アジアカップ 日本vsオーストラリア

フィリピン戦で渡邊のケガがありながら勝ち切った日本。それもイラン戦の中途半端な采配から須田をスタートに入れたオフェンス重視の戦い方で制しました。まさかの須田な大会になっていますが、今日は張本が渡邊の代役です。

相手はWindow3で大敗したオーストラリア。ただオーストラリアは予選リーグを圧倒したとは言い難く、重要性の低い大会なので若手中心っぽい大会です。デラベドバもいないよ。若手っていってもギディもジョシュ・グリーンもダイソン・ダニエルズもいない。シモンズ、でてこいや。

◎打ち勝つしかない

オーストラリアは早速、富樫相手のポストアップをし、パスアウトからビッグマンの3P。ソンメイカーのポストムーブは外れると、カウンターから富樫が3Pを決めたのは良い感じでしたが、基本的に守れないのでメイカーがシュートミスする以外は止められません。

でも、全部のシュートが決まるわけじゃないし、しかもメイカーなんてショートレンジのミスだから、オフェンス優先で切り替え勝負なら、それはそれでいいじゃん。ここで日和ったイラン戦なので、割り切れ。

でも解説の塚本は「3Pは捨てて確率の良いインサイド重視で守った方が」と言ってますが、それはシューティング勝負になるわけで、さすがにどうかと思うぞ。2点とられても3点取り返すんじゃ。

しかし、オフェンスがクソです。富樫がドライブしてもオーストラリアは収縮しておらず、キックアウトしたら簡単にパスカットされます。外で回して3Pを打つ機会はあっても、2Pなしになっている構図がわかりやすい。

例のテクニカルレポートは「内容は納得するけど結論は納得できない」だったわけですが、この状態は「トランジションを増やさないとシュートが決められない」になるわけですが、部分的にみればテクニカルレポートが正しいです。ハーフコートの改善は優先順位が低いことにしたわけだしな。

日本の得点は3Pのみ。オーストラリアがフルコートプレスしてくれるので、割とトランジションで打ちやすいのも事実です。やっと2Pが決まったのは吉井がドライブからレイアップフェイクでディフェンスを飛ばしてのゴール下でした。これは意外だね。ここから空気が変わります。冨永の3Pが続いてオフェンスで盛り返す。

オーストラリアはハーフコートオフェンスで何度もコーナー3Pになります。ここが全く守れないチームディフェンス。少しずつ確率が悪くなってきたので、3Pが決まる日本が追い上げていきます。冨永らは劇ムズの流れながらのコーナー3Pも決めるぜ。決めすぎ。

と、いう中でオフェンスリバウンドがルーズボールになったのを拾われ、メイカーのダンクに対してファールした井上がアンスポ。全体的にインサイドを塞ぎに行くと、こうしてオフェンスリバウンドに対応できず、セカンドチャンスがオーストラリアに出まくりました。

それでも最後は河村までがブザービーター3Pを決め、バカみたいに3Pが決まった1Qの日本。6本の3Pで18点を奪い、2本だけの2Pと合わせて22点。オーストラリアは33点なので圧倒されているのですが、イラン戦の中途半端さに比べればはるかにマシ。打ち勝つしかない気持ちが強くなっています。

◎ミスリード

2Qはテーブスから。ドライブキックアウトで冨永がワンフェイクからミドル&ワン。今日はタッチが良すぎる冨永。異様なシューティングになっています。

ゴール下を4人で囲んで何とかミスを促します。さらに1on1もシュートミスにしたテーブス。河村と全く違う戦い方になるのは良いよね。あと、メイカーがメンタル負けしてダイブが減ってくるの「らしい」わ。

フリースローを2本ミスしたオーストラリアに対して、吉井のプルアップ3Pで5点差に。今日は河村も吉井も決まるもんな。2P殆どないのに、よくこんなに決まるな。

渡邊もいないけど、ルークもいないのはポジティブに働いていて、テーブスがドライブするスペースがあり、しかも周囲は3P打つから形になっています。あとはテーブスが自分で決めてくれればね。

ところが同じことがオーストラリアにも出てきます。メイカーが下がると久々に須田相手のポストアップに。さらにリバウンドがテーブスとの1on1になってオーストラリアボールに。こういうの難しいよね。この戦い方するならルークはいなくてもいいけど、代わりにガード陣までリバウンド強くないと成立しない。

そのルークと富樫が戻ってくると、早速、そこのツーメンゲームから3Pを決めるオーストラリア。それも3Pになって気が付いたら16点差です。5点差から16点差まで一瞬過ぎる。それを望んでいるのは日本だからね。許容して自分たちの流れを待つしかない。

しかし、富樫がPGになって3Pが打てなくなる日本。別に富樫の責任ではないけど、スターターの方が渡邊不在な空気が強く、トランジションの河村とドライブ&パスのテーブスの方がチーム全体がわかりやすくなっています。決まったのはルーズボールから冨永のディープ3Pくらい。っていうか、マジで決まりすぎだろ。

ただ、今度は若手が増えたオーストラリアのオフェンスもクソみたいになります。パスミス、ドリブルミスが多く、ただただ3P打っているだけに。3P打てているんだから問題はないんだけど、これが決まらないもんだから、日本が追い上げられそうな雰囲気。

1本決まって気持ちよくディープ3Pを打っていく冨永ですが、2本目、3本目はともに決まらず、これを良しとするのか難しいけど、今日の内容だと打つしかないか。

前半最後はオーストラリアの3Pが決まり、ルークのゴール下が外れて49-34と15点差で終わります。Window3より戦えているのは事実。3P決まりまくっている割に点がとれていないのも事実。2Qは12点しかとれていないもんな。

若手大好き、3P大好きの実況にミスリードされているのですが、「3Pが大切」という刷り込みがあって、それが成功した前半なので機能している空気ですが、現実には得点面が物足りなかったです。失点は諦めよう。

感情論みたいな交代策をしていたイラン戦に対して、渡邊がいないからこそ腹をくくって戦えているホーバスですが、Window3の2試合+アジアカップ5試合目ということで、連携が構築されているのも事実です。組み立ては怪しすぎる一方で「いつ打つのか」は共通理解が出来てきている。

ただし、それは若手の方に感じる連携でして、気が付いたらベンチメンバーの方が連携が良くなっています。それは合宿不参加の富樫という事情なのか、若いからこそ早いのかはわかりませんが、来年のW杯ではなく、その先を見据えたチーム作りなら、物凄くポジティブなので、ホーバスの長期政権にしたいのかな。

◎変化してみた

後半も西田が3Pで、外から決まりまくるのは継続の日本。ディフェンスは「中は仕方がないから3P守れ」に変えたようで、ポストアップに対してノーヘルプだったり。で、富樫の3Pなので「2点取られても3点取れ」とマジで腹をくくっているぜ。

オーストラリアは3Pだけでなくゴール下のノーマークまで外し始めます。中を固めなくなったらディフェンスが効き始めたわけだ。前半の自分の発言を無視して解説していく塚本。あれはフリだったのか。

交代で出てきた冨永が、またもタフ3Pをヒット。エグイな。ただ、河村が打たなかったり、ディフェンスが中に収縮し始めたり、自分たちのズレも出てしまうよ。

それでもエンドラインのスローインから井上のゴール下、ドライブで河村がレイアップ。遂に2Pが決まり始めた。吉井までポストアップをねじ込んだ。うーん、やっぱりスターターよりもベンチの若手の方がバランスがいいよね。

もちろん前提が「冨永が決まりすぎ」なので、どこまで参考にすべきかは別にして、3Pとランニングプレーの組み合わせになっており、相乗効果が生まれ始めています。これがスターターだと上手くいかないのは何でだ。

タイムアウトのオーストラリア。「ウォリアーズのような3Pチームだと2分で10点追い上げますから、日本のプレッシャーを感じているんでしょうね」と言ってますが、今やウォリアーズは3Pが少ないチームであり、あのトランジションやっているのに「ディフェンスのチーム」なんだけどね。

ということで、タイムアウト明けに見事に守り切れず、3Q終わって21点差になります。シュートが決まり始めて点差を縮めるんだけど、それをやった後に突き放されるのも前半と同じでした。

うーん、ムズカシイデスネ。ホーバスがやりたいことはわかるけど、それをやろうとすると、こうして「気が付いたら突き放されてる」現象も起きがちです。渡邊不在にもかかわらず、これまでの試合に比べて「戦えている」印象は強い反面で、その印象を覆す点差。

自分たちの良い部分を出すが、相手の良い部分は消せない。ラマスとやりたいことが正反対すぎて、比べようもないんだよね。

◎スゲーな

なんと張本がドライブダンクを決めます。そんなこと出来たのか。しかも&ワンです。スゲーな。

ボーンヘッドで抜かれたメイカーが怒りのドライブ返しをしますがルークがファール。メイカーはアレだからノーファールにしたかったよね。で、メイカーは交代。相変わらずエグイ身体能力と、未熟なフィジカル&メンタルだった。

