2018/11/10 ナゲッツｖｓネッツ

首位を狙うチームとプレーオフを目指したいチーム

◉ヨキッチのシュート

実はオフェンス面があまり機能していないナゲッツ。その理由は例によってミルサップ、ではなくヨキッチがあまりにも自分で打たないからガード２人のアタック頼みの印象になっています。打たなすぎるヨキッチ。華麗なボールムーブから打ち、合わせていくのがナゲッツの良さですが、昨シーズンそれに合わなかったミルサップは小気味よくないし、周囲のボールムーブを観てしまってヨキッチ任せでした。

今のヨキッチはパスの起点になるべく動くのですが、小気味よさを自ら消してしまっているのでした。ミルサップが絡めていない問題ではなく、単純に全員が連動するような良さが減っています。まぁそれでもヨキッチ、ゲーリー・ハリス、マレーで組み立ててしまうのがナゲッツ。あまりシュートは決まっていない今シーズン。

ネッツはラッセルとジョー・ハリスが躊躇いなく打っていきます。いずれも狙い通りのオフェンスから小気味よいパスを繋いでと。２分半で早くも１０点をリード。

ネッツは全員が打っていくのが良いところの昨シーズンだけど、そうではなくて打つべき選手を定め直している今シーズン。それによって役割分担と思い切りの良さを見つめ直したわけだ。誰もが打っていると突如打たれたときに反応しにくいけど、積極的な選手とフリーで回ってきたときに打つ選手という区分があるから、リバウンドや速攻対策に行きやすいよね。

ラッセルとアレンの２ｏｎ２でビッグマンをアウトサイドに引き出しながら、全くアタックせずに逆サイドに横断パスを出し、空いたインサイドをラベートにドライブさせ、最後はキックアウト３Ｐとか論理的過ぎるオフェンス。でも強いチームになりたければ、そこでラベートが決めきってくれるかどうかみたいな。クリス・ポールが自分で打つかどうかみたいな。

そんなネッツの好調さに対して、珍しくヨキッチが積極的に打ちます。ちょこっと話題になっていたから気にしているのか、またはネッツがヨキッチのことはジャレット・アレンに任せて他の選手をマークしているから仕掛けざる得ないのか。それは必要な事だし、良い傾向なんだけどアレンにスタミナを潰されそうだな。ナゲッツの１６点のうち９点をヨキッチがあげます。パスファーストのセンターが得点していくのは、パスされる方が嫌なネッツの事情をみた判断。押し込んで行ってゴール下も。

◉論理性のある展開

ネッツはキャロルが出てきます。久しぶりの登場。キャロルはわかりやすく何でもやるタイプだけど、今シーズンのネッツだとちょっとした違和感だし、足りなかった要素。

ナゲッツのベンチメンバーは新たなベンチモブになれそうな雰囲気で、でも１人だけ足りない感じだからマレーやゲーリー・ハリスが加わっています。この試合はマレー。

どちらも停滞することなく良い感じのオフェンスが進んでいき、開始当初の１０点差が残って１Ｑが終わるのでした。

２ＱになってもＰＧのディンウィディーとモリスが決め合うスタート。クラブが小気味よく３Ｐを打っていき、ナゲッツもモリスがコーナーから３Ｐ。

しかし、ここから全く決まらなくなります。キャロル、ディンウィディー、クラブ、ダドリーとことごとく外し、モリス、マレーも外し、お互いのアウトサイドが決まらないように。ナゲッツの方が３Ｐに拘らないというか、インサイドで強引に打つパターンがあるのですが、それも止められたりしてね。

スターターが多く戻ってくると、ヨキッチのディフェンスを狙おうとするラッセル。ルーズになると読んでゴール下のアレンにパスを通したまでは華麗だったけど、まぁ普通にアレンがブロックをかわして決めます。ヨキッチもリバウンドを押し込んで。アレンには更に豪快なダンクが出るけどミスってしまった。そしてミルサップの押し込み。オフェンスで強いヨキッチとディフェンスで弱いヨキッチの戦いが続くよ。

今シーズンのナゲッツディフェンスが良くなった点を「ミルサップを中心としたヘルプの収縮の速さ」としていますが、ディフェンスが優れているとは言ってません。何故ならサンズにはコーナーまでボールを振り回されていました。ネッツはヨキッチが弱いことを知っているので、全員をアウトサイドに引き出してしまい、ヘルプしにくくします。

それでもすかさずヘルプにやってくるミルサップやプラムリーガいるのですが、距離が遠いし、ネッツはちゃんと正しいポジションで待っているからキックアウト３Ｐになります。論理的なくず仕方をしているネッツ。でも崩しきるには１番初めのところでヨキッチ１人相手なら決めきらないといけません。ラッセルとディンウィディーとアレンの仕事。

