2019/01/30 ロケッツvsペリカンズ

アンソニー・デイビスはいないよ。

クリス・ポールが戻ってきたロケッツ。ハーデンの驚異的な活躍に支えられていたチームに、もう一人のPGが加わることは普通に考えればよいことなのですが、ハーデンが1人で延々と繰り返してもスタミナがもっていたことを考えると、それが2人になったからって意味があるかどうか。
少なくともリバースは明らかに出番が減ったので、クリス・ポールのことを嫌いになるかも。えっ!?もう嫌いだって!?

しかし、そんなクリス・ポールの存在はハーデンのアイソレーション万歳だったチームオフェンスに流麗な流れをもたらしてくれます。巧みに周囲を見回したハンドリングを使いながら、コート一杯にパスを回していく事はロケッツのスペーシングを改めて感じさせてくれます。
ちょっとばかりパスを出すのが早すぎる傾向はあるものの、ゴードンとハーデンをシューター的にも使ってくれた上で、ファリードへの素晴らしいパスを通す姿は、ロケッツのオフェンスに変化をもたらしてくれています。ワンパターンだけど、それがどうしようもないハーデンに、パターンが多いけど自分で決めてくれるか微妙なクリス・ポール。
復帰直後ということもあって、バランスが良かったのかもしれません。

クリス・ポールがベンチに下がると、ハーデンパターンばかりになり、ステップバック3Pを打ちながら、ドライブしてのキックアウト。いつも通りのハーデンによって順調に得点を伸ばしていくロケッツ。
2Qになってクリス・ポールの時間になると次々に3Pを打たせていけば、周囲を見回しながら結局はミドルを打って決めるなど好調なクリス・ポールに引っ張られて悠々とリードを得ていきました。自分の得点よりもパスで打たせるわけですが、それが良い循環を生んだのでした。

◉ピンチがチャンスになる

アンソニー・デイビスのトレード要求に関係なく、けが人も多くて悲観的状況のペリカンズですが、トレード要求があっただけで見え方が180度変わってきます。
目立ったのはフランク・ジャクソン。若きガードはロケッツのようにスペーシングされた中でドライブで切り崩していけば、しっかりとキックアウトも出します。
ペリカンズとロケッツのオフェンスって、あまり似ていなかったのに、インサイドトリオがいない事情とロケッツにクリス・ポールが加わった事情で似たようになっているので、ドライブ&キックアウト3Pの連発の試合。

それはもちろんロケッツの方がタレント力で上回っているわけですが、主役がホリデーしかいないチームは、代わりにロケッツよりもハンドオフとスクリーンを使いながら崩しの段階に工夫が多くあります。
そしてアンソニー・デイビスの代役に過ぎなかったオカフォーも違う意味を持ち始めます。だって、ここで結果を残せば来シーズンまでの契約だけでなくスターターの座すら手に入るかもしれません。頑張ることに違いはないけど、頑張った先にあるものは違うよね。

またスペーシングされているオフェンスではオカフォーのポストムーブは効果的でした。それだけならアンソニー・デイビスをも上回るよね。
なお、マッチアップはファリード。どちらもネッツでチャンスをつかめなかったわけですが、オカフォーにはファリードのような情熱的なハッスルプレーが、ファリードにはオカフォーのようなテクニックが足りなかったよね。両方を求めるチームは要求が厳しい。

そんなわけでロケッツが好調なオフェンスで二桁リードも奪った前半でしたが、ペリカンズもオフェンス面で奪い返す集中力があり、大エースがいないならいないで、違う意味で結果を求める若手を中心に反撃して、66-59と意外と離されずに終わりました。
ペイント内得点が32点もあったペリカンズ。上手くドライブとオカフォーで攻略したのでした。

