さようならペリカンズ'24

スイープでプレーオフを去ることになったペリカンズ。ただ、正直サンダーが強かった。そんなに強いのかよって思うほどに強かったので諦めるしかありません。もちろん、改善できる要素はあったわけですが、その改善が本当に可能なのか微妙なものが多く、ザイオンが戻ってくることが来シーズンへのディベロップメントとなってしまいます。

今シーズンは驚くほどに戦術が整備され、特に「ザイオンのチーム」になれそうな空気に満ちていたペリカンズ。オフェンス戦術が整備され、ローテーションプレイヤーも多く、それでいて戦術の使い分けも可能なチームになりました。シーズン序盤に最も面白いチームになりましたが、これをプレーオフで使い切るのも難しい一面がありました。

まずは改善が難しいという前提で、プレーオフの懸念事項を挙げていきましょう。

①イングラムvsドートが続いた

FG34.5%、14.5点。イングラムはドートに完膚なきまでに抑え込まれました。166回のマッチアップで28点、FG33%です。ブロックされる懸念はないのに、ボールをもってもフィジカルに守られるため、押し込むことは出来ず、バランスを崩されるのでフェイダウェイの確率も落ちていました。長くボールを持つと危険なので、ポストアップから即座にターンシュートを打つこともあれば、ゲーム4では何度もフェイクしてドートが無反応なのにシュートを打てないシーンもありました。

問題はvsドートが嫌ならスイッチ誘導すればOKってことです。これが出来なかったし、トライしても引き剥がせないことや、ブリッツでダブルチームを仕掛けられるとジャッジが悪いイングラムの事情もありました。いずれにしても、ミスマッチ誘導の拙さは目立ったし、1on1ベースのために行うオフェンスパターンは少なかったです。

イングラムのスキルセットの課題に加え、シューティング能力の低いザイオンの存在、そしてバランスアタックを確立できるロスターとペリカンズはミスマッチ誘導を日常的に行うことがベターなのかというチーム事情もあります。なので、安易に批判することが出来ません。

②3P成功率

シーズンでペリカンズの3Pは38.3%でリーグ4位でした。ところがプレーオフでは3Pがあまりにも決まらず、点が取れない状況が続いてしまいました。

さすがにちょっと厳しいものがありました。しかし選手単位で3Pをみると、そこまで酷いものではありません。

まずかったのはマカラムとアルバラドの2人でした。つまりガードのところでコートを広げることが出来なかった。この点は何とかなりそうなのですが、そこまでアルバラドに拘る理由があったのか。そしてPGマカラムなので仕事量が適切ではなかった面もあります。

ただ単に3Pが決まらなかっただけでなく、総じて得点が取れなかったプレーオフだったので、シューターのホーキンスを使えばオフェンス面の改善も期待できました。何より今シーズンは戦術の多様性を構築したのだから、何かを起こすことは出来たような。

③バランチューナスとナンス

サンダーにとって最も嫌なオフェンスオプションはバランチューナスでした。ポストアップからの押し込みだけでなく、スクリナーとしても強いためスイッチ誘導もしてきます。ハンドラーアタックが外れた時のオフェンスリバウンダーとしてもサンダーには驚異でした。

逆にナンスはスモールのサンダーに対してのディフェンスオプションとして有効でした。ビッグを1枚残しておけばサンダーへのけん制にもなるし、ホルムグレンとのマッチアップでも力を発揮できます。スピード不足のバランチューナスよりもスペースを埋められるので守りやすくなります。

問題はこの2人の使い分けが難しかったこと。ストロングポイントを作るバランチューナスがコートにいるならば積極的にボールを入れていくべきですが、そうなればシューティングの良い選手を周囲に置くべきで、よりディフェンスが怪しくなってしまいます。ナンスを使えばドライブアタックからのパスアウトも期待できるので使いやすい反面で、ザイオン不在ではアタック力を欠いていました。

まぁ言ってしまえばユニット構成に合わせた対応をするには、ちょっとずつ武器がずれてしまうことと、インテリジェンスが足りないってことです。シーズン中はツープラトン的なローテもありましたが、その方が強みを出せていたのはそういうことなのでしょう。

保守的な起用が目立つウィリー・グリーン。それ自体が悪いのではなく、的確に使い分けるのが難しいので保守的なチョイスをしたように見えたのが苦しい部分でした。正直、魅力的なロスターだけど、的確に使い分けるのは本当に難しいと思う。

さようならペリカンズ'24” への2件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝見させて頂いてます。
    3ページの「もう少し人間に寄らないと勝てるチームを作れないし、プレーオフのどこかでケガをしてしまう選手になっちゃうだろうね。」
    人間に寄らないと、適格で癖のある表現にクスッとしてしまいました。

    1. 誰にもできないプレーがあだになるというモンスターならではの悩みですね

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