役割が違う事。さすがにバータンズのように打つ必要はありませんが、それにしても3Pが少ない八村。八村っていうか、ウィザーズが何をしたいのかって話です。
あるいはスモールのセンター役をどちらかがこなせればよいのですが、そういうわけにもいかないジレンマ。ロスター作るのって難しいよね。ハマっているバータンズだけに、周囲をどうやって組み合わせるのかが課題です。
一方で「ボールを持たない」バータンズの存在はウォールやビールのチームとしては好ましいスコアラーになっていけそうです。シューターが欲しいけど、ガードタイプのシューターでは意味がないので貴重なビッグマンシューターとして、引き続き活躍を期待したいでしょう。
でも、オフにはFAとなるバータンズ。マヒンミとCJマイルズの契約が切れて選択する余裕のあるオフなので、どうするのかな。
バータンズはWASに必要な選手
居てくれるかは別として7Mくらいでオファーだしても良いはず
FAかドラフトでセンターを取るとしたら、八村はビール壁体制になったらフィットが悪くなりそう
3P増やしてストレッチなスタイルになっても良いのかもしれない
シューターって感じじゃないけどセンターは無理だし
そーなんですよねー。スパーズの記事で『パータンズが居れば』とコメントしましたが、ポポさんならここまでトランジッョンで打つことを許されないんですよねー。でもスパーズ側からしたらウィイング不足とゆーね…需要と供給のバランスむず
ビールとの相性が悪いのは確かにですね。ウォールは怪我明け、ラス君のよーに暴れられるのかが気がかりですが、確かにトランジッョン多くなりそうだし、ビールよりはハーフコートオフェンスでもパスまわってくるのがイメージ出来ます。
ウィザーズの一貫性の無さはplay-off常連チームになれない原因のよーな。例えばヒートは『ヒートといえぱガチムチ軍団』とかね。非play-offチームにはそこがあやふや。(フロント陣の我慢強さの差なのかなー ニックスのオーナー見てるとふとそー思っちゃったので)
スパーズもねぇ…なんかねぇ…少し前の頃より、メインのエース各もロールプレイヤーも『いやらしさ』が薄くなりまして。ダンカン マヌー大先生 パーカー レナード ダニー・グリーン が居なくなったんだから当たり前か。いや、エグいなその5人。ベンチもいやらしかったなぁー。
バータンズには少し気の毒ですが、サラリー払いすぎても難しいので、こーゆー選手の契約は慎重にねって感じ。
バータンスが残留、八村もNBAに慣れてきたところで、来シーズンにボンガがブレイクしたら面白そうです。
そうすると八村もボンガもボール運べてしまうので、ウォールの役割は何なんだ?っていう疑問も生じそうですが。
ボンガ・八村・トマブラの並びは身長の割にWSが長いラインナップになるので、習熟すればトランジションの活性化とディフェンスの強化につながりそうな気もします。ことしは全くダメでしたが。