これが全般的に上手く行っている前半です。

対するネッツのディフェンスはもう少し整備されていて、ヘルプはちゃんと来るのだけど人数をかけすぎず、キックアウトを容易にはさせない形です。例えばヨキッチがインサイドで１ｏｎ１で来たときにｖｓアレンやエド・デイビスなら、そんな簡単には決められないと思っているから、誰もヘルプに行かない。仕掛けて抜かれそうになって初めてやってきます。

開幕戦でＦＧパーフェクトのトリプルダブルをやったようにヨキッチはこのポストアップのシュートが正確なので、ヘルプの少ないネッツの形はヨキッチを際立たせることに。インサイドの戦いをものともしないヨキッチにより反撃していくナゲッツ。

追いつけそうな空気が出てきたナゲッツですが、ミルサップの速攻をアレンが叩き落とし、再びラッセルがビッグマンをおびき出してアレンがフリーのダンク。しかし、どうにもヨキッチのアタックを止められず次々に押し込まれると、ゲーリー・ハリスのキックアウトからビーズリーが３Ｐで残り１分４点差に。強かったオフェンスのヨキッチ。

しかし、最後は久しぶりにカットしてきたマレーにパスを出すとブロックされ、さらにヨキッチｖｓラッセルのゴール下になったところをヘルプにやってきたアレンがブロックして、ネッツの８点リードで前半が終わります。

ヨキッチｖｓアレンだとアレンにフィジカルでぶつかってブロックさせないのが上手いヨキッチですが、ミスマッチのラッセルが相手だと簡単に打てる代わりに、アレンをコントロール出来なかったというプレーなのでした。

シュートが決まるかどうかと言う問題はあるのですが、ネッツのオフェンスはナゲッツの収縮するディフェンスに対して論理的。

ナゲッツがヨキッチで押していったのもネッツの守り方に対しては論理的。

論理性ある展開になっていきました。強いて言うと終盤に３Ｐが下手なランディ・ホリス・ジェファーソンを起用していたことでミルサップの働きが目立つ事になってナゲッツが追い上げたか。ダドリーだったら３Ｐを打たせていたでしょう。

とはいえ、３Ｐの方は決まったり決まらなかったりなので、安定しているナゲッツの得点方法にインサイドで待ち構えたかったともいえます。それはナゲッツのドライブをあまり許さない事に繋がっているので決して間違ったともいえないのでした。噛み合ったような両チームが、それぞれ正しいオフェンスを選択した前半でした。

なおキャロルの復帰でプレータイムを失ったのはＰＧネイピアー。ナゲッツのビッグラインナップが相手なので調整の意味もあります。

◉ヨキッチは止まらない

ヨキッチｖｓラッセルのマッチアップが出来てもヘルプポジションを行ったり来たりしてパスをいれさせないジョー・ハリス。こういうヘルプの部分がロケッツには必要だなぁ。クレイグやダドリー、ゲーリー・ハリスもドライブしてくる相手に対してボールに手を出して横から止めていくし、ちょっとしたヘルプの勝負。完全にヘルプに行くとパスを出される事を知っている両チーム。

前半の内容があるので押し込まれる前に止めようとするアレン。フルフロントで守ったり、どうしようもなく押し込まれたら周囲がヘルプに来て時間を稼ぎアレンはブロックに跳ぶ。ならばヨキッチはポップしてミドル。賢いな。賢いし、あれだけフィジカルで戦っておきながら、突然のミドルをよく決めるよね。

しかし、ネッツの方がイージーを外すように、相変わらずのラッセル。アレンもショートフックにダンクをミスして行きます。論理的な戦いになっている中でイージーが決まらないと一気に置いて行かれてしまう。正しくイージーシュートにしているのに苦しいし、タレント力が足りないネッツ。ヨキッチが決めまくっているのが勝率の差って感じ。ラッセル君は本当に頑張りましょう。

ラベートがノーコールに切れてテクニカルとなり５分経過で２点差に。イージーシュートを決めたかどうかの差。フリースローも外しているし。

ナゲッツはゲーリー・ハリスがやっと働き始め初得点。マレーのミドルも決まり、攻略法を固めてきた感じ。それに対してフリースローばかりになるネッツ。ナゲッツがちょっとプレッシャーを強めて止めに行くのですが、どうしてもファールになってしまう感じ。いつでも逆転できそうで出来ず、同点でネッツはセカンドユニットに。

セカンドユニットになったら３Ｐが打てるようになるネッツ。というか打たせているナゲッツ。ＲＨＪなら決まらないよねとばかりにミルサップがドフリーにして、インサイドを塞いでいきます。もう「ディフェンスこそが我が仕事」という職人になってきた。ナゲッツがこのまま突き進むならＤＰＯＹです。１人でチームディフェンスしている。なお、オフェンスではフリースローすら外してもいる。ヨキッチ＋ミルサップを平均して考えた方が良い。

これで逆転するのだけど、やっぱりファールも増えてしまってシーソーゲームに。シーソーというかフリースローゲームというか。チャンスの時間にディフェンスを強めてラッシュしようとするなんて、すっかり強豪チームの戦い方になっているナゲッツ。でも、そこを実現させていないネッツ。オフェンスパターンが多いから、特定の対策ではとめられないのが効いているわけで、一方で特定じゃないからシュートが決まらないぜ。

残り３分くらいからヨキッチのダンクが飛び出すも、ディンウィディーがヨキッチを置き去りにしてレイアップ、そしてお互いに止められないからファールファールの繰り返し。フリースローの確率が悪いネッツなので、ナゲッツが優位になっていくのですが、ヨキッチがいなくなるとアレ・・・。

セカンドユニットにマレーだとマレーの単独突破みたいになってしまい、ゲーリー・ハリスの方が良かった雰囲気のナゲッツを尻目に、チームとして後半初めての３Ｐを個人では今シーズン初めてのキャロルが決めて、再びネッツのリードになります。残り３秒でモリスがミドルを決めるも、ディンウィディーがハーフコートブザービーターを決めて、全ての頑張りを最後の１分でひっくり返されたようなナゲッツでした。ちなみにディンウィディーはコロラド大を卒業しており、高地でシュートを決めるのに慣れているのかもね。

◉延々と続く接戦

４Ｑ開始早々にプラムリーとの争いでエド・デイビスが６つ目で退場します。戻ってくるのはアレンなので、珍しくセンターに拘っている様子。ファリードを出す選択肢はなかったようで。ネッツもナゲッツも仲良く楽しげなチームで、チームメイトの活躍を喜べるタイプの選手が多いけど、ファリードはどっちでも浮いてしまっているのかな？

ディンウィディーとのコンビから入ってきたアレンが早速ダンク。しかし、パスミスをかっ攫って速攻でマレーからライルズと自分の得点に拘わらないタイプばかりというか、綺麗に繋がるのが好きな選手が多い。そんな中で強気に自分で打っていくモリスが止めにくくて、ゲーリー・ハリスがレイアップと思いきやもう一本繋いでプラムリーと非常に読みにくいな。

残り９分で同点に。非常に面白い試合だけど、最後にヨキッチがいるナゲッツとラッセルがプレーするかもわからないネッツか・・・。

マレーではなくシューターでもあり起点でもあるゲーリー・ハリスとベンチにしているナゲッツは、オフェンスが途切れません。ライルズのダブルクラッチ、プラムリーのダンクとどれも複数の選手が絡んでのフィニッシュに。

ネッツはディンウィディーのゲームメイクでスペースを作ってそこに走らせてと、ナゲッツのディフェンスが対応出来ないように。最近はこの時間にジョー・ハリスとクラブを同時に起用してシューター２人体制なのだけど、そこには出させないナゲッツ。だから尚更インサイドか空いてしまう。

そして遂にスモールラインナップにするネッツ。これで抜けたディンウィディーがダンクに行くも失敗、そのカウンターでゲーリー・ハリスと見せかけてビーズリーに３Ｐを決めさせて再逆転したナゲッツ。それでもＲＨＪの３Ｐミスをジョー・ハリスがねじ込んで＆ワン。ＲＨＪに打たせてどうするってのと、スモールでセンターがいないところを活用できたのと。一瞬だけだったスモールラインナップ。

ゲーリー・ハリスが５つ目のファールをします。３つくらいはスクリーナーに対するファールだった気がする。今日のレフリーは厳しいぜ。ポストアップのフィジカルも許さないから、タイソン・チャンドラーがいたらとっくに退場しているはずだ。

なので両チーム共にフリースローが止まりません。＆ワンを決めたラッセルはいつも通りフリースローを外すなど、勢いに乗り切れない両チーム。この厳しさを利用したのはナゲッツ。ラッセルが軽く振りほどいた手でオフェンスファールになれば、ジョー・ハリスのプレッシャーでミスしそうになると、押されたフリのゲーリー・ハリス。ラッセルが抜け出すとその前のスクリーナーにファールするビーズリー。残り４分でナゲッツ１点リード。フリースローばっかりでなかなか進まないんですけど。

ラッセルとアレンが決まらないネッツが絶対に不利だよね。

しかし３Ｐ決めて同点にするラッセル。そしてヨキッチはゴール下の争いで弱すぎたラベートを吹っ飛ばして５つ目のファールに。しかもこのフリースローを２本ともミスしたラベートだけど、リバウンドをとったのはアレン。ヨキッチは肘かアフロをくらったらしくダウンしたので豪快なダンクで２点リードになります。フリースロー２本外したけどダンクで取りかえすとか論理性のかけらもない。

ダドリーがゴール下のヘルプをノーファールで止めたのに、何でも無いペリメーターでマレーにファールしてしまうラベートで同点。ファールしたくないゲーリー・ハリスが致し方なくスイッチし、ｖｓミルサップにして振り切ったラベート。マレーがミドルを返して同点。

ここまでブロックパーティーをしていたジャレット・アレンに対して、遂にブロックを返したヨキッチ。ここから速攻でビーズリーがレイアップを決めてナゲッツが残り１分２０秒で２点リード。

再びヨキッチをおびき出してアレンのゴール下を作ったラッセルですがアレンがミス。そして逆にアレンのブロックがありながらねじ込んだミルサップ。ディンウィディーのレイアップはミスしたかと思ったらマレーが後ろからファール。なかなか決まらない試合。

残り３０秒でラベートのドライブからフリーのアレンへ通ってダンクで同点に。

ナゲッツは当然ヨキッチのポストアップ。ところがこれがトラベリング。この試合初めてヨキッチを止めた気がするアレン。コールが厳しいので押されたら下がるを繰り返すので、リズムが掴めなかったようなヨキッチ。

ネッツの選択は本当に誰になるかわからないのだけど、まさかのラッセルとアレンをベンチに。まじか。狙うのはラベートの１ｏｎ１。守るはディフェンダーのゲーリー・ハリス。ハリスのプレッシャーを振り払い、ヘルプのミルサップの上をフローターで打ち上げたラベートが決めて残り０．３秒で２点リードになったネッツでした。ずーっと意味なくスターターを使い続けたサンズと違う細かい選手交代。

最後は予想外のビーズリーが３Ｐを打つも決まらずネッツが大接戦を制したのでした。フリースローがクソ多かった以外は今シーズン最も面白かった試合でした。

〇フリースロー

ネッツ　２８／４２

ナゲッツ　２５／３４

どっちも練習してこい。ウィニングシュートを決めたラベートですがフリースローは４／９でした。ミルサップは今日も３／６。どっちかがしっかり決めていたら接戦にならなかったんだろうな。

〇ニコラ・ヨキッチ

３７点　ＦＧ１４／２２

２１リバウンド　３アシスト

得点が足りないとしたら直ぐにアンサーしてしまったヨキッチ。何が凄いって論理的なこと。３Ｐが上手いヨキッチだけど１本しか打たず、ほぼポストアップでした。途中にも書いたけどウルブズｖｓレイカーズではレフリーが全くファールコールしなかったのですが、それでもタウンズに延々とポストアップさせていたのが違和感あったのです。

それに比べるとこの試合は間違いなくインサイドへ押し込むのが正解だし、ネッツはアレンを信じているしでしたが、上回ってしまったヨキッチ。「この試合で必要な事」をしっかりと徹底していく賢さが素晴らしいし、チームもまた止められないプレーを繰り返させました。

ゲーリー・ハリスが決めていれば勝っていただろうに・・・。

〇ジャレット・アレン

１８点　ＦＧ７／１４

９リバウンド　５ブロック

ヨキッチにやられたとはいえ、そこはもうチームとしても任せた部分。５ブロックとヘルプでも活躍し、文句のつけようがない・・・といいたいのですが、ＦＧ７／１４は内容的には不満でした。ここを押し込めるかどうかでカペラとの差があるアレンです。まぁ２年目なのでもう少し成長しましょう。

ヨキッチは現代型センターだけど、センターというか現代型のオールラウンドプレイヤーで、アレンの方が現代型のセンターって感じです。

今日はラッセルの方がディンウィディーよりも良かったけど、それでも最後を任せてもらえなかったしプレータイムも短かったので、トレードも視野にいれているのかもしれません。ネッツはラベートのラストショットが目立つけど、実際には負担を分け合っているチームなのでマックス契約するならラッセルではないのは確か。

これで５割復帰してきたのでプレーオフも現実的だよ。気が早すぎるよ。

ナゲッツは内容的に向上してきているのがよくわかるだけに、勝ちきれない試合になってしまいました。ヨキッチが押し込むのは良いのだけど、そうなるとリズムが狂うのか３Ｐのテンポが悪くなってしまったね。首位への道はまだまだ遠い。