勝利を掴むフリースロー合戦

ショート・ショート

今回の記事は、違う記事を書いている中で「そういえばコレ触れていないな」と気が付いたもの。そして触れないのも勿体ない。

「フリースローが勝利を掴む」ってのは基本のキ。ハーデン、カリー、最近ではレナードも上手くなられて。とにかくフリースローをもらうのが一番効率的な得点方法です。

でも、それは「フリースローを与えてはいけない」ってのと同義語。ディフェンスからすると、いかにフリースローを与えずに守るのかも大切です。

そんな中で異端ともいえるのがクリッパーズ。今シーズンのフリースローアテンプト1位のチームは、被アテンプトが28位と試合はまさに「フリースロー合戦」になっています。

〇フリースローアテンプト
40本以上打った試合 5試合
30~39本の試合 31試合

「クリッパーズの試合が長い」と感じたならば、それは間違いではないはず。とにかく試合が頻繁に止まって長い。半分近くの試合で30本以上打っています。打たれた試合数を数えるのは大変なので勘弁してください。

2月22日のグリズリーズ戦では42本打っていますが、グリズリーズも36本打っています。両チーム合わせて78本です。本当に勘弁してほしい。まぁ2時間半で終わっているんですけどね。

〇ファール数 23.3(28位)
〇被ファール数 24.0(1位)

ファールも多いし、ファールされる数も多い。つまりそれって戦略なんじゃないか疑惑です。ちなみにホームで有利かというと、ホームではクリッパーズのファール数が多く、アウェイでは相手の方がファール数が多い逆転現象も起きています。

◉ルーのこと

その理由で真っ先に思いつくのがルー・ウィリアムスの存在。フィジカルが弱く強引には決めないけど、軽やかに決めまくるルーはファールコールが多い展開でこそ本領発揮します。

どちらもファールコールしてくれるなら、フィジカルな攻防を避けられるので巧みに得点していくはず。

しかし、ルーのフリースローアテンプトはリーグ13位程度。クリッパーズでもっとも多い選手だけど、リーグNo1チームなのにこの程度だと考えると少ないくらい。

クリッパーズのフリースローが多い理由は3Pが少なく、インサイドに詰めていくから。ルー以外にもハレル、ガリナリ、トバイアスなんかが多かったです。

しかし、3Pが少ないって意味ではより少ないスパーズとペイサーズはフリースローも少ないので、一概には言えません。そしてペイサーズはかなりインサイドを攻めこむチームなので、なんでフリースローが少ないんだ?

〇クリッパーズとペイサーズの比較
FGアテンプト 87.5 - 87.0
3Pアテンプト 25.8 - 25.4
FTアテンプト 28.5 - 21.1
ファール数 23.3 - 19.4

ペースの違いはあるけれど、こう見ると似たような本数の両チームがフリースローで大きな差があり、それに付随してファール数が大きく違います。4.9個のファール数差に対してフリースローが7.4本違う。なんとなく理解できる数字。

忘れてはいけないのは「ファール数=相手のフリースローが増える」ってことね。つまりは何だかんだ言ってもレフリーは人間だから、

一方のチームのファールが多い → 相手チームのファールも多くなる

という傾向はあるわけです。シュートが決まらない重い展開になると、両チームが決まらない。ってのもあるのでバスケあるある、ともいう。

「ファールしろ」なんて作戦は構築していないだろうけど、総じてクリッパーズは『お互いにファールが多い展開になって、フリースロー合戦を挑んでいる』という図式は成立しています。

