ホームで一矢報いるのか
1年前を思い出すと、お互いにヒリヒリした展開の中で起用できる選手も限られ、冒険できなかったシリーズでしたが、今はそうでもなく、お互いに多くの選手を起用しています。パズルゲームでもチェスゲームでもないシリーズ
そこにハーデンの目をドレイモンドが指でつつく事故があり、遠近感がなくなっていたハーデンが響いたゲーム2でした。2日空いたので問題なし、ってのが事前の情報だったけど、ハーデンの目は赤いままでした。さて、どうなるのか。
◉大人しい立ち上がり
1QのハーデンはFG2/6。3Pは2本とも決まらず、まだ目の影響があるような気もしてきます。4本はレイアップやリバウンドになっており、3Pを気にするウォリアーズの事情もありつつ、ドライブ優先がよさそうな。
ドレイモンドのディフェンスは確かに素晴らしいのですが、ブロック力が高いわけではないのでフローターで自分で打ちまくれば良いのだけど。
ウォリアーズはカリーとデュラントの連続3Pでスタートし、非常に好調なスタート。ところが、ここから3Pが全く決まらなくなります。もちろん気にするロケッツの事情もあるけれど。
つまりお互いに3Pに課題のある1Q。なので、得点が伸びず、初めにリードした分だけウォリアーズ優勢で進みます。
次第に違いを作ったのはカペラ。お互いにアウトサイドが決まらない中では、ディフェンスではイグダラのダンクをブロックし、オフェンスではリバウンドを押し込む。ようするにインサイド力の差で追い上げていきます。
ウォリアーズにとってアンラッキーだったのは、対抗できるルーニーがオフェンスファールをコールされていき、あっという間に3ファールになったこと。「スイッチしないのかよ」とツッコミそうだけど、シャンパートが慣れていないからか、1人だけファイトオーバーしてくるのに困った感じです。
なお、シャンパートはスイッチディフェンスを理解しておらず、しかもアウトサイドを追いかけることに使命感を感じているので、スイッチミスでイージーシュートを生み出す原因にもなっています。デュラント以外には起用しないほうが良い。
◉3Pが決まらないけど
そんな違いが響きだした1Q終盤から2Q序盤にかけて、ロケッツが一気に10点リードにします。インサイドを上手く塞ぎつつ、セカンドチャンスも手にした。あとドレイモンドがベンチだった。これが続くと「ドレイモンドは交代できない」状況が生まれるかもしれません。ボーガットはネネイが相手の時だけね。
ドレイモンドが登場すると見事にインサイドを塞ぎ始めるのですが、それと前後してゴードンのワンマンショータイム。ウォリアーズに強いゴードンなのか、ハーデンが苦しいからゴードンなのか。
ハーデンが戻ってくると、3Pをエアボールします。ちょっとこのままだと「ドレイモンドがハーデンの目を突いたから勝った」って事になりそうです。かつてスパーズがナッシュにケガさせたようなもんで、「ダントーニは勝てない」と定義されそう。
まぁもちろん、それだけで勝負は決まらないけど、でもさ。このハーデンの遠近感のなさはヤバい。トンプソンは良いディフェンスをしていますが、割とステップバックを打たれているので「ここが決まれば」だし「これが決まらなきゃ怖くない」でもある。
カリーがサーカスフローターを決め、ドレイモンドのキックアウトでデュラントが3P。追いつきそうなウォリアーズでしたが、ハーデンが遂にステップバックをヒットし、ゴードンも変わらず3P。
クリス・ポールのパスからカペラがダンク。カリーの3Pが外れ、トンプソンのドライブをゴードンがストップ。カリーのコーナー3Pがまた外れて、ハーデンはドライブレイアップ。
前半残り1分半くらいからラッシュで来たロケッツが58-49と9点リードを得た前半でした。
ハーデンの3P1/5
カリーの3P1/7
3Pを打たない方が勝つシリーズになりそうな傾向値が出ています。キーになっているのは6本打ったドレイモンドを除いてフリースローが少ないこと。フリースロー打たせるくらいなら3P打たせた方がマシだよ。
◉3Pを決めたロケッツと
後半開始早々にロケッツは追い込まれます。デュラントに対してタッカーが4つ目のファール。3Pをそこまで追いかけないといけないのか疑惑すらあるのですが、代役がいないポジションのファールトラブル。
ところが、これでデュラント担当をゴードンにし、リバースを加えたスモールラインナップが3Pラッシュになります。イグダラ相手の見事なステップバック3Pを決めたハーデンから、リバース、ハーデン、クリス・ポールと連発してタイムアウトのウォリアーズ。
ここから数回のオフェンスでトンプソンvsカペラのマッチアップが生まれます。それはトンプソンにやらせたいのではなく、カペラ以外が小さい(ハーデンは大きいか)のでインサイドのミスマッチ利用です。