ところがメイカーを下げてもゴール下フリーを外していくオーストラリア。逆に富樫が連続で3Pです。どうしても「自分で決める」になってしまう富樫も誉めていいのかどうか。PG陣は難しい判断になってくるね。

で、追い上げたと思ったらコーナー3Pにファールして&ワンにしてしまった張本。すぐに冨永が3Pで返すと須田もコーナー3Pです。なんだこれ。どうなってんだ。

タイムアウトのオーストラリアは3Pをヒット。アフタータイムアウトの確率が高すぎるぜ。さらにパスムーブから綺麗にコーナー3P。ところが日本は井上が3P。スゲーな。どうなってんだろ。ワイドオープンを外しまくっていた渡邊がブレーキだったかのような爆発ぶり。

富樫がメイカーとの1on1ドライブをするもレイアップミス。それがカウンターになってメイカーのダンク。時間と点差なので、個の勝負をしているとオーストラリアはOKになってしまうよね。難しいのはPGのチョイスで、点が取れる富樫がいいのか、トランジションの河村がいいのか。

その富樫のキックアウトから井上がコーナー3P。オーストラリアの3Pが外れまくり、リバウンドにもこないので点差が一けたになります。すげーな。もう渡邊いらないじゃん。あと、もう富樫で行くだけだな。

遂にアフタータイムアウトが外れたオーストラリアですが、休んだ後だからかオフェンスリバウンド連発で最後はファールに。かといってファジーカスなんていれたら走れなくなるしな。トレードでデュラント獲得できないのかなー。

次のディフェンスでトラップ気味に仕掛けてファール。ボーナスなのでフリースローに。うーん、ここまで追い上げて、その終わり方はどうなんだ。そして焦った井上が半端なドライブでスティールされ、フリーでも打たずに時間をかけたオーストラリアがファールドロー。終わりですな。

〇3P
日本 20/43
オーストラリア 16/34

決まりまくった3Pでしたが、決められまくった3Pでもありました。それはオーストラリアの方が遥かにイージーなシチュエーションが多かったからですが、冨永の8/15の威力がエグすぎた。最後もハーフコートショットだぜ。

千載一遇の勝利のチャンスを作ったという意味では、安定している代わりに一発逆転勝利がなさそうだったラマス時代との差がある試合でした。一方でエグイくらいに決まっても勝てないホーバスだったという見方も出来ます。

見ている方はホーバスの方が気持ちいいだろうし、これがクラブなら高く評価していいと思うんだけど、負けたら終わりの国際試合モードでは悩ましいね。何が正しいかは知らない。結果が全てって感じです。

渡邊雄太の合流により、期待もあったアジアカップですが、1年前には国内組(一部、ドーピングあり)で勝てたイランに惨敗し、若手中心とはいえオーストラリアには渡邊抜きで善戦。このふり幅がホーバスの戦い方らしさですが、予選のないWCだと思えば、本番で1試合勝つためには、これでいいのかな。

少なくとも若手は手ごたえを掴み、ホーバスの感情論采配が振り切られたという意味で良い試合でした。この成功が良い方向に働くのか、それとも「3P打っとけばよい」になってアップダウンを繰り返すのかはわかりませんが、全てを忘れさせるインパクトはあったね。

ディフェンスの弱点を埋めに行ったラマスと、弱点を無視することにしたホーバスと。

8月には強化試合では、おそらく本番モードにはしてこないイランではありますが、この試合のようにフルアタックモードで打ちまくる展開がどう出てくるのかが、アジアカップの成果になる気がするのでした。

ところでオーストラリアの13番フローリングは、まだ22歳なんだね。アウトサイドの人材に対して、インサイドは弱いのですが、この選手は長く代表で活躍してくれるマルチな人材になるかも。非常に面白い選手でした。

アジアカップ 日本vsオーストラリア” への6件のフィードバック

  1. このスタイルで打ち勝つには全員ディフェンス上手くて、インサイドにリバウンド強くてヘルプディフェンスが上手いビッグマンが必要ですね。
    ルーニーみたいな。
    つまりGSW。
    無理です。
    やりたいことはわかりましたが無理です。
    全員ディフェンスができるようになるのは、まぁ可能かもしれませんがビッグマン問題が解決しません。
    走れてリバウンド拾えて単体で相手ビッグマンを止められる。
    似たようなのはエドワーズですが……。

