2018/11/01 ニックスvsペイサーズ

ハロウィンナイトのESPN放送に選ばれたのがこの対戦とは!

◉改革中の両チーム

オフェンス改革のペイサーズ。「オフェンスが上手く行かない」でも「変化した」でもなく「改革中」と表現するのは、オフェンスエントリーの時にピックに行くわけでも、パッシングで動かすわけでもなく、プレーコールをしっかりして、狙い所を定めた形で始まるから。主にカットプレーを目指してボグダノビッチをオフボールで動かしていくところからスタートするのだけど、豪快にブロックされるボグダノビッチ。前回も書いたけどオラディポと役割が逆だと思うのだけど、オラディポに頼らない形の構築でもあるから仕方ないのか。

オフェンスではなくチーム改革がテーマのニックス。カンターやランス・トーマスがスターターから外れてバーンレイとミッチェル・ロビンソンがスターター。バーンレイはなんやかんや各チームでそこそこの活躍をしてはトレードされているけど、ここにきてスターターとは予想しなかった未来だったろうね。いわゆる機動力系のセンターがオフェンスの役割で、細かく何度もスクリーナーになって、そしてインサイドで合わせてフィニッシュする。それって、今のブレイザーズに足りないエド・デイビスの代役なんですが。

ニックスが変化したのは3Pの積極性。ニリキナ、ハーダウェイは不正確なシュートが特徴だったのに、積極性の名の下だと確率が向上するから凄いよね。そこにダッドソンも加わって、全然3Pを打たなかったチームに大きな変化が。これがペイサーズのオフェンス改革と違うのは、プレーコールで導かれた3Pではなく、本当に積極的に打つという個人の判断っぽいから。だからチーム改革の中の意識改革。

 

カットプレーが相変わらず上手く行かないから、マイルズ・ターナーのポストアタックを増やしたペイサーズ。そこそこ決まるけどニックスが弱いだけ。そしてベンチからサボニスが出てくるともうインサイドで圧倒するペイサーズ。するとカンターが登場します。ひょっとしたら、マッチアップを考えてサボニスにカンターを想定したスターター変更だったのかも。なお、ペイサーズはターナー+サボニスパターン。ちょこちょこ混ぜるけど、機能しないコンビ。

PGもコーリー・ジョセフ+コリソン+タイリークという初めて見たトリオ。短時間だけどちょこちょこ混ぜるの面白い。機能はしていないからボグダノビッチとマグダーモットが出てきた。今度はダブルシューターかよ。

機能するのはタイリーク&サボニスコンビ。非常にシンプルなピック&ロールなんだけど、ハーフスピードのタイリークへの対応が難しく、ほぼサボニスにパスが出るのにニックスは止められない。1Qだけで13点、5リバウンドのサボニス。サボニス欲しいわ。

 

ニックスはベンチからトレイ・バーク、アロンゾ・トリアー、ヘゾニャも出てきて、スターターみたいなセカンドユニットに。ペイサーズ対策なのか、それともセカンドユニット押し作戦なのか。どっちでも良いけどプレータイムシェアした方が良い時代になったから、特定のスターがいないチームだと有効な作戦。一旦はペイサーズがリードしたけど、このセカンドユニットで追い上げるニックス。

1Qは28-25で終わったけど、お互いに実験を交えて、少しずつ損をするのを許容していた感じ

 

◉ゴール下とハードワーク

ニックスはここ何年かの1巡目10位までの指名が8人いてリーグ最多らしい。半分以上が他のチームで戦力外にされた選手達。やっていることがネッツと一緒なんだな。

7分で15点取ったサボニスが3つ目のファールでベンチに戻ります。フィジカル系のカンターは地味にファールを稼いでいる。ドラモンドもこれやろうぜ。相変わらずインサイドはカンター1人にお任せのニックスなんだけど、ペイサーズもPFなしの構成にしている上にマグダーモットとボグダノビッチだからインサイドが弱い。

これで何とか追いつくニックス。結局はインサイドのハードワークに戻るんだよね。そこに3Pを絡めたい意識改革。「ゴール下と3P」ってフィッツデイルっぽいのだけど、そんな得点方法なのに印象的にはニックスらしい「ハードワークに3P」でフィッツデイルっぽくないから面白い。

バーンレイが1Qと違いアウトサイドからの1on1で攻めていくのはフィッツデイルっぽい。というかヒートっぽい。1試合に1回くらいはそんな通常と違う個人プレーを混ぜて、ロールプレイヤーの戦力を隅々まで使い尽くすみたいな。バーンレイが3Pまで決めてしまった!!

 

ペイサーズのオフェンス改革も似たようなところがあって、チーム全員がハードに戦うことは染みついてきた昨シーズン。ただパターンが少ないから、鮮やかさを加えたいわけだ。でも全然鮮やかにならない。

アーリーオフェンスでヤングが自分に引きつけてコーナーでフリーのジョセフにパスしようとするけど、ハンドリングミス。ミスしたけどボールにダイブしてなんとかパスを成立させてジョセフが3Pを打ったけど決まらず、それをヤングがリバウンドをとって押し込む。鮮やかにやりたいけど、結局はルーズボールやリバウンドの争いで勝負するみたいな。

良いプレーをしてもシュートが決まらず、逆にバーンレイにやられていき逆転されるペイサーズ。しかもその理由が余計なファールしてフリースローだったりして。前半はそんな感じで終わったよ。

 

〇前半の3P

ニックス 7/15

ペイサーズ 3/12

〇前半のフリースロー

ニックス 15/17

ペイサーズ 5/10

サボニスが7分しかプレーしていない上に、これで2点差なので内容的にはペイサーズって感じでしたが、それだけでは試合は決まらないという良い例示でした。鮮やかにやってもフリーの3Pが全然決まらないペイサーズはちょいと役割変更した方が面白そうなんだけど。

 

◉上手く行くニックス

後半になっても傾向は変わらず。どうしたんだというくらいに3Pを決めていくハーダウェイ。ハーダウェイに限らず絶好調シューターで勝っているチームが多いよね。対策云々もあるけど、さすがに6割とか決められるとどうしようもない。バーンレイのベーシックな貢献も見逃せず、チームが上手く回っているニックス。オフェンスが止まらないよ。

さすがにマズくなってきたペイサーズ。本気バージョンでコリソンとオラディポのミドルで対抗していきます。ただどうにもターンオーバーが絡んでしまう。裏抜けしたのにキャッチミスしたり、ハンドオフで抜け出すのにトラベリングしたり。結局ミドルに戻ってきてしまうので、ハーダウェイの3Pに対抗出来ません。

ニックスはディフェンスも良くなっていて、収縮して止めるのだけど、その人数がヘルプ1人に制限されているので、キックアウトを許しません。ここからシンプルなキックアウトが出来るかもペイサーズのオフェンス課題だけど、手をつけている印象はない。サボニスが出てくると、インサイドでの合わせを積み重ねた上に未だにノーミスのシュートを続けていき、嘘くさいブロックも飛び出して、離されないのですがリードも奪えない。追いつけそうになるとターンオーバーも変わらず。

 

ニックスの方はトリアーがノーミスのシュートで加点し、ダッドソンが不用意なスローインを狙って&ワンと脇役の活躍も目立ちます。サボニスは3Qも4分間の出場でFG4/4で合計11分で26点まで伸ばしました。しかし、トリアーもここまで4/4ならハーダウェイは3P6/8で既に28点。

チームとして上手く回っているのはニックスで、サボニスが何とか対抗しているペイサーズ。ディフェンスから速攻出さないとペイサーズらしさがないわけで、らしくなくても4点ビハインドで済んでいるとも考えられるけど。

 

サボニスがしっかりとゴール下を決めると、この試合初めてタイリークが自分でレイアップに行く選択をしてイージーに決めて、4Q初めの2プレーで追いつくペイサーズ。それを取り返すトリアーとバーク。

ニックスはポルジンギスが不在の中でも素晴らしい戦いを見せていますが、正直この状況はポルジンギス戻ってきたら勝率落ちるのではないか。ペイサーズのお株を奪うくらい誰もが活躍するようになっています。特別なプレーがあるわけでなく、ベーシックなスペーシングと、誰もが仕掛けるからディフェンスに的を絞らせていないだけなのだけど、ここまで成功するのは怖いくらい。

前回観たときはヘゾニャが暴走というか、頭に血が上ったプレーをしていて台無しにしたで、誰もが積極的なのは良いことばかりじゃないのだけど、ポルジンギスで改善しそうなのは「わかりやすさ」くらいだよね。それは勝負所で関係してきそう。

 

◉わかりやすく、ペイサーズらしい

ニリキナからバーンレイのダンクに繋がり残り8分同点

決まりすぎのハーダウェイがキャリアハイの7本目の3P。でもお得意のスティールからの速攻で反撃するオラディポ。ペイサーズは基本的にオラディポなんだけど、ミスマッチが出来るとヤングのポストアップを使っていきます。慌てないし、わかりやすい。ただ、サボニスがターンオーバーを連発するので、常にニックスがリードする展開に。勿体ないペイサーズ。

大したオフェンスはしていないのだけど、思い切りよく打っていくから決まる決まるニックス。ダッドソンの3Pで残り4分4点リードに。

 

タイムアウト明けのペイサーズはボグダノビッチの3Pが決まります。後半初めてかと思うくらい久々の3Pはボグダノビッチがコーナーで待つ形。それまでヤングが待っていることが多かったので、役割違う気がしてきます。

止まらないハーダウェイがタフミドルを返しますが、シュートは止められなくてもスティールで対抗するオラディポが奪い取って速攻。更にミスマッチ利用のサボニスからヤングで逆転するペイサーズ。得意技連発であり、ペイサーズらしさの小規模爆発。

ニックスはハーダウェイ勝負にしますが、ピックを使ってもオラディポとサボニスのディフェンス連携でチャンスを与えず。対してオフェンスでもオラディポ&サボニスのコンビから、最後はオラディポが個人技3Pを決めて残り1分半で6点差に。

ニックスはハーダウェイがアタックしブロックされますが、これがブロックと関係なかったサボニスのファールをコールされ6つ目で退場。オラディポのレイアップをバーンレイがブロックし、逆にトリアーが狭いところを抜けていってレイアップを決めて1点差にします。素晴らしきドラフト外ルーキー。細かいスキルもさることながら自分で行くべきかどうかの判断が良いトリアー。この時間でも仕事を間違えない。

 

何故かシューズが脱げたターナーがいたこともあり、タイムアウトのペイサーズ。

プレーを固めたので当然のオラディポ勝負なわけですが、それを囮にしてボグダノビッチが3P。しかしエアボールになったのをヤングが拾って、すかさずコーナーに移動するオラディポに。迷わず打ち抜いたオラディポの3Pが決まって逃げ切ったペイサーズでした。

いやー、オラディポ凄い。このラストプレーにはペイサーズらしさが詰まっていました。

迷わずボグダノビッチを選択するチームプレー、オフェンスリバウンドへの反応速度で上回るPF陣、そのリバウンドを「とる」と判断した時点でフリーになるポジションに移動する瞬間の判断力。そして勝負所で決めきるオラディポ。なお、その後5点差でのフリースローは外した。

試合全体を考えても点差を考えても薄氷の勝利なんだけど、最後の3分間に「ペイサーズの強さ」が充満しているのが凄い。最後まで全員が動き続けて、プレーの質が落ちないし、見事にディフェンスからの速攻を生み出してしまう。1つのプレーでほぼオラディポが決めたとしても、リバウンドへの参加やトランジションディフェンスなど全員がサボらず絡んでいるんだ。

