2018/10/05 プレシーズン レイカーズvsキングス

立場に大差なかった両チームは今では大きな差が生まれました。どちらの道が正しいのかは若手達の成長度にもかかっています。

 

◉キングスのスターター

フォックス、ヒールド、ジャクソン、ラビジエリ、コーリーステイン

ボグダノビッチはケガで離脱なので憂鬱なヒールドが加わっています。それは良いのだけど、バグリー&ジャイルズではなく、昨シーズン干され気味だったラビジエリが出ているので、なんだかよくわかんない。プレータイムをシェアするのは確実だから、ユニットの相性なのかもしれませんが、バグリーを中核にしないのは勿体ない。

 

キングスもまた3Pを打たないチーム(28位)として有名で、しつこくベーシックな組み立てをしたがるし、ポストに預けるのが第一歩みたいなプレーをしていましたが、なかなかどうして、ヒールドとフォックスが小気味よくアウトサイドから打っていきます。2人で3P8/14と決めまくりました。

若い選手が多いのにペースが遅いチーム(30位)だった昨シーズンを反省するのか、チャンスなら打つ意欲が出ているのでした。もっともマークがついていたら打たなそうだから、レイカーズのマークミスでもある。

ヒールドとフォックスがベンチに下がると3Pではなくミドルばかりになりますが、それでも躊躇いなく打っている感じはあるのでした。ベン・マクレモアみたいな選手も加わったので当然の流れなのかも。

17分で18点5アシスト1ターンオーバーとほぼ完璧だったフォックスは、得失点差+10を記録しキングスにリードをもたらしました。ボグダノビッチがいるとボールを持つ時間が長いので、ヒールドとのコンビの方が機能しています。個人的には3人を2ポジションにあてこむ形が最も良いと思っているので、プレシーズンとはいえフォックス&ヒールドコンビが機能したのは良いこと。

 

 

◉レブロンとイングラム

レブロンのポストアップ連続からスタートするレイカーズのオフェンス。ロンゾがいないことでイングラムがPG役ですが、ハートとレブロンがいるので「初めにボールをもっている」程度の存在だと思いましょう。

管理人はトップではなくポストでレブロンが起点になる形を絶賛していましたが、その形にPGイングラムの相性は非常に良さそう。圧倒的な高さがありながらPGなので、カットプレーにドライブ全てで高さ勝ちしています。スピードも兼ね備えたプレーはとっても効果的でパスがこなくてもイングラムがカッティングするだけで、ディフェンスは逐一ポジション調整する必要があります。

サイズのある選手をイングラムにつければ解決しますが、そうなるとレブロンをどうするのか。SGみたいなスキルセットのPFクズマもいるので、レイカーズ相手でミスマッチを発生させないのは難しい。サイズの優位性がレイカーズの大きな武器になりそうです。

 

しかし、ハーフコートオフェンスは予想以上に戦術レブロン。

PG役はしないけど、ほぼレブロンのプレーメイクから始まる形はシュートの上手いハートやクズマの存在で形になっています。形にはなっているけど、それは戦術レブロンに合う選手を集めたキャブスほどではないよね。シューター専門職連れてきた方が機能する。

そんなわけでイングラムは大きなメリットを享受し、それ以外はまぁ普通。悪くはないよ普通レベル。だからレブロンはもっとミドルレンジでのキャッチ&シュートをすべきかと。速攻に参加してくるのはとっても怖い。

 

◉バグリー&ジャイルズ

総入れ替えみたいな形でベンチメンバーを出してくると、それはバグリー&ジャイルズ中心の形に。合わせのドライブ、アシスト、速攻と何でもやるのがバグリー。そのスピード感を加速させるセンターのジャイルズのコンビでランニングゲームになっていくキングス。ただ、両者がズバッツにブロックされており、スピードを戦術的に活用するところまでは出来ていません。ランニングゲームになっただけ。

このシーンだとジャイルズはどう動くべきだったのか。

2Qになって3ガードにすると、アウトサイドありインサイドの合わせありで、ちょっと魅力が出てきたので、まだまだこれから整理していく感じかな。

バグリー&ジャイルズのインサイドコンビの速さと万能性は高く評価しているし、フォックスはリーグ最速PGの1人で、ヒールドのシューティング能力はスプラッシュブラザーズに近い。しかし、それらをどうやって組み合わせていくのか。

イェーガーの遅いペースとランドルフ頼みのシステムは大嫌いだけど、細かい部分の合わせを学ばせるのは非常に良いこと。それはゆっくりとした仕掛けの中でタイミングを合わせていたけど、このメンバーは早い展開の中で正確に合わせられてこそ活きると思うので、進化して欲しいのでした。

 

2Q残り5分からフォックス、ヒールドのガードコンビにバグリー、ジャイルズ、コーリーステインというビッグラインナップも使ってきたキングス。バグリー&ヒールドがペリメーターのレブロン相手でも恐れずにディフェンスする姿勢があり、オフェンスでもバグリーが万能なので使える形。機能していなかったけど。

ヒールドとフォックスの3P、バグリーのスピンムーブ&ワンと昨シーズンのキングスからは考えられなかったオフェンスを連発して非常に楽しいチームになってきました。

 

◉レイカーズのベンチ

レイカーズも全員がベンチに。なんでだろうか。突如としてプレーメイカーがランス・スティーブンソンのみになると、好き勝手していくランス。昨シーズンもパスは素晴らしいのだけど、自分で行くのには課題があったからこそ放出されたのにな。

ニックスでアンセルフィッシュになったと評価されたビーズリーだけど、それはチーム全体がそうだから機能したわけで、あまりボールがこないビーズリーは浮いた感じ。ロンドかロンゾが復帰すれば解決するのだろうけど、現時点では苦しいメンバーでした。

次第にランスにボールを渡さなくなるとチームの循環が良くなります。これが難しくて、なんでボールが渡らないかというと単に速攻が増えたから。それだけディフェンスが良くなったのだからランスの存在感は重要。だけど、一方で頻繁にマークの受け渡しミスが出てフリーの選手が生まれてもいます。ビーズリーが埋めて上げる事もあるのだけど、システムが定まっていないのか、ヘルプのルールが整備されていないのか。

頻繁にインサイドが空くのをズバッチのブロックが助けることもあるのでした。レイカーズは別にセンターに拘る必要ないと思っていましたが、ちょっといくらなんでもインサイドでフリーを作りすぎなので、この雰囲気ならリムプロテクターを複数用意しておいた方がよい。

 

走るキングスがリードを奪ったけど、レイカーズがスティールからの速攻を連発して追いつきました。ヒールドに対してボールと逆サイドでもフェイスガードしており、インサイドを犠牲にしてもプレッシャーをかけています。

肉を切らせて骨を断つとばかりに、多少のフリーは諦めてもプレッシャーから速攻を目指すのか。それはキャブスのレブロンを見慣れていると違和感だけど、狙ってやっているのであれば悪くはないです。ウォーリアーズのランニングゲームとは意味が違うことは忘れてはいけないよ。

 

前半最後にレブロンラッシュで逆転するのだけど、シーズンでも勝つためにこんなことが混ざるイメージなのかな。そのためのユニットは考えておいた方が良さそう。なお、逆転はしたけどその前にキングスは主力をベンチに戻していました。主力が残っていてもレブロンは止められなかったけどね。

 

◉元に戻る後半

レブロンやフォックスなど両チームのエース格がお休みになった後半は、昨シーズンまでの両チームに戻っていきました。インサイドに預けていくキングス。クズマやハートの個人技で攻めていくレイカーズ。たったの12分で早々に退場するラビジエリ。

プレシーズンも僅かに3試合目ですが、レイカーズがレブロン流になっている雰囲気を強く感じるのでした。なんせ、レブロンがいなくなるとイングラムは目立たなくなり、クズマとハートは目立ちまくる。いろいろな事が出来る選手が存在感を減らすというレブロンマジック。シューターとしては優秀だったケビン・ラブみたいな。

折角、有望な選手が揃っているのでレブロンがいない時間にこそクズマ&ハートをプレーさせた方が良さそう。一緒にプレーするのはスタートの数分とクラッチタイムだけで。逆にKCPやランスはレブロンと同時起用にした方が輝きそうだし。

 

そんなわけでルーク・ウォルトンが整理すべき直近の課題は2つ。

・ローテーションをどう考えるのか

・どこまでリスクをとるディフェンスをするのか

細かいスキルやシステムというのではなく、戦略的な部分を先に考えるべきなのは、やっぱり昨シーズンとは違うよね。揃えてきた戦力は非常に面白いメンバーだと思いますが、それだけに組み合わせによっては大きな違いが出てきそう。全体的にサイズがあってプレッシャーもかけられるディフェンスも面白いだけに、どんなマネジメントにするのか。

なお、試合はキングスの3Pが全く決まらなくなったことでレイカーズペースになっていきます。そして足りなかったリムプロテクターにジョナサン・ウイリアムスというゴンザガ卒のドラフト外ルーキーが活躍しています。高さはないけどスピードについていけるし、オフェンスリバウンドを3つ奪いました。

 

 

前半のキングスは非常に魅力的。サンズの方がかなり上だと思っていましたが、そうでもなかった。イーストなら8位の座を目指せるのではないかと思わせる充実した戦いぶり。しかし、後半はちょっと・・・。ランニングゲームに移行できませんでした。

フォックスがいなくなるとオフェンスの組み立てが稚拙で、思い切りも悪くなってしまいました。特にジャスティン・ジャクソンは何をしているのか。それでも何となく得点がとれたのは、バグリーの個人技を中心にやれることがあったから。

レイカーズ同様にディフェンス意識の高さと、その割には守れない状況も関係してきます。チームとして何をするのかが、前半と後半で違うのはヒールドやフォックスが個人の判断でやっていたからなのか。

 

4Qになるとビッグマンに預けて任せるスタイルが顕著になっていき、それをミドルも沈めるジャイルズが得点にしていきます。古き良きイェーガースタイルにして、決まっている割にはリード出来ないキングス。ランドルフの匂いがしてくる戦いぶりは、ディフェンス勝負なんだよね。

ディフェンスもバグリー&ジャイルズだとオフボールスイッチも繰り返して現代的な守り方になるのだけど、コーリーステインがいるともう少し考えないといけません。これは悪い意味ではなく、守り方も工夫できるようになってきました。

ただオフェンス面はアウトサイドの威力が混ざって機能していた前半と、インサイド押しでつまらなくなった後半と。スピードとスキルを兼ね備えた良いビッグマンが多いだけに、もう少しチームとして活用する前提のシステムを導入しないと苦しいです。ポストアタック勝負だったらシャック最強なわけで、その形でスピードを活用するってちょっと違うよね。

 

また現状ではボグダノビッチだけでなく、ビエリッツァとヨギ・ファレルもプレーしておらず、さらにはランドルフとクーファスのベテラン陣の起用もわかりません。前半のメンバーは良かったけど、才能を感じる若手が揃いすぎていてプレータイムを削らないで欲しい。+5人も起用する余裕はないよ。こちらも32番ガブリエルというドラフト外のルーキーセンターが3Pまで決めて活躍していたぜ。

3Q終了時点で96点はプレシーズンとはいえキングスらしくなかった。走れるメンバーを揃えてタイミングの良いチームプレーが出来れば3年後が楽しみです。

なお、イェーガーは「バグリー&ジャイルズの同時起用はまだ早い」とか「ランドルフ&クーファスのプレータイムは減る(つまり起用する)」など、あまり面白くない発言をしているっぽいので期待しすぎないでおこう。根本的にランニングゲームが嫌いなんだよね。

 

レブロンを加えたレイカーズが勝利に近づく反面で、レブロンの形で活躍する選手が変化してくること

若手達だけでランニングゲームの形を作ろうとしているキングス

勝率で上回るのはレイカーズだろうけど、試合の面白さはそれとは違う部分があるのさ。

 

◉終わらなかったクラッチタイム

試合はなんか適当に終わると思ったら、最後まで接戦が続き、キングスはバグリー以外はサバイバルの選手達が、レイカーズはレブロン以外の主力が出てきます。レイカーズの方がしっかり決めていくけど、キングスはインサイド陣がオフェンスリバウンドを押し込んでいき、互角で進みます。

「イングラムがレブロンがいなくなったら目立たなくなった」と書いたけど、前言撤回です。クラッチタイムは見事なまでに大活躍。それをキングスも粘り強く入れ返すのだから、プレシーズンとはいえ見応えのある試合でした。しかしシーズンになるとこの役割はレブロンが担当するんだ。それをどう捉えるかなんだ。

キングスのインバウンドをイングラムが3回キックボールで止めて4回目にスティールしたんだけど、これってテクニカルの対象外なのかな。教えてレフリーの人。

 

最後はイングラムが2つのフリースローをミスしたけど、クズマがリバウンドを押し込んで勝利を確定したのでした。危なかったイングラム。

 

両チーム共に若手が躍動して面白い試合でした。若手と言っても昨シーズンから中核的な役割だった選手達は落ち着き払ったプレーをみせており、やっぱりプレー機会があるかどうかって大切です。

そして毎試合のようにドラフト外のルーキーが何かしら活躍するのだから、渡邊雄太も頑張って下さい。ただ、グリズリーズはなぁ・・・。

 

2018/10/05 プレシーズン レイカーズvsキングス” への10件のフィードバック

  1. レブロンがコートにいる時は基本的に、PGはロンドかロンゾを出しておくのが良いかなと思いました。PGイングラムはやるとしても終盤で良いかと。

    ディフェンスは課題ですね、チームの決まり事が定まってない感じはしました、主にヘルプの面で。
    ディフェンス構築に優れたACがいないみたいなのでちょっと心配です。積極的にプレスをかけていくスタイルは良さげでしたが。

    ジョナサン・ウィリアムス良かったですよね、開幕ロースターに入れて欲しいです。

    1. ディフェンスは個人の部分ではなくチームの部分なんですよね。
      そこから手を付けると聞いていた割には。

      ロンドはともかくロンゾが融合するイメージがわかないのですが、サイズとディフェンスがあれば、レブロンに任せられるのでやりやすいのかな。
      イングラムはレブロンが居ないときに起用した方が伸びるのかもしれません。

  2. ロンドと一緒のときのレブロンは、それほど戦術レブロンをしていないので、今度分析して頂きたいところです(笑)
    ロンゾもイングラム同様サイズがあるので、レブロンと一緒に出ているときはコーナーから上手くカットして得点を取ってくれないかと期待しているのですが、大学時代みたいに。1試合と2試合目まではマギーが非常にいい感じでした。ただランスとうまく絡ませられていないのがもどかしいですね。
    そしてギャンブル気味のDFは、果たして完成度の高い西のチームに通用するのだろうか…

    1. ロンド自身もペリカンズで大きく変化しているので、上手く合わせそうです。
      あのパスを受け取ってくれたアンソニー・デイビスの不在を感じないと良いのですが。

      インサイドのサイズが気にならなくなってきた一方で、ガード陣にサイズがあるメリットが大きくなってきました。
      その点でもレイカーズが集めたロスターは期待が持てます。あとはシステム的に有効に使えるのかどうか。

      ギャンブル気味にする意味は走るためでしょうが、サイズがあるのだからギャンブルしなくても・・・。

  3. キングスはマジックのようにエンドレス再建モードにならないといいですけど
    若手は揃ってても引き上げるにはレイカーズとかウルブズみたいに
    スーパースターを連れてくるしかないんですか?

    1. キングスは別にスーパースターは不要なのでは。ウルブズはカルチャーで大失敗していますし。

      そしてキングスの問題は選手ではなくフロントにあります。そこがマジックの匂いがしてしまい・・・。

  4. イングラムはレブロンのお蔭で少しスタッツ伸びるくらいだろうと正直舐めてたんですが
    個人のスキルとボディバランスが向上しててちょっと嫌(厄介な)選手になりそうだと感じました
    まああそこはロクに戦術管理されてないんでチームとしては頭打ちになりそうですが

    1. ロクに戦術管理されていないチームって、レブロン効果が発揮されやすいのでは・・・

      1. これは笑いました。ルークのディテールの詰められない能力の低さが、逆にレブロンにとっては本当にいい加減の戦術レベルなのかもしれませんね。それを見越して来たのかな?(笑)

        1. 実際、若手達に「こう動け!」と言いやすい環境ですよね。ロンドなんかそれでHCとケンカしまくってきたのに、レイカーズではバスケIQの高さを賞賛されているみたいな。

          レブロンではなく、ペリンカがそれを見越している可能性はありますね。

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