ハイパー・リラード

36.9分(1位)
28.9点(5位)
 7.8アシスト(8位)

今シーズンもハイパーなリラード。得点・アシストがキャリアハイを記録している一方で、「量」だけでなく「質」も上げています。

FG45.7%(キャリアハイ)
3P39.4%(キャリアハイ)
EFG55.4%(キャリアハイ)

プレータイムが長くなり、自分でやらなければいけないチーム状況の中で、なんとキャリア最高の成功率も記録してきました。特に3Pアテンプトが9.9本(キャリアハイ)になりながら、FG成功率もキャリアハイのペースになっています。ロングレンジを増やして、トータルの成功率があがるとか脅威。なのでもちろんEFGもキャリアハイです。

この3Pは例のロング3Pを大きな武器に昇華させたうえで、リラードらしいタフショットも記録しています。ということで、ディフェンダーとの距離別3Pです。

〇アテンプトと成功率
2フィート以内 0.6本 35.3%
4フィート以内 2.6本 39.1%
6フィート以内 4.3本 39.3%
6フィート以上 2.2本 41.6%

あのロングシュートがあることがリラードへのマークをより強め、今シーズンはワイドオープンが減りました。その一方で「タイト」に分類される4フィート以内のアテンプトが2.2本→3.2本に増えたのです。

ディフェンスのマークがきつくなり成功率を上げた

これが今シーズンのリラードがハイパーな理由です。数字の上でも明確にリラードに頼る形になっていながら、ものともせずにステップアップしてキャリアハイの成功率を記録しているのでした。

御覧のとおり、その3Pはより遠くから狙うようになり、しかもディフェンスにはタフに守られ、成功率を上げてしまったぜ。ハイパーなリラードパイセン

◉アシスト/ターンオーバー率

そんな得点面での進化に加えて、アシスト/ターンオーバー率までキャリアハイを記録しているから、マジハイパー。

アシスト 7.8
ターンオーバー 2.9
AST/TO率 2.70

さすがにターンオーバーはキャリア最少にはならないものの、得点とアシストでキャリアハイを記録しながらターンオーバーが増えない。28点、7アシストを記録しているのに3を切るとか怪物的数字です。似たようなスタッツの選手を並べると

〇ターンオーバー
ハーデン 4.5
ヤング  4.8
ドンチッチ 4.2
ウエストブルック 4.5
レブロン 4.0

こんな感じなので、リラードのミスの少なさは驚異的な数字になっています。フロアを広く保たせるロング3Pがミスになりにくいパスやドライブをを生み出しているし、ミスになる前にロング3P打っちゃうしさ。

得点もアシストも稼ぎまくるのにミスをしない

リラードパイセン、マジハイパー!

このアシストをもう少し掘り下げてみましょう。かつてリラードの特徴は「ボールを長く持つ割にアシストが少ない」ことにありました。これはカリーなんかにも当てはまりますが、シュート能力やハンドリング能力は高いけど、ペネトレイトする能力が低いというか、フィジカルやサイズで劣る選手がインサイドに切り込むのを少なくし、それよりもアウトサイドでボールを動かすことが優先事項のPGにある特徴でした。

リラードは「被ブロック数が多い」選手の代表格で、ドライブからのフィニッシュに課題があるし、自分で崩してのパスが少ないからアシスト数が少なかった感じです。ここに今シーズンなりの違いが出ています。

リラードのパスからセンター陣の違いを観てみましょう。

〇昨シーズンのヌルキッチ
パス数 14.6
アシスト数 2.1
FG% 46.3%

〇今シーズンのホワイトサイド
パス数 10.3
アシスト数 2.3
FG% 56.7%

ポイントセンター的な役割をしていたヌルキッチとリラードの間では頻繁にパス交換がされていましたが、その分だけヌルキッチはリングに遠い位置が多かったし、ゴール下外すこと多いし。

一方でホワイトサイドは(ブレイザーズに来てパスを覚えたとはいえ)ゴール下専門みたいな選手なので、リラードのパスが少ない代わりに堅実に押し込む能力では上回っています。これがアシスト数増につながっています。

ところで、リラードの面白いのはもう一方のエースであるCJマカラムへのアシストが1.5しかないことです。なので、満遍なくチームメイトにパスを振り回していますが、それでもチーム状況からか、昨シーズンに比べると変化も出ています。

