開幕戦 レイカーズvsクリッパーズ

遂に開幕する19-20シーズン。その開幕戦はLA対決にしてレブロンとレナードがぶつかり合うトッププレイヤーの対決。ADがかすむってのは両チームならでは。

◉ザ・開幕戦なクリッパーズ

試合はレイカーズが圧倒するスタートになります。主としてクリッパーズ側に問題がありましたが、同時にレイカーズのプレーが読み切れない事情もありました。

始めの2ポゼッションがレブロンのポストアップ。相手はべバリーなので当然といえば当然ですが、そこが「読み切れない」というのはレイカーズのラインナップにありました。

レブロン、ブラッドリー、ダニー・グリーン、AD、マギー

ハンドラー役が似合わないブラッドリーとダニー、ビッグマンでストレッチ役が似合わないADとマギーなので、レブロンがトップにいるのは当然と思われましたが、まさかのADがトップで始まりました。いくらべバリーが守れるといっても、このサイズ差は大きい。

しかし、本来はADとマギーの片方を捨ててカバーに任せればよかったはずです。そのジャッジが出来なかったパターソン&ズバッツ。その結果、レナードがヘルプに行ってしまいダニーに2つの3Pも打たれました。

確かにレイカーズの陣形は予想外でしたが、それにしても対応できなかったクリッパーズ。ディフェンスといっても連携をどうするかはまだまだ練らなければいけないし、開幕戦ならではのノーデータな戦いだったとも言えます。

もちろんレブロンにレナードがマークする形も出てきますが、そうすると普通にADがポストアップ。レイカーズは鮮やかなパスワークでも、戦術レブロンでもなく、ポストアップで2人の個人力を押し出すオフェンスを構築したのでした。

クリッパーズの連携問題はオフェンスの方が更に苦しく、レナードを含めてボールを回してはいるものの、スピード感は皆無。システムの中で回しているだけで、レイカーズとしては怖くないのでした。おそらくスピードが弱点になるであろうチームに対して、しっかりとゆっくりと回しているのでは、得点も取れないのでした。

この事実は13-2と全く得点できなかったところでルー&ハレルの登場により証明されます。ハンドラーが増えて効率悪そうにみえたラインナップですが、動き回って合わせるハレルにルーとレナードからのアシストが通り、イージーバスケで得点していったクリッパーズ。

レイカーズの戦い方が読めないのも開幕戦
連携が合わないのも開幕戦

悪いスタートを切ったクリッパーズですが、解決しない問題ではないので致し方なかったのでした。

◉ザ・開幕戦なレイカーズ

ベンチから慣れたメンバーが増えるとそこそこ得点がとれ、するとディフェンスも解決していったクリッパーズ。ハークレスくらいしかディフェンスの良い選手がいないのに、改善したのは何故か。

それはレイカーズもまだ開幕戦ということ。ポストアップ以外は何がしたいのかわからないレイカーズオフェンス。レブロンがADのポストアップを待っている間に時間が過ぎ、ドライブしたけど誰も良いポジションにこないからミドル打ってエアボール。ロンドもいないのでプレーメイカー不足を大いに感じさせます。

有能なトロイ・ダニエルズとクックを組ませるなんて・・・と思ったけど、他に選手がいないのだから仕方ないね。って感じのフランク・ヴォ―ゲル。ハワードがディフェンスで奮闘していることもあり、逆転は許さないものの、クリッパーズペースに移り変わっていきます。

ADのポストアップ、ADのポストアップ、ADのポストアップ、ADのポストアップ

レブロンがベンチに下がるとそれしかなくなるレイカーズ。それでも強力なADではありますが、プレーメイカーじゃないからオフェンスを膨らませるパスアウトが出てきません。カズンズが恋しくなるよ。

休んでいたレナードが 1Q残り2分で 戻ってくると、連携は合わないけど個人技を交えて反撃したクリッパーズにより1Qは25-22でした。ほぼクリッパーズの問題で発生したビハインドを、クリッパーズが普通になったら取り返しました。

