2018/12/26 ロケッツvsサンダー

2年連続のクリスマスゲーム

◉お互いの非日常

手の内がバレバレな両チーム。1Qはそれぞれの事情が交錯していきます。

ロケッツといえばアイソレーション。クリス・ポール不在により、ハーデンやゴードンのみという時間が多くなります。1Qは徹底的にハーデン。それはしっかりと得点になっていきましたが、内容的にはそんなに簡単ではなかった。

アイソレーションの基本は弱い相手との勝負にすること。マークマンのポール・ジョージと勝負するなんて意味がない。というわけで相手をファーガソンにしますが、見事に止められます。
さらにファーガソンのいない時間にウエストブルック相手にするとブロックを食らいます。全体的にはそこそこ抜いてレイアップのシーンが出てきましたが、1on1はあまり効率的ではなく、1Qラストにパターソン相手にステップバック3P決めたシーンくらいでした。

得意のハーデンがどこまで通用するのか、それが後半に勝負を分けそうな雰囲気。ハーデンは得点したけど、サンダーとしてもディフェンスの手応えがある1Qでした。

サンダーのオフェンスは相変わらず。相変わらずというか、ロケッツが攻略されている理由は「絶対にスイッチしてくれる」という安心感から各チームが自分達のやりたいことを表現しやすくなっていること。でも、サンダーにはそんな相手の事情を考慮したオフェンスはありません。それはまぁいつも通り。

シュートが決まらない理由の1つが、そんな感じで「マッチアップ変更を促して行く中で生まれるフリーの選手に打たせる」発想が低いこと。ストロングスタイルのサンダー。マッチアップ通りに攻め込んでいきますが、この試合もシュートは大して決まりません。

それでもサンダーが強い理由はオフェンスリバウンド。もといスティーブン・アダムス。ミスショットを拾ってくれるセンターによって成立するオフェンスですが、本日の相手はカペラということで見事に封殺されてしまいます。カペラは自分で取らないときにしっかりとブロックアウトするから、アダムスにポジション取りさせません。

これがスイッチを促すようなオフェンスをしていれば、マークがカペラではなくなるのでロケッツの弱点であるインサイドを攻略し、シュートが外れてもアダムスがとれるのですが、残念ながらストロングスタイル。上手く行きません。

しかし、それはカペラからしても似たような部分があります。スパーズ戦はほぼカペラのインサイドの強さで勝ったようなロケッツですが、サンダーが相手だとリバウンドやルーズボールの反応速度で負けてしまい、かつカペラはアダムスにブロックアウトされます。

ハーデンがドライブで抜けてくるとアダムスを引き出せるので、シュートが外れてもカペラが押し込んでくれますが、3Pに対してはほぼ無力になってしまうので、ハーデンのアイソレーションがそこそこ止められている中では得点が伸びないのでした。

ちなみにスパーズはロケッツに対して、あまり密着しないで守り、3Pを打たせていきました。打たせる代わりにフリーの機会を減らし、尚且つ常に全員が内側のポジションを取れるようにすることでリバウンドで勝つ作戦でしたが、見事に1人でゴール下にいるカペラにやられましたとさ。

そんなカペラとアダムスの対決はカペラが上回る様相でしたが、1つ違ったのはアダムスのポストプレーが非常に効果的に決まったこと。パスアウトしてのファーガソン3P、振り向いての左手フローターとカペラが止めきれなくなります。

ローテーションの時間になってネネが出てくると、フィジカルでインサイドへの侵入を止めフックはエアボールに。さらにハーデンは身体をいれかえて見事にスティールと止めていきます。
ところが今度はインサイドの部分で弱くなってしまいウエストブルックのオフェンスリバウンドが出てくるなど、カペラ不在が響いてしまったロケッツ。

そんな感じで1Qは22-22とお互いの得意のポイントを止められてしまい、ロースコアで終わるのでした。ロケッツはターンオーバーが非常に多い。それもファールが多いのはフィジカルなディフェンスを嫌がっているのかな。

