オフェンスに傾倒し、3Pが重要な現代バスケでビッグマンの必要性は落ちているのか?
前回はディフェンス中心にスピードの面で何が必要かを適当に書きました。しかし、全ての要素を埋めてくれるセンターなんて極僅かしかいないため、やっぱりビッグマンは不要なのかという話になります。
しかし、管理人はビッグマンは必要派閥だったりします。主にカペラだけど。
ディフェンス面でスピードに対して有効なセンターならば、起用する意味は大きくなります。でもそんな選手は少ないわけだから、多くのセンターはディフェンスでの欠点をオフェンスで補う必要が出てきます。だけどオフェンスでの良さを考えた時に「3Pが打てるのが強み」とかいうなら、やっぱりウイングを多く起用した方が良いのです。
だからいくつかの付帯条件があります。
・インサイドフィニッシャーとして必要か
・多彩なビッグマンの価値は何か
これらを場合分けして考えないといけません。要するに一般論としてのセンターの必要性と、ヨキッチみたいな特殊タイプは分けて考えましょう。
実は後者って「優秀なバスケット選手で身長も高い」という括りにしても良いのです。デュラントとかアンテトクンポみたいなウイングだけどセンターの高さという選手もいるわけだし。
だからそのレベルの選手は「ビッグマンとして必要」ではなく「優秀なバスケット選手として必要」に過ぎないのだよ。
◉ウォーリアーズが作り出す基準
今回はビッグマンの話とみせかけて、かなり違うものになります。主役とロールプレイヤーという方が近いかも。
ちょっと世の中の風潮を狂わせているのは、いろいろな意味でウォーリアーズだったりします。正直、ウォーリアーズがここまで覇権を握らなければ、カペラの存在意義はもう少し低かったはず。「ウォーリアーズを倒すために必要な要素は何か」というとカペラになってしまうのでした。
さて、まず1つの前提条件が出てきます。ビッグマン不要というのは、ウォーリアーズがスモールラインナップを起用し、なおかつ3Pを連発してくるところから「現代にはビッグマンなんて要らないんだ」となっている風潮があります。
スモールラインナップ合わせで対抗することは、ひとつの方法論です。でも「ウォーリアーズに合わせる」という視点にすると、逆に強いセンターがいるチームに対抗出来なくなってしまいます。ブレイザーズのアミヌはアンソニー・デイビスの個人アタックは止めたけど、純粋な高さを使われたら負けたわけで。
だからウォーリアーズだってセンターをちゃんと用意しています。ルーニーを使うことでペリカンズを止めに行きました。
それでも最後はスモールラインナップで勝ててしまうのは、
史上最高のシューターコンビ
史上最高の高確率オフェンスマシーン
こんな選手を3人揃えている事を忘れてはいけません。要するにウォーリアーズの陣容は特殊だと言うこと。
「ノーセンターでも戦える」というのは、あくまでもセンター以外に豪華な布陣を揃えている場合であり、普通はまず不可能だし、それを目指す事自体が間違っています。個人が史上最高かどうかは論点じゃないからね。
つまりウォーリアーズのスタイルは、あのメンバーが揃っているからなせるスタイルだし、なんなら当初はボーガットが不可欠な存在としていたわけです。仮に似たようなチーム構成に出来るのであればビッグマン不在でも勝てるかもしれませんが、それはゲームの世界の話。
各チームにいるスター選手の特徴に合わせて、他のやり方があるでしょ。
さて、以前触れましたがNBAのオフェンス力は右肩上がりです。その頂点にいるのがウォーリアーズですが、ディフェンスで対抗したければビッグマンは前回触れた全ての要素を満たす必要があります。
それは簡単ではないですが、優勝したければペリメーターを守って、広いインサイドのスペースをカバーして、攻守の切り替えが超速い必要があるわけです。
でも、それらの要素が1つでも欠けるのであれば、それを補うだけのオフェンス力が必要になります。まずは基準点としてどれだけのオフェンス力が必要かを考えます。
〇オフェンスレーティング
ウォーリアーズ 112.3(1位)
ブレイザーズ 106.1(16位)
100回のオフェンス機会に何点とれるかというのがレーティングです。112ならばリーグトップ、106以上ならばリーグの真ん中以上になります。ここがひとつの到達点ということ。
もしも、フリースローやターンオーバーが全く発生せず、全てのオフェンスがシュートで終わるとすれば、
2P56% 3P37.4%でウォーリアーズレベル
2P53% 3P35.3%でブレイザーズレベル
ということになります。なお、実際にはウォーリアーズはターンオーバーが多く、ブレイザーズは少ないので数字は異なるのですが、基準値として考えた時には大体正しくなりそうです。1%下げるとEFGでもリーグの順位はこれくらいです。
さて、ここで大きな問題が出てきます。これらの数字をクリアする選手は一体どれだけいるというのか。得点ランク上位30人のエース格達のなかでいうと
2P56%以上 5人
2P53%以上 8人
3P37.4%以上 11人
3P35.3%以上 20人
EFG56%以上 6人
EFG53%以上 11人
得点ランク上位にガードの選手が多いこともあり、3Pで基準を上回る選手は多いですが、2Pはグッと減ります。そしてEFGになれば半分以上が基準をクリア出来ません。得点ランク上位の選手が確率面ではリーグ中位すらクリア出来ないのです。