    このスタイルで行けばジャイアントキリングは可能かもしれませんが、反面意味のわからない敗戦をする可能性もありますね。
    まー格下相手には打ちまくるのを止めるという手もありますが、さぁどうするのが……。
    取り敢えずこのスタイルでは渡邊や八村は活躍の場はあまり無さそうです。
    二人共ここまで開き直ったバスケしないでしょうし、この二人が揃えば結局別のバスケしそうですし。

    1. 他は良いのですが、最後ですね。八村をどうするんだろう。
      思い切って無視してもよいので、そこまで振り切れるかどうか。八村は3Pシューターにするウィザーズと同じ形で。

      この試合は振り切ったので、これならこれでOKです。
      それくらい腹をくくってくれないといけないことがわかったアジアカップでした。

      アジアの戦いなんだけどね。負けたのがオーストラリアで救われた感もある。

  2. このバスケで打ち勝つために、弱点強化のために、やはりラプターズのような日本版ビッグラインアップでホーバスバスケを目指しましょう!
    田中、比江島、渡邊、馬場、八村、ギャビンあたりが主力ですかね、高さもDF力もそこそこ期待できるし。
    あれ、東京オリンピックとほぼ同じじゃね?
    東京オリンピックメンバーでホーバスバスケやるのが1番良いんじゃね?(笑)

    比江島の外はBリーグでは去年41%くらいなので良いけどアテンプトが少ないんですよね。それに自分から積極的に打ってくのと、外国人が崩しての合わせで楽に打つのとでは違いますよね…
    もう1人西田みたいなのがいれば、富樫諦めてガードは河村とテーブスにして、なんかあったら西田ガードもよろしくねってのがしやすいんだとは思いますが、なかなかそんな人材いない…
    パリ五輪までに川島がどんくらい成長するかは期待だけど、さすがにA代表スタメンまで来るのはイメージできない。
    最終手段、2m越えの黒人選手を帰化させましょう!!

    1. 確かに、同じことをラマスのスターターで試してもいいですね。それなら色々と理にかなっています。

      自分のやりたいことに適した選手を集めるか
      やりたいことにある弱点を補える選手を集めるか

      今回は前者でしたが、だからこそ振り切らないといけなかった。
      日程さえ許せばU17からホーバスにやらせてもよかったかも。
      内容はU17の方が良かったのですが、繋がりがなさそうで。

  3. 今回のテーマとは異なって申し訳ございませんが、元巨人の江川投手のYOUTUBEで”最近のMLBには中南米他世界中の人材がより集まってきて、英語以外の言語も多様になり、深いコミュニケーションを必要とするチームプレーや連携プレーのレベルが以前より低くなっているのでは?”という旨のコメントがありました。
     NBAにおいても同様かそれ以上の世界中からの人材の流入は見受けられますが、上記コメントにつき、感じられる点があれば聞かせてください。

    https://www.youtube.com/watch?v=wZ1T7wgQ3qA
    (7:40経過あたりです。)

    バスケの場合もスモールボールやプリンストンオフェンス等細かい意思疎通を必とされる場面は多いと思われるが、9人ではなく5人ということもあり、多言語下での意思疎通ツールはある程度確立しているのか、或いはアメリカ社会が江川氏が考える以上の多くの国籍の人々で構成されていて密になっているので、スペイン語系統やスラブ語系統の言語にもうそれほど違和感を感じなくなっているのか?

    1. 野球はいうほどコミュニケーションが不要なスポーツですよね。
      日本人メジャーリーガーが簡単に通用するのは言語の壁がないからです。特にピッチャーはその傾向が強く、バッターは対策などピッチ外も含めて苦労しそうですが。

      バスケの場合は世界中でトップレベルの試合をみれるようになり
      必然的に「個人の戦術レベル」があがり、言語ではない部分でのコミュニケーションはとりやすくなっています。
      以前はユーロ系の選手とアメリカの選手には、プレースタイルの違いが大きかったですが、今は個人差程度ですし。

      格闘技系なんかでも映像を見て、相手を分析するのは言語よりも簡単になっていますし。
      アメフトのプレーコールなんて、なおさらです。

      残念ながら江川は「言語コミュニケーション」が古くなっていることを感じ取れていないのだと思います。
      ただ、それは江川だけでなく、日本スポーツではよくある光景かもしれません。

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