2018/10/30 バックスvsラプターズ

無敗対決はまさかのエース欠場という両チーム

アンテトクンポもレナードもいないとか、冗談みたいな首位攻防戦。通常の映像が全て選手アップにされているから観るの辞めようかと思ったけどポルトガル語なら普通のやつだった。それってつまりアメリカではテレビ放送とかの対象外って事なので、どれだけ注目されていないんだよ。

ラプターズはここまで安定した勝利をホームばかりの日程で積み重ねてきました。それに比べるとバックスは結構苦戦しており、よくぞ無敗でこれたなって感じ。その強さの根源にあるのはもちろんアンテトクンポだけれども、チームとして迷いのないプレーぶりも目立ちます。単にエースが強力なのではなく、積極的に打つことが徹底されながら、パスファーストというスタイル

 

◉主役がいない

アンテトクンポの代役はイリャソバ。このイリャソバとブログトンで得点していくバックス。どちらもブーデンフォルツァーが気に入るタイプで積極的に打つのだけど、状況判断も出来るぜ。アンテトクンポがいなくても、適切にドライブ出来るし、リバウンドにも参加するしでリードを奪います。

しかし、同じことはラプターズの選手全体にいえることで、新たなニック・ナースシステムではウイング達が特定の役割に絞られないのでレナードがいようがいまいが自分でアタックすることを忘れない。ただ、どちらのチームも試合の序盤はよいけどさ・・・みたいな事が多い。

イバカとシアカムがインサイドで得点していくのはアンテトクンポ不在を感じさせるけど、オフェンス面は思ったよりも影響なくドライブ・キックアウト・3Pになっているバックス。

 

どうやらラプターズはヴァンフリートにアヌノビーも不在の模様。なんというか注目度の低い首位攻防戦にして、両チームも気合いがはいらないというか。

3Pが生命線になっていてロケッツに次ぐリーグ2位のアテンプトのバックスですが、その心はインサイドのスペースを広く利用する事にあります。まぁ良くある話。そこをアンテトクンポというのが強さの秘訣な訳ですが、いないならいないでディヴィチェンゾのカットプレーが出るなど整備されていることを感じさせてくれます。

こういうのが非常に上手いブログトン。「次にディフェンスがどう動くのか」を感じ取る能力が高い選手は、エースみたいなプレーを繰り返していきます。自分自身にはスピードとかがないのがまた厄介さを増すというか、ハーフスピードのプレーは警戒せざるを得ない。ブレッドソーやミドルトンを残して先にベンチに戻し、ベンチメンバーが増えるとブログトンにゲームメイクさせる形が機能するバックス

それに比べるとラウリーとヴァンフリートのPG陣、レナードとアヌノビーがいないことで、あまりにも貧弱というか、オフェンスが構成出来ていないラプターズ。順調に進んだ1Qでしたが、セカンドユニットにはちょっと差があったのでした。しかし、ラストプレーでCJマイルズが3Pを決めて30-29とバックス1点リードで終わります。

 

◉迷わないバックス

出遅れたデロン・ライトが戻ってきているラプターズなのだけど、ビックリするくらいのブランクを感じさせます。シュートはアーチもなければ左右にブレブレ、ハンドリングすら怪しい。チームとして苦しいメンバーになっている中で、頼みのハンドラーがどうにもならないし、アウトサイドシュートも殆ど決まらないのでバックスペースが進みます。

3Pライン近辺でオフボールスクリーンをかけにいくバックスですが、半分くらいウソスクリーンで逆をとる動きを多く採用しています。それに元々インサイドを空けているので、有効に決まって行きます。ブルズのスクリーン戦術とウォーリアーズのインサイド明けのイージーシュートを組み合わせたようなオフェンス。アンテトクンポがいない方が良い気すらしてくる美しさ。

セカンドユニットの差は順調に得点差に。あぁ懐かしき最強セカンドユニット。大切なのは健康だな。

 

