動かなかったバックス

アンテトクンポは「ミルウォーキーを愛している」と言うけれど、地元記者は「FAになったら出て行く」と自信を持っているそうです。「どうせ田舎には定着しないだろ」というローカルな人たちの卑下した感覚はどこの国も同じなのかな。

 

◉補強はHC

 

バックスの結末は2年連続同じでした。そこまで奮わなかったシーズンに比べると優勝候補を追い詰める強さを魅せながら、でもやっぱり勝てないプレーオフ。そんな空気感を打破するためにジェイソン・キッドをクビにしたはずなのに、このオフの動きは堅実というか、物足りないというか。

【獲得】

ブルック・ロペス、アーサン・イリャソバ

【放出】

ジャバリ・パーカー

 

他にもディビチェンゾやカニントンといったシューターを補強しており、ひとつ一つの補強に関してはチーム状況を考えた良いものでした。しかし、ジャバリ・パーカーの放出を考えるとチームとしてアップグレードを考えたとは言い難く、躍進を期待させる要素に乏しいチームです。

最大の補強はホークスを強豪に仕立て上げたブーデンフォルツァーを新HCに迎えたこと。タレント不足だった昨シーズンのホークスですが、やっている内容は素晴らしくHCの力量の高さを感じさせてくれました。内容・実績とも申し分ないHCを迎え入れた事は素晴らしいですが、優勝を狙うとなると話は大きく変わってきます。

 

ブーデンフォルツァーは素晴らしいシーズンを過ごす反面でプレーオフで勝てないHCでもあります。単純にタレントが不足していてアイソレーションが増える形に耐えられないともいえます。元ホークスの面々はやっとホーフォードが活躍したくらいで、移籍先でもプレーオフで結果を残したとは言い難かったりするのでHCの責任だけには出来ませんが、チームオフェンスが優れているからこそ、スーパーエースは育たないイメージもあります。

しかし、バックスには既にスーパーエースがいます。アンテトクンポの存在はブーデンフォルツァーの欠点を補ってくれるかもしれません。ただ、そのためにはまずはチームが強くなり、プレーオフで勝ち進めるだけの実力をつけなければいけません。

プレーオフで成功するかどうかは置いといて、まずはチーム状況をなんとかしないといけないのだから、正しいHCを選ぶことが出来たバックスです。

◉売り時だった選手達

 

バックスのメンバーは割と穴がなくて、その代わり大きな特徴にも欠けています。唯一、アンテトクンポだけは大きなプラスと苦手なシュートで構成されているかもしれません。だからこそプレーオフでは弱点を晒すことが少なく、最後まで戦えたわけですが、プレーオフを勝ち進めるとも思えないのでした。

補強された選手達はブーデンフォルツァーによって、効果的に組み合わされるはずです。

アウトサイドシュートでディフェンスを引き出し、アンテトクンポを助けてくれるブルック・ロペスはコーナー3Pを増やしてくるでしょうし、イリャソバは多くのポジションをこなし、多彩なスキルでチームに幅をもたせてくれます。

ディビチェンゾやカニントンは未知数の部分もありますが、純粋なシューター役としてパスアウトを待つのではなく、自分から積極的に仕掛けていきます。それはバックスには足りなかった要素なので活躍を期待したいです。

 

しかし、彼らはあくまでもロールプレイヤーの域を出ない選手達です。唯一、ディビチェンゾには長い期間の活躍が期待されますが、他の選手達はまずは1シーズンを戦い抜くための戦力でしかありません。バックスの問題はブレッドソー、ブログトン、スネル、ソン・メイカー、そしてミドルトンという中軸を担わせる選手達にあります。

どの選手もスターターレベルにはあるけれど、アンテトクンポを擁して優勝するという先を見据えたらもう1段階上の選手が欲しくなります。ジャバリ・パーカーを逃したのは痛かったわけですが、ケガのリスクがあった中では致し方なかったとして、逃したのであれば何らかの動きをするべきでした。

 

本来は都合が良かったのはバックスはサラリー総額はそれなりですが、1人ひとりのサラリーは割とお手頃でした。一番高くてもブレッドソーの15Mで、それも残り1年です。他の選手達を加えればトレードは可能だったはず。ブログトンやソン・メイカーに興味を示すチームもあったと思うので、もう1人の核となる選手を求めるべきでした。

確かにこれだけの層の厚さを誇るチームは少ないかもしれませんが、層が厚いというにはプレーメイクしてくれる選手を欠いており、チームは停滞する時間が訪れます。つまりはアンテトクンポに頼りすぎるチームになってきているのです。

