プレビューも時間の余裕を感じながら2回に分けて書きましょう。
何故か、イーストが先に開幕します。昨季も同じで7戦まで戦ったのに直ぐにカンファレンスファイナルが始まり、アイザイア・トーマス不在で苦しかったセルティックスでした。えっ今季はアーヴィングとヘイワードがいないって?それがどうしたセルティックス!テイタムとブラウンがいるじゃないか!?
◉今シーズンの成績
セルティックス 1勝 ー 2勝 キャブス
開幕戦のヘイワードの悲劇ではキャブスが大量リードを奪うもののセルティックスが驚異的な追い上げをみせましたが及ばず。第2戦はラブのFG1/11なんて事件もありセルティックスが楽勝。第3戦はトレード直後のキャブスが走って大勝しました。セルティックスとしてはかなり珍しい負け方をしましたが、ひょっとすると戦略を立てづらいトレード直後は実力差がでたのかもしれません。
セルティックスとしてはバックスのアンテトクンポとミドルトンに全く対応出来なかったように、レブロンのような機動力のあるパワータイプはかなり苦手にしています。同じ例になるか微妙ですが、アンソニー・デイビスも嫌いでした。
まずはレブロン関連から触れていきましょう。今季のセルティックス戦のレブロンハイライト
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◉マッチアップは誰か
アンケートしておきます。
アンテトクンポに苦戦したセルティックスにとってレブロンは苦手なタイプです。
第1戦のスタートでレブロンを守るのは誰か?
— whynot! (@whynot_jp) May 10, 2018
セルティックスにはエースキラーのジェイレン・ブラウンがいます。デュラントすら消してしまうブランですが、まさにアンテトクンポが苦手でした。そして同じくレブロンも苦手にしているのが、そのままセルティックスというチームに跳ね返ってきます。
セルティックスを書くときに、テイタムよりもブラウンばかり登場するのはそんな理由でもあります。エースの存在を消してしまうブラウンがいるかどうかで、ゲームプランは大きく変わってきます。
他にもフィジカルで対抗出来てしまい、昨季の対戦でも一矢報いたスマートがいるのでメインはこの2人のマッチアップになってきます。ただしスマートは今季の対戦では6回しかマッチアップしていません。これはスマートを使って他のミスマッチを解消すると共に、ローテーションからのヘルプディフェンスを狙っていると思われます。なのでメインはブラウンです。
アンケートでも触れたので一応触れておくと、テイタムについては相手エースを守ることは殆どありません。ひとつにはそんなディフェンス力はないこと。もう1つにビックマン対応が多いことです。逆に言うとビックマンとしてレブロンにマッチアップさせる可能性もありますが、オフェンスで活躍してもらうためにディフェンスで負荷をかけないでしょう。
ホーフォードはあり得ますが、スタートはラブを担当するのでメインマークではないはずです。勝負所でのホーフォードは見物です。
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〇今季のレブロンvsブラウン
マッチアップ数 57回
得点 19点
DIFF -3.2
わずかではありますがブラウンはレブロンを通常のマークマンよりも抑えています。ちなみにこのプレーオフだと他の選手達はこんな感じです。
ボグダノビッチ 267回 81点 (0.30点/回)
ランス・スティーブンソン 112回 45点(0.40点/回)
アヌノビー 170回 74点(0.44点/回)
ブラウンは0.33点/回なのでランス・スティーブンソンよりも守れています。その特徴は大きく2つあり、ひとつはチェイスでボールを持たせないことと、もうひとつはシュートを落とさせる技術が高いことです。
基本的にパワー系が苦手なのはこの技術が通用しにくいからです。動いてボールをもらうのではなく、がっしりポジションとられるとパスカットはし難いし、押し込まれるとシュートを落とさせることに繋がらないからです。
そしてもうひとつ関係してくるのがペイサーズが行ったレブロンをフィジカル面で追い込んで疲弊させる作戦もブラウンの得意なパターンではありません。
優秀なディフェンス力を誇るブラウンなのでレブロンを通常よりは抑えるものの、しっかりと止める事は苦しいことが予想されます。
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◉ペイサーズがやったこと
ペイサーズが行ったのはレブロンはある程度諦めておき、周囲との連携を阻害することを優先しました。それでいてボグダノビッチとランス・スティーブンソンによる嫌がらせ攻撃を加えてミスを誘い出していきました。
前提となるのは全員のディフェンス力でレブロン以外を止めてしまうことです。ラプターズに快勝したことで「キャブスの他のメンバーも調子をあげてきた」と捉える方もいますが、そもそもキャブスは4月にはいってから絶好調でした。
そんな絶好調を個人個人の戦いで止めてしまったのがペイサーズであり、レブロン以外も自由にしてしまったのがラプターズです。
その中で特に重要だったのはオラディポのカバーディフェンスです。
周囲を守ってくるならばレブロンに個人勝負させれば良いのですが、ペイサーズはターナー、ヤング、サボニスのヘルプによる二段構えがあります。そこでラブをアウトサイドで構えさせてインサイドでレブロンにスペースを与えました。そんな時に広いスペースを埋めていたのがオラディポのスピードです。
もしもブラウンがレブロンに張り付くのであれば、全体を大きく開いてインサイドのパワー勝負にするはずです。そのときにスペースを埋めるのはビックマンよりもスピードのある選手達になります。
セルティックスにはロジアー、テイタム、スマートがいるので高速ヘルプは意識するはずですし、ペイサーズ並にヘルプを効かせることが出来ます。
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前述のレブロンとのマッチアップにおいて、実はアヌノビーよりも周囲の方が問題ありました。それぞれがマッチアップしているときのレブロン個人ではなくチームの得点はこうなります。
ボグダノビッチ 267回 263点
ランス・スティーブンソン 112回 117点
アヌノビー 170回 230点
計算するまでもなくラプターズとペイサーズに大きな差があったことがわかります。こうみるとボグダノビッチとランス・スティーブンソンにはそこまで大きな差はありませんでした。ブラウンの場合はこうなります。
ブラウン 57回 56点
つまりブラウンのディフェンスに対してレブロン個人は攻める事が出来るようでいて、チームとして上手く抑えています。ペイサーズとは全く違う守り方ですが、ペイサーズ並に守れてしまうわけです。
こりゃあセルティックスが勝つね!