クリス・ポールもファールトラブル気味になり、この狙いは上手くいくのですが、残念ながらそもそもインサイドでイージーに得点できるのがデュラントしかいなかったので、ゴール下が外れてさ。
それをみてロケッツはカペラ→ネネイにします。ちょっと不思議な交代ですが、生真面目なカペラが追い掛け回すのに比べると、ネネイの方がインサイドを重視する。ほんの少しだけ。
またネネイの方が遥かにオフェンスの能力が高く、パスを出す上手さやシュート力があります。ただカペラの方がゴール下を押し込む能力が極めて高いだけ。
この交代がオフェンス面で効き、ハーデンのドライブに対してドレイモンドがヘルプに行きにくくなり、また何度もオフェンスリバウンドを奪っていくネネイ。そもそもドレイモンドは別にリバウンドが強いわけではなく、ただカペラを完璧にブロックアウトしていました。ネネイに奪われるってのは「リバウンドの前のポジション」でブロックアウトしにくくなっているということ。
そんなにシュートが決まらなかったロケッツですが、セカンドチャンスを手にしたことでリードを13点に広げます。
そこで今度はルーニーが登場し、ドレイモンドと並べることでウォリアーズがインサイドのイニシアチブを奪って優位に立ち、デュラント連発で追い上げます。なお、マッキーニーも登場してなんちゃってビッグラインナップ。
これに対してハーデンとシャンパートが3Pでアンサー。偶然なのか必然なのかわからないけど、それぞれの好対策に対して明確なる結果があるのが面白き展開です。
ただし、最後はハーデンをベンチに座らせると個人が怪しいリバースとチームディフェンスが怪しいシャンパートのところで得点したウォリアーズ。最後に3Pを決めたドレイモンドは偉いけど、マークについていたリバースは愚かでした。
ロケッツが3Pを決めまくった3Qでしたが、結果はウォリアーズが2点盛り返したのでした。91-84とスコアは伸びた。
◉イミフなデュラント
デュラントの3P、ミドル、3Pで逆転になる4Q開始2分。ずるいよデュラントさん。ここまでのやりとりが全く関係ないじゃないか。「マッチアップがああなって、こうなって」を全無視。HCの戦略全無視。駆け引きとか無意味化。ズル過ぎ。
もうタッカーを戻すしかないロケッツ。ついでにハーフコートライン付近なのにダブルチームだって厭わないさ。パスを振ったらイグダラが3P。イグダラはシーズンとプレオフでプレーが違いすぎるのがズルい。
ロケッツはハーデンのドライブからパスを繋いでゴードンが3P。あんたは今シーズン大して働いていなかったし、なんならファーストラウンドだって怪しかったじゃないか。何で相手がウォリアーズになったら決めまくるんだ。ズルいだろ。
ってことで、別にズルくもなんともないトンプソンが3Pを決め、ゴードンが誰もいない(アリーザがいたはず)のコーナーにパスを出し、タッカーはデュラントにタフショットを打たせ、少しずつ平静を取り戻します。
頑張ったのはタッカー。ゴール下でドレイモンドとイグダラに囲まれながら、何度も阻まれながら、最後はバスケットカウント。そういえば、これが1年前に評価を上げた理由だったよね。ちなみに、この時ロケッツはノーセンター。それが良い形であり、代わりにシャンパートでギリギリ保っています。
ゴードンのバックドア、トンプソンのバックドア。お互いがスモールでゴール下に誰もいない状況を利用します。ところが蚊帳の外にいるのはカリー。何も決められず、ディフェンスの穴になり。
カリーにマークされたリバースはハーデンへスクリーンに行き開くと、何故かドフリーに。オフェンスの悪さをディフェンスに引きずっているカリー。そのチームディフェンスだけは上等だったのに。
残り4分でロケッツ4点リードの中、カリーがリバースにオフェンスファール。ファールには見えなかったけど、ちゃんと肘が顔面に入っていました。ちょっと足をひっぱりまくっているカリー。しかし、相棒のトンプソンが3Pを決めて1点差。
◉
トンプソンはさらにハーデンのパスをスティールし、カリーのワンマン速攻に。ところがリバースにブロックを食らうカリー。足引っ張りまくりだけど、これをまたもトンプソンがリバウンドでフォローしてフリースローを貰います。逆転。
ハーデンの見え見えのステップバックはイグダラがブロック。これ本当に酷かった。本当にハーデンかよってレベルの見え見え。見え見えってこと以上に、なんでマッチアップ変更させていないのか。
さきにボーナススローを得たのはロケッツ。嘘くさいトンプソンのファールでクリス・ポールがフリースローを決め逆転。
ウォリアーズはまたもカリーがミスを連発。マッチアップをカペラにしてもレイアップミス。それに対してハーデンのフローターも決まらず。クリス・ポールのパスはドレイモンドがカットし24秒オーバーに。
デュラントvsカペラにすることに成功したウォリアーズ。何度もハンドリングシェイクしてドライブしたデュラントは3人寄ってきたのでイグダラへ。見事に3Pを決めるイグダラ。残り40秒でウォリアーズ2点リード。
