マブス化する馬場

お題:馬場の成長
実態:マブスのチームオフェンス

リクエストもらった馬場についてですが、馬場がいるとはいえ、さすがにGリーグは観ないので(それ以前に八村すら観ないブログだぞ)ハイライト観て感想言うくらいしか出来ません。

なので、5試合分くらいの馬場の得点シーンハイライトをみたのですが、一方で最近はマブスを追いかけていまして、ポルジンギスについて書きましたし、次は「ちくいちドンチッチ」ということでドンチッチの細かい上手さみたいなことを触れようかと思っていました。思うとケガするのがドンチッチあるあるです。

マブスについては観ていたわけで、そこで馬場のハイライトを見ると「あぁナルホドな」となるシーンが並び、それはマブスのことを説明する良い機会にもなります。特集するほどでもないけど、特徴的なマブスってのを馬場もまた示してくれているのでした。

◉パウエルとクリバー

こちらもケガしてしまったパウエルですが、今シーズンは3Pでもインサイドでもパワフルに動き回っていました。パウエルほどのパワフルさには欠けるクリバーですが、こちらも同様にストレッチしながらインサイドを頑張っています。

リック・カーライルはこの手のプレイヤーの使い方が非常に上手いし、自分たちに必要な形に育てる印象があります。パウエルとクリバーは「他のチームに移籍したら試合に出れるのか」すら疑問になる選手であり、特にクリバーはマブスをクビになったらユーロに戻った方が幸せだろうなとすら思うくらいです。

〇クリバーの3P
17-18シーズン 31% 1.8本
18-19シーズン 35% 3.1本
19-20シーズン 39% 4.3本

バイエルン・ミュンヘンからマブスに加入してからのクリバーは3P能力を向上させてきました。1年目は苦しかった数字ですが、昨シーズンはほぼプレースタイルとして完成し、今シーズンは堅実性を増している印象です。

これだけならNBAのルーキーあるあるですが、クリバーは28歳でありユーロから来たというのが引っかかる要素でもありまして、スペインとドイツで経験を積み、アメリカにくる前年はバイエルンでチーム2番目に多く3Pを打ち、44%決めています。そもそもスキルとして確立されていた選手なわけです。でも同じことをNBAでやるのは簡単ではないし、ましてや違う国からくるわけでカーライルがやっているのは

NBAで通用するようにスキルをアジャストさせる

こんな感じかな。派手じゃなくてもシュート力と運動量がある選手を連れてきて、1つひとつのスキルが通用するようにしていくのが得意技ですね。

ノビツキーとナッシュ。ドイツとカナダ。アメリカバスケに惑わされずに使える選手をインターナショナルにスカウトしてこようぜ。そしてアメリカバスケにアジャストさせようぜ。ドイツのクリバーとカナダのパウエルをマブス化するってことだ。

◉ノン・ドリブル

そんなクリバーのシュートは6.3本のFGアテンプト中4.3本が3Pと圧倒的に多くなっています。その4.3本中4.2本がキャッチ&シュートであり、今シーズンはドリブルをついてからの3Pが4本しかありません。

0ドリブルでの3P 199本

これだけならばストレッチ5としては「まぁあるかな」くらいの感覚ですが、2Pも同じようにドリブルなしになっているのがマブス化って感じです。

〇2Pアテンプト
0ドリブル 87本
1ドリブル 11本
2ドリブル 18本
3ドリブル以上3本

ストレッチ5として上手く3Pを打っていると仮定するならば、「フェイクからのドライブ」も多くてよいはずですが、それは少ないし、ドライブしてもパスアウトすることがよくあります。

〇クリバーのドライブ
ドライブ回数 47回
パス数    19回
FG     18回
ターンオーバー 3回

残り7回がファールを貰った感じなので、シュートに行ったのは25回と考えるのが自然かな。いずれにしても1試合に1回しかドライブを選択しておらず、ビッグマンなのにシューターっぽい数字になっています。

どこのノビツキーだよ。って感じですが、まぁそういうことだよね。ただノビツキーの場合はドライブはしないけど、ドリブルしてからのジャンプシュートは多かったので、クリバーとは少し違います。またクリバーの方はドリブルをしない2Pはそこそこあるので、ドライブしないだけでリングへのダイブは行っています。

細かく言っていくと本題からズレてしまうので戻しますが、マブスのオフェンスは3Pを中心に組み立てていますが、ハンドラー以外にはキャッチ&シュートのみを求めます。ここが1つの特徴になっていて、プルアップは基本的にドンチッチ、ハーダウェイとハンドラー(バレア・ブロンソン・カリー)のみのプレーです。

〇マブスの3P
キャッチ&シュート 27.9本(2位)
プルアップ     12.7本(5位)

〇プルアップ3P
ドンチッチ 7.7本
バレア   2.3本
ハーダウェイ1.8本
カリー   1.7本

合計で見るとプルアップは多いのですが、ドンチッチが半分以上なのでハーデン型にも似ています。ちなみにキャッチ&シュートが最も多いのが意外にもウルブズでして、やっていることは間違っていないのに確率が悪すぎるのでした。

マブスについては、ハンドラーとそれ以外の選手に求める3P能力を大きく分けているのが特徴であり、ウイングとビッグはキャッチ&シュートの堅実性を求められます。ドリアン・フィニー・スミスは3P30%以下の選手だったのに今シーズンは38%まで上げてきました。

マブスではプラスして「3Pフェイクからのドライブ」があまり重要ではなく、その一方で3Pを打たなかった時とハンドラーへの合わせにおけるギブ&ゴーは重要視されています。クリバーの2Pもドライブが少なく、一方で0ドリブルのシュートは1試合に2本程度はあるのでした。

キャッチ&シュートの3Pを決める
ドリブルではなくオフボールカッティング

それがマブス化するってことなのかもしれません。

◉最近の馬場

題名につられて読んだ方がいたら、ここまで馬場が登場しないってのは詐欺ですね。はい。でも試合観ていないし、よくわかんないんだよね。リクエストを出してくれた方によると、ここ最近はスターターの選手がケガ+コールアップで馬場がスターターになったそうです。

〇ここ3試合の馬場
19分・19pts(FG8/9・3PT3/3)・2stl
26分・19pts(FG7/9・3PT5/6)・6reb・2stl
37分・18pts(FG7/13・3PT4/6)・3stl

こんな感じだそうです。スティールの多さは抜群に誉めたいところですね。そして3P決まりまくっています。ってことで、マブス化について頭の中に置きながら、ハイライトへGO

こうして確認していくと馬場の得点パターンは4種類に大別されます。

①速攻
②キャッチ&3P
③オフボールカットでのイージーショット
④スローインからのサインプレー

まず①の速攻は走り出しの速さが見事ですね。言い換えればディフェンス時にボールの動きをしっかりと視界にいれてプレーできているわけです。マブスが運動量のある選手を求める理由の1つでもあって、ワンプレーで切ってしまう選手は嫌い、プレーのつなぎ目がスムーズな選手が好かれます。

②はここまでの内容のとおり、何一つ難しい3Pではありませんが、確実に決めていくスキルを手にし始めています。とはいえ、決めすぎです。

③は最も特筆すべきポイントです。馬場にこんなプレーのイメージがどれだけあったのか。というか日本のディフェンス(オフェンス)だと殆どありえないパターンでもあります。マブスオフェンスを理解し始めたのでしょう。

④はサインプレーなので何とも。ただし、やけにイージーに抜けてくるので、ディフェンスの動きに応じた判断が出来てきています。③と④を見るとチームメイトとのコミュニケーションがスムーズになってきたのではないでしょうか。

ところで、サマーリーグ時の記事で心の中で笑ったものがありまして、探してみました。気になった内容を要約すると

NBAではスペースを広く使うプレーが主流で、日本と比べて選手は1対1で攻めることが多い。そのため、わずかな出場時間では馬場にボールはなかなか回ってこない。

日本のシステムのなかでプレーしてきた馬場にとって、サマーリーグの環境で順応せねばならないことは、彼が思っていた以上にあったことだろう。

「もう少し、ボールがもらえれば」と。たしかに、見ているこちらも歯がゆくなるほど、馬場にボールは来ない。

https://news.biglobe.ne.jp/sports/0717/spt_190717_9337347198.html

なんとなーく「システム重視の日本に比べてアメリカはパスが回らない」「自分でアタックしないといけない」「1on1が重要」と示唆するような書き方になっておりまして、間には馬場のコメントとして

「こちらが気を抜いたら、相手はみんな(ドライブに)行く覚悟でいます。日本だとチームバスケットをメインにパスを回したりしますが、こっちは相手を抜く勢いが強い。『個人の戦い』が第一にある」

これを差し込んでいるので、その印象が強くなってきます。しかし、ここにきてGリーグとはいえ馬場が得点を増やしている現状はまるっきり正反対でして

・チームはパスをしっかりと回す
・馬場がボールを貰う回数は多くない
・「1on1でリングにアタック」はしていない
・個人ではなくチームで得点している

こんな感じです。サマーリーグ時に馬場がどう捉えていたかは、実はこの記事の馬場のコメントだけを引っこ抜くと「ディフェンスの話」ともとれるので不明なのですが、個人の戦いは全く行っていない状況で馬場が得点を伸ばしていることは、アメリカの戦術バスケに、特にマブスのやり方に順応してきているといえます。

◉マブス化スキルセット

馬場のプレーを見てクリバーを持ってきたのは3Pが何だか似ているからです。これもマブス化なのかなーと思っています。

マブスの3Pはまず5人の距離感が保たれることから始まり、1人(主にドンチッチ)が崩したところからパスが出るとディフェンスのローテよりも早く的確な形でエクストラパスを回していきます。その時、選手たちは殆どポジションを変更しません。立った状態でパスを回せるようにポジショニングしている必要があるわけです。難しいぜ。

次にクリバーと馬場が似ていると思った理由が3Pがセットシュートっぽいこと。これはパスを貰ってから上半身が殆どブレずにシュートに行くことが出来ます。馬場のシュート力は課題でしたが、それ以上に3Pがセット気味なのが気になりNBAでは打てない気もしましたが、逆にマブスにハマったかもしれません。

このセットシュートを可能にするのは前提にある「正確なパス」であり、マブスは大抵のパスが胸より上にくるようにトレーニングされている気がします。そのため、特にクリバーは「予備動作がない3P」を頻繁に打っています。

これはNBAにきてからの渡邊雄太が苦労していた部分ですね。キャッチしてからシュート動作にはいったのでは遅く、「キャッチからリリース」迄を早くしないといけない。馬場はセットだから全体としては遅いのですが、マブスではキャッチからリリース迄が早くなるようなチームオフェンスとスキルセットが求められています。それを馬場はアジャスト出来てきた気がします。

適切なポジショニング
確実なパッシング
キャッチからリリース迄のスピード

パスの部分は馬場がちゃんと出来ているかわかりませんが、少なくとも3Pを決められるようになっているのは、単なるシュート能力の向上ではなく、マブスというチームが志向するスキルセットを実行している故に手に入れたプレーです。

次に馬場の得点シーンで目立つ要素は

タフショットがない

ってことです。追い込まれて苦しくなって打ったシュートどころか、ドライブジャンプシュートもないし、ブロックがいるなかでのレイアップの得点シーンすらありません。Bリーグではそんなシーンが多く、それでも決めるから馬場がMVPだったわけですが、アメリカに行ってわき役ウイングになったことで「イージーシュートを作る」ことが徹底されてきています。

現代オフェンスにおいてウイングがなすべきことが整理されてきた馬場。それは同時に

マブスオフェンスが好調な理由

にも繋がります。タフショット担当とイージーショット担当がわかれており、ドンチッチ以外が効率的に決めていく事がマブスが勝利する計算式です。

ということでかなりマブス化されてきた馬場。得点が伸びた理由はこんなところにあると思ったハイライト集でした。

馬場を題材にマブスについて述べただけなんだけどね。そしてGリーグチームがトレーニングの場として機能している事が明確になっているのもマブスの好循環を示しています。ラプターズやセルティックスもそんな感じだよね。

◉代表ってどうするの?

さて、ここで違う問題が発生します。馬場のこのプレーは日本代表では出来ないって事です。わーお!困ったぜ!

個人としては成長して帰ってくるでしょうし、その経験値はチームにプラスになるでしょうが、テキサス・レジェンズでやっているプレーは日本代表では出来ないよ。そんなパスは来ないし、全員が適切なポジショニングなんてしないし、ドライブしたらヘルプが待っているよ。

ゴンザガでエースだった八村にはあまり関係なかった部分であり、大いに関係しそうだった渡邊が個人で得点することを求めてきたグリズリーズにいたことで表面化しなかった問題。なお、今シーズンのグリズリーズは違うし、渡邊は完全なるビッグ担当としてプレーしているから、そこもまた厄介。

ラマスは日本が独特過ぎて困っていた印象がありましたが、馬場がマブス化してきたことは、どんな影響を与えるのか。

イージーショットが増えて改善するのか、タフショットが決まらなくて困るのか。

3P打ちまくって顰蹙なのか、決めまくってヒーローになるのか。

「日本の戦術」という共通認識が育成年代からあれば問題ないのですが、そういうわけでもないので、ラマスに頼るしかない感じです。プレーオフにコールアップされることはないでしょうから、早めに帰国して欲しいとラマスは考えているかもね。

マブス化する馬場” への1件のフィードバック

  1. NBA(馬場はGリーグですが)ではロールプレイヤー、自国代表ではエースキャラを求められるというのは他国ではあるあるでしたが日本もその段階に入りつつあるというのは以前から比べると隔世の感があります。

    マブスとカーライルはハードワーク出来て身体能力がある選手に戦術理解・遂行能力を仕込むのがうまいなと思っています。
    そういう意味では新加入のコーリースタインとか化けたら面白そうなイメージがあります。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA