怖くないスマートオフェンスのジャズ

ジャズのオフェンスはとってもスマート。しかし、全く怖くない。

ジャズのオフェンスは美しい。いくつかの問題はあれど、その根本にあるシステム的な部分には何も変更点はない。でも、肝心要のドノバン・ミッチェルが破壊しないからストーリー仕立てかというと、それもちょっと違う。ストーリーじゃなければ上手く行かないこともあるんだ。

ユタ・ジャズ ~ストーリー仕立てのオフェンス~

◉最後はミッチェル

 

今シーズン上手く行っていないのがこの部分。後半になって得点を伸ばすのは従来通りなのですが、4Qのフィニッシュが上手く行っていません。

〇Q別の得点

1Q 4.0 FG35%

2Q 5.3 FG47%

3Q 6.6 FG52%

4Q 5.4 FG38%

昨シーズンは4QにFG46%で6.4点だったので、ちょっと本気を出すのが早い印象。ただ3Qの成績が良いことからも4Qさえ復活してくれれば計算の範囲内です。管理人的には全Qで1点ずつ伸ばせよって感じですが、4Qは2点伸ばせ。

結構な期待外れのプレーをしているミッチェル。クイン・スナイダーHCも「もっとワガママにやるのが仕事」と発言しており、スマートにプレーしようとしているのがマイナスに働いています。1年目からスーパーエースだったように少し悩みながら調整していくことになるのでしょう。その部分は良いのだけど、今シーズン気になるのは特徴的なプレーが極端に減ったこと。

管理人がドノバン・ミッチェルで凄いと思った点は

・縦への推進力にジャンプの速度

・体幹がぶれないフィジカル

・上半身の柔軟性

前者2つを持つのはウエストブルック、だけど最後の柔軟性を同時に発揮出来る選手というのが他に想像がつきません。ひょっとしたらマイケル・ジョーダンなのかもしれないけど、こんなに柔軟では無いと思う。それは単なる時代の違いかもしれないけど。

要するに身体全体に力を入れてパワー系とスピード系のプレーを同時に発揮しながら、脱力して柔軟に動いてしまうというのが変態なんだ。あの柔らかなレイアップは単体では他に打てる選手はいますが、その前の突破力にジャンプ力を含めてしまうとドノバン・ミッチェルしか打てない。

と、絶賛な訳ですが正直、今シーズンは1回も3つを同時に発動するシーンをみていない。惚れ惚れするようなハイライトプレーだったのに、レジェンドクラスの卵だったのが今は普通のスター候補って感じ。最近は少しワガママにプレーするように変化したようですが、得点をとっているだけで「ディフェンスを破壊」はしてくれていない。シュートが決まらない割には破壊しまくっているウエストブルックじゃないけど、やっぱりどこかでディフェンスの狙いをぶっ壊してくれる選手がいることが大きなアドバンテージになります。

 

関係ないですが、有能な若手が沸いて出てくるようになりましたが、エースの座を与えられた選手ってレアだよね。シクサーズもバトラー加わってアレだし。逆にバトラーいなくなってもローズ頼みにされているし。ナゲッツが上手く行った理由は若手中心が明確だったことで、キングスやブルズもそれに乗ろうとしている。やっぱり目先の勝利を追い求めるだけでは、中期的なチームは作れないのだろうな。えっサンズ?うん、まぁ、ね。

あとはセカンドユニットのエースにアヌノビーをもってきたラプターズ式は興味深い。エースの卵はベンチでエースとして扱うことで成長しています。若手有望株がとっても若いからその方法論はありだよね。同じ立場のホーネッツのモンクはもっともっと頑張れ。ペイサーズのホリデーはその座を掴みかけている。

 

◉オープンサイドを作る

ドノバン・ミッチェルが最後に決めるのがストーリーですが、その前段階ではオープンサイドを作ることが重要です。つまりスペーシングをしっかりしておこうというのがジャズ路線。そのために3Q終盤から4Q前半にかけて

「インサイドが1枚で機動力があり、アウトサイドから狙っていくスモールラインナップ」

を好むのが昨シーズンの特徴でした。今シーズンも似た形ですが、ちょっと違うのはエクサムとバークスを中心とした形になっていること。文字で書くと同じなのですが、オープンな選手を利用しているわけでもない。普通に攻めています。プレーオフはミッチェル&フェイバーズに任せて周囲はスペーシングが基本でしたが今は普通のオフェンスです。ストーリー仕立てではないってことです。

といっても、ジャズのやる事は変わらない。フロアを広く使うことを強く意識させてインサイドを空けさせるのがメインです。空けてしまえばフェイバーズのタイミング良い合わせが連発されます。

〇フェイバーズ

10.8点 FG58%

今シーズンもフェイバーズは安定の活躍。少し平均得点を落としましたが、それはプレータイム減によるもの。オフェンスリバウンド3.1と短い時間にしっかりと稼いでいます。ディフェンス面の貢献も前回触れたとおりなので非常に良い出来です。

