ドラフト前にやっと動いたと思ったら、予想外のトレードでした。
【ホーネッツ→ネッツ】
ドワイト・ハワード
【ネッツ→ホーネッツ】
ティモシー・モズコフ
ドラフト2巡目指名権×2
ドラフト前日に決まったホーネッツとネッツのトレードです。
これだけみると「ハワードとモズコフが同じくらいの価値と判断されている」ですが、実際にはこのトレードは両チームにとって平等に近いトレードと考えられます。これがNBAのルールの難しい部分です。ある意味入門編のようなトレードでした。
まず両者のサラリーですが、活躍しているのはハワードといえども、どちらも活躍ぶりからすると割高の契約になっており、純粋にトレードすることが難しい選手です。そして単年はハワードが高いものの契約期間が1年短くなっています。
ハワード 約23M 来年まで
モズコフ 約16M 再来年まで
ここにお互いのチーム事情が出てきます。
まずネッツはこの夏はロールプレイヤー数人がFAとなりますが、再契約に多額の資金が必要なわけではありません。その一方で来年の夏はディアンジェロ・ラッセルとホリス・ジェファーソンという中心選手2人がルーキー契約を終え、大幅なサラリーアップが控えています。
つまり、来シーズンにハワードに高いサラリーを支払っても、来シーズン後にサラリーキャップに空きが出来ることの方が重要です。再契約だけでなく「クワイ・レナードがNYに行きたい」なんてゴシップネタもあるので、大物FAを狙うことも可能です。
ホーネッツの事情はチームの立て直しとケンバ・ウォーカーとの再契約です。高額な選手を抱えている割にはプレーオフに進めなかったホーネッツは、HCも交代し再建に取り組みたいところですがドラフト上位指名権があるわけでもありません。
不良債権みたいな選手が一杯いて、それでいてサラリーキャップを超える事態が発生したら笑えません。そこでまずはサラリーキャップを超えないように単年のサラリー総額を抑えて、必要な(安い)FA選手と契約しやすい体制を整えてきました。そこにはケンバ・ウォーカーの再契約に向けた動きも含まれます。
もちろんハワードを失ったことで戦力ダウンは否めませんが、残してもチームとして成長する構図を描けないので、ドラフト指名権も手に入れることで目先の利益よりも3年後までにチームを整備することを目指したと言えます。
次に両チームの戦力的な事情を考えます。
ネッツは早い展開を好みながらペイント内得点が18位、ノーチャージエリア内のFG%が23位とインサイドのフィニッシュ力を課題にしていました。3/21のホーネッツ戦ではハワードに32点、30リバウンドと大暴れされるなどディフェンス面でも課題がありました。
チームに完璧にフィットするかはわかりませんが、ハワードで弱点のインサイドを補うことで、勝てるようになるならば、来年の夏にFA選手を引きつける要因にもなります。
ただし、ネッツにはジャレット・アレンというルーキーの有望株がいます。アレンのプレータイムを削ってまでハワードに頼るのかどうかは微妙なところです。ハワードが再建中のネッツを嫌がって契約をバイアウトする可能性もあり、そうなるとネッツはこの夏のサラリーキャップも空きが出来るので、どちらにしても有益になりそうです。
まぁ正直ネッツのバスケにハワードは要らないのですが、ホーネッツに行ったハワードは前よりも走って献身的で良くなっているし、わかりやすく弱点を補ってくれる存在であることは間違いありません。例によってアトキンソンがハワードの価値を上げてトレードのコマになるなら良し、バイアウトで出て行っても良し、最悪何もならなくても契約が来年の夏に切れるなら良し。なんて感じでしょう。
ホーネッツは今シーズン途中のトレードでウィリー・エルナンゴメスを獲得しています。チームを立て直すのであれば、エルナンゴメスを成長させて将来の軸にしていきたいはずです。そうなるとセンターの人数が多すぎます。成長するかは知らないけど。
ハワードからモズコフになったことで人数は減らないものの、ベンチに置きやすくなりました。これもまたチームの難しいところで、実績があり活躍もしているハワードを「チームの将来のため」といってベンチに座らせるのは、本人の反感も買ってしまい、ロッカールームの雰囲気が悪くなることが予想されます。というか、ハワードは評判悪いし。
モズコフは既にネッツで第3、第4センターとしてベンチに座り、与えられたプレータイムで精一杯プレーすることを経験しています。つまりプレーには現れないチームの雰囲気という面でモズコフの方がベターな選択でもあるのです。
戦力的な評価だけであれば不平等なトレードですが、NBAのサラリーキャップやチーム作り、見えないロッカールームの部分まで含めるとどちらが得したか計算しにくいトレードなのでした。
なお、モズコフと高額契約をしたのはレイカーズですが、その時のGMは現ホーネッツのGMであるミッチ・カプチェックです。ホーネッツ側がモズコフのことを非常に高く評価している可能性もゼロではありません。
3Pを全く打たないギルクイストなんて困った案件もあるので、まだモズコフの方がハワードよりも相性が良いということも否定できません。ギルクイストが売れないからハワードを売ったとかね。
多分なのですが、NBA初心者にとってはバイアウトの意味が分からないかもしれないので今度出てきた時に少し説明した方がいいかもです。
結局ハワードバイアウトしましたねwどうやらウォリアーズに行きたいらしいんですけどどうなんでかね?
あまり良い返事をしない気が。