2018/10/28 キャブスvsペイサーズ

ケビン・ラブの時代がやってくるのかと思ったらケガ多すぎ

◉オスマンとキャブス

勝てないキャブス。しかし、内容はそんなに悪くない。

ボールを回す事を考えているというティロン・ルーの言葉通り、パス交換から始まるキャブスのオフェンスはレブロン時代の名残としてしっかりと逆サイドまでスペーシングされているので、形が出来ています。イメージとしては「崩し」がレブロン1人で済んでいたのを3人が絡まないといけなくなったくらい。そこをパス交換でチャンスを掴むのだから悪くない。

しかし、精度が低い。例えばローポストからコーナーにラブが構えてボールを呼び込む時にディフェンスがフェイスガードしてくると、ハイポストのトリスタンを経由して裏パスを狙うよくあるハイローのプレーがあるのですが、トリスタンはパスが下手すぎてボードに当てたりします。レブロンにもたせていたのは「確率が高い」からではなく、「ミスが少ない」からじゃないか疑惑すら沸いてきます。

 

この試合でも序盤から良いパス交換で崩しを行い、逆サイドへのキックアウトで3Pパターンが多く出てきます。非常に良い流れはラブがいないことでラブに気を使わなくなったことと、ポストでウケてくれる選手がいなくなったこと。そしてペイサーズディフェンスとの相性の良さを感じさせます。

基本的にプレッシャーをかけてくるけど、そもそもパスを捌いてしまうキャブス。そして収縮してくるとすかさず逆サイドなので素晴らしきオフェンスに。セットオフェンスの質の高さはレブロンがいなくなっても継続されるのかな。

そんなキャブスの中心にいるのは何故かオスマン。このオスマンの評価は難しい。

何故かというと、しっかりとパスを回す中でオスマンはちょくちょく自分で持ちたがる。ボールを止めるレブロンの流れ。そこから良いパスも出てくるから良いプレーをしているとも言えるし、オスマンってそんなスーパースターだったっけ、とも言える。実際にそこでボールが止まるから、ロドニー・フッドまで循環しない。これはあれね、ウィギンズみたいな問題。

オスマンが「良いアクセント」となるなら効果的だけど、レブロンになるなら実力不足なのです。この試合の序盤はアクセントになったので機能したよ。だけどフッドは消えていたよ。悩みに悩んで契約したフッド。悩んだ理由がちゃんとあったし、これで良いのか未だに悩んでいそう。

 

◉オフェンス改革をするのか?

ペイサーズの課題はオフェンス。パターンが少ないシステムはオラディポの個人技とサボニスの見事な合わせだけが武器で、ただ周囲のアンセルフィッシュなプレーと献身的なハードワークでフォローしていくからチームオフェンスにはなっているだけ。あとは基本的にディフェンスからの速攻で勝つ。

プレーオフで敗戦するとネイト・マクミランはウォーリアーズvsペリカンズの観戦に訪れるなど、オフェンス改革を実行したそうに見えていました。その影響なのかオラディポが目立たない今シーズン。オラディポ頼みを減らすことが目標な訳だ。おそらく特に試合の前半はチームオフェンスを強く意識して、終盤になってからオラディポなのだと予想。

 

しかし、いまいちピリッとしません。核が足りないオフェンスは、ちょっと何をしたいのかそれぞれが迷うような。お得意のターナーによるピックプレーをあまり使わず、ボールを動かすのだけど、でも高速パス交換みたいな流れでもない。カッティングをするけど、タイミングが合っていないというか、実はシステマティックに飛びこみすぎていて読まれているというか。

キャブスの方が良いオフェンスをしていて、劣勢になるのだけどそうなると速攻でオラディポが決めて追いつくみたいな。結局はディフェンスからの速攻が持ち味。がんばろうオフェンス改革

 

セカンドユニットに移行していくと、サボニスやジョセフが登場するので連携が向上します。ところがどうしたことかミスしまくるサボニス。キャッチミスにゴール下ミスと連発し、オフェンスが良くならない。でもターナーだとそこにポジションとらない。

マグダーモットに打たせるパターンもあって、まるっきりコーバーなんだけど、ある意味それがあると全員が同じ意識でプレーしていて良かったよね。核があるって大切。でもマグダーモットはコーバーほどは決めてくれないので難しいんだ。

やっぱり最後はディフェンスからの速攻で取り返すパターンになっていくのでした。よくもまぁそれでそんなに得点取れるよね、ってくらい見事に速攻にして行くのだよ。ペイサーズの素晴らしさとキャブスが「レブロンがミスをしない」ってことがどれだけ大切だったのかってことと。ザ・戻らないチーム。

リーフやサムナーみたいな選手も積極的に使っていくので、オフェンス改革と共にチームもまた焦っていないよ。

 

◉勝てないキャブス

キャブスの問題はこうやって速攻を食らいまくることなんだけど、要するにチームとして整備されていない部分が多い。攻守の切り替えにそれはよくある。ディフェンスリバウンドの時に全員がゴール下に集まって、ロングリバウンドは誰もとれないとか、両コーナーに人を置くのにオフェンスリバウンドに2人行くから簡単にカウンターを食らうとか。

勝てない理由は他にもあって、コーバーパターンは顕在なのだけど、ユニットがセクストン、コーバー、JRスミス、クラークソンにナンスという4ガードにするから、ボールは動くしドライブも効果的だけどフレアスクリーンやらなんやらが全く混ざらなくて、回されても追いつくとか。

今のところスターターとセカンドユニットはほぼ分離体制。分離する利点が殆ど感じられないぜ。たまーにヌワバが出てきて、全くローテーションに入らないのがフライとジジッチなのでビッグマンがいないわけではない。まぁあれだね。例の奴だね。

だからまぁレブロンいないと勝てない。それはなんとなくあの突破力とかアシスト力がなくなった不安な気がしてくるけど、どちらかというとオフェンスでPG、ディフェンスでPFというガードを多くしても問題なかったポジション特性とスティールからの速攻をあまり食らわなかった理由が大きいような。

 

オフェンスが良く出来ているけど、ミスから速攻を食らいまくるキャブス

オフェンスが整備中でダメだけど、なんだかんだ速攻で逆襲するペイサーズ

一般的なイメージとは逆だろうけどキャブスの方が良いプレーをして、でもペイサーズのお得意パターンになるので60-55と互角で前半が終わります。どちらもターンオーバーが11を超えているのだけど、ペイサーズは自分達のミス、キャブスはペイサーズのディフェンスに奪われるって感じ。

レブロンがいない悩みとオフェンスを改革したい悩みと。

◉ペイサーズの調整

ペイサーズはターナーとヤングがアウトサイドでボールをもった時にボグダノビッチがゴール下にカッティングが2回出てきます。これが1つの狙いという後半開始のプレー。そしてターナーとのハンドオフを利用したプレーも使ってオフェンス改革の兆しが。ターナー、ヤング、サボニスをアウトサイドでのポスト役にするプレーパターンが1番合っていそう。ハンドオフ、ピック&ロール、カッティングの組み合わせ。そして最後はオラディポみたいな。

プレーの狙いをハッキリさせて、動く量を減らしたペイサーズの流れを止められなくなるキャブス。シュートも決まらず、オフェンスリバウンド頼みになっていきます。オフェンスリバウンドだけは優秀なトリスタン。だけどオスマンがアクセントではなく持ちすぎに。二桁リードにかわります。

 

もう1つのペイサーズの調整は慌てずにアウトサイドにしっかりと広がった事で、1回スイッチを促せばミスマッチを維持できるようになったこと。前半は動きすぎていたので、マークを戻されていた。ジョージ・ヒルが上手いんだ。

ヤングが高さのミスマッチでターンシュートを決めれば、オラディポがスピードのミスマッチでドライブレイアップと、個人技だけどチームとしての狙いがある形も混ざってきます。広がってカッティングの有効利用と、ミスマッチの有効利用の2本立て作戦で明確になっていくオフェンスの狙い。キャブスのラインナップ問題も大きいけど、ペイサーズの整理が効いてます。

お得意のディフェンスからの速攻がでないけど、徐々に点差を広げていくペイサーズ。1本ドフリーにしたマークミスがでると即タイムアウトの周知徹底も忘れないよ。ジョセフも出てきてターナーを使っていく。逆にサボニスが出てこないってことで、やっぱりターナーを活用するのがハーフタイム挟んだ狙いなんだろうね。サボニスが出てきたと思ったらターナーじゃなくてヤングと交代だ。珍しいコンビにしてきたよ。

 

◉良いことばかりは続かない

バスケあるあるなんだけど、良いことばかりは続かないのが今シーズンは傾向として強くでています。理由は調子が良いと足が動いてプレッシャーかけるけど、ファールコールされるって事。厳しくなっているどころか、なりすぎているファールコール。ペイサーズもその罠にハマっていき、そしてナンスが上手くインサイドを攻めていくので点差が縮まります。

レブロンがいなくなって思うのはトリスタンが下手くそだということ。多くのことをレブロンに任せることで利用価値の高かったトリスタンだけど、全員でボール回してってやると所々で下手な部分が足を引っ張る。それに比べるとナンスは上手い。周囲を見回しているし、空いたスペースに飛びこむ感覚もある。何度もナンスを経由するオフェンス。

というか、ベンチが4ガードならトリスタンもベンチの方が良いのになぁ。

 

せっかく手に入れた二桁リードをファールで潰していくペイサーズ。結局3Qは5点差で終わるのでした。明確にペイサーズの方が良い内容だったのにそうはならないのが怖い。ナンスを経由しないとフリースローでしか得点出来ないようなオフェンスのキャブスだっただけに。

ペイサーズは期待し過ぎちゃいけないってのは、ディフェンスの良さと層の厚さで強豪相手にも接戦に持ち込んで勝てる強さがあるけど、逆に内容で上回っていても突き放せないっていう部分があるから。まさにそんな感じの内容で4Qを迎えることになります。

お得意のセカンドユニット攻勢で勝負を決めたいんだけどね。

 

そういえばタイリークがなんかやらかして不在だったペイサーズ。それが関係しているのか、キャブスが4ガードだからかは知らないけど、サボニスの1センターになって、またもディフェンスリバウンドの確保が怪しくなります。マグダーモット、ボグダノビッチとそんなにリバウンド強いわけじゃないしね。3人のPFが優秀なだけにSFのリバウンドはペイサーズの泣き所なのかもしれない。

そして運が悪かったのはクラークソンが良い日だったこと。連続3Pで追い上げていきます。好不調の並が激しいシューターを揃えているキャブスは、その試合で好調な選手を探していくのもまた狙いなのかもしれないけど。何の脈絡もない3Pを決められるのは苦しい。

そんなわけで残り8分でオラディポとヤングを戻してユニットのバランスを元に戻します。途端にディフェンスが良くなり24秒オーバーに追い込むのでした。

 

◉勝負所ってどうするのか

全般的に良かったとしているキャブスですが、勝てない理由のもう1つは結局の所、最後の4Qどうするのかってこと。フッドとナンスが個人技で決めていくように、最後はやっぱり個人でどうするかって事に戻りがち。そこにレブロンがいなくなったのだから、苦しいに決まっているし、そもそも昨シーズンもアーヴィング不在が響いたのはそんな部分だったよね。

それでも何とかしていくフッド。1Qにオスマンが目立って、4Qにフッドが目立つのを狙っているなら良い形なんだけど、スタッツをみるとここまでフッドは4Qに出番すら与えられていないみたいなので、ラブもいない試合で偶然出てきた形っぽいね。

言い換えれば1Qでオスマンのアクセントになるプレーでフッドが消されていた証拠でもあるので、本当にアクセントなら良い形で、持ち過ぎならダメな要因になりえるオスマン。

 

そしてもちろんペイサーズはオラディポ中心にハッキリします。

明確に広いスペースを与え、サボニスとのパス交換で攻めていくオラディポ。ここまで大人しかったのは作戦通りでしょう。そこも含めてオフェンス改革ね。スタッツ的にそうなっているのかと思ったら、4Qのプレータイムが短くってそうでもなかったけど。

オラディポの突破とサボニスの堅実なゴール下でリードを広げていくペイサーズ。残り3分半で15点差にする予定調和。波乱は何もなく試合終了になるのでした。

 

そんなわけでペイサーズがやりたいであろうオフェンス改革は未完成そのもの。効果的なカッティングを混ぜ込みたいのだろうけど、タイミングがあまりあっていないのと、そもそもシューターのSFにやらせているのでどうだろうか。

ただ、ターナーのシュート力を含めてアウトサイドに起点を作るパターンは機能しそう。多分、オラディポとボグダノビッチの役割を入れ替えた方が上手く行く。マグダーモットがもっと決める事と、タイリークがちゃんと働けばって感じ。そんな簡単じゃないか。