両チームが多くのフリースローを打つ。するとクリッパーズが有利になる。そんな構図。

◉得失点差とフリースロー

今回は文字数が少なそうだったので、いろいろと引き延ばしてみましたが、結論はこれです。

〇クリッパーズの得失点差 +0.9

〇フリースロー
成功数 22.6本
被成功数 20.5本
点差 2.1点

つまりクリッパーズってさ。

フリースローで+2.1点
その他で△1.2点

のチームなわけです。だから「勝利を掴むフリースロー合戦」なわけです。

〇FTの成功率と勝敗
90%以上 7勝1敗
85%~90% 9勝5敗
80~85% 8勝9敗
75~80% 15勝8敗

フリースローは大事だ。

お互いにフリースローを多く打つ展開にして、相手よりも高確率で決めれば勝てる。

当たり前なんだけど、非現実的な手法。それでも本当に狙ってやっているんじゃないか疑惑のあるクリッパーズ。

フリースローを打てば打つほど勝てる、ってのは普通のチーム。打って打たれて、打たれて打って、を繰り返して勝つのがクリッパーズ。

フリースローの差でシーズンの得失点差をプラスにした48勝のチームなのでした。恐ろしきクリッパーズ理論。

勝利を掴むフリースロー合戦” への15件のフィードバック

  1. ガリナリはFTを「呼吸と同じ」みたいな感じで表現してましたね。
    FT合戦はプレーが止まる分スタミナも持ちそうなのでLACとしては休みながら差をつけるというお得さ笑笑

    FT%は練習量に比例しないイメージです。(センスとか精神的余裕とかの領域)
    プロFT集団であるクリッパーズは漫画に登場しそうな突き抜けた存在感があっていいですね笑

    1. 呼吸ってちょっと意味わかんないですけどね。

      FTのセンスってのはあって、その確率を観て3Pも含めたシュート力が向上するかを判断する基準もあるらしですね。
      「今は下手でも、FTが決まる選手なら将来は3Pも決まる」みたいな。
      逆に3P決まってもフリースローが下手なレブロンってのもいますが。

  2. こういう短めの記事でもすごく読み応えあります。オフは溜まってるネタたくさん書いて欲しいです!

  3. フリースローを打って打たれてを繰り返して勝利するなんてクリッパーズは改めて不思議なチームですね。攻めも守りも上手くやるより身体を張ろうぜって感じなんでしょうか。
    さすがといいますか、管理人さんは目の付け所が面白いです。これはデータを見て気付いたのか、試合の印象ですでに気付いていたのかどちらなのでしょう?

    1. この記事のスタートは、実は開幕戦です。
      ナゲッツをFG38%に抑えながら108点取られて負けたのですが、なんと42本もフリースローを与えました。
      典型的な弱いチームの戦い方なのですが、そんなスタッツの試合が時々登場し、気になっていました。

      すると気が付いたらクリッパーズの平均FT数が増えてきていて、なんか変だなーと。
      まさかシーズン終了時にここまでのことになるとは意外でしたが、開幕からその兆候があったのでした。
      なのでデータといえばデータですが、1試合の異変から続いてデータになった感じです。

  4. FTの成功数と勝敗
    の数字を見て珈琲吹いたw

    でも…
    オフェンスはともかく、ディフェンスで相手にFTを沢山与える、って、ちょっと聞いたこと無いです。スパーズとかの逆ってことか。
    ファールを重ねることがトラブルにならないって事ですよね…
    ゲームがいちいち止まっても、リズムが崩れない、とも言えるか。

    なんか玄人集団みたいな感じだけど、スタメンにルーキーが2人…
    謎…

  5. クリッパーズの試合は観終わると、毎回どっと疲れる印象でしたがそういうことでしたか。個々のオフェンス力にFTを加え総合的な火力で上回る。もしこれをゲームプランにしているのであれば凄いことですね。ルーとガリナリの誘う技術とゴリラ体型のハレルが柔らかいタッチでシュートが打てることも地味にプラスなのかもですね。ズバッツ…
    この戦い方でKDのいるGSWから2勝したわけですし、来シーズンは似たような、もしくはチームプランが変化するチームとか出てきそうです。サンダーなんてハードワーク分のスタミナ消費抑えられてぴったりだと思うのですがどうでしょうか。(FTの入らない選手や、そもそも誘う技術に乏しいシュルーダーや逆にFTあげまくるノエルなんてのもいるので難しいですが笑)

