トレードにみるブレイザーズ問題

アリーザとスワニゲンが来たよ

サラリーキャップの問題とフッドのケガもあってトレードに動いたブレイザーズ。獲得したのは人気者のザ・わき役アリーザと自分たちで指名してキングスに放出し再び呼び戻すことになったスワニゲン。

この2人が加わったところで大きな変化が起こるはずもないのですが、ヌルキッチ、ザック・コリンズ、フッドの長期離脱に加えてラビジエリ、CJマカラムなんかもトレードに前後して離脱してしまったのでブレイザーズは選手不足に陥りました。

そのためアリーザとスワニゲンが加わる前のウォリアーズ戦では、どうにもこうにもならなくなったことで逆にリラードが61点を記録したので試合観戦することに。ちなみにその前の試合ではトレードになったトリバーが4Qに大活躍していたのですが、そこも選手不足が生み出した形です。

さらに2人が加わった初戦がマブス。「マブスを何試合か見たいなー」と思っていた管理人だったので、都合よくトレード前と後の試合を見ることに。

選手が足りない+即起用する必要性

マブス戦は8人ローテだったので、新加入2人が加わるとその変化は非常にわかりやすくなりました。ということで、トレードでわかったブレイザーズの事についてショートコラムです。

◉あぁリラード様

47点 3P8/15
6リバウンド 8アシスト

結局のところ、リラード頼みが強まっています。ウォリアーズ戦では序盤に個人技で得点していたカーメロでしたが、マブスのディフェンス相手だとFG7/21で、特に後半は失速していました。

ただ、そんなことよりもカーメロはカーメロなので、チームオフェンスとしては崩してくれないので機能しているわけではありません。マブス戦は途中からリラードにボールを持たせるしかオフェンスにならなかったブレイザーズでした。

そのリラードもドライブしてもカバーディフェンスに囲まれるとどうしようもなく、例のロング3Pを連打してくれました。驚異的だったリラードですが、それは同時にチームオフェンスが機能していないことを強く感じさせてくれました。

ブレイザーズのオフェンスはリラード&マカラムによるシューティングが基本スタンスです。昨シーズンは特にヌルキッチやエバン・ターナーをパサー役にし、起点を変更してガードコンビの得点力を増やしに行きました。そこにハークレスやアミヌも合わせられるようになったのがシーズン後半であり、ヌルキッチがケガで離脱したプレーオフでハークレスとアミヌが機能しなかった理由でもあります。

ホワイトサイドを加えた今シーズンも同じような形を目指したし、ホワイトサイドにパスを出させることを覚えさせた驚異のテリー・ストッツでもありました。ところが次第に消えてきており、今ではリラード・マカラム・サイモンズの1on1シチュエーションからプレーが構築されています。

ある意味、カーメロがこのオフェンスに参加できた理由もこれで、この1on1をカーメロに変えればよかったのでした。しかもポストアップだから被らないしね。

他にもヘゾニャをPG的にすることもありましたが、これについて「ムリだ」と悟ったように辞めました。ホワイトサイドも継続性がないから諦めたのかもね。

◉アリーザが示した事

オフボールでポジションを変えていくアリーザの特徴は歩きながらでもパスが貰える位置に移動している事です。トレード初戦でチームオフェンスを何も理解していないであろうアリーザでしたが、リラードのプレーに応じて時にスクリナーになったり、ディフェンスの死角に移動していました。

〇トレバー・アリーザ
21点 FG7/11
3P4/6

基本的にキャッチ&シュートと速攻しか打たないアリーザですが、特に3Pは効果的でした。なお、アリーザにしては決めすぎなので、ここまでの得点を期待してはいけません。決まったのはたまたまですが、気の利いたポジションを取り続けてくれました。

〇ゲーリー・トレント
3P6/7

最近はリラードに打たせるためにPG役にもなりがちなトレントですが、アリーザ同様にわりと気の利いた選手なので打ちまくり、らしくないくらいに決めまくりました。

しかし、これら一方でリラードはドライブにカバーがくると度々パスの出しどころに困りました。ひとつの理由はホワイトサイドが合わせるのが下手すぎる事。これはヒート時代から続く問題なので今更ね。

