2017 ファイナル雑感 気になった戦略編

ファイナル雑感です。それぞれの戦略について触れていきたいと思います。レビューの時点で対策をとるべきはキャブスとしています。その点ではキャブスの対応がどうだったのか、という視点が増えます。ただ、だからと言って「こうすれば勝てた」という指摘ではありません。どうやっても勝てなかったと考えています。

ハイスコアとハイペース

第1戦のオフェンス面での不調を受けてキャブスはハイペースを心掛け見事に玉砕します。その後はペースを落としていきます。感想でも何度も書きましたがキャブスはハイスコアは良いけど、ハイペースはダメです。
試合中の平均移動速度のデータをオフェンスとディフェンスにわけて見てみます。5試合全てに出場した選手は19人いました。

◯オフェンス平均速度 トップ10
リビングストン
カリー
クラーク
★デロン・ウイリアムス
マコー
バーンズ
クレイ・トンプソン
パチュリア
イグダラ
デュラント

オフェンスではキャブスの選手はデロン・ウイリアムスのみがランクインしています。見ての通りベンチメンバーの方が体力のある分動く傾向にあるのですが、カリーは例外です。

ちなみに10位のデュラントで4.53マイルです。キャブスの選手でシーズン中にその速度で走っていた選手はいません。


◯ディフェンス平均速度 トップ10
★バーンズ
トリスタン・トンプソン
ラブ
シャンパート
コーバー
★クラーク
★マコー
JRスミス
アーヴィング
★リビングストン

ウォーリアーズのオフェンスが早いため、こちらはキャブスの選手が多くなります。インサイドの2人は出場時間も長い中で走って戻っていた事がわかります。
ウォーリアーズ側はベンチメンバーしか出てきません。カリー&デュラントが出てるとシュート確率が高い事が関係していると思います。
こちらは8位のJRスミスが4.04マイルで、同じくシーズン中にこの速度で走った選手はいません。



 

ウォーリアーズ相手にハイペースで挑むのは多くのチームにとって有効な戦術ではありませんが、キャブスの場合は輪をかけて無謀です。

プレイオフチームのオフェンス平均速度
ウォーリアーズ 4.69マイル(1位)
キャブス 4.15マイル(15位)

そうキャブスはNBAの中でも遅い方なのです。なお、ウォーリアーズは速いですがブレイザーズやスパーズは対抗するくらいの速さはあります。(4.5マイル台)

シリーズ前からデータに表れていた事実なので、レッスン料に2試合も費やしたのはいただけません。



strength in numbers

ウォーリアーズのキャッチコピー。ファンの力も含めてみんなで戦う、みたいなイメージだと思います。もしもスイープしたら、この言葉を軸に書こうと考えていましたが、特に1、2戦はこの “数の暴力” が猛威を奮いました。

第1戦の前半で6人のベンチメンバーを使いました。結果8点リードで終わります。この試合はウォーリアーズも全くシュートが入りませんでしたが、ベンチを使いました。
第2戦の前半は7人を使いました。リードは3点です。ちなみにキャブスも5人使っています。

両試合とも後半にウォーリアーズが大量リードを奪いますが、主たる要因はスタミナ面で失速した事です。細かく言えば第3戦もウォーリアーズは後半でも6人使い、終盤のキャブスの失速に繋げています。(キャブスは3人)
接戦であっても迷いなく数的優位を使おうとするウォーリアーズの姿勢が良く見えてきます。

デュラントを始めとした質的優位が言われますが、“数の暴力” こそがウォーリアーズの真骨頂です。平均速度が示すように、ベンチメンバーほど速く走ります。クラーク、マコー、リビングストンがいるとそこら中でマークがズレています。カリーが得点出来る要因となります。

レブロン不在時のキャブスの不甲斐なさが注目されますが、それはウォーリアーズのベンチの強さでもあります。
ちなみにベンチメンバーですが、個人ではキャブスも劣りません。イグダラは実質スターターなので、むしろキャブスの方が豪華なんですけどね。
実際に比べてみてください。

キャブス
PG デロン・ウイリアムス
SG シャンパート
SF コーバー
SF デリック・ウイリアムス
(ジェファーソン)
C フライ

ウォーリアーズ
PG リビングストン
SG クラーク
SF マコー
PF ウエスト
C パチュリア
(マギー)

キャブスの方はプレイオフ出れないチームでありそうなラインナップ。ラブを入れれば、かつてのウルブズより強そう。
では、何故ウォーリアーズの方が強いかというとバスケはチームプレーを競うスポーツだからです。そしてウォーリアーズのベンチは10分〜15分しかプレーしない前提です。キャブスは30分出そうな選手ばかり。

“数の暴力” は単に選手を集めたのではなくて、試合の中で如何にして有効的に選手を使えるかが考えられています。



ジェリー・ウエスト

これを書いている時にジェリー・ウエストがウォーリアーズを離れてクリッパーズに向かうというニュースが入りました。
80歳を迎えようというのにウエストの眼力は衰えていません。今季のマコーは無理言ってトレードで獲得したらしいです。

GMではないのでどこまで関与しているか不明ですが、ウォーリアーズに入ったのが2011年。その年に11位でトンプソンを、翌年に7位でバーンズ、35位でグリーンを指名して今のチームが出来ています。

ショータイム時代のレイカーズ(トンプソン父も獲得)からシャックの獲得といった有能な選手を連れてくることも、無名選手を見つけることも凄かった。当時は疑問視されていた高校生のコービーをとるためにディバッツ出してしまうし、フィッシャーを始めとしてレイカーズのサポートキャストは有能だった。今のグリズリーズを形成したのもウエストだし。

とにかくビッグディールをまとめるのも、才能を見極めるのも史上最高な人。NBAのロゴマークの人。
ウォーリアーズの有能な、分厚い選手層を作るのに貢献しただろうから、三年後のチーム構成に不安が残ります。



カリーを攻め立てる。

昨季のキャブスはカリーを止めることでウォーリアーズのオフェンスを停滞させました。今季はデュラントがいるので簡単にはハマりませんが、それでもカリーを抑えられた第4戦に勝利しています。
カリーを抑えるのに大切な事はもう1つあります。それはオフェンスでカリーを狙い撃ちにする事です。第1戦ではその傾向はありましたが、何故かキャブスは試合中にその戦術を辞めました。自分達の強みを活かす事を優先した、といえば聞こえは良いですが、そもそも1つひとつのオフェンスで効率よく得点するのがキャブスなので疑問手です。

カリーのディフェンスデータ

2017ファイナル
被FGアテンプト数 7.4本 51.4%
うち10フィート以内 3本 60.0%

2016ファイナル
被FGアテンプト数 11.9本 44.6%
うち10フィート以内 6.1本 68.9%

カリーがマークしたのはJRスミスでバカみたいに3Pを決めたのでトータルの確率は今年の方が良いのですが、カリーをインサイドで攻め立てる事をしなかった事がわかるデータになっています。
インサイドでのマッチアップにする時点でスイッチさせているケースがほとんどなので、昨季も今季も非常に効率よく攻めています。しかしその回数は半減しています。

トンプソンを攻め立てる場面がありましたが、それをするならカリーを狙うべきなのは誰もが考える事のハズなのに、何があったのだろうか。



レブロンを攻める

FG%が高く得点も多かったレブロンだが、勝負所での弱さ、というか疲労が目立っていました。ウォーリアーズはとにかく走るため動かされています。

さらにレブロンがベンチだと負けてしまう状況が出場時間を長くしました。そんなレブロンに対してウォーリアーズにはイグダラ、デュラント、グリーンと守れる選手が揃っています。

しかし、デュラントを守れる選手がレブロンしかいない、というのはシリーズ前からの懸念事項であり、レブロンは7試合を戦うのは難しいという予想が多くありました。実際には1試合目から疲れていたので、半分正解というところか。

そんなレブロンのディフェンスデータをファイナルまでと比べてみました。

ファイナル
被FGアテンプト数 12.8本 57.8%
うち10フィート以内 10.6本 73.6%

ファイナルまでの13試合
被FGアテンプト数 12.2本 38.6%
うち10フィート以内 9.8本 35.7%

ファイナルはほぼデュラントのシュート確率と一致します。レブロンでも他の選手でもあまり変わらないデュラント。速攻を含めない分、レブロン相手の方が確率が高いくらいかもしれません。

キャブスファンからしたら信じられない数字でしょう。なにせ昨季、キャブスがカリーを攻めた場合よりも確率良く決められています。

ちなみにデュラントも50%を決められています。デュラントもファイナルまでは39%に抑えていたので、レブロンと対戦するのは楽ではなかったはず。まさに事前に予想された通りディフェンスの人数不足がレブロンを苦しませました。



管理人のレビューと結果を比較してみます。

◯対策するのはキャブス側。レブロンとアーヴィングでカリーを攻める、ディフェンスでも起点のカリーを潰すなどの対策がハマれば有利。
→カリーを攻める方向にシフトしなかった。ディフェンスで潰せた第4戦だけ勝利

◯ベンチが好調なのはキャブス。でもチームが機能していないと何も出来ないスペシャリスト達。ウォーリアーズはイグダラのケガが不安。
→イグダラは元気だった。そしてキャブスはスターターのシュートが入った試合だけはベンチメンバーも決めました。

◯ウォーリアーズは特別な策を用意しない(出来ない)。でもマッチアップの柔軟性がある。
→ディフェンスで疲れさせられたレブロンに比べ、デュラントには体力的余裕があった。終盤の効率性で上回った。



大体、予想通りに落ち着きますが、やはりキャブスが好調を維持できずにファイナルに入った感が否めません。そしてハイペースに持ち込むという謎の戦術をとった事がシリーズの流れを決定的にしました。

strength in numbers

それがウォーリアーズの勝因でした。そう考えるとやはりベンチメンバーも含めて健康で過ごせた事が大きいです。
そしてFA問題もあり、例えスターターの顔ぶれが同じでも、この強さを維持するのはそう簡単な話ではないかもしれません。

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