ちょっとジリ貧になりそうなバックス。アンテトクンポを手放したくないのであれば、ディビチェンゾやミドルトンが大きなステップアップをする必要があります。

 

◉プレーオフは堅い

 

とはいえ、プレーオフへは確実に進めそうです。優秀なHCに的確なロールプレイヤーを集めたのだから、エースのケガさえなければ6~7番目のスポットに入ってくるでしょう。ラプターズ、セルティックス、シクサーズの上にいける気は全くしません。

 

〇レーティング

オフェンス 107.8(7位)

ディフェンス 107.1(17位)

 

オフェンスが7位にいたというのはかなり意外な結果です。ただ弱いチームからの取りこぼしが少なく、逆に強いチームにはなかなか勝てなかったので、数字ほどのインパクトがありません。メンバーに大きな変化がないので同じような成績を残せるはず。

ディフェンス面は改善の必要がありますが、そこはインサイドの補強がプラスに働くでしょう。層が厚くなったこととシュート力が高まったことで余計な失点も減りそうです。爆発力は感じないですが、攻守両面で少しずつ改善してトータルの成績を向上させてくると思います。

 

あとはアンテトクンポが試合終盤にどこまで勝利をもたらすかです。プレーオフではそれだけの価値を示していましたが、シーズン中はそこまで存在感はなかったので。

ここでもロペスとイリャソバの獲得は柔軟性を持たせてくれます。試合終盤になると各チームがスモールラインナップになる傾向を考えるとイリャソバの存在は、アンテトクンポをセンターで起用する事を可能にします。それはゴール下でこそ強さを発揮するアンテトクンポを強く押し出してくるはずです。

 

〇ノーチャージエリアのアテンプト 9.3本(1位)

昨シーズンはリーグで最もゴール下が多かったアンテトクンポは、その確率も71.5%と高くパワーと高さとスピードを全て兼ね備えています。にもかかわらずFG53%に留まったのは、リングから離れるとシュートが決まらなくなったから。

確かにこの面ではオフのトレーニングは重要ですが、試合終盤になればアンテトクンポにはアウトサイドから打たせるのではなく、インサイドの強さを十分に発揮させ、周囲の選手がパスアウトを決めていくことの方が効率的です。

相手のラインナップに合わせて外から射貫くロペス、イリャソバを起用出来ることは、接戦での強さに繋がると考えています。

 

攻撃力 ☆☆☆

守備力 ☆☆☆

HCはポテンシャルを最大限に発揮してくるはず。しかし、ポテンシャルがものすごく高いかというとそんな気はしないのです。攻守共にトップクラスまで引き上げたらHC有能すぎ。

 

勝利の美酒度 ☆☆☆

先行投資度 ☆☆☆

勝つけど勝ちまくることはなさそうだし、コレクティブな内容になるだろうけど、だからといって予想を超える何かをもたらすこともなさそう。

 

スター選手度 ☆☆☆

若手有望度 ☆☆

アンテトクンポ1人の存在だけで3つくらいは☆がつく。しかし、若手達はどうかね。

 

戦術期待度 ☆☆☆☆

チーム成熟度 ☆☆☆

HCの内容には大いに期待しよう。そして同じメンバーで戦っているのでHCは変更しても成熟度は低くならない。

 

スーパープレー度 ☆☆☆

+アルファ度 ☆☆☆

どっちも「アンテトクンポは凄いけど・・・」と言いたくなってしまう。ただ、前述の通り試合終盤になって支配するアンテトクンポという構図が増えてくるかもしれません。そこには大いに期待しているのでした。

 

もっと動いて良かったと思うバックス。動かなかったことがどんな結果をもたらすのか。というか、フロントはどんな結果を求めているのか。中位安定になる危険性をはらんでいるバックスです。

 

プレシーズンでは意外にもイリャソバ、アンテトクンポ、ロペスを同時起用する形を試しました。ビッグラインナップでディフェンス面をアンテトクンポのスピードで補っていました。相手がブルズでロペスツインズ対決だったため、あまり参考にならなかったけど。

これまでよりも3Pを効果的に混ぜてくるチームオフェンスの片鱗はみせており、大崩れしそうにありません。問題は強豪相手にも勝てるだけのポテンシャルを発揮出来るか。言い換えれば爆発力も欲しいバックス。

プレーオフのミドルトン、ポテンシャルはあるソン・メイカー、ルーキーのディヴィチェンゾ、ともすればジミー・バトラーを連れてくるのだろうか?

 

 

動かなかったバックス” への16件のフィードバック

  1. もっと補強は動かなくていいのかなって思ってましたけど意外とそうでもないというか
    スクリメージやプレシーズン(まだ1戦だけですけど)見た感じ、かなり人とボールが動いていてオフェンスはかなり印象変わってますよ。
    スペーシングは勿論、連動してカットする動きが増えたのでハンドラーも生き生きしてました。
    プレシーズン相手がCHIってこともありますけど、中々面白いので是非試合をご覧になって記事にしていただきたいです。

    1. チームシステムとしては全面的にHCを信頼しておけば、大丈夫だと思いますし、安定感のある試合運びになるはずです。
      しかし、プレーオフでアンテトクンポのみで勝てるかどうか。

      良いチームなのは既にわかっていて、優秀なHCで強化されます。でも、先々を考えたら動いて良かったかなと。

  2. そろそろ結果を出さないとチームの主力にそっぽ向かれまるリスクがあるけど
    あまり大きな補強をすると逆に動けなくなるので
    今年は大きな補強よりもHCとロールプレイヤーで魅力的なチームの土台を作って
    来年以降はFAのスターに来てもらおうというということなら納得できます。
    バックスに限らずスモールマーケットってFAが寄り付かないので地道なプランが必要

    1. FAでスター選手が加入してくれますかね。それが可能なら良い選択ですが、契約の軽い選手を利用して誰かを獲得しておくメリットがあったかと。
      来オフで契約が切れる選手がいるので、そこの判断は重要になりそうです。

      ソン・メイカーやブログトンはルーキー契約切れたら、サラリーが上がって動きにくくなる気もするので。

  3. MILのスターターでいまいちピンと来ないブログドンって
    ROYに選ばれるくらいいい選手なんですか?
    PGにしちゃアシストやハンドリング凄いわけでもないし
    SGにしちゃ点取れるわけでも守備職人なわけでもなく
    良かったら解説お願いします。

    1. ただひたすらに賢い選手です。攻守にわたって穴になる部分をポジショニングで埋めていくのが上手く、相手の逆をとってしまうので攻守に厄介な選手です。
      キッド時代に難しいシステムを採用していたのでブログトンの重要性は非常に高かったのですが、HC交代で少し簡単なシステムに変更したので目立たなくなりました。
      穴が出来やすかったけど、それをブログトンが埋めていたキッド時代と、穴が出来にくくなったからブログトンの必要性が低くなったのでした。

      この2つの動画を観るとブログトンの重要性がわかります。

      https://youtu.be/DuT_ASDaXI8

      https://youtu.be/ZP3E-7jqrOU

  4. 17-18シーズンはシクサーズよりは強い感じがしましたけど、今シーズンで逆転されますかね
    POで爆発したミドルトンのスコアリングはある面では極まってる様に思いますが、彼にさらなる成長を期待できるのはどのような面ですかね

    1. ミドルトンの成長って難しいでしょうね。それよりも典型的なミドルレンジシューターなので、チームとして明確に活かしていく必要があります。
      ブーデンフォルツァーだとコーバーのように3Pを打たせる形を好むかもしれません。

      いずれにしてもムービングからのキャッチ&シュートをチームとして増やし、それにミドルトンが応えることが出来るかどうかです。
      ロペスやイリャソバがスクリナーをしてくれるので、活用したいところ。現時点でミドルトンにスクリーンを使うのが上手いイメージはありません。

  5. アデトクンボ・ミドルトン・ブレッドソー頼みのオフェンスだったのが
    オールアタック的な要素が加わればBOS・TORには及ばずとも東3位くらいにはなれますかね

    1. うーん、安定感はあるでしょうが、シクサーズ、ウィザーズ、ペイサーズに比べると武器が弱いですね。
      ブレッドソーがPGとして確変してくれないと。というか、ブレッドソーとブログトンはポジション変えれば良いのに。

  6. whynotさんはバックスは例えば誰を引き換えにどんな選手を取れてたら補強成功だったと思いますか?

    1. そう言われると難しいですが、今回の趣旨としてはサラリーダンプしたいチームに提示しやすかったかなという意味合いです。レナードやバトラー、ランドルといった売られていた選手以外だと

      マカラム、オット・ポーター、ドラギッチ、レジー・ジャクソン、ゲーリー・ハリス

      または若手有望株なんかを将来性考えて探しても面白かったかと。別に今のチームが悪いわけではなく、将来のプランをどうするかですね。

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