カーメロのポジショニングも安定しておらず、オフボールでポジションをかえる判断の悪さが目立ちました。要するにアリーザが示したことは

リラードのドライブに合わせたキャッチ&シュートのためにポジションをずらせない

というチーム全体の課題でした。これは個人の問題もありますが、ブレイザーズがチームとして抱える問題であり、アミヌやハークレスだって下手だったよね。つまりは「チームとして仕込んでいない」ってことです。

でもね。前述のとおり、本当はリラード&マカラムがシューティングでフィニッシュするのがこのチームの良さなので、そもそもは「決められたポジションに位置する事」が重要なオフェンスです。リラードとマカラムのスペースを潰すな、ってことです。

アリーザの気の利いたポジショニングはブレイザーズに良い影響を与えてくれていました。でもそれはオフェンスの構成が変化してしまいアンバランスになってしまったことを示してもいたのでした。

◉スワニゲンが示した事

選手が少ないことでプレータイムを与えられたスワニゲン。ルーキー時代をブレイザーズで過ごしているのでこのチームで求められることを知っています。

そのため必死になってプレーしていました。驚くほどに必死でした。スワニゲンの欠点はファールが多すぎる事でしたが、ファールしないように必死だったのが自分の立ち位置を理解している様子で好感触です。一方でスワニゲンの良さであり弱点でもあるのが、

なんでも出来るタイプのビッグマン

ということでペリメーターでも守るし、ブロックにも来るし、オフェンスリバウンドにも参加しまくるし、パスも出せれば、シュートも打てます。

しかし、スワニゲンは全てがNBAレベルとしては物足りなくて、頑張って守るけどスピード負けし、ブロックに飛ぶけどブロックしきれずにファールになり、リバウンドに参加するけど取り切れず、パスを出すけど読まれるし、シュートは決まらない。

何でも出来るけど、全てがNBAとしては物足りないってのは、伸びれば化けるし、伸びなければ絶望的です。万能ではないホワイトサイドはブロックとリバウンドは超強いわけで。

しかし、仕方なく起用されたスワニゲンはホワイトサイドとの違いを見せてくれました。それは特にオフェンスでのパス能力の違いです。本来はポイントセンターみたいなプレーをやらせたかったブレイザーズなので、ヌルキッチから2レベルくらい落ちるスワニゲンですが、決めきれないまでも形としては機能しました。

「決めきれない」んだけどね。パスを出しても決めてくれなかったり、そのパスが乱れたり。

特に3Qにリラードがロング3Pを決めまくると、マブスは高い位置からリラードにプレッシャーをかけてきました。そこでパスを出した先がホワイトサイドではなくスワニゲンになると、ハイポストから右へ左へパスを通していき、ブレイザーズのオフェンスは復活してきました。

アリーザは「気の利いたポジショニング」をとらないと3Pにならないことを示していたわけですが、スワニゲンになると真ん中でパスを出せる選手がいると「気の利いたポジショニング」がなくてもオフェンスが形になると示してくれたわけです。

アリーザが示したポイントセンター型が機能していない現状
スワニゲンが示したポイントセンターがいると形になるオフェンス

こんなイメージのマブス戦になりました。なお、だからといってスワニゲンに頼れるかっていうとそれはムリなのです。プレーオフのことを考えずに伸ばすために起用する判断でもしない限りはね。

◉でも守れないしね

とはいえ、チームオフェンスは形になっても決めきれないスワニゲンよりも、個人で決めてくれるホワイトサイドの方が収支で言えば上回るので、カーメロも同じく、HCの判断としてはスターター交代するほどではありません。これは与えられた戦力の中でベストな結果を残すためのHCが行う調整力です。理想に死ぬわけにはいかない。

まぁ本当は理想に従ってチームを作り上げていくのがテリー・ストッツの良さだったので、そのストッツが諦めた事実の方が重そうなんですけどね。

結局のところブレイザーズが勝てない理由は守れない事の方が遥かに大きいので、オフェンスに気を使っても仕方ないのでした。

そんなディフェンスはアリーザ先生がドンチッチ担当になりました。キングスではエースキラー役が減っていたし、ウィザーズやサンズではそんな話ですらなかったので、久々にキラー的な担当になったわけです。