〇昨シーズンのリラードからのアシスト
マカラム 1.1本
ヌルキッチ 2.1本
その他  3,7本

〇今シーズンのリラードからのアシスト
マカラム 1.5本
ホワイトサイド 2.3本
その他 4.1本

ということで、ヌルキッチとホワイトサイドの違いだけでなく、リラードのパスから各チームメイトへ満遍なくアシストが増えている感じです。でも実はパスの本数には変化がありません。

〇リラードのパス数
53.6本 → 53.8本

パスの本数は変わらずに、アシストが増えた

そう考えると「ミスが減った」のではなく、「アシストに繋がる確率が高まった」というのがアシスト/ターンオーバー率がキャリアハイになった理由になっていそうです。

リラードのパスからのシュート数も昨シーズンと比較してみましょう。

〇アテンプト数
2P 14.3本→13.8本
3P  6.5本→ 8.3本

〇成功率
2P 47.1% → 49.4%
3P 34.0% → 38.2%

2Pはアテンプトが減っており、3Pがアシスト数増加に繋がっている雰囲気です。アミヌやハークレスがいなくなってキャッチ&シュートをしたがる選手が増えたことも関係していそうですが、3Pが確率良く決まっているのはほぼマカラムのおかげだったりします。

〇リラードのパスからマカラムの3P
アテンプト 2.1本 → 2.3本
成功率 33.3% → 50.0%

リラードとマカラムのホットラインが決まりまくる

これもまたリラードの今シーズンの成績がハイパーな理由になっています。これまではホットラインな空気ではなく、それぞれが得点していく流れだったのが、少し変化したわけです。サイモンズをサードハンドラーにしたことで、マカラムがセカンドガードの役割に専念している感じも関係していそうです。

◉超効率的ドライブ

3Pとアシスト、ミスのないプレーを披露しキャリアハイをたたき出すリラード。これらのことは更なる進化を生み出しています。それが被ブロックが多かったはずのドライブの進化。

〇ドライブ
回数 13.3回→14.9回
得点  5.3点→10.5点
得点% 57.9%→70.1%

リラードよりも多くドライブしている選手は14人いますが、その中で得点率が70%を超えているのはビールのみです。超効率的に得点を奪えているリラードのドライブ。

なお、この数字ですがマカラムとサイモンズも70%を記録しており今シーズンのブレイザーズの特徴にもなっています。リラード個人の成長というわけでもない。カーメロは83%なのですがそもそもドライブしない。

ロング3Pを決め、タフ3Pを決め
ミスのないプレーから堅実にアシストし
超効率的にドライブを決める

ハイパー、ハイパー、リラード、ハイパー

◉じゃあ何で勝てないんだ

これしか言いようのない数字を残しているリラード

もちろん問題はディフェンスとベンチユニット。言うまでもない弱点で勝てないブレイザーズ。その結果、リラードのプレータイムは増え、それでもリラードは効率的なプレーをしていく。

悪循環なのか、好循環なのか、よくわからないチームになっていますが、ただただ個人スタッツは特別なのでした。

ハイパー・リラード” への2件のフィードバック

  1. 改めて数字で見ると凄まじいですね。
    今年は怪我人の多さにも悩まされたのでなんとも言えないですが
    メロを2ndユニットに持っていってそこを3Dに変えたら上手く回りそうな気がします。

  2. ベイズモアとアリーザのトレード後に1試合だけですが観てみて気が付いたのは、アリーザは相変わらず活きてないということでした。変にボールを持たされてTOVしまくってましたね。キングス時代と同じ。
    逆にキングスに来たベイズモアは全く存在感の無かったブレイザーズ時代とは違いスタッツも劇的に改善しました。キングスはその頃ビエリツァをオフェンスの起点にしたりとハーフコートオフェンスをテコ入れして良くなってました。その影響の様に感じましたね。無駄に打たないスリーと隙をついたドライブ。球離れのいいハリバンみたいな感じです。
    ブレイザーズの1番の痛手は当然ヌルキッチの離脱とアミヌ、ハークレスの移籍でしょうがそもそもバランサー的役割を担う選手が居ないからじゃないかと感じました。
    昔ターナーが居ましたが彼が調子の良い日は強かった記憶があります。

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