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◉モリス問題
プレーオフのモリスはFG35%と急ブレーキになっています。実はそもそもウィザーズのモリスの方が殆どの数字で上回っており、セルティックスの注目度と重要な局面で打たせてもらっているだけで、優れているわけではありません。双子の片割れの方が活躍しているよ。
そんなモリスはオフェンスで大きな問題を抱えているプレーオフですが、そもそもディフェンスはもっと酷い。おそらくアーヴィングよりも問題です。バックスはこのモリスを狙いまくりました。
〇レブロンvsモリス
マッチアップ 55回
レブロンの得点 24点
キャブスの得点 64点
明らかにチームとしても個人としてもカモにしています。1マッチアップあたりの得点が多いことはもちろんですが、注目すべきはマッチアップ数の多さです。55回はブラウンと同じレベルです。つまり完全に狙われているモリス。
キャブスとしてはスイッチを促してしまえば問題なく得点出来ます。加えてスイッチの対応も非常に悪いモリスです。ラプターズもマイルズが単に守れないだけでなくスイッチディフェンスの連携が全く取れていませんでした。なんで起用したのかレベル。
そんなわけでキーポイントになりそうなモリス。
ディフェンスではレブロンに狙われ、オフェンスではチームを止める急ブレーキ。重要な場面で起用されるならば尚更苦しいよ。クラッチ勝負で攻守に問題になりそうなモリス。
こりゃレブロン、じゃなくてキャブスが勝つね。
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ペイサーズのように守れそうなセルティックスですが、ペイサーズの場合はボグダノビッチからスイッチさせてもより苦しいマークマンがやって来るときすらありました。しかし、セルティックスはモリスだけでなくロジアー、テイタム、ベインズと誰でも良いからマッチアップ変更させてしまえば良い一面もあります。
ブラウンとスマートさえ外してしまえば収支は悪くない。ラプターズレベルのオフェンス力があるチームならば簡単ではありませんが、セルティックスのオフェンスなら大丈夫とも考えられます。
ポイントはセルティックスのスイッチディフェンスとローテーション
これはシリーズ通じてのお互いの対応が求められます。第1戦では終わらない続いていく戦いです。
基本的に対応していくのはセルティックスが上回るのですが、ここで苦しくなるのがケガ人問題です。オジェレイは使えますが、ラーキンまでケガで離脱しているセルティックスが7戦シリーズでレブロン相手に強度を保ったディフェンスが出来るのか。
レブロンを巡る戦いは互角で終わりそうなのでした。互角ってシーズンと同じくらいの活躍と言うこと。プレータイムが長い分30点くらいはとれるかな。
別にキャブスも層が厚いわけじゃないけどね。フッド問題とかやばいよね。毎年毎年よくこんなにチーム内で揉めることが出来るよね。
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第1回ってこれくらいで十分な気がしてきました。長くなると焦点ズレてくるし。
重要なのはセルティックスはペイサーズ並に守れるのかと言うこと。それはディティールをみれば十分に可能なデータです。
その一方でペイサーズよりも弱点(モリス)がハッキリと存在し、ペイサーズよりも層が薄いセルティックスの問題点があります。
ここにアーヴィングがいたらどうだったのかね?
弱点がもうひとつ増えたことになったでしょうが、一方である程度やられてもアーヴィングのオフェンスで取り返せる算段も出来ます。それはモリスには苦しそうなこと。
次回はセルティックスのオフェンス編
アーヴィングはいない方がいいチームのセルティックス(テイタムがイキイキしてます)。
ただロジアーも決してディフェンスのいい選手ではないですからそこは鍵になると踏んでます。
アーヴィングと違って守ろうという気概は感じますがね。
ロジアーはヘルプ狙いでスペース埋めてくれるのが良い部分ですね。ルーズボールへの反応力があるので守備範囲が広くなります。そこがアーヴィングと大きく違います。
それこそオラディポ的なディフェンスを期待しています。