得点が伸びないラプターズに対して、スターターに戻っても勢いの衰えないバックスが10点リードにします。働くのはラウリー。ミドルトンからテイクチャージして止めると、グリーンの3Pをアシスト。ミドルトンもプルアップ3Pでお返しするも、シアカムがディフェンスから速攻で点差を縮めます。この困ったらディフェンスを強めるっていうのは、ロケッツが失った強みだなぁ。意識してエネルギー使って走ることは出来るけど意識してシュートを決めるってわけにはいかないわけで。

シュート決まらないラプターズは、オフェンスリバウンドも奪えず。インサイドの合わせをしたくっても中を塞いでいるバックスなので、キックアウトして打ちたい。打つけど決まらないの繰り返し。たまにグリーンとパウエルが決めるのだけど、ラウリーが決まらないし、シアカムに打たせるのはまぁアレだし。

 

点差は徐々に離れていくのでした。偉かったのは徐々にしか離れなかったこと。もっとグッと差が出来ても良かったのだけど、ちゃんとオフェンスを終わらせるからカウンターを食らわず、バックスが好調な分でしかリードにならないから、ガマンしていったラプターズ

前半は62-53とバックスリードで終わります。アンテトクンポ不在でこんなにやるとは誰も思わなかったね。それくらいアンテトクンポに頼っていたのだけど、いないならいないでやり方があったみたいな。全員がアグレッシブになれたことと、ここまでの好調さでシュートに迷いがなかったのでした。

ラプターズも迷ってはいないよ。迷わず打って決まらないだけ。

 

◉イリャソバがいるじゃないか

前半はオフェンスが好調なバックスとダメなラプターズという感じでした。おそらくバックスの3Pへの対応を重視したのでしょうが、それを逆手にとられた感じ。なお、逆手にとったのはほぼブログトンとイリャソバ、稀にカナートン。若手に混ぜるならこういうベテランだよね。ブログトンは若手だけど。

アンテトクンポの不在は、むしろバックスのオフェンスシステムを際立たせ、ゴール下を空ける&利用する意識の高さを感じました。多くのチームが「空ける」事は出来ても「利用」が難しいわけで、非常にうまいバックスの秘密は一体何なのか。アンテトクンポがいると強烈なだけだったからな。

実はそれ以上に大きかったのはディフェンス面。しっかりとリバウンドを抑えるので、ラプターズにリズムが生まれなかったかな。シアカムやイバカをPF起用するラプターズなので、ある程度オフェンスリバウンドをとらないと起用の価値が低くなるね。誰が多くのリバウンドを奪ったかというと、またもイリャソバ。要するにアンテトクンポがいなくてもイリャソバが穴を埋めたわけです。

〇前半のイリャソバ

14点 FG6/10 8リバウンド

 

そんなわけでオフェンスの機能性がなかったラプターズ。レナードがいないことはそんなに関係ないかな。シュートが決まらなかった。レナードもあんまり決まっていないし。ベンチメンバーがFG1/15ではどうしようもなかった。加えてスターターもラウリー&シアカムが3P7本全て外しました。2人ともタフショットは打っていないので、決まっていればディフェンスも広がっただろうし、大きな差になったね。

ディフェンス面は裏をとられることが多く、それは何でかというとSF2人の不在は響いているかも。シアカムが21.5分もプレーしているのだけど、代役になり得る人材がいなかったということです。モンローを使うのも違うし、同じポジションの選手が2人同時にいないのは苦しいわ。

完全なるバックスペースを、点差だけは何とか一桁で保てた形なので、勝負は3Pが決まってからかな。決まる前に終わる可能性も否定できない。

 

アンテトクンポの代役はイリャソバがいたけど、レナードの代役のアヌノビーはいなかったよという前半なのでした。

◉変わらぬ弱点

後半もバックスのムーブに対して有効にチームで守れないラプターズ。それはちょっとらしくないぜ。なんのためにシアカムとイバカなのかわからない。なお、大体イバカ周辺で崩されている。大声でファールアピールするけど全くコールしてもらえないイバカ。頼りになるようでならない男。変わらずフリーの3Pが決まらないシアカム。役割逆に出来ないのかね。

イリャソバが3Pを決めるのですが、両チームの差はほぼここという雰囲気。ドライブして収縮させたときにキックアウトするとしっかり決めるイリャソバと決まらないシアカム。あぁプルアップが決まらないラウリーも問題か。ブレッドソーが3Pでリードを守っていきます。で、インサイドに詰めるシアカムはロペスの餌食に。でもロペスは広がっているからブログトンのレイアップにはノーヘルプ。

 

ここでちょっと昨シーズンのラプターズを思い出しましょう。とっても強かったラプターズ。しかし、どうしてもキャブスに勝てない。キャブスというかレブロン。あとウエストブルックにも好き勝ってされましたし、実はバックスもFG56%決めた試合で大勝しただけで接戦にされる。

共通点はレブロン、アンテトクンポ、ウエストブルックの存在。ディフェンスの良いチームなのだけど、それはチームで守るのが上手い特徴があります。で、この3人を相手にすると個人が簡単に抜かれてきてしまうから、チームディフェンスになる前に破壊されてしまう。些細だけど大きな差が生まれる一瞬早く抜かれてしまうディフェンス。そこからヘルプにでてもキックアウトされるレブロンあるある。

管理人はデローザンからレナードにかわってオフェンスよりもディフェンスの重要性を感じるのですが、まさにそんな弱点があったからです。加えて言えばアヌノビーは割と止めるのだけど、スイッチさせれば関係ないみたいな。無力の選手が何人かいるラプターズ。

 

この3Qはそんな空気感が出ていて、ブレッドソーに抜かれるのが早すぎてヘルプが間に合わない。間に合わせるとキックアウトされていく。パウエルをマークにあてるのだけど、スクリーン1つで結構簡単に。もういっそのことヘルプなしにして、ブレッドソーのミス待ちで良いのだけど、そんんあ諦めは出来ないのがラプターズ。

だから点差は徐々に離れていくのでした。好調を肌で感じているであろうバックスの面々。オフェンスが上手く行くから何も迷わない。特別シュートが決まっているわけではなく、フリーを作る動きが機能している良さがあるのだよ。

 

ところが元気なマラカイ・リチャードソンが登場するとこれが間に合ってしまって、イバカのブロックから速攻で何とか離されないことに。なのでブーデンフォルツァーはさっさと交代させ、今度はブログトンがゆっくりと作っていく形に変更し、ヘンソンへのアリウープを通し、ディフェンスからスネルの3P、ブログトンのレイアップで14点差に。メンバーが落ちていくほど強くなっていくんですが。

まぁラプターズもベンチメンバーになって前半以上に酷い。ラウリーを残しておくのだけど、そもそもラウリーもシュートが決まっていないし。武器がバランチューナスのポストしかないラプターズ。しかし、全然決められないバランチューナス。どうしたのかバランチューナス、そしてヘンソンのディフェンス。ドリブルすら出来ないデロン・ライト。

最後はディヴィチェンゾが3Pを決めてバックスの15点リードで3Qが終わるのでした。酷いぞラプターズ。

 

◉おしまい

バランチューナスの個人技で始まる4Q。ちょっと警戒しているのかロペスをスタートから使っているのは細かいけど大切そう。ラプターズはちょっと諦めているというか「どうせ3P決まらないならさ」みたいな雰囲気でマラカイとロレンゾ・ブラウンにデロン・ライトを使っています。スタータークラスを並べるバックスvsサードユニットクラスの選手で一発逆転を考えるラプターズ

15点差をキープしたのでスターターを戻したけど、そしたらミドルトンに連続3P決められるので、もう踏んだり蹴ったり。残り7分ありますがおしまい。シアカムとラウリーのシュートが決まらないラプターズに追いつくだけの爆発力は無いし、点差が開いたからバックスの3Pが外れまくる気もしない。

 

◉予想外のバックス

バックスはここまで機能するとは勢いって怖いし、イリャソバとブログトンの判断力に堅実性という武器ね。おそらく両チームの間にあった差はシアカムがフリーの3Pを決められなかったことと、イリャソバがしっかり決めたことだけだと思う。しかし、それだけの差を自分達のリードに変えることが出来たバックスは素晴らしかったよね。