ちなみにEFG56%以上が6人いるので、トップクラスを狙えるチームが多そうですが、このうち3人がウォーリアーズです。
実質的にエースの効率性でリーグトップクラスなのは、
レブロン、タウンズ、アーヴィング
この3人だけです。なお、得点トップ30ではないけどチームのスコアリングリーダーとしてはゲーリー・ハリスもいます。つまりはレイカーズ、セルティックス、ウルブス、ナゲッツの4チームだけがエースの力でトップを狙える可能性があるのです。
なお、ウルブスはバトラーがEFG51%しかないのだけど。
◉時代の変革がもたらすビッグマンの必要性
10年前のNBAであれば EFG53%あればリーグ3位のオフェンス力でした。つまり「エースの力で勝つ」というオフェンスが組み立てやすかったといえます。当時は2位がハワードのマジックなので良い例示かもしれません。
それがこのブログで散々書くように「チーム力が大切」となってきたのは、
エースの得点効率では勝てない
というのが一般的になったからです。とはいえイーストはレブロンのキャブスが勝っているし、ウォーリアーズの3人のエースは得点効率が超高いから、完全に移行したとはいえませんが。
プレーメイク役が多いエースにはマークも厳しく、そんな簡単には打てない。ちなみにウォーリアーズはプレーメイク役を他の選手に任せることでエース3人の効率を上げる作戦です。
となると各チームがEFGを上げるためには「ロールプレイヤー達に高確率で決めて貰う」必要があります。アテンプト数が少なくなるので、理想はEFG60%くらい欲しくなります。
つまり現在のNBAでオフェンス力を上げるためには
・2P60%を超えるビッグマン
・3P40%を超えるシューター
この存在が重要になるわけです。やっと今回の趣旨に辿り着きました。
ここまで、あまり関係ないことを触れてきたけど、結論的には2Pを高確率で決める事が出来るビッグマンは必要不可欠なのです。代表格を並べていきましょう。
〇EFG60%オーバーのビッグマン
パートル 66
カペラ 65
ジョーダン 64
メジリ 64
ハレル 64
アダムス 63
ゴベアー 62
プラムリー(ナゲッツ) 60
ビッグマンなのでシュート外しても自分で押し込むようなことが出来れば良いので、この数字が全てではないですが、エース級じゃなくても高確率で決める事でチームを助けてくれます。逆にこれが出来ないとディフェンス面の負担が非常に大きくなるのです。
カペラが何故優秀かというと、この押し込む能力の高さにあります。守れる上にオフェンス面でもエースを助けてくれる。非常に優秀な存在なのがカペラ。
余計なプレーをしないで堅実なシュートしか打たないビッグマンの方が有能ということ。
他にもエースが外しすぎのサンダーをアダムスは1人で押し上げてくれています。パスも変なのに受け取ってしまうのも異常。そしてゴベアーもまたルビオとドノバン・ミッチェルの確率の悪さを助けてくれる存在です。
クリッパーズが簡単にはプレーオフ戦線から引き下がらなかったのは、ルー・ウイリアムスの大活躍に見えてジョーダンとハレルがいたことも大きいのでした。
そしてスパーズファンが喜んでいそう。ちなみにオルドリッジは素晴らしい活躍をしていたけどEFGは52%しかない。
時代が移り変わり、得点力が上がり、3Pが優勢になりました。だからビッグマンの価値が薄れてきたわけですが、それは
旧来的な評価のビッグマンは不要
ということです。ディフェンス面でスピードへの対応が出来ないセンターが不要になったように、オフェンス面でもまたその価値を見直す必要があるのです。
ポストアタックから得点を奪う
このパターンが旧型センターの中心を担っていましたが、もしもそれがFG53%を下回るならばリーグ下位のオフェンス力になってしまうのです。
しかし、例えば歴代最高ともいわれるティム・ダンカンでさえFG53%を上回ったのはキャリアで2シーズンしかないのです。
だから必要なプレーも変化してきました。ダンカンでダメなら他の方法を選ばなければいけません。
タイミングの良い合わせと高いFG%
これが現代のビッグマンを測る基準になってくると考えるべき。見直すべきはセンターが不要になったと言うよりも、センターを評価する価値基準だったりします。
ちなみに10年前の得点ランク上位のセンターをみていくと、アマレ・スタウダマイヤーが59%なんてふざけたFG%で25点を奪っていますが、これはダントーニサンズによる例外中の例外であり、むしろ現代の価値基準に生きていたセンターです。
他にはハワードも60%近いFGで21点です。こちらは素晴らしい破壊力。ただ、この2人を除くと得点を奪うセンターはFG%が50%前後になってしまい、現代では通用しない効率性です。
この2008年の得点ランクをずーっと下の方までみていくと、FG64%で14点と現代でも通用する効率性のセンターが出てきます。
アンドリュー・バイナム(レイカーズ)
つまりはコービーの時代のレイカーズがどうやって勝っていたのか。効率性の悪いエースを支えるのは高確率のロールプレイヤーという現代っぽい構図が出来ているのでした。
たいへん良く出来たお話。
今回で終わりの予定でしたが、終わらないので次回に持ち越します。
守備に難があってポストオフェンスが十八番なのに差がついたカンターとモンロー
10ft以内のFG%でみれば確かにカンターの方が確率は良いですが
両者ともに60%超えているのに扱いに差がついてしまったのはそこだけが原因なんでしょうか?
