得点28位
リバウンド30位
アシスト19位
これで次のマブス戦に勝ったらウエスト首位に並ぶんだぜ!
◉アンチ・データ主義?
渡邊雄太の加入で注目の集まるグリズリーズですが、コンリーの凄さは実感しつつも、コンリー本人は不調というか、相変わらず大したスタッツを残していません。
〇マイク・コンリー
19.1点 FG40% 3P31%
5.8アシスト 1.9ターンオーバー
ターンオーバー以外は何も評価出来ないようなスタッツです。そんなPGに引っ張られるチームは得点28位、アシスト19位と相変わらず怖くも何ともないオフェンスを展開し、かといってリバウンドだって30位と燦々たる結果。「ガソルとコンリーが」とかいうけど、ガソルだってあれだぜ
〇マルク・ガソル
16.8点 FG45% 3P44%
9.1リバウンド
3Pが高確率で決まっているだけで、それ以外はかなりの凡庸っぷり。ちなみに読んでいて分かると思いますが管理人はグリズリーズの勝率を信用していません。その理由はチームがどうのこうの以上に、ガソルのこのスタッツを信用していないから。フィッツデイル退任時に書いたけど、ガソルの不調が昨シーズン低迷した元凶であり、スピード重視が加速する中でガソルでは苦しいと思ったからなのでした。まぁこの辺はどうなるか継続して観ていきましょう。昨シーズンがやる気なかったといえばそれまでだけど、そもそも3P打つようになって3シーズン目だからね。
こんな2人が形成するオフェンスは、ガソルの3Pという特殊性によってアウトサイドまでディフェンスを導き出すことでドライブからの得点を簡単にしています。さらにガソルはインサイドにいるときも、ディフェンスがヘルプに行けないように巧みに身体を張ってドライブコースを作ってくれます。後者の上手さはグリズリーズならでは。前はゴータットも上手かったけどね。
〇ドライブ
回数 42.3回(13位)
FG 19.9本(11位)
パス率 30.7%(7位)
アシスト率 7.0%(28位)
ターンオーバー率 5.6%(4位)
その中身はこれまた理解し難い。ドライブがそこそこ多く、シュートまでも辿り着けている。そしてそこからパスも多い。しかし、そのパスはあまりシュートに結びつかないのでアシスト率が異常に低いのでオフェンスとしては魅力を感じません。要はドライブしてフィニッシュまでいかないのならば、パスアウトしてもう一度オフェンスをやり直しています。
「やり直す」判断を徹底するのでターンオーバーになる率が低いわけです。ドライブはするし、フィニッシュにも行くけど、キックアウト3Pというのは狙わず、堅実に繋ぎ直すことを選択します。
〇試合のペース 96.7(30位)
〇ショットクロック残り4秒以降のシュート 12.1(1位)
当然、試合のペースはとっても遅い。何度もやり直してショットクロックがなくなるなんてザラ。ちなみにショットクロック4秒以内のシュートが10本以上なんてグリズリーズだけなので、本当に異常に遅いチームです。しかも、そのシュートはFG31%と普通に決まらない。悪いセレクションになるのが良いことではないため、フリーになったら早く打つことが基本の現代バスケを全否定するかのような方法論を採用しています。
ショットクロックなくなってからのシュートは効率が悪いのは知っている。だけど、それでもギリギリまでやり直して、効率が悪いシュートを打つわけです。データとか観ていないような選択をするのがグリズリーズ。理解するのが難しいんだ。
ちなみにグリズリーズはショットクロックが15秒以上残っている時のFG%は55%近くあり、リーグ上位の高確率。それは確実なときしか打たないからともいえるし、そのシュートを多く打つようにすればもっと得点が増えるはずなのですが嫌がっているんだ。極論言えば
決まるシュートしか打つな
ミスをするなら時間をつかえ
これがグリズリーズの基本方針です。これで勝てるってちょっと信じられないというか、これでは勝てないからバックスみたいなチームが登場してくるのに、相反する戦略性を持つ両チーム。勝ったのはグリズリーズだったのです。多分、ガソルを走らせたくないのだと思う。走ったら負けさ。
◉個人の活躍も不明
そんなチームのドライブ数を並べると
〇ドライブ回数
コンリー 12.5
マック 7.9
Mブルックス 4.3
テンプル 3.5
Dブルックス 3.5
まぁ両PGがアタックすることが多い以外は、誰もが少しずつというフィッツデイルの残り香って感じですが、同じような方法論で成功したのが昨シーズンのセルティックスですから否定することも出来ません。カイリー・アーヴィングがいないことを除けば、セルティックスの選手達と遜色ないプレーぶりのグリズリーズの面々です。