しかし、2for1で急いだハーデンに対して、またもカリーがファール。おいおいカリーさんよ。これで同点。
もう一度デュラントもオフバランスのミドルは決まらず。
ロケッツはクリス・ポールがアイソ気味に仕掛けるも非常に中途半端なアタックになり、マークのトンプソンがボールを掴んでジャンプボールに。残り1.5秒。
ボールはロケッツにでるも打ち切れずオーバータイムに。マジでカリーの乱調がなければウォリアーズが勝っていたぞ。シュートが決まらないのは仕方ないけど、ディフェンスがね。あっでもファールトラブルは毎試合の事か。
ロケッツは昨シーズンよりも弱いのは間違いないと思うのですが、ウォリアーズもまた1年前の方が強かった。
◉最後の最後まで
ダントーニは成功していたスモールラインナップではなくカペラをいれます。そしてカペラとタッカーがゴール下で踏ん張ってリバウンドシュートで始まるオーバータイム。
なお、カペラは即交代。ジャンプボール要員だったのか。前日の4OTでハークレスがジャンプボールだから負けまくったブレイザーズとは違うな。
ゴードンが3Pを決めるも、またもイグダラが3P。イグダラさんがいなければロケッツが3連勝していたかもね。
クリス・ポールとカリーがそれぞれファール。カリーは5つ目。この試合に限っては、ファールアウトした方が良い疑惑すらある。
クリス・ポールのアタックはドレイモンドが完璧に止めるも、ヘルプみたいに高速で飛んできたタッカーがボールを貰ってゴール下をねじ込みます。
カリーがドライブでフリーのレイアップになるも、またもミス。ファールアウトしてくれないかな。これで残り1分3点リードのロケッツ。
そしてハーデンはイグダラ相手に、今度は止める方法が皆無のステップバック3P。あぁ完璧だよ。完璧。これが嫌だからオニールは背中を守っていたわけだし、これは最悪許すからイグダラは前を守っているわけだ。
5点リードを守ればよいロケッツですが、デュラントの3Pにリバースがファール。何故、ここでリバースを起用しているんだダントーニ。
しかし、残り26秒でハーデンがドライブフローターを決め、そして緩いディフェンスの中抜けていったカリーがダンクをミスしてロケッツが1勝を返したのでした。
はい。外出するのでまとめです。すべてはカリーです。大乱調のカリーで勝負が決まりました。
FG7/23
3P2/9
FT1/3
フリースローすらも外したカリー。さすがに、この乱調で勝てるほどロケッツは簡単な相手ではありません。指の脱臼があってもシュートを決めていたカリーですが、2日空いたことでバランスの崩れがハッキリしたのか、レイアップすら外すってのは大問題なのでした。
不安視されたハーデンの目ですが、後半になって3Pを次々にヒットし、終わってみれば3P5/13です。お見事ハーデン。
まぁそれでもオーバータイムなので、ちょっと強さの差が見えてしまったような試合でもありました。ならば、複数の手段を用意してアップセット的な戦い方を混ぜる事かな。
今シーズンはあまり好まなかったスモールラインナップを成功させたことは、そんなアップセットに絡んだ気がします。特にタッカーが目立つことになり、それはドレイモンドを困らせます。
カペラなら楽勝とばかりのドレイモンドをどうやって無効化するか。ロケッツが考えなければいけないのはここであり、ダントーニの狙いが成功したゲーム3でした。
KDの獅子奮迅、孤軍奮闘ぶりを見事に台無しにしたカリーでした。決めれば1ポゼッション差、あの緊迫した状況でゴール下のフリー外すわレイアップも試合通して入らない、ドレイモンドのトリプルダブル無敗神話も崩壊、これは大スターのNBA史に残るレベルの戦犯かと。帳尻合わせが次の試合で出来ずにシリーズタイになると今年も泥沼の主力酷使game7ですかねコレは…。とりあえず髭に拍手です👏。
ちょっと気になるのが、ウォリアーズの方が酷使になってきたことです。
そこまで長時間起用する必要があったのかどうか。まぁベンチに期待薄ってのはありますが。
まぁセカンドラウンドのゲーム3なのでNBA史には残らないですが、カリー史には残る悪さでしたね。
今日もグリーンがハーデンの顔を殴っていましたが、GSWのDのやり方とか関係あるんですかね。クリーンなイメージが持てません。
ワンプレーでは関係ないですが、総じてウォリアーズがファールを見逃されがちってのが、助長している問題なのは間違いありません。
レフリーにクレームするシーンの中には「どうみてもファール」みたいなことがありますが、それは彼らが同じプレーをしてもコールされないことが多いからでもあります。
ハーデンが「足元にはいる危険なプレーをしている」と主張しており、ゴベアーは「俺たちはあの守り方を許されなかった」とコメントしていた気がします。見逃すからラフプレーが増えるのは事実でしょうね。
かわりにルーニーがコールされまくるのですが・・・。