バスケはチームスポーツ。強力な個人がいたところで機能しないんだ。そんな現代NBAな開幕クォーターでした。そしてこの時点で勝負が決した気がするのですが、リアルタイム観戦なら「クリッパーズが勝ちます」と呟いたところです。それを許さないのがレブロンという個人技なのですが、さてどうなるのか。

◉主役対決

そのレブロンの前に立つのがレナード。ショートレンジと3Pであっさりと同点にします。1on1からパスアウトするとエクストラパスをしっかりと繋いでハークレスがコーナー3P。形になってきたクリッパーズですが、理由はズバッツがいないこととレナードがシステムの中でパス回すよりも突破を選ぶことにしたから。

一方でレナードのディフェンスを嫌がりまくるレブロンが早々にパスを出すと3Pという仕事をする俺たちのダドリー。細かくピックに来るハワードも助けてくれ、マッチアップ変更を促せばドライブを決め、と戦術レブロンっぽくなっていきます。言い方をかえれば「プレーメイカーがいれば機能する」レイカーズです。

しかし、加速するクリッパーズの流れには抗えなかった戦術レブロン。あっさりとディフェンスが崩壊していきます。理由はトランジションとレナード。単純に止められなかったレナードに走れるメンバーを揃えたクリッパーズのスピードに粉砕されていきます。

この流れは当然といえば当然。レイカーズはスピードに対応できる選手が少なめです。すかさずレブロンも下げて動けるメンバーに変更したヴォ―ゲルによって、トランジションを止めるようになっても、今度はシンプルなピックで崩され始めます。連携不足な開幕戦。

レナードがいれば個人技で、いなければ連携で。補強した部分と昨シーズンからの流れを併せ持つクリッパーズに比べると分が悪かったレイカーズ。こればかりは仕方がない。なお、クリッパーズはハレルが出続けも相変わらずな。

それでもトランジションを止めることが出来たので、「ADのポストアップで対抗しておけば大ケガはしない」と計算できているヴォ―ゲルは、この試合初めてADをセンターにします。トランジションを止めるメンバー構成&ADの良さも活かそう。

十分に対抗できていたのですが、残り1分半あたりでレナードをベンチに下げると、そこからハレル中心に走ったクリッパーズが、トランジションから連続でファールドローに成功し・・・ハレルがフリースロー2本とも外しやがった・・・前半を62-54で締めくくりました。

◉超ビックリ

8点ビハインドっていうのは、最高のスタートを切ったレイカーズファンからすると不満かもしれませんが、1Qの内容を考えるともっと離れても良かったところを、展開に応じて工夫したことで何とか一桁にとどめた印象です。悲観することはないよ。

後半開始もポストアップ利用から攻めていくレイカーズ。ズバッツがもう少し上手く守れればって匂いもするのですが、それを求めるのは酷なのかなー。

しかしオフェンスは前半の流れを受けてトランジションから積極性を忘れずに詰めていく事で好調を維持できたクリッパーズのスターター。まぁ主にズバッツ、パターソンという前半に苦しんだ2人。簡単に二桁リードにして、レイカーズの頑張りを消し去っていきます。

クリッパーズとしては前半にやられたプレーでも、「わかっていれば止められる」という構図にしていきます。マギーが出ているのでADにポストアップされても近くにズバッツがいるので早めのヘルプ。レブロンのポストアップには早めにスイッチ対応だったり、トップのADを放置したり。

そうなればポストアップの意味が薄くなり、トップにくるレブロンだからべバリーが密着デート。ズバッツなんて途中からマギー無視してレブロンをダブルチームみたいにマークしていたし。ただし、スイッチ対応やヘルプポジションを早めたので、浮いたダニーへのマークが間に合わないシーンは出てきます。それを得点に結びつけたダニーにより、離されないレイカーズ。

しかもトランジションのチャンスを3連続でクリッパーズが潰してくれたので反撃になります。こういうのがあるから試合はやってみないと分からないよね。論理的にはクリッパーズ圧倒ですが、そんな簡単には終わらないってことで、10点差前後のところからしばらくは観戦モードです。

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クリッパーズはレブロンを守れるハークレス、べバリー、レナードがいることでヘルプを多用する必要がなくなり、レブロンから出てくるパスを読み切っています。ADの方はパターソンが全てを止めきることは出来ませんが、それでも50%に抑えれば良いわけで。

