2018/11/01 ウォーリアーズvsペリカンズ

ペイサーズとニックスの後で観る試合じゃないなとおもった開始5分

◉イーストとは違うのだよ

ペリカンズはペイトンがいなくて戻ってきたフレイジャーがスターターに。ウィザーズでは良いプレーをしていたのに、シュートが決まらないことで全てを否定されたようなPGは、プレシーズンはバックスにいたけど3P決まらないから契約されなかったのかな。気がついたら2年前に良い活躍をしたペリカンズに戻ってきていました。ベンチからはフランク・ジャクソンが出てきて、ちょっとガード陣に変化があります。試合はなんかストリートバスケみたいな行ったり来たり。だからそんなに気にならないし、むしろしっかりプッシュできるガードは役に立っている。

インサイドの強さで上回るペリカンズ。ADとミロティッチで押し込みまくり、中を固められたら迷わずアウトサイドから射貫きます。

走力とアウトサイドシュートで上回るウォーリアーズ。トンプソンの3Pで切り返し、カリーのシュートフェイクに反応しまくってくれるペリカンズを手玉にとります。派手に打ち合っているし、あまりディフェンス関係ないしで、なんというか物足りない。

 

差が生まれてきたのはランドルとジェレブコが登場してから。

ランドルのオフェンスはジェレブコに止められていき、その逆にジェレブコはアウトサイドに広がってカリーの3Pを引き出したり、パスアウトを受け取って3P。そしてルーニーがオフェンスリバウンドをハッスルして奪い取ったのをジェレブコが迷わず3Pを決めます。ディフェンスでもブロックショットするジェレブコは、メインユニットに混じってこそ力を発揮するよね。

好調のウォーリアーズですが、実はジェレブコのプットバックで何とか勝利を拾ったジャズ戦が大きく、最近の対戦はイーストのチームばかり。トンプソンにバカみたいに3Pを打たれまくったブルズといい、対策の甘いチームで有利になった感じもあるのでした。ペリカンズはそんなに対策をしてくるチームではないけど、ウォーリアーズに勝つための計算式は考えています。そこをジェレブコという新しい要素に崩された感じ。

 

残り2分からスプラッシュブラザーズ両方がベンチに下がり、デュラントのみになります。ここからが勝負のペリカンズ。選手不足で開幕からプレータイムがあるマッキーニーが攻守にパワー負けからファールコールされ、勢いが止まります。

カウンター以外に攻撃手段に乏しいウォーリアーズに対し、ADはいなくてもランドル+ミロティッチで形を作り、他の選手が打って外してもリバウンドで取り返す。これで追いつきそうになったものの、最後にミロティッチがイグダラを無視してしまい、ブザービーター3Pで43-37で1Qが終わります。ハイスコアだけど、展開が早すぎるからお互いこれで普通って感じ。

シュート力で上回ったように思えるけど、8分で4つのオフェンスリバウンドを奪ったルーニーのようにシュートの機会を増やすことが大切ですね。それがなければシュートは決まるのにペリカンズがリードしていただろうな。

 

◉頭がついてかないランドル

2Q序盤のベンチメンバーの時間に追いついておきたいペリカンズ。しかし、ランドルが頻繁にやらかします。お得意のポストプレーを外しまくり、そして頻繁にフリーになるドレイモンドからのイージーシュートが連発され9点差まで広がります。なんでフリーなのか理解出来ないけどピックアップミスなので、ランドルかミロティッチか。ミロティッチがオフェンスで取り返して二桁リードは許さない。

トンプソンに打たせたいウォーリアーズ。トンプソン以外はミスマッチになろうが何だろうが、どうでも良いというディフェンスのペリカンズ。そんな簡単にトンプソンに3P打たせるなんてバカなチームだと言わんばかりにムーアがトンプソンに密着し、それ以外は何となくスイッチの連続です。本当に何となくで、多少マークが遅れたからって問題ないって感じ。それよりはトンプソンを離すな。

そうしてトンプソンを抑えきったムーアが、逆にスティールからの速攻で3Pを決めて逆転するペリカンズ。9点ビハインドが2分くらいで3点リードというジェットコースターゲーム。

 

2Q残り8分からカリーも戻ってきて、スクリーンを使ってフリーになる動きと、スプラッシュブラザーズ2人に張り付くペリカンズという戦いに。そのためのフレイジャーみたいな。ただペリカンズもソロモン・ヒルがワイドオープンの3Pを連続ミスしたり、ADがゴール下外したり意味不明のトラベリングしたりと、守っているけど収支が合わない。

ミロティッチがトンプソン相手に自分でアウトサイドから仕掛けようとして、アルビン・ジェントリーが「戻せ」と指示し、戻した後でポストアップを促すと拒否するミロティッチ。なんかよくわかんないチームだな。