これらは1つのキーワードにはなり得て、グリズリーズの低いオフェンスレーティングより下にいるのがセルティックス。勝ち越しチームでありながら非常に低いんだ。つまりグリズリーズは攻守のバランス的には、セルティックスに限りなく近いチームです。ディフェンスの良さで勝つために、オフェンスは効率悪いバランスアタックで的を絞らせない。要するに爆発しないけど、守りにくくしています。
グリズリーズとセルティックスが似ていて、タレント力も同じくらいと言われたらセルティックスファンは怒りそうだけど、実際にアーヴィングを除けば大した違いはないのです。ホーフォードよりも3P決めるガソルでスペーシングしているし、ジェイレン・ジャクソンはテイタムよりも効率が良いし、カイル・アンダーソンはジェイレン・ブラウンくらい守れるし、テンプルはヘイワードを攻守に上回っているんだ。
ちなみにセルティックスはディフェンス1位でオフェンス27位でレーティング差は同じ2.6。だから同じくらいの強さと言っても全く違和感がないよ。
〇レーティング
オフェンス 106.2(23位)
ディフェンス 103.6(4位)
そんなわけで正直オフェンスは大したことがない。ただしリスクは削っています。確実性の高いシュートを打てるとき以外は、とにかく時間を使って何度も攻めており、3Pアテンプトも27位と少ない。オフェンス面の魅力は非常に乏しいチームだし、ガソルの3Pが決まりまくっていることを除けば、警戒するほどのオフェンスではありません。
一方でディフェンスは素晴らしい。これは本当に素晴らしい。信じられないんだけどね。
◉動けないガソル
昨シーズンのグリズリーズのディフェンスで感じたのはガソル問題。ガソルが3Pを打ち始めたのは16-17シーズンからですが、いまではすっかりシューターのブルック・ロペスといい「これまで3Pを打たなかったセンター」であっても積極的に打たせるようになりました。その理由は様々でしょうが、大きくスペーシングすることでドライブスペースを作ることが出来る事が大きく、その際に相手のリムプロテクターを3Pまで引き出していればブロックの恐怖が薄まります。
それを始めたガソルだけど、逆に言えばガソルもまた動けないタイプのセンターなので、秀逸だったヘルプディフェンスに課題が発生しました。ゴール下から遠くに引き離されてしまうガソル。特にトニー・アレンあたりがいなくなったことで、ガード陣が抜かれまくって、でもガソルは追いつかないというシーンが多発。かつてのDPOYの姿はどこへやらって感じでした。30点台に抑え続けていたペイント内失点が43点近くまで悪化するなど、守れないチームに変化していきました。
〇ブロック数 4.7(23位)
〇ペイント内失点 43.1(4位)
今シーズンもブロックの面では全く機能していないのですが、それでも守れてしまっています。ペイント内失点は4位なので良い方ですが、これは昨シーズンも3位なのでそんなに大きな違いはなく、一方でディフェンスレーティングは110.2(26位)から103.6(4位)までジャンプアップしているのでした。
つまりはグリズリーズのインサイドについては、昨シーズンと大差なく、しかしレーティングは劇的に改善しているということになります。じゃあアウトサイド守れているのかってことですが
〇被3P
アテンプト 30.5本(14位)
FG% 34.9%(14位)
だからといって3Pを守れているかというとそうでもありません。特にアテンプト数はペースが遅いのだから平均よりも打たれていることに。実際に試合を観たジャズ戦なんかはボカスカフリーで打たれまくっていたし、そこまで強く警戒しているとは言えません。ここも昨シーズンよりも急激に良くなった要素がないのでした。
〇スティール 9.9(2位)
明確に良くなったのはここ。スティールの数が2.4本も増えました。これらで目立つのはローテーションの良さです。ヘルプで止めた際に出るキックアウトパスを狙うシーンが多くあり、単にオフェンスパターンを読んでいるというよりも、1人のヘルプに対して次の選手がフリーになったオフェンスを埋めるスピードが抜群に速いのでした。それは調べたいけどデータがないので印象度。
連動するオフェンスが大切になってきた中で、その連動をぶち切るには個人vs個人で守り切るのが一般的ですが、ガソルがスピード負けするのでグリズリーズには難しい。その代わり、ヘルプポジションを取るのが上手いガソルなので、その次に出てくるパスをチームとして止めに行く印象です。これが昨シーズンとは大違い。1人抜かれたら次から次へパスを出されていたのが、オフェンスの自由を奪うことに成功しています。
実際にガソル以外はディフェンスで非常に良く動いており、特にジェイレン・ジャクソンはディフェンス平均移動速度が4.16とビッグマンとしては異質な出来です。これがスピード不足のガソルを補えているのでした。ちなみにチームで最も動いているのは渡邊雄太です。
ディフェンスリバウンドも大して抑えることが出来ておらず、かなり苦しい数字が並ぶグリズリーズなのですが、そのローテーションディフェンスは観ていてほれぼれする出来。そこにあるのはある種のガソルシステムで、ヘルプのポジショニングの良さがありながら、スピード不足を補うために周囲を動ける選手で固めたと言えます。ちなみに昨シーズンはタイリーク・エバンスも動かなかった。
3Pも打たれるし被FGも14位と普通レベルでしかないグリズリーズのディフェンスは、ガソルのヘルプでペイント内失点を減らしながら、ローテーションでスティールを生み出しています。果たしてそれは対戦相手の傾向を読み切った用意周到な準備なのか、はたまたチームディフェンスの完成度が生み出しているのか。おそらく後者。
◉試合に勝つパターン
ただスティールが増えただけでグリズリーズが守れるようになるというのも変な話です。もちろん、カイル・アンダーソンやテンプル個人のディフェンス力の貢献度は高く、それがチーム全体を引き上げているわけですが、結果的にスタッツを観るとスティールが増えた点が大きい。
攻守に総合するとグリズリーズの最大の特徴はペースの遅さに戻ってきます。自分達が決してムリをしないことだけでなく、ローテーションで追いかける方法は相手にも連続したパスを求め、オフェンスに時間を使わせることに繋がります。これらが現在のNBAの流れとは真逆にある事で、リズムを失わせることに成功していると予想されます。いわゆるデータには表しにくい部分にして、試合の中での嫌らしさ。
もうひとつ言えるのは、ロケッツが勝てなくなった要因をディフェンス力の低下以上に、そこから発生する連続得点の減少、普段の言葉だと「ラッシュできなくなった」点をあげました。グリズリーズの場合は「ラッシュさせない」能力の高さが光ります。相手が連続得点しそうなときほど、つまりディフェンスが機能しない時間ほど、オフェンスでは24秒フルに使っている雰囲気のグリズリーズ。
徹底したスローダウンによって、1分間に2回ずつのオフェンス機会しか与えなければ、得点ラッシュも途切れてしまいます。このスローダウンをパスを回しながらやってくるのが、これまたグリズリーズの嫌らしさ。パスを回されている以上はディフェンスも対応しなければ行けません。自分達のシュートが決まらなくても、ドライブしてパスを回して24秒かけてシュートを打っているので、結果的に相手のオフェンスリズムを乱しているのでした。
その一方でスティールが多いため、自分達がラッシュする時間は作れます。ターンオーバーからの得点もリーグ2位と多く、オフェンス力は乏しいので大量得点はなくてもディフェンス力でラッシュする時間は作れるのでした。速いテンポで打っているときの高いFG%はそんな事情も関係しています。
データを活用するのは「より効率的なプレーを構築するため」であり、「良いセレクションでシュートを打つため、トランジションを早め、3Pを増やし、選手が連動していくこと」であり、それらをディフェンス面で防いでいくのですが、グリズリーズはかなりのところで逆の動きをしています。
もっとアナログな考え方に近い「良いセレクションのシュートを打つために悪いタイミングでは打たない」とか「ターンオーバーはダメ」とか「連動よりも堅実性」みたいな事を追い求めている感じのグリズリーズ。多分、おじいちゃん指導者が観たら喜ぶんじゃないかな。
しかし、これらの事実はやっぱり先行きを不安にしてくれます。だって、これでは勝てないから戦術が変化してきたわけだし。最終的にカギを握るのは「ペースの奪い合い」です。これまで通りスローダウンを続けることができる限りはグリズリーズは自分達のリズムで戦い続けることが出来、そして勝つことで自信も手に入れています。
平均以下のオフェンス力に、リーグ上位のディフェンスで勝っているグリズリーズ。なんで勝っているのかはディフェンスの良さとしか言いようがない。だけどリーグ全体でディフェンスレーティングが高いチームが軒並み上位に来ています。オフェンスが主流になったからこそディフェンスの良いチームが勝つわけです。
そう考えるとトレンドに乗ることは出来ているのです。簡単には切り崩せないディフェンスなので、後はオフェンス次第。そこの改善ポイントが何なのかはちょっと読めないのです。
◉好調を支えるマック
しかし、そんなグリズリーズの中で1人だけ異質な高水準のオフェンスを続けているのがベンチのPGシェルビン・マック。今シーズンのグリズリーズはタイリーク・エバンスが抜けてガタガタになると思ったし、スターターのコンリーがスター選手に相応しいほど働けているとは言い難いので、当然のように落ちていくと踏んでいたのですが、全てを変えるくらいの活躍度をしているのがマックです。
〇シェルビン・マック
11.4点 FG51% 3P47%