◉オフェンス

サンダーが全員ベンチメンバーの2Q序盤は様相が変化します。ゴードンがドライブでねじ込み、リバースのシュートミスをカペラが押し込み、グリーンは3P&ワン。サンダーのディフェンスはロケッツを止めきれなくなってしまうのでした。

相変わらずブロックで出るのですが、ディフェンスリバウンドを1回で取り切れず、ドライブを個人で止めきれないからヘルプの形を崩される。ここで負けると機能しなくなるストロングスタイル

しかし、ロケッツのディフェンスも機能しない。シュルーダーがリバースを狙ってスピードでレイアップ。直接マッチアップで勝てるポイントを利用します。さらにディアロがプットバックダンクに、ドライブレイアップとこちらもマークのハウスを上回ります。

それにしてもパターソンは悪化していないか。こんな選手じゃなかっただろうに。3P決まらないパターソンなんて・・・。


そんなわけで突然のオフェンス合戦になり、段々スターターが戻ってきます。ハーデンに対してノエルでは止められないし、ウエストブルックが戻るとリバウンドやスティールの反応の早さでロケッツのチャンスは減るし。ディフェンスが強まっていくようないかないような。

珍しく3Pが決まるウエストブルックが、ハードコンタクトされながらのレイアップ&ワンを決めた分だけサンダーがリードします。さらにポール・ジョージがハーデンのドリブルに触ると反応が早かったシュールーダーが奪って速攻。
しかし、珍しくハウスの崩しからカペラのハンマーダンクと大きなリードでなく、ウエストブルックのトランジションもハーデンがコースを読み切ったスティール。どっちも乗れそうな時にディフェンスに止められてしまいます。


ハーデンが望むのはvsグラント。アダムスではないらしい。1Qに唯一ファールしてくれたこともあって組みやすいという考え方。このミドルが成功したところでサンダーがタイムアウト。しかし、止まらないハーデンは3P。
ウエストブルックが狙うのはアダムスのショートレンジ。周囲の足が止まり完全に自分で行く雰囲気にするのに、パスを選んではアダムスが決めていきます。シュールーダーのドライブもあって、こちらも止まらない。

お互いのエースがとった選択肢は後半への布石的な部分も感じます。同じ事をやり続けるわけにはいかないのと、今のうちに相手の考えと違う事を混ぜておきたいのと。

ポール・ジョージのサイドステップ3P、ウエストブルックを止めきれないロケッツのファールと続いて、サンダーが二桁リードを奪います。ハーデンがフローターや3Pで返すけど、サンダーの方がやれることが多い分だけ、オフェンス力で上回った感じ。
前半で23点のハーデンだけど、基本的にハーデンの1on1を受けて立つサンダーなので、個人は得点するけど、チームとしての展開には繋がらなかったロケッツ。ウエストブルックのシュート率なんてそこそこだけど、アシストでチーム全員が打っていく分だけ止めにくかったねと。まぁ後半への布石としては互角じゃないかな。

◉ハーデンの守り方

やることがなくなって自分で打つ選択をしてはシュートが決まらないウエストブルックという形が連続する後半のスタート。わかりやすく打たせるハーデン。打たせるのか守りたくないのか。ただ、サンダーはカペラを外に引き出し始めます。そうしてアダムスを狙っていくけど、ファールやミスで得点にはならない。
さらにそれをやるからグラントが連続オフェンスリバウンドだけど、シュートは決まらない。

その間にハウスとタッカーにコーナー3Pを決められて追いつかれるのでした。ストロングスタイルじゃなくて、しっかりと崩したら得点出来なくなってしまった。ウケる。タイムアウトから思い切って打つことにしたウエストブルックだけど、やっぱり決まらない。パスアウトしたらカットされる。
ハーデンがやっぱりグラントを選んでのドライブで同点になります。グラントはゴードン相手のポストアップでやり返したけど、ゴードンには3P決め返された。

ハーデンがファーガソン相手にドライブからファールをもらいます。この時のファーガソンの守り方がウエストブルック式だったのだけど、ハーデンの左側にベッタリと張り付いてドライブは好きにやらせるけど、3Pを打たせないし方向を絞っているので、ヘルプも準備されていれば追いかけやすくもしています。
が、この守り方って全然流行しない。ウエストブルックだから出来る守り方みたい。後ろから追いかけても止めてしまう運動能力と周囲が特殊なディフェンスに付き合ってあげる信頼が必要なのかな。

カペラのダンクをグラントがブロックしますが、ポール・ジョージのミスパスで速攻のタッカー。お互いに延々と譲らない感じ。ハーデンは3Pで7試合連続の30点オーバー。ハーデンのドライブをスティールし、ポール・ジョージが3Pで返して同点。

タイムアウトで「気合いだ、気合いだ、気合いだ」みたいなことを指示するビリー・ドノバン。(もちろん内容は全く違います。とにかく頑張り続けろ、走り続けろみたいな)
その通り、普通のディフェンスリバウンドから速攻連発にしてしまうウエストブルック。理不尽速攻。そこにポール・ジョージのちょっと変わったステップバック3Pでリードを得ます。

それをネネへの鮮やかなパスで反撃するハーデン。ただし、それは完全なる個人技パターン。前半苦しかった奴ですが、守り方を間違えたシュルーダーがファールをしてしまいミドル&ワンに。これをやられたら勝てない。
ハーデン相手のディフェンスでNBA全体の共通認識としてやってはいけない守り方なのに、やってしまうのがシュルーダーらしいというか、なんというか・・・。

珍しいタッカーの連続フローターに、またもハーデンにファールしたシュルーダー。そしてハーデンのステップバック3Pでやっぱり接戦は終わらず、サンダー2点リードで終わる3Qでした。ほぼほぼハーデンのロケッツは苦しいんだけどね。それでも対抗してしまうハーデンの恐ろしさと、そんなハーデンへの対抗策が甘いサンダー。

ウィンターカップみてきたけど、さすがにロケッツみたいなチームはなくても、ハーデン並みにエースがやるチームは増えたよね。

◉打つべきか、打たざるべきか

2Q同様にサンダーのベンチメンバーは守れません。これでもかっってくらいにゴードンに簡単に抜かれます。いや、さすがにここまで抜かれるのはマズいって。1on1で守るのが基本のチームなのにパスフェイクに引っかかって抜かれるとか何なのか。抜かれた代わりに3Pを決めたファーガソンもいて同点でウエストブルックが戻り、早速ミドルを外します。

サンダーは機能していないネイダーを起用するのは何でかと思ったら、パターソンを使いたくない様子。前半の出来からすると当然か。ウエストブルックのパスからディアロになりファールを貰うけどフリースロー2本とも外し、戻ってきたハーデンからカペラのダンクを連発。ロケッツがリードします。

サンダーはしっかりとシュートチャンスを作りますが、例によってシュートが全く決まらなくなります。ドライブを嫌っているロケッツディフェンスの狙いが成功している形。オフェンスリバウンドをとるけど決めきれない。逆にゴードンがレイアップを決めて7点リードになり盛り上がる会場。

カペラがクリスマスゲームとしてのレコードとなる22リバウンドだけど、それってサンダーが外しまくっているからのような。

3分間得点のなかったサンダーはシュルーダーからグラントでやっと得点。ポール・ジョージの3Pが外れるもアダムス&ウエストブルックのリバウンドで何とか繋ぐと、今度はポール・ジョージからアダムス。ウエストブルックを絡めない方が上手く行きます。つまりそこはロケッツディフェンスに狙われているってことだ。

ハーデンはアダムス相手に3Pを外すもこぼれ球が回ってきてリバースが3P。それにグラントが3Pで返し、なんとかついていくサンダーとハーデンのミドルが外れ、さらにアダムスのポストにグラントが合わせて離しきれないロケッツ。残り2分半

コーナーでフリーで待っていたグラントを信じられなかったのか、強引に突っ込んだポール・ジョージのチャージングで7点差となり追い込まれるサンダーですが、ハーデンの3Pが外れるとまたディフェンスリバウンドから走り出してポール・ジョージの3Pにしたウエストブルック。時間がないときに走れてしまう。

ポール・ジョージはハーデンからスティールし、逆にハーデンからファールを貰ってフリースロー。怒るダントーニ。というか、ダントーニに落ち着きがなくなったよね。残り44秒2点差。

シュルーダーがスティールしたつもりがファールに。抑えていたのはリバースなのに。これで時間を使ってアーデンがフローターで41点目。残り20秒4点差となり、シュートを決めてもファールゲームしかない状態まで持って行ったハーデンでした。

見事に互角だったのを、後半のウエストブルックのオフェンスパターンの少なさが響きました。じゃあなんでパターンが少なかったかというと、インサイドへの警戒を強めたロケッツのディフェンスにハマった感じ。強気に3Pを打つべきだったかもしれませんが、それだけでなくチームとしてもスペーシング出来ていなかった。
ドライブそのものが止められていたというよりも、インサイドが狭すぎたサンダー。アブリーネスがいないのが響いたかな。加えてパターソンが決まらないから、どうにも出来ないね。結局はシューティング問題に戻りそうなサンダー。

前半は結構止められていたハーデンでしたが、後半は狙いをシュルーダーにしたことでフィジカルでも楽に攻めれるように。まぁ要するにドノバンの失敗だし、でもシュルーダーじゃなくて誰を起用するのかっていうといないよね。
ロバーソン、アブリーネス、カバローと3人いなかったのが響いたって感じです。でもロケッツにはクリス・ポールいないじゃないか。

クリス・ポールの不在は一般的には大きいのですが、ストロングスタイルすぎたサンダー相手だとハーデンとゴードンが交代交代で1on1していても、特に問題なかったという感じ。これにカペラとタッカーを合わせた4人でバスケしていたようなロケッツでした。

〇FG
ハーデン 15/35
ウエストブルック 6/20

何が良いのかはわからないけど、実はウエストブルックがもっと打っても良かったのかもね。もちろん、もっと打って決める前提の話ですが、積極的に打たなかったことで、終盤に響いてしまった。
なんせこの確率なのにウエストブルックがプレーしているときの得失点差が両チームで1番良い+6点なんだ。シュート以外の部分で上回ることが大切なサンダーと、ハーデンのシュートで上回ることが大切なロケッツでしたよ。

2018/12/26 ロケッツvsサンダー” への6件のフィードバック

  1. リバースは結局ロケッツにおさまったわけですがwhy notさんはどう思いますか?

    1. リバースならMCWの方が守れるし、必要なプレーをしてくれるはず。ナイトに期待するならプレー機会を奪うべきじゃないし、そこじゃないだろう感満載です。

  2. パターソンの不調が深刻過ぎて困ってます…。

    あとは、ラス君がペリカンズ戦でケガしてから、本調子じゃないように見えます。

    セカンドでつなげないのと、ラス君の不調が続くと、プレーオフ出れない気がして恐いです…。

    パターソンには頑張ってもらいたいのですが、セカンドユニットがつなげないのは、どうすれば良いですかね?

    タレントは悪くないと思うので、やはりコーチ陣の問題なのか…?

    あとは、ラス君シュートタッチ戻して(泣)

    1. セカンドは何であぁなるのかというと、フェルトンがパスで組み立てられない問題でした。そこがシュルーダーでマシになりましたが、最近は上手くノエルを使えてません。
      スペーシング問題は1つにはアブリーネスやファーガソン、パターソンにカバローがどれだけ決める事が出来るのか。やっぱりパターソンが決まれば

  3. 最近のジョージの活躍を喜んでいるOKCファンです。私としてはMVP は、激戦を勝ち抜いたウエスト1位のエースにとって欲しいと思っているのですが、もしサンダーが1位になりポールジョージがこのままの活躍で平均28点8リバウンドをとった場合MVP になれると思いますか?派手さはないのですが攻守にラス並みの活躍を毎試合しているので少し期待しています。

    1. うーん、その場合の対抗馬はウエストブルック になってしまい。票がわかれて第三者って可能性も高いような。
      試合を決めるシュートをどれだけ決めるかも大切ですね。

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