レイカーズがやってくることは大体わかっているので、マイボールにした瞬間の速攻への切り替えも早いのですが、そこをレブロンがチェイスダウンブロックで止め、何とか離されないっていう。論理だけじゃ簡単ではないねー。でもレナードを休み休みの起用で済んでいるし、そもそもポール・ジョージいないしで戦えてしまっています。十分な成果のクリッパーズ。

ところが浮いたダニーが当たりまくり。どうしてもそこのマークを浮かせるしかないクリッパーズの事情もあって、苦しいけれど的確なポイントで決めきってついていくレイカーズ。ここは昨シーズンとは大違い。

そうこうしているとレナードとルーが外し始めてしまい、10-0のランに成功したレイカーズ。ちょっとビビった大反撃。最後はハワードがプットバックダンクで同点にします。

いやー、超ビックリ。なお、その時レブロンはベンチなので、クリッパーズはプレーが読めなかったとも。3Qはレイカーズが同点に追いついて終わります。ダニーが3P5本全てを決めたことで、多少の論理の差は個人能力で埋めてしまえることを示したような形でした。

いやー、超ビックリしたわ。プレーが読みにくいって大切だね。戦術レブロンにはなかった言葉だけどさ。

◉まだまだだね

ところが4Q開始が7-0のランになってしまいます。勿体なかったレイカーズ。ハワードがオフェンスリバウンドを頑張りまくってトランジションを許さなかったのですが、単純に頑張りが目立つくらいシュートを外しまくってしまった。フリーで打っては外したクック。そこがダニエルズじゃなかったことが悔やまれます。

でもクリッパーズもレナードが外してしまいます。そして接戦の仕事人ダドリーが3Pで取り返します。ダニエルズもダドリーもサンズにいたんだけどなー。

こうやってやられてはくらいつき、レイカーズが接戦に持ち込むかと思いきや再び9-0のランをくらいます。レブロンがベンチに下がるとプレーメイクがね。それでも3Q終盤はレブロン抜きで追いついたのだから、可能性ゼロじゃないけど、どうにも苦しいな。

ヴォ―ゲルはマギーとハワードをどうするのかと思ったら、2人を交代で使いながら、重要な局面ではADをセンターという形にしてきました。スタミナ面も考慮しながらのクレバーな判断です。ある程度はトランジションに対抗できるローテーションを取り入れています。

4Q後半になるとこの形からADがレナードのマッチアップに。非常に面白い構図ですが、レナードは見事にブロックするなど威力を発揮しましたが、その代わりミスマッチが増えたハレルが暴れることに。ここにクズマがいれば解決しそうではありますが、ちょっとローテが苦しかったね。

レブロンもテイクチャージをとるなど奮闘したディフェンス。そこに絶好調のダニーが加点して対抗していたレイカーズですが、総じて力負けという感じ。どうしても最後に押し切られてしまいましたとさ。

クリッパーズはレナードがフィットしているとは言い切れないのですが、それはラプターズでも同じだったよね。チーム全体が機能する中でジョーカー的に決めていくのが役割です。エースが戦術の中心とは言えない形の方が上手くいく理論。

もっと大差がついても良さそうな試合でしたが、レイカーズが踏ん張ったことで見ごたえのある開幕戦になりました。とはいえ、これ以上触れる理由もないくらいにクリッパーズの完勝って試合でもありました。

〇ダニー・グリーン
28点 3P7/9

この活躍がなければ20点差だったかもしれません。それくらい重要な働きでしたが、それくらいレイカーズは苦しんだって事で。

〇カワイ・レナード
30点 5アシスト 6ターンオーバー

ターンオーバー数が示すように、レナードは連携面で課題がありました。それよりも個人で勝負したほうが周囲が空くシーンが増えて良さそう。そして、そんな周囲のプレイヤーこそがクリッパーズの強みでした。

〇クリッパーズのベンチ
ルー 21点
ハレル 17点
ジャマイカル 12点
ハークレス 10点

ベンチから登場した4人が二桁得点ってどういうことだよ。異常なチーム構成のクリッパーズ。戦術レブロンで整理したレイカーズに対して、多くの選手が活躍する下地で多様に勝負したクリッパーズ。連携力の勝利でした。