◉スキルで上回るオカフォー

後半も何度もリバウンドを取り直してファリードが決めれば、あっさり合わせたオカフォーが取り返してお互いがインサイドで得点していきます。ファリードはさらにミスしてもクリス・ポールが押し込んでくれるのですが、ダンクもミスするなどイージーシュートを落としてしまいます。
ペリカンズの方はスペーシングしているオカフォーではなく、周囲の選手がドライブし、そしてキックアウトをダリウス・ミラーが決めて点差が縮まっていきます。

ハーデンとホリデーが3Pを決めあうと段々とお互いのディフェンスが締まっていきます。ボールムーブには遅れてしまうけど、オフェンスのやり方には慣れてきた感じで、ハンドチェックでボールを止めるシーンが増えていきます。
インサイドアタックに対しては収縮が早くなり3Pばかり気にしている場合ではないという認識が出来ていそう。特にペリカンズは複数で止めに行くし、ちょっとでもファンブルすれば後ろから狙います。

そんな中でボールを貰うと一発でシュートに行くオカフォーで継続してインサイドも使えているペリカンズ。さらに囲まれたオカフォーが走りこんだウィリアムスに合わせて逆転に成功します。
ちょっと決まらないハーデンもあって、得点が伸びなかったロケッツ。3Q最後に出てきたクリス・ポールとファリードの見事な連携があったけど、フレイジャーに同じような形で返されてしまい、94-91と一気に逆転に成功したペリカンズでした。

◉キックアウトが決まらない

この試合はクリス・ポールの復帰であまり目立たないゴードンですが、悪い意味で目立っていたのがファールの多さ。それってスペーシングされている中でフェイクに引っかかるとファールさせられてしまう・・・つまり、いつも自分たちがやっていることを返されてしまい、4Q1分で5ファールになります。
すると出てきたハーデン。人数が増えても信頼する選手ばかり使うダントー二。ハーデンの登場に合わせてホリデーを出してくるアルビン・ジェントリー。

試合開始直後は出番が短そうだったリバースですが、ちゃんと30分もプレーし、この場面で3Pを決めますが、クラークがコーナーから返してペリカンズがリードを保ちます。
そうなってくるとロケッツは通常パターンに戻します。ハーデン、ハーデン、ハーデン。エースのアイソレーションからすべてが始まるパターンに戻して、わかりやすさを優先します。

しかし、インサイドを手厚く守るペリカンズのディフェンスに手を焼くロケッツ。ロケッツじゃないくてハーデンズ。
ボールを奪ったフレイジャーがコーストtoコーストでレイアップ&ワンになり、残り7分で8点リードにします。

徹底して左サイドを守ってくるダリウス・ミラーに臆することなく3Pを決めるハーデンですが、強気で打ってもなかなか連発にならず、キックアウトしても決まらず、本日はラッシュの時間が作れません。
落ちたシュートがルーズボールになって争うと、運悪くフレイジャーに渡ってしまい、速攻でオカフォーのダンクとツキもあるペリカンズ。効率は悪いけど、ハッスルが目立っているフレイジャーを長く使っています。ハーデンを追い込んでディフェンスでも貢献しているよ。

コートサイドでバイクをこいでいたクリス・ポールが戻ってきたのは、残り4分半。プレータイム制限があるのだろうけど、ちょっと休む時間が長すぎたような。ホリデーのレイアップで10点差。
ちなみにクリス・ポールと交代したのはリバース。しかし30秒後にリバースはファリードと交代でコートに戻ります。オカフォーはタッカーで止められるから、スモールというか3Pを重視した形です。

オカフォーのことは止めるけど、間に入ってきたフレイジャーにファールしてしまい、崩されはしないけど得点をそこそことられるロケッツ。それなのにキックアウトしての3Pが決まらないので、結局はハーデンが個人技でドライブに3Pと1人でやるパターンです。
4Qはゴードン&タッカーで6本打って全て外してしまい、追いかける空気になりません。落ちてもタッカーとエニスが拾いまくって打ちまくって、でも決まらなかったので作戦ミスとは言い難かったロケッツ。終盤に存在感がなかったクリス・ポールと共に、まさかのペリカンズに敗れたのでした。