いろんな事を試しているくせに、最後は自分達の強さを存分に発揮して勝利を奪い取るとか、どこの強豪チームだよ。勝率的には取り立てる開幕じゃないのだけど、中身の落ち着き方が成熟しているペイサーズでした。

サボニスは21分でFG12/12で30点10リバウンドでした。オラディポは前半5点で後半19点のエースのお仕事。ターナー君はもう少し頑張りましょう。

◉ペイサーズを目指そう

ニックスもまた良かったよね。最後の競り合いで負けるのは致し方ないし、それでもトリアーとバーンレイの活躍は素晴らしかったよ。ハーダウェイで勝負して、そこそこ上手く行って、だけど局面で出てくる2人の活躍度は見逃せないって感じ。オラディポには劣るとはいえ、ハーダウェイもそこそこ決めているし、これがポルジンギスならっていうと別に決まらないだろうから。

インサイド陣のハードワークで支えながら、思い切りの良いダッドソンの3P、判断するトリアーと何というかペイサーズの匂いがする。そんなわけで良い試合を見た感じがしていて、今のニックスが目指すのはペイサーズだよね。

ベンチメンバー全員が活躍する

中心選手に頼らないチームワーク

ベースにあるハードワーク

オラディポがいないことを悔やんだって仕方が無い。チームのカルチャーを作っていくってこういうことだよね。HCの仕事が極めて重要になってきたここ数年ですが、元々ニックスにあったものに上手く混ぜ込みたいのがフィッツデイルが好きな全員の積極性って感じ。

ネッツみたいなロスターの集め方をして、ペイサーズみたいな全員バスケして、ヒートみたいに戦力のフル活用するニックス。新しい戦術とかは感じないのだけど、それもまたニックスらしいのかもね。

 

 

2018/11/01 ニックスvsペイサーズ” への4件のフィードバック

  1. いつも楽しく読ませてもらっています。
    msgで試合を見て以来、ニックスファンです。
    質問なのですが、whynotさんからみて、KPの可能性はどれぐらいでしょうか?
    個人的は、KPを使って他の誰かを、或いは指名権をと思ったりもします。全員バスケがいいだけに…。

    1. 全員でやるオフェンスの中に高いフィニッシュ力のあるKPは合っていると思います。他の選手がプレーメイクして、様々な形でKPに合わせてきて欲しい。

      KPはオフェンスよりもディフェンスが注目すべきだと思っています。ユニコーンブロックはかなりの脅威。

  2. いつも楽しみにしてます!
    これまでのニックスは選手スカウト?が弱点な感じがしてましたが、ネッツと表現されてる様にトリアー、ダットソン、ボンレイ、ロビンソン、バークなどの若手選手を上手く取れてる気がします。
    HCの育成に期待してましが、ここまで良く守って戦えてると期待以上に感じます。勝ち切れないですが(涙)!THJは成長感じてます。前の試合は8aしてて昨年との違い周りが見えてる感が出てたし!

    カンターのスイッチディフェンスが穴で追いかけきれずGの選手に外から打たれがち&ゴール下で1on1で勝負し切れずミドルみたいな展開が増えて誰がリバウンド行くの?みたいな状態増えてる気がします。

    今の若手中心にハードワークで4Qまで引っ張って最後はKPで勝ち切る形を期待しながら今年は楽しみます。

    ユニコーンブロックとヘルプで飛んでったコーナー3すらブロックしてしまうロビンソンのツインタワーも楽しみです!

    1. キングスからスコット・ペリーを奪い取ったのが効いてますね。

      カンターの問題は結構大きいですし、そもそもサンダーでも出番を失ったのがディフェンス面ですから。
      奪ったのが当時ルーキーだったサボニスだったのも忘れてはいけないかも。差が開いていく2人。

      エースがいないのは再建チームには悪いことばかりではないですから、今のメンバーを大切にしながら、取捨選択して欲しいです。
      ネッツはかなり捨てるのも上手い。

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