◉論理を探す開幕シリーズ

開幕戦なので連携がまだまだでした。その中から面白そうな要素を探していきたいわけですが、戦術レブロンに対してべバリーとハークレスが個人で守れてしまい、しかもレナードが構えていることで止められてしまいました。

とはいえ、そこまで出来るのはクリッパーズの良さ。レイカーズは他のチーム相手には、もっと優雅な戦術レブロンをみせてくれるかも。特にダニーとダドリーは決めているだけに、パスを読まれなければ期待も出来ます。

ただロンドがいなくてゲームメイクがメチャクチャ。浮いたダニーみたいな選手ばかりが打つことになりました。そこを的確に使いたいね。さらにウイングからのドライブも不足。それはクズマの欠場がもたらした課題です。

開幕なので連携が合っているチームは強いです。しかし、ポテンシャルのない連携だと、シーズン半ばに捉まってしまいます。大きな可能性をもったシステムの中で、連携を深める作業は続いていくはずです。

クリッパーズは大体こんな感じで試合をしていくイメージなので、継続してみて発見があるかどうか。

レイカーズはどんな方向にも転びそうなので、変化を追いかけてみたいですが、ポストアップを延々と見せてくるだけだったら凹むね。

レイカーズの個のきらめきが目立った中で、それを遥かに凌駕したクリッパーズの連携という開幕戦でした。

開幕戦 レイカーズvsクリッパーズ” への4件のフィードバック

  1. わーい!新シーズンの開幕だ

    ・レナードMVPとは思えないほど、淡々としてて地味だな
    ・レブロンとシューターはよくなじむ
    ・ルーの6thは止められない
    ・ビバリーの守備力おかしい、サイズや体重のミスマッチってなんだっけ?

  2. 試合を見ていてクリッパーズにとっていい開幕戦だったんじゃないかなと思いました。各自が自分の役割をこなしつつしっかりと連携もとれていて。ただここにポールジョージが入ったらどんな役割になるのかが謎でした。レナードがしないプレメイクの部分をするのか。それともウィングでキャッチ&シュートorドライブなのか。正直ドックリバースがどんな監督(戦術)なのかよくわからないので予想できません。whynotさんはクリッパーズは今後どうなっていくと思いますか?

  3. ポールジョージいる、、?と思った開幕戦でした。レナードを休ませるためとか、そもそもレナードがジョージを欲したというのは分かってますが、レナードとジョージが同時にフロアに立つと役割が被るのではないかと思います。

  4. 19-20シーズンスタートばんざーい

    クリッパーズはディフェンスが崩れることはなさそーなので、後はオフェンスの連携をシーズンで作るだけっぽいですね。

    ポール・ジョージはどの役割もする感じで馴染ませるのかなー。エース役のシャドー エースキラーディフェンダー ウイングなどなど 

    イグダラ兄さんの上位交換みたいな感じかなー でも、そこまでパスで味方を活かしてあげる感じでもないしなぁー。ウォリアーズとクリッパーズじゃあー、パス回しの意味合いも、変わるからいいのか。早く観たいなジョージinクリッパーズ

    レイカーズはダドリー&ダニーでしたねw 1シーズンこの2人に頼るのだろーか あくまで脇役のダドリー&ダニー(役)ばかりが仕事しないと勝てないってのもねぇ… まぁーメインのお二人の圧があるので押し切れるでしょーが なんだかねー 少しオールドスクール臭がする。このヘッドコーチってヒバート&ジョージ時代の元ペイサーズヘッドコーチなんですよねー マイマミに勝てなかったヘッドコーチとレブロン&ADって…って思っちゃいます(さらにマギーとハワード ビックラインナップの意味、ちょっとはき違えてなくなくなーい???)

    クズマ&セルティックのブラウンがお気に入りな僕。グスマが気持ち良く出来るか出来ないかで、レイカーズの順位が変わりそー。

    まぁー 何にせよ、始まったばかり。今シーズンもブログをより楽しく読み為に試合を見ます(笑)

    今シーズンも宜しくお願い致します

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