56本の3Pを打ったロケッツ19本を決めたから悪かったとは言い難かったのですが、肝心の勝負所で決まらなかったのでした。
その前提にあったのは2P21/55と抑えられたこと。ロケッツの本領は3Pは33%くらいでも2P60%くらい決まるのとフリースローだよね。

そのフリースローが24本に終わり、ファールを避けていたペリカンズ。試合を通してハーデンへのファールをしないように考えていました。ベーシックだけど、意外と出来ないやつ。まぁハーデンは10本打っているし。37点のハーデンは、もはやこれでは多いのか少ないのかわからな。

ロケッツ目線でいえば結局は元に戻ってきました。

「守れない」

今シーズン最大の問題はやっぱり解決せず、それもビッグマン3人が不在のペリカンズ相手にも守れなかったんだ。サイズのない選手を使いすぎだと思います。カペラがいない中でファリードが頑張っているけど、このメンバーではやっぱりカペラのようなリムプロテクターが欲しかったね。

〇ジャリル・オカフォー
27点 FG11/15
12リバウンド

シーズンはまだ半分残っています。全員が売りに出た中で、このスタッツを継続することが出来れば、ペリカンズ再建の中核にすらなり得るオカフォー。この3日間で大きく見え方が変わってきたのでした。ペイトンがいればね。

〇ジュルー・ホリデー
6ブロック

守れたのはペリメーターで1人で対応していたホリデーを忘れられないね。売りに出ている話がないように、ホリデーに合わせた選手を補強するか、もしくはホリデーがいる間に若手たちを指名して鍛えるか。

このメンバーで勝ててしまうのだからペリカンズだって戦えるのさ。サンダー戦も割と良かったしね。だけど、それはアンソニー・デイビスを活かせていたのか疑惑もあがってきてしまうのでした。
多分、ペリカンズはビッグマンを複数並べるよりも、こういう布陣にアンソニー・デイビスの方がよかったんだろうね。そこまで読み切るのは流石に難しかったと思うけど。

ロケッツは試合をみると、スパーズと成績が同じくらいなのはちょっと信じられないんだよね。ハーデン様様。様様様。

2019/01/30 ロケッツvsペリカンズ” への6件のフィードバック

  1. こういう負け方を見るとハウスがいてたらなあと思ってしまいます。
    エニスも今日は割とよかったですが
    ちょっと波があるし
    ハウスやかつてのアリーザのように
    チームを活性化させるような感じでは
    ないんだよなあ⋯

    1. それは思いましたね。ハウスがいないというか、出し渋って契約断られてしまい、迷走するモーローです。

  2. カズンズみたいな得点・アシスト・デフェンスもマルチにできる能力の高いビックマンがあってのADとのツインタワーが脅威だと改めて感じました。それくらい能力がないと今の3pゲームには対応しきれないのかなーと・・
    王、飛車、角抜きでアウェイのロケッツに勝つとは、バランスは大事ですね(笑)
    Fジャクソン、オカファーも最近はプレイタイムが増えてきてこれからの成長を期待したいです。
    この試合見ると、ADのトレード内容次第では新生ペリカンも楽しめそうです。

    1. トレードをマイナスに捉えるのではなく、上手く作り変えるのも大切ですね。最近は良い選手だけど、プレータイムがない選手も多いですし。
      とはいえ、核がないと意味がないので、それを狙うのか、それともドラフト指名権で自分たちで探すのかってのが判断の分かれるところです。

  3. なんでクラークをもうちょっと使わないんですかね。フレイジャーより良いと思うのですが・・・

  4. インサイドのツインタワーではなく、スペーシングを意識してペイントはオカフォーの一人にやらせるなら、やはりレイカーズとADをトレードしてPFにクズマが最適では?(笑)

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