ノーガードで打ち合っていた両チームが突然ディフェンスの展開になるという、非常に難しい試合です。ウォーリアーズはもちろん、ペリカンズもただただ攻めあうわけじゃないよね。

 

ただスターター同士になると少しずつウォーリアーズの方が上回り始めます。理由はランドルが役に立たないことと、相変わらず不調のホリデー。この試合まで3P20%しか決まっていない。タフ3Pを決めるカリーとフリーの3Pを外すホリデーだから、そりゃあ得点差になるよね。

ADがルーニーに止められるプレーオフの再現と、ドレイモンドがヘルプで活躍=ランドルはどこにいるパターンが繰り返され、オフェンスが止まったペリカンズでした。ちなみに止められるとトランジションオフェンスになるから、ウォーリアーズのオフェンスは簡単に。

前半の終わり頃になって、やっとランドルが決めて点差が縮まったけど、その後でトンプソンがミスマッチ利用のポストアップで得点して切り返して前半が終わるのでした。自分にへばりつくマークマンに苦労した後で、フレイジャーの小ささを利用したトンプソン。細かい部分で賢くやろうね。

そんなわけで前半は70-63でウォーリアーズリードに。ランドルが仕事していれば同点だったんじゃないかな。

◉シナリオ通りに行かない

デュラントのバックドアが完璧に決まり、3Pも続けて暇だった前半の分まで働きます。対して空けられているフレイジャーが3Pを返します。どうしたフレイジャー。バックスでトレーニングを積んできたのか。しかし、イーストでの経験が長かったからか、ピック&ロールに対するカリーへの守り方を間違えて3Pを決められ、ドライブされ劣勢のペリカンズ。その守り方はウエストの守り方じゃないよ。

強みのインサイドで押し込みたいのだけど、なんかセットの作り方がおかしい。ミロティッチとADが両コーナーに広がってフレイジャーとホリデーがドライブするとか良さを活かせていない。落ちてもリバウンドに参加しないし。前半はそんなことなかったのに。

そんなわけで攻守に良く分かんなくなったのでフレイジャーはベンチへ。まぁ頑張った方だし、引き延ばしすぎたね。コーナーで打たせるならクラークで良いのに。

 

ドレイモンドのマークを辞めるペリカンズ。もう無視してトンプソンにダブルチーム。当然ジョーンズなんかも無視する。ドレイモンドの3Pが決まることもあったけど、これでディフェンスが復活します。オフェンスはラッキーなトンプソンのファールなんかもあって、それなりに。ビッグマンが広がっているのに、ムーアがオフェンスリバウンドを拾ったりしてね。

12点差まで広がるのですが、ミロティッチが3Pで返してくれたりと、10点前後の攻防が続きます。これを続けてセカンドユニットで逆転するのがシナリオ。ホリデーやムーアのドライブでジリジリと。

 

しかし、またもジェレブコに仕事をされてしまいます。スティールからバックビハインドパスの速攻で、何というか得点以上の勢いがウォーリアーズに。カリーの3Pも決まって再び得点差を広げてくことに。デュラントに対してミロティッチがダブルチームに行くけど、誰もローテーションしていなかったり、ペリカンズの方が問題のあるセカンドユニット。

ランドルのインサイドで押し込んでシュートしておけば確率が高いだけでなく、カウンターのリスクが減るのですが、どうしてもそうはいかない。ソロモン・ヒルも微妙だし、ダリウス・ミラーは離脱だし足りない戦力

ファールコールにぶち切れるジェレブコ。気持ちは分かるけどリードしているのだからテクニカルは不要だろ。でも今度はランドルがジェレブコに対し謎のファールコールされます。ファールされたジェレブコの方が信じられないって顔している。なんだこれ。フリースローが決まるのはジェレブコ。つまりなんだかんだウォーリアーズのペースになっていく。

ウォーリアーズが二桁リードを奪って迎えた3Q終盤はペリカンズが追い上げたいセカンドユニット対決だったのに、またもジェレブコ周辺でしてやられました。結局の所、1番大きいのは守られてしまうこと。折角のインサイドの強さを発揮出来ず、カウンターを発動され、問答無用のカリーの理不尽ロング3Pに潰されたのでした。

 

◉流したウォーリアーズ

15点差の4Q序盤はペリカンズが最も追い上げなければいけない時間。でも早速ADの決まりそうにない3Pで始まるし、ちょっとオフェンスの選択が悪い。今更クラークが出てくるし。悪いオフェンスセレクションが続いた後に、クラークがメインでボールを持ち始めるとポストにいるADの関係性からクラークがドライブし、逆サイドからカットしてくるムーアに合わせるとかペリカンズらしいプレーが今更出てきます。遅いわ。