つまりミッチェルを中心として多少の問題はあれど、概ねジャズのオフェンスとしてはインサイドを攻略する観点では昨シーズンと大差ありません。それどころか、全シュートのうちゴール下で打つ割合は高くなっています。

〇ノーチャージエリア内の割合

昨シーズン32% 2190/6797 

今シーズン38% 661/1752 

6%も増えたノーチャージエリア内のアテンプト割合はスマートプレーが今シーズンも健在であり、上手くゴベアーに合わせていることがわかります。確率も64%を維持できており、インサイドの攻略面ではミッチェルの不調を差し引いても改善しているのでした。問題はアウトサイドにあるわけです。

 

3P 31.9%(29位)

左コーナー 34.4%(25位)

右コーナー 30.0%(25位)

その他 32.2%(25位)

昨シーズン36.6%だったチームはウソのように決まりません。それもどこから打っても決まりません。オープンサイドを作るためにコーナーへのキックアウトを頻繁にするジャズオフェンスは、そのオートマティックな動きが美しいのですが、あまりにも決まらない3Pだからキックアウトされても怖くない。なお、30位はもちろんサンダー。

 

特に問題なのはクラウダー。なんせチームで2番目に多く3Pを打つのに全く決まらない。ミッチェルがエースとして打つのとは意味が違うクラウダーの3Pはハッキリ言ってウエストブルックよりも遙かにタチが悪い。

〇クラウダーの3P

左コーナー 31.3%

右コーナー 25.0%

その他 29.3%

まずチームで最もアテンプトが多いコーナー3Pはキックアウトパスを受けているのに決まらないわけだから、クラウダーをそこに配置するのも悪い。だけど、実はその他の3Pもアテンプトが4.7本ありシュートチョイスも悪いんだ。

コーナー3Pシューターの不在

これが大問題のジャズ。そこにクラウダーがいるからダメ。オープンでも30%を割る確率はチームオフェンスの弱点になっています。そしてクラウダーのアテンプトが多い理由は「困ったらクラウダーを空ければ良い」と対戦相手が知っているから。打たされているクラウダー。決まらないクラウダー。ロバーソンとトレードしようぜ。

やはり昨シーズンに両コーナーから50%以上決めていたジェレブコの放出が悪い方向に進んでいます。代役のニヤングは活躍しているけど、コーナーからのアテンプトが少なくオープンサイドを作ることに貢献できていません。代わりにルビオが増えているけど意味がない。というわけで、実はジャズオフェンスの最大の問題はコーナー3P。あまりに決まらないのでオフェンス全体の効率性を著しく落としています。

ここでジャズのシューティングについて昨シーズンのチャートと比較してみましょう。

なんだか見事にリーグ平均の確率だったジャズのシューティング。得意な位置もないけど、苦手な位置もない。これでリーグ平均的なオフェンス力を発揮していました。そのまま。逆にいえば相手からするとどこもフリーにすることが出来ない。

これが今シーズンになるとわかりやすくダメになります。

コーナーだけでなくトップの位置からも決まらず、悩みが深いぞ。

そもそもこの3P問題はルビオ、エクサム、バークス、クラウダーを主力として抱える以上は考えておくべき問題でした。イングルス1人に頼り切る形が機能するはずがない。シューターの補強というのは考えるべき案件だったのに、それよりも強固だったディフェンス面の継続を優先したわけですが、ゴベアー中心に問題が発生中。だからまぁディフェンスが悪い方が問題ってことです。

もしもトレードに動けるのであれば、早々に保管したいのが3&Dです。コーバーは真っ先に候補に挙げられますが対価を払ってまで欲しくないでしょうから却下。噂になっているのはアンソニー・トリバーがバイアウトになること。これはインサイドの補強にもなるので欲しい。マシューズも良いかもしれない。あと2WAY契約しているカバナーがコーナー3Pバシバシ決めることを期待するしかないか。

いずれにしても3Pは大問題。特にクラウダー、オニール、ニヤング、セフォローシャ、バークスあたりがコーナーから45%くらい決めてくれないとオフェンスが復活しません。その確率はどう考えてもゴベアーが働けば復活しそうなディフェンスよりも可能性が低い。

 

◉理想だった昨シーズン

昨シーズン書いたストーリー仕立ての内容はこんな感じ。試合を通して順番に発生していく流れ

➀試合開始後はゴベールのスクリーンを使ってイングルスに決めさせる

➁空いてくるスペースでルビオのドライブとゴベールの高さを使う

➂マークが分散した所でミッチェルが単独勝負する

④ミッチェルに寄ってくるのでキックアウト3Pを使う

⑤3Pで広げたのでフェイバーズが広いインサイドで決める

⑥インサイドに収縮するので3Pシューター達を使う

⑦スペースが広くなるのでミッチェル勝負で勝つ

どうしても目立つのは➂と⑦が上手く行っていないことですが、実はそれよりも➁、④、⑥が機能していないことの方が問題です。どちらもお膳立てになる段階なのですが、そこが怖くないから⑤と⑦が怖くない。