リバウンド力じゃないですか。カンターの献身性とキャラクターがニックスをポジティブにしてくれた印象です。
モンローにはそんなキャラクターがないから、追い出され気味。
自分はヤコブ・ポートルに期待してます
AもそこそこできるしB、Cも優れてると思います。
走れるしゴール下で堅実に仕事をするビッグマン。
オルドリッジとの組み合わせもなんか面白くなりそう
22歳と若いしこの一年で一番伸びそうな選手だと思います。
あと、ジノビリの抜けた穴は
デリック・ホワイトやロニー・ウォーカーに頑張ってもらいましょう
やつは優れています。あとはもう少しパワーをつけて、ポジション取りで負けなければ!
非常によく走る長距離ランナーみたいな選手なので、スパーズとしては扱いやすそう。
ただ伸び代がなにかといえば、安定することくらいだったりします。
レブロンにビビったメンタリティも改善が必要かな。
アダムスがいてもしっかりREB稼いでたカンターと
他にビッグマンがいないのにカンターと同程度のREB数だったモンロー
それより
守備でスピードについていけないのは二人の共通点ですけど
モンローはフィジカルが弱くて対ビッグマンでも穴になってますから
そこが差なんじゃないかと
モンローは確かにコンタクト嫌いなんですよね。
カズンズなんかも似たような傾向があります。
フィジカルが強いからって好きなわけではない。
今のNBAに全盛期のベン・ウォーレスがいたら何処まで通用するのかってたまに考えます。
やはりシャックやダンカンを止める仕事に価値があった時代だから評価されていただけで、現代のスピードにはついていけないんでしょうか?
それともエースが外したシュートをねじ込む優秀なロールプレイヤーになれてるんでしょうか?
インサイドにスペースがあるので、基本的にサボっていてもゴール下の合わせにしっかりと顔を出して、ダンクを決めていけば役に立つはずです。
ウォーレスもまた運動能力で生きているような選手なので、正しく指導すればねじ込みまくったはずです。
ディフェンスも広い範囲を守れたのではないでしょうか。
そういえばレイカーズvsピストンズも観ようと思って観てないな。
みてほしいです
それについて何か書いていただければうれしいです
すでに観ていたら恐縮ですが、翌年のスパーズ対ピストンズの方がおすすめです。
実はちょっとスパーズが観たくなっています。
メディアがやたら次世代センターってKATやらエンビードを全面に押し出したからイメージが変なことになってますけど
現代のセンターに必要な要素ってもっと地味で献身的でエネルギッシュなとこなんじゃないかって思ってたので
今回の企画は頭にスッと入ってきます。
個人的にNYK時代からエルナンゴメス兄に注目してるんですが
中でしか仕事ができないタイプのセンターなので今後も厳しいんですかね?
移籍しても同じポジションに選手がいて使われる気配ないので…
エルナンゴメスは合わせるプレーが出来て、器用なセンターではありますが、
まだ確率が高くないし、リバウンド他のプレーが物足りないところがあります。
それを補うだけのディフェンス力もない。
中でしか仕事が出来ないとは言え、スペースをちゃんと使えるので、そこは問題ないかと。
ライバルも中しか出来ないビヨンボですし。
求められるのはディフェンス&リバウンドでしょうね。スパーズ出身のHCですし。
すこし今回の趣旨とズレているのかもしれませんが、
将来、またセンターがゲームを支配するような時代は来るのでしょうか?
シャック、ユーイング、オラジュワン、ロビンソンが活躍していた時代が懐かしいです。
アマレがそのおばけ効率をたたきだしたのも、ナッシュという最高の司令塔がいて、マトリックスやアイソージョーなどのロールがしっかり役割をこなしていたからだと感じます。スパーズに苦杯を舐めさせられましたが、あの頃のダントー二オフェンスは見ていて楽しかったし強かった!チーム力が大切だとポポに教わったシーズンでした笑
あの当時は個人技マックスみたいな印象なのが、時代が変わるとチーム力であれを引き出そうとするのだから、当時から優れていました。
ただPGに左右されるので、タックルディフェンスが・・・。
昨シーズンもクリス・ポールのケガに泣きましたし、ダントーニはケガこそが最大の敵です。