4Qまでクラークを温存していた理由を教えてくれ。ADのポストからパスアウトでクラークの3P。ここにフレイジャーを起用していた理由は何なんだ。広がって3Pなら断然クラークだろうに。

 

3Qに余裕があったウォーリアーズなのでトンプソン、デュラント、イグダラ、ドレイモンド、ジェレブコという普通に強いユニットを組んでいます。逆に言えばペリカンズ相手に15点リードはセーフティーじゃないから、これをキープして終わらせようとしている。

ホリデーが追い回すデュラントとトンプソンに密着するムーア。でも珍しいポストでの1on1でランドルのルーズなディフェンスをかわすドレイモンド。さらに守ってもランドルを相手にしないドレイモンド。突然のドレイモンドショーというか、逆ランドルショーです。ペリカンズがしっかり守るからこそルーズなのが目立ちまくるランドル。トップの位置から仕掛けてトラベリングとか何がしたいんだ。

結局残り7分でカリーが出てくるまでリードをキープしたウォーリアーズ。もうこのまま終わらせるだけじゃん。

 

ランドルと交代でミロティッチが出てくるとスティールからの速攻。何となく諦めるわけにはいかないけど、活力も無いって感じのペリカンズ。救いはデュラントがショートレンジを外してくれること。

通常のデスラインナップではなく、AD対策のルーニーを残す半スモールラインナップにするウォーリアーズ。ベンチに行ったのはドレイモンド。そこを必死に狙っていくペリカンズだけど、それは爆発には繋がらないんだ。あとホリデーがまたもフリースローを外す。

インサイドをドレイモンドとベルにするとリバウンドをADが押し込んでいき、ホリデーも軽やかにドライブを決めていき、残り2分で10点差まで行きます。クラークが時間をかけずにレイアップで押し込み、ギャンブルディフェンスでドレイモンドに打たせてそれなりに逆転の匂いもさせるけど、最後は空けたドレイモンドのレイアップが決まって10点差になり諦めたのでした。

 

◉足りないメンタリティ

スプラッシュブラザーズの活躍が目立った10月でしたが、ウォーリアーズは3人に打たせることを徹底するチームで、他の選手がイージー以外はほぼ打たないから、トランジション天国の中で得点しやすくなっています。全員が打ってくるチームだと好調でもエースが打つわけじゃないよね。もっともウォーリアーズほどエース達に打たせるようなシステムを組んでいるチームもないけど。

それが良い悪いって話ではなくて、ウォーリアーズの良いことは「同じパターンを徹底」出来ること。昨シーズンは頻繁にドレイモンドが暴走していて嘘くさかったけど、今シーズンはここまでそんなこともなく、オフの契約更新を見据えているのかな。

アクセントになるジェレブコも機能し始めて、良い雰囲気になっています。まぁカリーの3P7/11はいくら何でもいじめすぎだけど。いずれにしても、この3Pが3本くらい決まらなかったからってどってことないような内容でした。

 

そして当然ウエストのチームは、この良さを消しに行きます。それはそれなりに機能していたのさ。3Qにフレイジャーがやらかした以外は、ちゃんと守りに行っていたよ。スプラッシュブラザーズを追い回し、その代わりに数人のフリーは諦める。デュラント番にはホリデーという構成は、そこそこ機能しており、同時にペリカンズの場合はそこそこ機能すればオフェンスで取り返す計算式

そこまでは上手く行ったよね。しかし、どうにもハイテンションなゲームにランドルがついてこれなかったし、チームとして時々変なプレーコールが混じっていた。理由は知らない。他のチーム相手だとそれでも何とかなるからかもしれない。

要するにペリカンズはインサイドの強さがあり、そこにムーアやホリデーがアウトサイドからも決めていくチーム力がありながらウォーリアーズほどには「同じパターンを徹底」することが出来なかった。本来はウォーリアーズの弱点であるインサイドで優位に立ってオフェンスで押し切るはずなのに。

 

FG10/15で26点のミロティッチは良くやったからこの点差で済んだし、3P決まらなかったけど28点のホリデー、21点のムーアは良くやったよ。勝てるだけの理由はちゃんと示したんだ。

ところがADがFG6/16で17点、特にペイント内が3/9とインサイドで攻め込めなかった。ランドルは打つところまで行くのに苦しみFG3/6で11点

ペリカンズは強みのはずのインサイドで力を発揮出来ず、それも個人としてインサイドに詰めていなかったり、チームとしての選択肢を間違えたり。それでもこれだけ戦えるのだからチャンスはあると思うのだけど。

4Qに登場したクラークで蘇ったように、経験というか戦術理解度は非常に大切。ランドルに足りない要素だったし、フレイジャーに突然やれというのも、フランク・ジャクソンにチームをコントロールしろというのも違うでしょ。

 

もう1つのポイントはウォーリアーズ側のペリカンズ対策。そう目立たないけどしっかりと相手を観ていたんだ。1つはランドルがでているときは必ずビッグマンを当てていたこと。ミロティッチと最も多くマッチアップしたのはトンプソンで、デュラントもそれなりに。それに対してランドルはドレイモンド、ルーニー、ジェレブコの3人。つまりインサイドプレーの強いランドルに対してはしっかりとビッグマンを当てていた。AD+ランドルの時は2枚のビッグマンがコートにいたわけだ。それは通常営業じゃないからペリカンズ対策。

またフレイジャーをドフリーにしたり、フランク・ジャクソンがボールを持つのは許容したりと、メリハリもつけていたよね。ちゃんと相手を観ていたスティーブ・カー。本来はインサイドでイニシアチブをとるべきペリカンズが、見事に対策負けしていることは忘れてはいけない。

 

スプラッシュブラザーズを止めに行ったペリカンズ。それなりに機能したけど、所々ツメが甘かった。

ビッグマンを止めに行ったウォーリアーズ。それは結果に繋がったよ。

 

ウォーリアーズが勝ったのにはちゃんと理由があった。

だけどペリカンズはムダな負け方をした。という印象の試合でした。

 

2018/11/01 ウォーリアーズvsペリカンズ” への9件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    ダリウスミラーは(確か)エドデイビスと接触した際、脚を怪我して欠場中です。

    1. そうなんですね。何処へ行ったはおかしいから離脱中に修正しています。
      ソロモン・ヒルが外していただけに、もう1枚欲しかったな。

  2. ローズは今シーズン、ハイライトに何度もまとめられていて、キャブスでの役割や怪我もあって、ブランクを感じるなか、よくやっているなって。でもロケッツとのシリーズ出てたか。

    デュラント対策に、KD周辺でスイッチを起こし、ADやエンビード、アダムスのように充分に大きく押し込める選手がKD相手にポストアップするのはどう思います? 守備時のデュラントを攻めて疲弊させるような。イングルスは外側から攻めてKDのリムプロテクトを消しますが、そのインサイド版です。

    1. でも同じ事をやるならカリー相手の方が決まる確率も高ければ、疲れさせてシュート精度を落としやすいですから、優先順位がちがうかなと。
      パワーで負けても手の長さで対抗してくるデュラントなので、割と賭けみたいなところがありますね。採用出来るチームは少ないような。ヨキッチあたりがやると面白そうです。

  3. GSWも3人が素晴らしいだけなら万全ではないなって。強いけどそういうスタイルなんだと、決してノーチャンではないと思うようになりました。

    倒すには、例えばデュラント1人でもいいし崩れないかなと。カリーを攻めてもう1人攻められれば。トンプソンvsビッグマンなら候補も多いかも。KDのリーチは脅威で、パワーで怯ませた隙を狙うテクニックや冷静さが大切かなと。KD狙いでリズム落とさせたら相当楽に。

    1. 今のところはブレイザーズの他の選手は止めに行ってデュラントのみとスコアリング勝負作戦が最も有効的ですね。ミドルが多いので。
      ロケッツも当初は徹底したカリー狙いしてましたが、プレーオフでゴードンがカリーに止められて辞めてしまったのが響いた気がしています。

  4. だからこそジャズやブレイザーズはデュラントのミドルを落とさせる布石が効くと思うんです。KDの意味不明1on1で渡り合っているから1本でも落とさせれば。ブレイザーズはペリカンズ対策もしないとですが。

    僕はデュラント対策にビッグマンポストアップ守備負担増としますけど、管理人さんはどうです?唯一パワーと最大サイズ選手群には高さ負けし得るか、という所で考えました。ブレイザーズやジャズの作戦と併せて攻守両面で仕掛けるわけです。

    1. というか、デュラント相手にパワーで押し込める選手が少ないからなんとも。
      今シーズンにポストアップが流行しそうな理由の1つが、そんな選手が減ったから守れる選手も減ってきた。だから逆にフィジカルで押し込める選手の需要は高くなるのではないかと。

      デュラントを押し込む役を任せて、なおかつ高確率で決めるとなると、わりとハードルが高いので。

      作戦としては悪くないと思います。でも、それが出来る選手を抱えているチームが少ないかな。
      そしてペリカンズはやれるチームだったけど、実際には対策されて出来なかったということですね。

  5. ルーニー推しです。目立たないけど、いまはイグダラさんより怪我されたくないロールプレイヤーです。

    クレイの控えの代役選手が欲しいですよねー。またスコアラー3人が怪我でもしたら、あのウォリアーズらしいバスケ見れなくなると思うと…

    クラークとカズンズのトレードして欲しいかも

    冗談です でも、半分は本音

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