3.7アシスト 1.3ターンオーバー
ジャズとマジックで、ここ数シーズン20分前後のプレータイムをしっかりと得ていたものの、こんなに高いFG%を記録していなかったマックが昨シーズンのタイリーク同様に高確率の3Pを武器にドライブを決めていきます。
プルアップ3Pですら46%を記録する高確率は、自然とドライブの脅威をあげており、クイックネスは凡庸ながらフィジカル負けしない事で自分のドライブコースを確保しています。レイアップも粘り強い。
またそこからミドルレンジのジャンプシュートも好調で50%近く決めています。ちなみに昨シーズンは32%なので、それはそれは信じられない変化。
主にベンチメンバーを率いて戦いながら、勝負所ではコンリーとダブルPGで起用されることでお互いのプレーを交換し合うことに。コンリーはもともと勝負所ではコントロールよりも自分で得点を取りに行くためにオフボールムーブを繰り返して有利なシチュエーションを作っていきます。今はそのためにマックにボールを預けるのですが、マック自身も高確率で決める事が出来るために、お互いが活きる形になっています。
このブログでさえ、取り上げる気にすらならないレベルのシェルビン・マックですが、今のグリズリーズの躍進を支えているのは間違いなくこの地味なPGです。
〇3P
勝ち試合 55%
負け試合 29%
ウソみたいだけどマックの好不調がもたらす要素が非常に大きいのが現状であり、好調なほどにコンリーも活躍しやすくなるのでした。信じられない快進撃のグリズリーズはキーマンのまた信じられない選手なんだ。
ワタナベ選手目当てで、格段に見る回数が増えました。
ほんとデータ分析泣かせのチームですね。笑
読む限りはスリーの成功率次第で勝負が決まる?ディフェンスに不調は少ないので、それが安定してる勝ててるって、感じですね。
開幕前は結構ボコされる評価だったはずなのに。やっぱりNBAは面白い。独走チームが昨年より少ないのも今年は見てて面白いですね。
まぁ結構、マグレっぽい勝ち方していますけどね。試合順が良かったり、相手が不調だったり。
一方でバックスに勝ったのは見事なペースコントロールも影響していたので、自分達の理由もちゃんとあります。
ウエストはウォーリアーズ倒すために各チームが工夫を凝らしていて、ハイレベルになってきました。
逆にイーストは割と独走しやすくなってしまって。
一方で似たようなセルティックスは負けているわけですから、難しいものです。
今日のDも圧巻でしたね。マブスは、最後の6分で4点しか取ることができませんでした。
プレイ回数は結局何回シューティング・レート、リバウンド、ターンオーバーで決まると考えると、スピードが遅いか速いかは単なる流行に過ぎない気もします。
管理人さんの感覚は、データ的には良いディフェンスの方が良いオフェンスよりも安定しにくいというところから来ているんですか?
展開を早くする意図は、早くしたいのではなくて、良いシュートチョイスを増やしたいことが影響しています。
だからグリズリーズが遅いと言っても、過去のチームよりはかなり早いので流行に過ぎないって訳じゃないです。
そしてグリズリーズ自体も遅くするほどにシュートが決まらないので、遅いオフェンス自体には何も利点がありません。
基本的にはディフェンスが良いチームの方が勝ちやすくなっていて、その点ではグリズリーズも勝ちやすいチームなのですが、
だからといって首位になるようなオフェンス力ではないってだけです。5割なら別に何も言いませんが。
ディフェンスが良いだけチームはどうしても接戦になるので、偶発的に負ける事が結構あります。セルティックスが勝てないように。
もちろんオフェンスだけ良いチームは全く決まらずに負ける事も結構あるわけです。
首位に立つチームは両方が機能しているってのが基本なので、グリズリーズが勝ちまくっているってのは悩ましいわけです。
速い展開にしたがるチームばっかりになれば、強いチームはどこと対戦しても速いペース(自分達の得意な展開)になるので結局戦力通りの勝ち負けになってしまうかと。
そんな中、スローな展開が得意なチームを作ればスローなゲームになった時には自分達だけののペースで試合が出来るから優位に立ててるんじゃないでしょうか(ペースダウンさせる方が容易い感じもしますし)。
なんとなく昨シーズンジャズがウォリアーズお得意様にしてた感じを思い出します。
でも守備スローペースは接戦ジャンケンになりやすいので、勝ってるのはグリズリーズで、負けてるのはジャズとセルツみたいな。ミッチェルがジャンケン勝ってくれればジャズもなぁ、と。長々すみませんー
いや、本当にその通りだと思います。だからグリズリーズが勝っていることではなくて、首位になるほどジャンケンにかっているのが不思議で。
そしてミッチェルは突然ジャンケン弱くなっちゃった。残念!