    1. サンダーはウエストブルックのフリースローが元に戻らない限りは意味がないでしょうね。
      なんで、あんなに決まらなくなったのか。

      ・・・ロバーソンを放出しないと・・・

  6. 言われてみればこの戦略はクリッパーズに合っている気がします。

    多くの選手を起用しているのでファウルトラブルのリスクを分散させやすい、現代バスケのオフェンスで効果の高いトランジションオフェンスを出させにくくすることができる、お互いのフリースローの得点の割合が増えることでオフェンスの質の差を幾分かごまかすことも出来ている気もします。

    格上のチームに対するカウンター戦法みたいな感じでしょうか、まさにプレーオフでやってのけた訳ですが。

    このオフの動きは他に比べるとちょっと注目度が低い気がしまが、サラリーキャップも空いていますしどう仕掛けてくるか楽しみなチームでもあります

    1. ミドルとドライブが多いことも、カウンターリスクを減らしているんですよね。
      だからといって守れてはいないのですが。

      あと、細かくプレーが止まるので、細かくプレーの指示を出していることにも繋がっている気がします。

  7. 思い返すと、ピアース レイ・アレン ガーネットのビッグ3時代のボストンも試合が長かった印象(フリースローでよく止まる)印象ですね。ドック・リバースあるあるなのかな

    確かにドローファール上手いタイプのエース達だし、フリースロー確率も良かったはず(レイ・アレンの確率がそー思い込ましてるだけかも)

    でも、ロブシティー時代のドック・リバースの時はそんなにフリースロー合戦のイメージないなー(グリフィンとDJがあれなんで…)

    ロゴマークの人が考えたのか、ドック・リバースがそーゆー考え方なのか分かりませんが不思議なチームだなー。

    1番言いたい事は僕もズバッツ好き。笑らう奴のセンスの無さを呪います。

    サンダーのアダムスを爽やかにしたよーな見た目とプレースタイルのズバッツいいじゃん イケメンだし(笑)

    アダムスの高倉健?ばりの男臭さも魅力的ですがね

    ストレッチビッグマンは確かに現代的でしょーが、仲間の為にスクリーンやオフェンスリバウンドやフィジカルファイトをやってくれるビッグマンはいつの時代もチームの為になるので。

    テーマと関係ない話が長くなるのもOffシーズン記事コメントあるあるだから許してにゃん

    1. 多分エンワンも多いですよね。
      結局シュート上手いかどうか説を唱えている僕としてはFTの上手さが勝ちに繋がるってのは納得です。
      3pや更にはレイアップよりもシュートが上手けりゃ確実に得点出来る訳ですからね。邪魔される可能性皆無な訳で。
      ハーデンかバケモン扱いされてるのはその徹底ですしね。ハーデン何度か20点の内18点FTみたいなことありましたし。
      まあ相手にも多く与えるのは良くないですけども。

  8. LACってここ3年ぐらいで大型移籍やケガ人でメンバーが目まぐるしく変わるので、
    トレードで急にメンバー変わっても、シーズン中に戦術変えなくて済むように
    ペイントを攻めるシンプルな戦術変化したのが、FT伸ばしている原因だと思う。

    あと元LACデアンドロジョーダンの、長年に渡るあまりのFTの下手さに絶句して
    たしかハックはルール上できなくなったけど
    溜まったFTストレスを相手に与える独特な戦術を考えついたのかも。

    ちなみにNBA公式によると今シーズンの
    デアンドロジョーダンのFT確率70%でした…  あれ!別人かな?

  9. この戦術でジェリーウェストはLAの黄色じゃない方から、熱く戦う集団のイメージに変えた。USG %も低いし見てて気持ちがいいチームだ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA