17-18シーズンプレビュー ラプターズ編

ラウリー&デローザンを軸に地道に力をつけ、2年連続50勝に到達しイーストのトップチームとして確固たる地位を築いたラプターズ。しかしプレーオフではキャブスに敗れ、チームの限界を感じたシーズンにもなりました。
敗戦後にはチームの文化を変える必要がある。とまで明言し、ディテールの変更を図っています。

ラウリーのFA移籍は留める事が出来、またイバカも残したものの多くのベテランを放出しました。

もう50勝を目標にする事はなく、シーズンを通じてチーム力を上げてプレーオフでの勝利だけを目指すチームになりました。イーストでそれを許されるのはキャブスとラプターズだけです。



前向きな後退

キャロル(トレード)
PJタッカー(FA)
パターソン(FA)

3人それぞれの理由で移籍しましたが、特に注目すべきはキャロル。ドラフト1巡目をつけてネッツに引き取ってもらった形です。随分と気前の良い話ですが、キャップスペースの方が大切と考えたのでしょう。
キャロルには多少の問題がありましたが、それでも堅実な活躍を見せていた選手達なので、その放出には驚きの面もありますが、チームの最大値を上げるためには、これ以上伸びないであろうベテランを放出する方針は賭けですが間違ってはいません。

コーリー・ジョセフ(トレード)

こちらは微妙な内容です。ペイサーズが強く欲しがった事もあり、本人の希望を叶えてあげただけかもしれません。
トレードではCJマイルズを獲得しました。得点の取れるSFで移籍したベテランの穴を埋める目的もあったのでしょう。



具体的に代役となりそうなのはCJマイルズくらいで、後は知らない若手達を起用する方針のようです。ロスターには5年のバランチューナスを境にキャリア3年までの選手がズラリと並びます。

それでもパウエルがブレークした様に、そしてブログトンが新人王となった様に、スカウトが適切な評価を下せればチームの5番手やベンチに相応しい選手を連れてくることは可能です。

なんだかよくわかりませんが、ラプターズは選手の能力を測るシステムを導入しているらしく、SNSを分析して性格面まで検討してくれるとかなんとか。
そんな人工知能ワトソン君を武器に、ラウリー&デローザンの強みを活かしながらも新たな可能性を広げていく方針の様です。プレーオフでチームに活力を与えたパウエルが示した方向性かもしれません。



ラウリー&デローザン

ウエストブルックの大活躍に対し、「チームを勝たせる事が出来なければ・・・」みたいな発言をする人がいますが、その視点で言えばラウリー&デローザンはスタッツ面でもチーム成績でも極めて高く評価されるべきでしょう。

◯ラウリー
22.4点 3P41.2%
7.0アシスト 2.9ターンオーバー

PGとして高い効率性をもたらし、多数のプレー選択肢を持っているのがラウリー。レーティング差異だとデローザン3.3に対し、ラウリー8.2とその重要性が際立ちます。

優勝したければスパーズにでも移籍すれば良かったけど、ラプターズに戻ってきたのでトロントのファンだけでなく最近のFA移籍に辟易していた一般のファンからも支持されそう。後は勝つだけなのですが。

◯デローザン
27.3点 3P26.6%
3.9アシスト 2.4ターンオーバー

現代ではかなり変わったタイプのデローザン。3Pはシュート全体の8%しか打ちません。アウトサイドなしでドライブ勝負するのは簡単ではないはずですが、ミドルレンジの正確性もあり、高度な技術で得点を量産します。

シーズン前に専門誌のプレーヤーランキングで46位にされ怒りをみせて奮闘しました。今期は36位ですがすぐ上にミドルトンがいるし、評価軸ブレブレのランキングです。

強いエネルギーを発するデローザンのプレーはチームに多大なパワーをもたらします。貢献度ではラウリーが上ですが、チームの魂はデローザンにあります。



高いチームの完成度

チームとして完成度が高いラプターズは主力の2人が欠場してもしっかりと戦うだけのベースがありました。

◯ラウリー不在 15勝7敗
◯デローザン不在 4勝5敗

当然、非常に優秀なレーティングを誇ります。2人のケガが少なければイーストのトップシードになっていたでしょう。

◯レーティング
オフェンス 109.8(6位)
ディフェンス 104.9(8位)
攻守差異 4.9(4位)

51勝したチームだけあり、攻守に優秀な数値です。攻守差異4.9はイーストトップの数値です。

◯アシスト 18.5(30位)
◯ドライブからの得点 24.2(1位)
*ラウリー&デローザン 15.8
◯ターンオーバー 12.7(4位)

特徴的なのは極めて少ないアシスト。ウォーリアーズ賞賛のイメージとは違い、アシストの多さと得点の効率性は関係ない事を示しています。代わりにターンオーバーを減らす事は重要ですが。

アシストが少ないのはドライブで得点するからで、ラウリーとデローザンに預けています。要はリスクを避けた堅実性の高いプレーヤーに任せるオフェンスを志向しています。

◯スティール 8.3(4位)
◯ファストブレイク 12.2(18位)

スティールの割に速攻が少ないのも堅実性の表れです。またこのスティールも相手を追い込んでのスティールが多くワンマン速攻にならない面も関係します。

ギャンブル的なスティールではなく、しっかりと守った上で収縮してボールを奪うのが上手いチームです。



目立つデータはこれくらいで高いレーティングの割には、様々な数値がリーグ平均レベルです。逆に言えば悪いデータも少なく、弱点を減らして強い部分で勝負しているチームです。

それがまたラウリー&デローザンを押さえ込まれた時に行き詰まりをみせもしました。プレーオフではバックスに押さえ込まれ、イバカはそれなりに奮闘したものの、打開出来たのがベンチにいたパウエルだった事が夏の方針転換に繋がっています。

弱点を減らす → 強みを増やす

この方針が成功するかどうかは、シーズン終盤に判断するべき内容なので、それまで勝率をキープ出来るかが今期の課題です。
あまり負けるとスターターの時間が長くなってしまうので。



優秀だったベンチ陣

前を向いてはいるものの、プレビューに当たっては不安要素が大きいのが事実です。前述の通りラウリー&デローザンの重要性は高いのですが、実はデローザンが出ていない時間の方が優秀だったりします。

◯デローザンのレーティング差異
オンコート 3.3
オフコート 8.3

この時、ラウリーは出ているケースが多いので、ラウリーを中心にしたボールムーブの効率性がありました。
特にストレッチ4のパターソンとSFロス→タッカー(シーズン途中でトレードで入替)が大きな差異を生みました。

◯レーティング差異
パターソン 10.9
ロス 7.5
タッカー 7.8

ロスはオフェンシブ、タッカーはディフェンシブと数字もハッキリ表れましたが、収支は同じくらいです。タッカーはラプターズに来てからは3P40%としっかり決めました。ラウリー様様です。
つまり両ウイングがワイドにポジショニングする事でデローザンがいる時よりも効率性が高かったわけです。

この武器を失った事は長いシーズンでは不安材料です。セカンドユニットの強力さは大きな意味がありました。



似たような事はイバカにも言えます。

イバカの獲得はディフェンスとリバウンドに期待してのだと思いますが、チームトップの4.2の被アシストを記録しました。3P40%決めた事もありオフェンスの改善が出来ました。
シーズン通してイバカが確率よく決めるかは怪しいのですが、それでも第3スコアラーとして、パスの受け手として機能しそうな事は朗報です。

シュートを打つポジショニングは怪しかったので、どう改善するのかに注目しています。



未知数の若手達

スターターと予想される5人を除いてキャリア3年以下しかいないラプターズの若手達。
まぁ正直予想はつきません。

ノーマン・パウエルはラウリー不在時に結果を残したので積極的に使われるでしょう。他にはデロン・ライトやルーカス・ノゲイラが多少の結果を残しています。
特にノゲイラですが、得点力はありませんがチームへの貢献は大きいです。

◯ノゲイラのスタッツ
57試合 19.1分
4.4点 FG66.0%
4.3リバウンド 1.6ブロック

◯ノゲイラ出場時のレーティング
オフェンス 112.6
ディフェンス 102.8

バランチューナスとの併用は出来ませんが、ガードのドライブ中心ならば有用な選手です。特にブロックは目を見張るものがあります。



そんなノゲイラはプレーオフでは出番をもらえませんでした。そしてずっとスターターだったキャロルをベンチにしたり、プレーオフに入ってからHCの采配が揺れました。

ラプターズはメインとサブがハッキリしているチームです。それは選手の組み合わせで強さが変わってくるチームでもあります。
足りないのはHCの柔軟性と、その柔軟性を活かした戦略作りです。

グリズリーズは長年若手が育たないと言われてきましたが、HCが代わり、スターター変更を日常的に行う事で育ち始めました。そしてプレーオフでは相手に合わせてベテランを増やす等、戦略の伴った柔軟性をみせめした。

ラプターズの場合はシーズンは固定され、プレーオフでは相手への対策のための変更でした。文化を変えるために、若手を育てるために、柔軟性ある戦略作りが必要になります。



まとめ

目標48勝
上位シードは確保したい。

◆ストロングポイント◆
◯ラウリー&デローザン
◯弱点が少なくチームで戦えるスタイル
◯地元の熱い声援

◆ポジティブポイント◆
◯組織として進める若手育成

◆ネガテイブポイント◆
◯ベンチの弱体化
◯読めない若手達

箇条書きにすると項目が少ないのは弱点が少ないということであり、夏の動きが少なかったことでもあります。
ラウリー&デローザンがいるので、5割を切るところにはいかないでしょうが、苦戦する期間も出てくるでしょう。
そんな時に出てくる若手がいれば良いのですが。

中堅どころでブレークしそうな選手も探しておくべきな気がします。



ベテランを放出して若手に移行するのは、オフェンシブな選択を目指しているとも言えます。若くないCJマイルズもオフェンスへの選択です。単に若返っただけでなく、ディフェンダーを放出しました。

そこで最も期待される若手でありディフェンダーなのが、ドラフト指名したOGアヌノビーです。ネクスト・クワイ・レナードなんて書かれた記事もあります。
長いウイングスパンとしぶとく守れる身体能力は下位指名ながらお得な選手だったと評判ですが、残念ながらまだプレーしていません。

オフェンスは2P70%と高いFG%を誇りますが、要はドライブしてダンクしちゃいます。それはデローザンと同時起用が難しいタイプかもしれません。
あるいはPF起用でイバカをセンターに回すか。ちょっと起用法には迷いそうですが、若手へのシフトを打ち出しているわけですから、しっかりと使って欲しいです。



そんなわけでラプターズは初めの2ヶ月はお試し要素満載のはず。それはそれで面白いけど、ある程度形になってから確認したいチームです。
ケガが多かったラウリーは肩の力を抜いてプレーしそうなので、そんな点も序盤戦の結果は気にしない方が良いでしょう。

しかし、いつになってもバランチューナスにスペース与えないんだよね。デローザンがエースのうちは無理なのかな。

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