新人の王 パオロ・バンケロ

◎どちらに進むのか

ルーキーとしてデビューした直後から、試合終盤のアイソを任されるなど、極めて順調にエースとしての期待をされたバンケロ。その一方でチームオフェンスの一部としては機能性を欠いています。ただし、ハンドラープレーはそれなりに期待したくなる可能性も見せました。

個人技担当のエースキャラで突き進むのか
ハンドラーとしてチームオフェンスをけん引するのか

マジックのチーム事情としてPG陣がダボつくほどにいることと、フランツがいること。そしてドラフトでもブラックを指名したので、ハンドラータイプは充足しすぎており、前者の色を強くしていくのだと思います。エースキャラのドラフト1位でわかりやすいですが、全てを担当するハンドラーではないので近年では珍しいかもね。

このパターンで行くとバンケロのアテンプトはそれほど伸びないことが想定され、個人技担当として確率を向上させていくことが求められます。

〇TS 52.9%

ファールドローが多いものの、TSの数値が悪くオフェンスの成功率に課題があります。マスリンが56.6%を記録しており、現代バスケにおける個人技担当としてもバンケロの成功率は低いものがあります。ちなみにエースタイプじゃなければジェイレン・ウィリアムスが60.1%、キーガン・マレーが59.7%を記録しており、最近のルーキーだとこういうチーム戦術にフィットしていくタイプが増えています。逆に珍しかったバンケロ。

バンケロもスクリーンからのロールマンプレーを増やすなど、チーム戦術に混ざるプレーパターンを増やすのも一手です。WCJの存在も考えると、コーナーからのカットプレーでゴール下押し込みも増やしたいところです。ナゲッツでのアーロン・ゴードンみたいにね。

そんなチーム戦術を除くと、まず改善すべきは3Pの成功率になるのでしょう。ここが改善するとドライブの威力も増してきます。その中には「プルアップ3Pへのパターン」を個人技として確立することもあります。バンケロはハンドリングスキルがあるので、いろいろと仕掛けてからのプルアップ3Pがあるのですが、プレーパターンとしてはしみついていないので、確率が悪い。

ドライブからのストップジャンプシュートも改善ポイントですが、こっちは難しそう。ただバンケロの場合はレイアップ系統を増やすことの方が大事なので、ジャンプシュートの改善よりも、ジャンプシュートに頼らない方向性で。そしてジャンプシュートに関してはポストアップからのターンシュートなどの方が課題でしょうしね。

「絵にかいたようなドラフト1位」だったバンケロのルーキーシーズンですが、それはエースの個人技アタックが減ってきている現代バスケにおいては、必ずしも誉め言葉ではありません。「珍しかった」という方が正しい。また、細すぎるビッグマンが多く、初めの課題が「身体づくり」のケースが多い中で、既にNBAで通用する身体能力を持っているのも珍しい。

ここから判断力を向上させ、シュート精度をアップするのが、わかりやすい成長ルートですが、バンケロの場合は後者は当てはまるけど、前者を磨くよりも、シンプルに1on1を磨いた方が面白そうです。

有望株を集めまくり、シーズン後半には浮上の気配を見せたマジック。バンケロがいなくてもチームは戦えそうなので、バンケロの主たる仕事は

クラッチタイムに「試合を決める」こと

です。なんてわかりやすいエース像だろうか。最近では珍しいエースのお仕事を担当していきそうなバンケロ。その成功率がプレーオフへの道を左右しそうです。

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