https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/column/mizutsugi/news/201808270000519.html
この記事で知ったMLBの新しい戦略「オープナー」が面白かったので、触れてみます。
先発投手のことを「スターター」と呼びますが、MLBのレイズは先発投手は短いイニングしか投げず、2番手が長く投げるようにしたそうです。そこで「スターター」ではなく「オープナー」という呼称が使われているとか。「オープナー」で始まり、「クローザー」で終わる形は防御率を大幅に改善しているとか。
管理人は野球に興味がなく、殆ど観ないし、さっきテレビつけたら10-1の8回だけど1人の打者、1球の時間が長すぎて3分で飽きました。それくらい野球の知識と興味がない前提で読んで下さい。
何故、「オープナー」に興味を持ったかというとコメント欄に興味深いことが書かれていたからです。
・先発の弱いチームはオープナーを導入すべき
9回をどの順番で投げても同じだからオープナーについてはすんなり受け入れられるのですが、「先発が弱い」という条件がちょっと理解出来ませんでした。ついでにレイズが防御率を上げた理由もわからない。そこで調べていたら、詳しく説明してくれているブログがありました。
http://blog.livedoor.jp/yamanaka25_1/archives/33175927.html
細かく数字を出して説明してくれており、むしろこのブログを読んでからオープナーを解説している解説者がいそうです。ご本人も「非常に読みづらい記事」と紹介されているくらいなのですが、うちのブログはNBAファン用なので、ちょっと省略しましょう。
オープナーを「1回限定」とすると非常に論理的だということがわかります。ポイントとなるのは大きく2つ
・上位打線は下位打線より強力
・同じピッチャー相手だと2巡目以降は得点率が上がる
「誰でも知っていることを偉そうに書くな」と言われそうですが、まさにそこなんですよね。小学生でも知っていそうな常識を論理的に戦略にとりこむと「オープナー」になるのですが、それが「新しい戦術」っていうのは、あまりにも斬新です。
マネーボールとかフライボール革命とかはデータ時代に導かれた戦術かもしれませんが、オープナーに関しては、もっと原点の部分で使われてよかった戦略なのが面白いのです。コロンブスの卵。
要するに1番から始まる上位打線には、短いイニングを抑える専門の投手を起用し、2番手(本来の先発の役目)は下位打線から担当します。1イニングは平均すると4人の打者を相手にするらしいので、先発投手はイニング数によって、これくらいの打者を相手にします。
5イニング 20人
6イニング 24人
7イニング 28人
これを9人で割ると
5イニング 2巡+2人
6イニング 2巡+6人
7イニング 3巡+1人
ということで、下位打線から始めれば5イニングなら上位打線とは2回しか対戦しないで済みます。
仮にオープナーが1回を3者凡退に抑えてくれれば、2回は4番打者からスタートし、6イニング投げても1番から3番打者とは2回しか対戦しなくて良くなるわけです。論理的にはね。7イニングで観たときに
①先発投手が6イニング+中継ぎが1イニング
②オープナーが1イニング+先発投手が6イニング
①だと先発投手の3巡目は1番から6番打者に対し、②だと5番から1番打者なので抑える確率が高くなると言うこと。その代わりオープナーは上位打線を抑えなきゃ行けないけど、その方が防御率は高くなる。
そんなわけで、常識的すぎる内容を戦略的に捉えたオープナーは非常に面白いし、自チームに良い先発投手がいた場合でも積極的に活用してよさそうなものでした。
◉NBAでもやっているよ
以前にローテーションで触れましたが、NBAも各チームが工夫しています。バスケの場合は
・スタミナが残っている方が良いプレーが出来る
という当たり前の公式が当てはまるわけですが、交代自由なのでベンチで休ませてリフレッシュさせれば再び元気にプレーすることが出来ます。ということは、良い選手はスターターで出して、疲れる前に休ませることを繰り返すのが、長いプレータイムを与えるコツなわけです。しかし、同時に
・セカンドユニットの方が弱い
というのも常識です。これを利用していくつかの交代方法があるのでした。
1.相手がセカンドユニットの時間にエースを出す
2.ベンチに強力なスコアラーをおく
2つめはまぁ6thマンとして、よくある話ですが、昨シーズンはチームのエースがベンチから出てくるというクリッパーズが際立ちました。ルー・ウイリアムスが止められない。他にもエースじゃないけどイグダラみたいな起用法もあります。
1つ目は特に印象的だったのはアンテトクンポ。細かく交代して個人アタックを繰り返すみたいな。
2つのポジションに3人の選手を用意してチーム力を落とさないロケッツみたいな戦い方もあり、スタッツやハイライトではわからない戦略的な面白さがあるのでした。
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こういった細かい工夫がNBAの場合、各所でみられるのですが、それを表現するのが難しいし、数試合だけの現象だと狙ってやっているのかも把握できないのが苦しい所です。そんな事を特に頻繁に実行するのがポポビッチだったりします。負けない戦術であり、ジノビリ活用法だったのでした。どうなるデローザン!
◉オープナーのもうひとつの利点
オープナーの話に戻すと、もうひとつ面白い特徴がありました。MLBは全160試合あり全試合9イニングだったとすると、1440イニングを12人の投手で賄うとしましょう。
5人の先発が1人あたり6イニング×30試合で190イニング
7人の救援が残りの490イニングを投げます。
仮に3人の優秀な救援がいたとして、5割勝つチームで半分の勝ち試合に投げさせると3人×80試合で240イニングです。その結果、残り4人が250イニングを投げることになります。
ケガとかを無視した計算ですが、いや、むしろケガを無視して初めて成り立つ計算になるわけですが、実際にはなんか柔軟性を欠くし、伸ばしたい若手のイニング数が短くなりがちです。
そこでオープナー制を活用したときには、役割分担が大きく変わるので12人の投手の負担が平準化されていくそうです。詳しくはめんどくさいから書かないけど、
先発投手として6回を投げる・・・2人
オープナーとして1回~2回を投げる・・・2人
第2先発(第3先発)として3~6回を投げる・・・6人
リリーフとして勝ち試合に投げる・・・2人
極論言えば、こんな使い方をしやすくなるわけです。
オープナー役が2試合に1回の登板だとしても、イニングが増えるし、その時の第2先発は4回と3回の2人で繋ぐなど、分担しやすくなる計算です。まぁ別に従来の先発でも分担すれば良かっただけの話だけど。
ネッツ、ブルズ、キングスあたりは似たような発想があり、プレータイム30分くらいにして多くの選手で分け合っています。伸ばすべき選手が多い、あるいは機動力重視で運動量が増えた現代NBAに対応した形ともいえます。実は注目しているのは後者の部分です。
「元気な方が良いプレーをする」というのが原理原則ならば、一部のスター選手を除いてプレータイムを分け合った方がチームとしては好成績に繋がりそうなのが今のNBA
代表格はペイサーズなわけで、誰もが納得してしまいます。選手の頭数で勝負する形はプレーオフでの結果が出ていないだけで、シーズンでは大きな効力を発揮しました。
オープナー制のように必ずしもベストの5人がスターターに名前を連ねなくなったNBAなので、そのうち勝負所の3Qはスターターになる選手も出てくるのではないでしょうか。vsウォーリアーズではカリー対策として有効な気がします。なので、特にディフェンス面で常にフレッシュなディフェンダーで追いかけ回す戦略が流行しないかなーと思っているのでした。
みんないろんな事やってきて面白いよね。
私は野球、バスケともに経験あるので、まず野球についてですが。
野球には、「先発投手が5回まで投げて、勝っている状態だと勝ち投手の権利が得られる」という(戦略的にはどうでもいい)ルールがあるので、それがこれまでネックに
なっていたのだと思います。
あとは先発が途中からだと、いつから投げるか分からないので準備がしづらい、先発は先発してこそ価値がある、などという古く融通の効かない価値観もあると思います。
野球のオープナーの記事を見たとき、固定観念さえ打破できれば、いい戦法だと思いました。
まあ、初回でオープナーが打ち込まれた時、次に準エースを準備してたりしたら、ローテーション間隔とかも重視するので、融通きかせられるか、とかが課題だと思いますが。
さてバスケでは、2000年代半ばぐらいから、主にセンターのケースが多かったですが、マジックて はないアービンジョンソンとか、マブス時代のエリックダンピアーとか、他にも結構そういう使われ方はされていましたね。
オープナー的な考え方に基づいてかは解りませんが、当時は不可解とかで片付けられてた起用法だった気がします。
その有効性に、気付くチームが増えてきたのでしょうか・・。
仰る通り野球と違ってバスケは交代してまた出してってことができるので
相手の交代戦略を先読みして相性のいい交代をしていく高度な読みと情報戦になっていきそうですね。
シーズン始まってから目の引く交代の使い方があればまた記事にしてください。
ウォリアーズのザザはまさにオープナーの役割だった気がします。
勝手なイメージですが、バスケでのオープナーの役割は他の4人がしっかりゲーム入るためだと思います。
ただオープナーのために貴重なロスター枠を使うべきか難しいところだと思います。
ただこれ、ある種のドアマット戦術といいますか、サラリー高くなる先発は他のチームに出して若手をもらう、そしてそこそこレベルの中継ぎの中からロングリリーフ出来そうな選手を集めてくる、というフロントの動きの産物でもあって。
NBAでいうなら、エースなしでもグッドプレイヤー組み合わせてどうにかならないか、みたいな話ですかね。
でも短期決戦になれば最終的にタレント力がものをいうのだ、レブロン48分出てBOSが負けるんじゃい、という話になるのだと思います。
NBAもシーズンとプレーオフの強さで違いがあるので、なんとも言えないですが、現行はレブロンがバランス崩しているだけで、層の厚さがモノを言うようになってきました。
偶然の産物でもありますが、弱いチームの方が思い切った実験をするのはNBAも同じですね。
サッカーもNBAやMLBみたいに有効なデータがもっと欲しいわ(単純なデータしかない)
バスケは攻守の入替が頻繁に発生するから比較検討し易いです。サッカーはボール保持率だけで20%くらい差がつくので、同じ土俵で比較し難いですね。