さようならサンズ’２４

ブッカー、デュラント、ビールのビッグ３を揃え、シーズンスイープした相性の良いウルブズを相手にしたファーストラウンド。そこでまさかのスイープ負けを食らったサンズ。しかもゲーム４は

〇ブッカー　
４９点
ＦＧ１３／２１
６アシスト
２ターンオーバー

〇デュラント
３３点
ＦＧ１２／１７
５アシスト
４ブロック
１ターンオーバー

２人合わせて８２点、ＦＧ２５／３９、そしてターンオーバーは僅かに３つで負けるというミラクルでした。このコンビスコアで負ける方が難しいというレベルでしたが、もう１人のビッグ３が９点、ＦＧ４／１３、６ターンオーバーと大ブレーキ。ビッグ３で９１点なので・・・十分だろって感じですが、見事な負けっぷりでした。

「優勝だけが成功」のシーズンは、大量の指名権を放出しての豪華戦力であり、サラリー総額もリーグ３位。（なお１位はプレーオフに出ていない）それでもスイープ負けであり、内容が悪かったこともあって『解体すべき』と言われても致し方ありません。

このブログでは１２月ごろから「内容が酷い」「これで勝っているの信じられない」と言ってましたが、４９勝したことがビックリだったりもしていて、本当にどうにも評価しにくいチームでした。

試合運びとして頻繁に崩壊しそうなシーンが訪れるのですが、それをヴォーゲルは絶妙な選手起用でやり過ごしていく感がありました。相手に流れが行きそうなときのタイムアウトだけでなく、デュラントとブッカーでワンポゼッションを取る形など、細かい部分では采配が光ったことで４９勝した感がありますが、そういう状況が多かったこと自体が戦術的な問題でした。

◎さようならヴォーゲル

さすがスイープ負けしたチームらしく、早々にきな臭い話が出まくっています。デュラントが「オフェンスシステムがオレの長所を出せない」とかさ。

Frank Vogel “yelled so much that his voice could be heard outside the locker room” after the loss to the Clippers on April 9th, per @ShamsCharania

“Suns players weren’t buying it. The outburst seemed forced and out of character in their eyes…Vogel’s eruption left players… pic.twitter.com/A6ho4GVsTS

— Hoop Central (@TheHoopCentral) April 29, 2024

かつてレイカーズを優勝に導いたヴォーゲルについて質問された時「天才じゃなくて超現実主義者」と評しましたが、その長所も短所もガッツリとでたシーズンだったと思います。ヴォーゲル「が」悪いなんてことはないけど、ヴォーゲル「も」悪いとは強く思います。まずは、優勝から逆算して考えてみると

ナゲッツを倒せるチームを作る

これが目標であったはずです。それはブッカーとデュラントの急増コンビでも得点を奪えた昨シーズンのプレーオフからくる期待として、改善の余地が十分にあると判断されていました。そこにビールが加われば・・・ってのはマイナス要素に見えますが、それは後述するとして少なくとも

グレイソン・アレン、エリック・ゴードン、ユーバンクスがローテーションプレイヤーで優勝出来るのか

この点において強く『ＮＯ』と突き付けられてしまいます。重要な場面で落ち着きを失うアレンのメンタリティ、サンズに狙われまくったゴードンの衰え、まぁユーバンクスは他にいなかったからヴォーゲルも苦しかった感じだけどさ。

一方でサンズはオコギー、リトル、ベイタ・ディオップ、渡邊なんかがいて、デッドラインではロディが加わりましたが、試合に起用されることは稀でした。もちろん、彼らが優勝に値するかと言われれば怪しいものがありますが、

ディフェンス
ハードワーク
マルチな役割
相手に合わせた起用

こういう要素で言えば使える選手だったはずです。メトゥも場合によっては・・・ね。箸にも棒にもかからないレベルならばともかく、ゲーム３とゲーム４で活躍したオコギーだけでなく、シーズン中の試合では各選手がそれぞれの良さを出すこともありました。渡邊だけ活躍しているの見たことないけどさ。

現在、サンズは指名権がなくて未来も怪しいといわれていますが、若手がゼロってことではなく、育てることで改善していく要素もあったわけです。何が正しかったかはわかりませんが、少なくともやるべきだったことは

優勝という理想を追い求めたチーム戦術の構築

であり、そのためには目の前の失敗を許容してでも、若手の成長と弱点の少ないチームを作るべきでした。現実路線では上手く戦ったけど、ウルブズにスイープを食らわなくても優勝まで到達できるようなチームではなかったことは間違いありません。

さらにいえば選手の感性とヴォーゲルの感性には大きなズレがあったのでしょう。レイカーズ時代にレブロンにハードワークを徹底したヴォーゲルとは思えないくらいにエネルギーの足りないチームでもありました。ここは埋まらない差だと感じるので、ヴォーゲル路線は早々にひっこめた方が良いとは思うのですが、一方で「現実的に勝つ」ならばヴォーゲル以上に働けるＨＣを連れてくるのは簡単ではありません。前任もモンティだしね。