極論言えば「シアカムを無視する代わりにインサイドを塞ぐ」というディフェンスだけだし、「イリャソバが空いたら躊躇わずパスをする」オフェンスだけなんだ。でもそれを間違えないことが大切。なお、だったらイリャソバの方を徹底して抑えるパターンがあるのだけど、それにも失敗したラプターズ

正直、アンテトクンポがいなくなったら終わると思っていたバックス。ビックリしてしまったよ。HC交代したことでブログトンの復活はまぁわかるけど、他の選手までドライブ決めるようになったりするのは理由がよくわからない。戦術的な部分だけでなく、モチベーションなんかも大切なHCのお仕事って事かな。

 

ラプターズはCJマイルズが△26点、バランチューナスが△21点ととにかくベンチが酷すぎた。スターターもマイナスだけど、それはラウリーの3Pが外れまくったからという程度なので、気にするほどの要素ではないような。ラウリーの3P9本全て外れました。

しかし、選手層の厚さがラプターズの武器だっただけに内容的にはちょっと不安だよね。いないのはヴァンフリート、レナード、アヌノビーの3人だけだからラプターズがここまで苦労する理由には乏しいのだけど、代役が待ったく機能しなかった。ラウリー含めて。

特にデロン・ライトは2年のブランク明けみたいなプレーぶり。実は深刻な右手周辺のケガなんじゃないか疑惑すら沸いてきます。ここまでハンドリングも悪ければシュートが曲がる選手を起用した理由はなんなのだろうか。

 

ディフェンスの良いチームであったはずのラプターズ。それがチームの強さを支えていて、破壊されると余りにももろいチームでもありました。ちょっとその部分には変化がないんだな。なんでアヌノビーがいないのかも知らないけど、いくらなんでも落ちすぎているディフェンス力

3Pで広げるのが一般的なオフェンスになった中ではヘルプをどうやって減らすのか、パスアウトを防ぐのかがディフェンスには大切になっています。個人を突破されると簡単に崩壊してしまうディフェンスシステムは顕在だったラプターズ。ACも交代しているだけに、不安要素なのか、違うスキームを作れるのか。

 

〇3P

バックス 19/45

ラプターズ 9/42

単にシュートが決まったかどうかではないよ。そこに至るまでの過程が大事なんだ。だけど、この試合は同じくらいのアテンプトが示すように、どちらもボールを回してフリーで打っていて、決めたバックスと決められなかったラプターズ。止められなかったラプターズと止める必要が無かったバックスでした。

注目度も低かったけど、内容もしょぼかったぞラプターズ。

 

クレイ・トンプソンに3P24本打たせて14本決められるチームよりはマシか。ほぼ1分に1本の3P打たれているとか、どういうことだよ。カリーがやりすぎだから、鬱憤晴らしに打たせたにしては多すぎるわ。52点のうち42点が3Pとかおかしいだろ。おかしいのはブルズね。

 

2018/10/30 バックスvsラプターズ” への4件のフィードバック

  1. アデトクンボがいない分、老け顔ブログドンとベテランイリャソバの判断力に加えて、ミドルトンの勝負強さとディビンチェンゾの動きの良さが光ってて面白い試合でした。
    そして最近のブレッドソー、君別人だよね?ってくらい暴走癖がなくなってるんですがブーデンホルザーが制御してるんですかね?(笑)

    1. でもこないだ試合の最後に自分のターンオーバーになるのが嫌でロペスに押し付けて、しかもスティールまで稼ごうとしてましたよ。今は連勝しているから気にならないだけかも。

      ディビチェンゾはもう少し詳しく書こうかと思いましたが、思ったよりも速く機能していますし、何よりもこのオフェンスにフィットする選手でしたね。シュート力を活用するビラノバっぽいのかも。それを使えるブログトンといい、上手く回転しています。

    1. ブーデンフォルツァーの問題はプレーオフなので。
      その兆候はこれまでの試合でもでていますし。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA