2019/03/19 セルティックスvsナゲッツ

アイザイア・トーマスの帰還

ファーストタイムアウトでトリビュートが流れると会場は当然のように総立ち。見上げるマーカス・スマートの顔は、旧き良き時代を懐かしんでいるかのよう。
それは現在のセルティックスが抱えている問題。エースが足りないのでも、リーダーが足りないのでもなく、ただただ得点だけを求められるエースと、それを支えるメンバーたちというチーム構成不足。あの頃のスマートはリーダーだったよね。

一方のナゲッツはマイク・マローンがアイザイア・トーマスをローテーションから外す決断をしたそうで、その理由は個人のプレーではなくチーム戦術の中で「ちょっと違うよ」という意思表示です。なんでもパス数が減ったとか。
実はこれが最近のナゲッツに感じる部分で、パスが増えました。それが好調の要因。

でも、ナゲッツがパスを出すなんて今に始まったことじゃないよね。それを「最近」感じるってのは、質の違いでもあって、以前のナゲッツは美しいボールムーブとオフボールのあわせで成立していました。
その良さは残っているけど、前よりもダイナミックではなくなった。もっとフロア一杯にパスが横断していくイメージだったんだ。

今のナゲッツは、いつぞやのグリズリーズみたいに、しつこいくらいにショートパスを繋ぐことがあります。何度もやり直す嫌らしさは、見方を変えれば思い切りの良いシュートってのが減りました。
パスを繋ぐようになったのではなく、シュートチャンスを待つようになった。だから積極的なアイザイアはちょっと合わないよ。納得性があるストーリー。

ちなみに同じく積極的なトレイ・ライルズはどこかに行ってちしまった。こちらはシュートも外していたけどさ。

まぁそんなことで強さをみせるナゲッツのしつこいオフェンスに対して、ついていくのが億劫なセルティックスディフェンスという構図になってナゲッツが大きくリードします。
でもアイザイアが登場したら、停滞しました。本人のプレーは悪くありませんが、チームはそういうことでした。

にしても、アイザイアを融合させるのではなく、他の選手で事足りるっていうモリスとビーズリーにクレイグっていうナゲッツの層の厚さ。

◉ベンチで上回り

しかし、セルティックスも層の厚さがあります。ベンチから登場したブラウンが得点していき、ロジアーもレイアップで続き、2Q序盤に取り返してしまいます。
プレーオフを考えてか、以前よりもメンバーを混ぜるようになった印象のブラッド・スティーブンスですが、ロジアーとブラウンの扱いに困っているのか、それともベンチ専門にしてチーム力を保ちたいのか。

個の強さで上回って逆転に成功したセカンドユニット。そしてスターターが戻ってくると、再びナゲッツに逆転されます。まぁナゲッツのスターターの強さでもあるから、セカンドユニットの方が強いってわけじゃないけどね。
ただ、ゲーリー・ハリスに張り付かれるとシュートを決められないカイリー。いつかのブラウンみたいなディフェンスだな。

エースが止められたことで停滞したスターター。でもそのディフェンスを振りほどくようなスクリーンムーブってのはない。アイザイアの時はあった。
でもエースが止められても今はテイタムがいるから、そこから始めるオフェンスにしてもいきます。それはアイザイアの時はいなかったし、プレーオフでは若きブラウンがやっていた。

そんな感じで前半はナゲッツが3点リードで終わります。最後も時間がない中で、慌てずに時間いっぱいでバートンがパスを出してヨキッチに打たせましたが、決まらなかったよ。

◉マレーをめぐる攻防

それにしてもヨキッチは上手いよね。シュート上手いのに、そんなに打たないけど、それが上手く回るのだから「カイリーがもっとワガママにやるべき」という意見すら否定してしまうプレースタイル。
厄介なのはvsモリスでもミスマッチ扱いしてしまうフィジカル。いざとなれば、そこから攻めますって感じ。

セルティックスも同じような部分があって、いざとなればマレーから攻めます。それくらい蹂躙されていくマレー。テイタムに振り切られ、カイリーに騙され、スマートに意表をつかれる。
ある意味、セルティックスらしい弱点を狙う攻め方で得点を挙げていきますが、マレーもまたカイリーっぽくって守れないけど得点で取り返します。

マレーに対したスマートがディフェンスで働き始めると、ルーズボール争いも制してセルティックスが逆転した3Q前半。
このままセルティックスペースになりそうだったのですが、前半と違ってアイザイアを使わず、起用するメンバーを絞ったナゲッツは大ケガに繋がるのを避けた戦い方になります。代わりに逆転するような爆発力もなさそうだったけどね。

イマイチなナゲッツオフェンスでしたが、ぎりぎり耐え忍び、最後はドフリーになったテイタムの3Pが決まらず、逆にクレイグの3Pが決まります。
テイタムが決めていれば8点差だったけど、落としたことでトランジションからフリーになったクレイグなので、小さな事が6点の違いをもたらしてしまったのでした。

さらにそれで終わらず、残り1.1秒でロングパスを狙ったらラインを割ってしまいナゲッツがエンドラインからのスローインになると、抜け出したクレイグに渡ってダンクで同点になってしまったのでした。