とはいえ、ディフェンスからの速攻を武器にし、最後はオラディポで勝負していくわけだから試合を通しての戦い方としても出来ているわけで、オフェンスがよくなって3Qまでに得点差をつける試合展開をどれだけ増やすことが出来るかが勝負かな。

ちなみにバックスはそれをやっているよね。で、点差をつけられなかった試合は負けそうになるんだけど、最後はアンテトクンポで何とかするっていう。デュラントのウォーリアーズも同じ。ペイサーズは昨シーズンからの流れがあって、その部分を伸ばすのでは勝率は上がってこないと思いますが、そうではない所に突破口を求めているので、伸ばすかもしれないし、苦労するかもしれない。

だから期待しすぎるなと。

 

〇ペイサーズ

FG 65%

ターンオーバー 15

スティール 13

FG65%ってなんだよ。おかしいだろ。その代償が前半のターンオーバー11だったのだけど、後半はターナーのポスト利用とオラディポに託すという方針を打ち出したから4つに抑えられました。スティールからの速攻という変わらぬ武器を使って20点を稼ぎ、そこに加えたいオフェンス改革。

3Qまでの点差を考えると上手く行ったのかどうか、ちょっとよくわかんないけど、トータルでは良い数字でしたね。ていうかキャブスはちゃんと守れや!!

 

〇キャブス

FG47.5%

オフェンスリバウンド 16

ターンオーバー 15

これで107点しかとれなかったのは何故なのか。6人が二桁得点で、しかも16もオフェンスリバウンドで救っているし。キャブスは内容は悪くないだけに、あまりにも結果が伴わないのは苦しいね。ラブがいなくなったから尚更目立ったけど、4Qの戦い方が整理されればここまで勝てないってことはないんじゃないか。

やろうとしているオフェンスは悪くないと思うんだけど、所々にレブロンの影をちらつかせるのが悪いところ。もっと明確に違うチームとして戦えば良いのにさ。だから気になったオスマンとトリスタン。「それはレブロンがいるときのプレーだろ」っていう。

ちなみにオスマンは6つのターンオーバー。2Qからは持ちすぎにしてペイサーズの餌食。トリスタンのリバウンドはオフェンスが5で、ディフェンス0って・・・レブロンがいないと使えない。ナンスはオフェンス3にディフェンス9だぞ。

 

そして例によってオフェンスの事しか考えていないようなユニットの組み方はなんなのか。4ガード+ナンスをいつまで続けるのだろうか。全員で戦って、ベンチメンバーもファイトするペイサーズ路線に進むのだと思ったけど、そうでもないんだよね。バランス悪い。

まぁ言うまでもなく、問題がありそうなのはそういうことだよね。

 

2018/10/28 キャブスvsペイサーズ” への4件のフィードバック

  1. ペイサーズはここまで6試合、前半はずっとオフェンスのパターンを探っているような戦い方を続けていますね。この焦っていないところが頼もしくも感じます。昨シーズンはオラディポ不在時は全敗でしたしね。前半と後半で整理されてくるのも見ていてわかりますし、点差以上に安心感はあります。
    今日はタイリークが練習遅刻のペナルティで遠征に帯同を禁じられていたのですが、タイリークがいるとサボニスとのPnRを今でも上手にやってくれているので、連携がブラッシュアップされてくるのが楽しみです。スピードで抜いていくオラディポとテクニックで抜いていくタイリークの対比は見ていてとても楽しいです。

    キャブスは想像していたよりも悪くはないですよね。相変わらずディフェンスがイマイチなのは変わりませんけれど。ラインナップの問題が大きいと思うので、今シーズン中ルーが持ちこたえられるのかが気になるところです。

    1. 昨シーズンは結果が求められておらず、今シーズンは結果が当然視されている不思議なチームですが、マクミランの落ち着き方は何とも言えず。采配は怪しいのに、何だかんだ取りまとめてくる感じが面白いチームです。
      ターナーとサボニスの違いで変化を作っていたチームが、今度はオラディポとタイリークでも違いを作るのだからまた面白い。

      オフェンス改革はちょっと楽しみなので、観る方も焦らずに観ていこうかなと。キャブスのディフェンスは何とかなるのかなぁ?

    1. さすがに可愛そう。
      レブロンいないなりに頑張ろうとしてたのに。
      ここで起きている問題はこれまでと何も変わらない問題なのに。

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