 

➀は及第点。もちろん決まらないときもあるけどイングルスは大丈夫

➁はルビオのレイアップが49%しか決まっていない問題

➂はギリギリ。でもドライブで切り崩せてはいない。

④は決まらない3Pで最大の課題

⑤はOK。インサイドは使えている。

⑥はダメ

⑦は物足りない

ついでに言うと➂は「正しい選択」をしたがるミッチェルが突破よりも綺麗に打とうとし過ぎている印象。⑦はどっちでも良いからシュート決めてくれれば済むのだけど、➂の方はミッチェルが3P決めても意味がない。ディフェンスを破壊して欲しいわけだ。そのうち、ドノバン・ミッチェル回はやるよ。

インサイドアタックとコーナー3P。インサイドの方はチームで攻める事は出来ています。3Pで広げることが出来ていない。スモールラインナップにしてメリットを全く享受出来ていない雰囲気なのがジャズの大きな問題です。

いくつかの問題はしっかりと3P決める事で解決しそうなので、まずはそこからって感じです。なんだけど、メンバー的に改善するのかいな。

 

「ルビオのゲームメイクが悪い」

そう書いたわけですが、実際にルビオの善し悪しは置いといて、こんな感じで美しく流れるようなオフェンスにして、試合を通しての変化が楽しめたジャズの姿は今は昔。チームとして試合の中で流れを作ることが出来ていません。一応、スナイダーとしては選手交代をして流れを作るし、イングルスの役割を強くすることでカバーしている一面もあるのですが、ストーリー仕立てにしたいなら、ある程度固定化したローテーションである必要が。ところがディフェンスの問題もあるから簡単ではありません。

だからやっぱり、初めにディフェンスが改善しないとオフェンス面にまで波及させることが難しい

エクサムやバークスがベンチからもっと活躍して欲しいとか、グレイソン・アレンを成長させたいとか、いろいろなことを考えていると気がつけば14位。どうにもウエストの厳しい状況は様々なことを難しくしてくれます。吹っ切ったロケッツはエースに任せて復調し、ところが起用する選手を絞ったために疲労が溜まって13位。どちらが正しいかは分からないんだ。

昨シーズンも序盤から苦労しながらも大方針を変えずに進んだことで圧倒的だった後半戦。ちょっとやそっとじゃ変更しないであろうクイン・スナイダーと、それにしても個人の問題が大きい攻守にわたる課題のあれこれ。さて、スナイダーはどうやって戻してくるのでしょうか。

 

【追記】

これを書いた2日後にコーバーを獲得し、バークスと2巡目指名権を放出しました。

オフェンスの問題点が3Pにあって、それをコーバーで解決を図るわけですが、ムービング系シューターのコーバーなのでシステム的にはちょっと違う。それでも高いシュート力には違いないので、とりあえずはコーナーに置いて打たせるのかな。

ジャズが長く期待してきたアレック・バークスは結局はブレイクしきれぬまま移籍する事に。高い身体能力とシュート能力もあるので規制の多いジャズよりも、自由を与えられそうなキャブスでブレイクするかもしれません。キャブスは良い選手を手に入れたと思うのでした。

 

 

怖くないスマートオフェンスのジャズ” への4件のフィードバック

  1. 3Pの数値など、数%の差が全然入らないとかなり入るの感覚の差になるのが面白いですね。

    1. 実際は数%なんて関係ないんですけどね。ってのがサンダー理論。
      個人だと30%切ると苦しいですね。あとコーナー3Pは45%くらい決めるチームが普通にあるので、ジャズの確率はかなり目立って低いです。
      昨シーズンの内容見ても「普通に決まれば良い」のですが、普通レベルから大きく落ちているのが今シーズンです。

      3P30本打つのが普通なので、5%違うと4点くらい平均得点が下がります。それは致命的かな。

  2. これだけはっきりと数字でシュート確率の低下を見せられると、切ないですね。でも、なぜか4クォーター最後までクラウダー残すパターン多いんですよね。

    確かに、去年と同じかそれ以上にいい感じなのは、イングルスとフェイバーズくらいなイメージでした。

    ミッチェルもやっと強引な感じが出てきた矢先のけがという。。

    あとはもう一歩、イグザムとバークスが爆発してほしいなという、なんだか特定の誰かよりチーム全体が沈んでるジャズのイメージでした。

    1. 最後にクラウダーにするのは意外とチームとしての数字は良くなっているのですが、どうしてもコーナー担当がクラウダーなので苦しいです。
      全体が機能していない理由が何かは難しいですが、全体で少しずつ落としているのは核となる選手不足なんですよね。
      ミッチェルは良いし、イングルスに打たせるのも良い。それはスターターではバランスを保てるけどベンチメンバーになると崩壊するって感じです。

      もっとバークスにはワガママにやらせて良かったと思いますが、そこをコーバーに変換してしまいました。わかりやすくはなりましたね。

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