〇マブスの3P
ドンチッチ 2/11
その他  20/36

なかなかの試合でした。5アウトのマブスオフェンスに対してカーメロとホワイトサイドを抱えていると3Pへの対応が全く間に合っていませんでした。一方でアリーザ先生はドンチッチのステップバック対策をこなしていましたが、代わりにぶち抜かれることもあるわけでカバーの悪さに呆れているシーンも。

アリーザ効果があったディフェンスですが、1人ではどうにもならないってことも示していました。ただここもカーメロとホワイトサイドを並べる時点で初めから分かっている事です。2人の悪さを責めるといっても、サボっているわけじゃないし、もともとそういう選手だし。代わりに共に二桁リバウンドとっているしさ。

トレードで獲得したアリーザとスワニゲンは1試合目で良い印象を残してくれました。それは同時にチームが抱える問題を浮き彫りにもしてくれたのでした。それはたぶん、マカラムがプレーしていたら、そんなに目立たなかったと思うから、ハッキリして良かったとポジティブに捉えましょう。

トレードにみるブレイザーズ問題” への6件のフィードバック

  1. ヌルキッチがオールスターブレーク後に復帰予定と報道されていますが、復帰時期を考慮しない場合ヌルキッチとホワイトサイド、どちらがプレイタイムを多くもらえると思いますか?

    1. ヌルキッチいるなら、ホワイトサイドは不要でしょうね。でも今シーズンはヌルキッチはプレータイム制限させると思うのでホワイトサイドが長くなるかと

  2. アリーザさんみたいなキラータイプディフェンダーってタッカーやドレイモンド(素直にそこはカペラか)みたいなカバー優秀ディフェンダーとセットで考えないとですよね。(チームディフェンスとはそーゆーものっすよね)

    ブレイザーズの『理想を諦めた重み』が今シーズンのブレイザーズ(テリー・ストッツ)を象徴している言葉かなぁー ドレイモンドとディアンジェロの相性の悪さと似ていて、リラードとホワイトサイドはね お互いに『相手にして欲しい事が違う』とゆーか。特徴が活かし合えないとゆーか。語彙力ってどーやって伸ばすんでしょーか管理人さん。

    はてさて、ここで1つの疑問 メロさんは来年どーなってるんでしょーね 今年はとりあえず1on1ファイターとして10~15点スコアしてくれる力は示しましたが、どっか欲しい(うまく使える)チームが出てくるのかなぁ?と、ちと心配してます。引退って雰囲気じゃないですよね?引退もあるのかなぁ?? ニックスとはもう関わらないのかなぁー(もうニックスでやるのがお互いにいい気しかしないけど色々あるんだろーなぁー モリスよりは稼げそうだよニックスさん)

    1. カーメロは引退する必要なくなり、ブレイザーズのベンチスコアラーは向いてますね。アリーザとも組めるから問題ないし。でもスターターのPFってなると他の選手に変えたいなぁ。
      リトル、アリーザ、フッドとかつて不足していたウイングが厚くなり、PFタイプが減ってしまったなぁ。

  3. 前のブレーザーズのゲームレポートのコメントに書いていた人がおっしゃる通りやっぱり今期はけが人が多すぎました、代わりに急遽経験不足の新人引っ張ってようやく使い物になってきたらまたけが人という負のサイクル、サイモンズとかラビシェなんてもっと経験を積ませてからのプレーが見たいなぁ。

    個人的予想ですが開幕直後は負けが込んでびっくりしたけど何とか調整しつつコリンズをヌルキッチの控えとして育てさぁプレーオフのリベンジだ的な青写真を描いてたと思うんですが…フッドいればちょっと違ってたかなぁ
    アミヌ、ハークレス、ディフェンスの土台の大切さよ
    GSWの今の状況はびっくりだけどまぁしゃあないかって感じですがブレイザーズのプチ崩壊ぶりは軽くショックです

    1. 開幕前から「ザック・コリンズに頼りまくり」というロスターだったので、あのケガで全てが狂いましたね。とはいえラビジエリなんかはそこでチャンスを掴んだわけですから、悪いことばかりではないと開き直りたい。

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