◉続いたナゲッツ

プラムリー、モリス、ビーズリーとシンプルなギブ&ゴーで崩したナゲッツがリードを奪い返した始まった4Q。上手くいかないブラウンがベンチに下げられると、スマートもまたレイアップを連続ミス。
ナゲッツはやっぱりアイザイアを起用しません。ベンチでホーフォードが決めた3Pに微笑んでいるアイザイア。

それでも離されないセルティックスなので、チャンスは十分にありそうだったのですが、カイリーほかのスターターが戻ってきて状況が変化していきます。狙いたいマレーではなくハリスのチェイスによって、パスを奪われた速攻を食らえば、オフェンスでもフリーになったハリスが3P。

時にディフェンスでボールを奪ってトランジションに持ち出すセルティックスですが、取り切れないシーンが目立ちます。キックアウトすれば思い切りが悪く追いつかれ、スティールしたボールが足に当たってキックボールをコールされ。

気が付いたら10点差。セルティックスファンからすれば、なんだか変な感じの点差です。自分たちの流れだった3Q最後に8点差すらあり得たのに同点にされ、でもナゲッツの時間っぽくなると自分たちにはアンラッキーな形が増え。

10点のリードを得たナゲッツはマレー、ハリス、ヨキッチ中心ながら、とっても時間を使います。一方で急ぐカイリーですが、いまいち周囲が走れていないようなモリスかな。
それでも振り向きざま3Pを決めて残り1分半5点差にしますが、ヨキッチがギリギリのジャンプパスでバートンのゴール下を生み出し、ミルサップの3Pに飛び込んでしまったモリスによって4点プレーが完成し、落ち着いて逃げ切ったナゲッツでした。

◉戦略的に戦おう

ナゲッツ強かったという試合。まぁそれだけだな。気が付いたらゲーリー・ハリスも得点もディフェンスも機能し始めてきました。もともと3&Dのクレイ・トンプソンみたいなキャラです。ヒールドに逆転されてしまいましたが、プレーオフで結果を残せるのか。

マレーは相変わらずのディフェンスでしたが、それを何とかしてしまうチーム力がある不思議さ。あとオフェンスでコーナーに立っていたヨキッチが、味方がシュートを打つと判断した瞬間にディフェンスに戻っていくのが印象的でした。

これでプレーオフを決めたナゲッツ。

間違ってはいけないのは、このチームはケガ人だらけでここまで来たという事。スコアリングリーダーのはずのゲーリー・ハリスが長期離脱し、ディフェンスの中心になったミルサップもまたケガで離脱をしていました。
その間に力をつけてきたモリスやビーズリーが継続して良いプレーを展開し、(エルナンゴメスは出番を失い)アイザイアをローテ外にしても問題ないチームになったのでした。怖い怖い。

あとはプレーオフに向けて勢いと健康を維持するだけ。とはいえ、それが難しいんだ。ナゲッツの快進撃は最後まで続くと信じて、特段の特集を書かないのでした。

セルティックスはアンラッキーな場面も多かったのでしたが、なんだかアイザイアの印象度によって、いろんなことをかき消されてしまったというか、問題に思えてくる試合にもなりました。
ただ、もう戦い方はこれで行くのね。ってのがハッキリしたのかな。気になるのは終盤になってディフェンスが強まったこと。強まり過ぎたこと。

1試合通してやるようなディフェンスではないですが、時に集中力を高めて全員ディフェンスが武器になると良いよね。そこにブラウンとスマートがいるかは重要だと思うのですが、2人が同時に出てくる事って少ない気がする。

前日からラプターズ、バックス、シクサーズ、ピストンズって見てきたわけですが、やっぱりオフェンス面では一番ルールがなさそうなセルティックスです。
ルールがないっていうか、鮮やかなチームプレーがないってことかな。だからこそディフェンスに勝機を見出したいよね。そしてシクサーズなんかが相手ならスローダウンなどを駆使して主導権を握りたいよね。

細かい戦術というよりも、試合を通した戦略の部分がキーになりそうなセルティックス。レギュラーシーズンではたまにしか出てこなかったのを、プレーオフでフル回転できるのかどうか。

わかりやすかったアイザイア時代と比べて、ちょっとわかりにくい現在。FAの話もあるだけに、長いオフは避けたいよね。

カイリー移籍したら、アイザイア獲得するのかな?しないだろうな。

 

2019/03/19 セルティックスvsナゲッツ” への2件のフィードバック

  1. セカンドユニットはヘイワード(今日はいなかった)とブラウンで点を取る形を今は採用してると思います。
    モリスの状態が落ちてるのは気になりますがスタートはある程度はバランスアタックが出来るのかなあと。
    終盤ではエースが働くでしょう、働かなきゃ価値ないぞ。
    あとマレーとカイリー似てるは同意です、違いはエゴが強いか否か。

    1. ブラウンの評価の分かれ所かもしれませんね。個人的にはディフェンスこそ!って感じなので、相手エースがいるときに使いたいのですが、今は得点力の方が重宝されている雰囲気です。

      マレーは終盤に働くかな?

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