「止められないけど」のボルボル

FAでの補強が進む中、マジックがボルボルをウェイブするというビックリなニュースが飛び込んできました。主力として使っていたはずなのに、それも激安サラリーなのに、やっぱり不要だったボルボル。思うんだけど、だったら初めから獲得しなきゃいいのにね。

〇今シーズンのボルボル
9.1点
FG54.6%
5.8リバウンド
1.2ブロック

足りなかったといえば足りないんだけど、そもそもナゲッツとセルツで出番すらもらえない選手がローテの一角として使えそうになっただけでも大きな進歩。その進歩があっても不要になるのは、やっぱりそもそもの問題が大きかったから。ってことでボルボルについて振り返ってみましょう。

「ボルボルが欲しい」なんて安易に考えるのは、ボルボルのことを理解していないからであり、ナゲッツでは出番がなく、マジックでは出番があって結果も残してウェイブされたってことを理解していないからでもあるぜ。

◎止められない

ボルボル最大の特徴は218センチのサイズながら、スピードも持ち合わせており、「1歩」のストライドの大きさがNBAにおいても特殊なものがあり、ステップを踏まれるとディフェンダーからはノーチャンスになること。もちろんユーロステップなんかも使えるので、マジでステップに入られると止められない。上手いことコーストを止めても高さで打ち切れるしな。

ステップを踏んだボルボルを止めるのは、ハッキリいって不可能

そのためハイライトをみる限りは異次元のポテンシャルに見えます。どうすりゃ止められるってんだい。

まぁ要するに「ステップ踏ませなきゃ止められる」ってことなんだけどね。そこは置いといて今シーズンの成功の理由を振り返ってみましょう。

〇3P 26.5%

218センチにしてスピードがあり、アウトサイドからのプレーができるボルボルは、3Pを打てるのも魅力ですが、シンプルに決定力が低いままです。これはシュートが下手というよりも安定感のなさが問題で、全く決まらない試合がたくさんあります。

〇キャッチ&3P 18/66
〇プルアップ3P 11/45

加えてキャッチ&3Pが決まらないのも問題ならば、プルアップの割合の多さも問題です。キャッチ&3Pが少ないってことの方がより問題か。

普通に考えればアウトサイドでパスを引き出し⇒3P⇒ドライブという図式で立派に成立するはずなのですが、パスを引き出すのが下手な上に3Pを打ち切らないので中途半端になりがち。ドライブの一歩目さえ成功すれば、ステップ踏んで無双なのですが、そこまでいかないんだもん。

この点も含めて「3Pとドライブアタック」という構図を作ってもボルボルはいまいち機能しません。あとは218センチだけど、線が細くて、フィジカルに戦えないし、ポストアップもゴール下合わせも弱いだけのセンターになってしまいます。それって

「3Pかゴール下か」のオフェンスではフィットしない

そんな事情もあります。そしてマジックでボルボルがプチ成功した理由は、3Pではなくミドルやショートレンジのジャンプシュートが増えたことにあります。

〇エリア別アテンプト
ゴール下 184
ペイント 106
ミドル   75
コーナー3P 28
その他3P  85

スモールサンプルではありますが、コーナーからのプレーは少なめで、ゴール下まで行かない2Pが割と多かったです。要するにミドルOKのチーム事情がフィットしました。決まったミドルシュートのうち74%にアシストがついており、実はここがキーでした。

同時にマジックはデカいけど5アウトなオフェンスも多く、ミドル&ドライブの構図が成立しているのもボルボルにとってはやりやすい環境でした。

〇シュート別成功率
アリウープ 27本 93%
ダンク   75本 97%
レイアップ120本 68%

2Pジャンプシュート 159本43%
3Pジャンプシュート 113本26%

ダンクはもちろん、レイアップまでいければ高確率なのはわかりきっており、その前のプレーとして本数の多いジャンプシュートが決まるかどうかがボルボルにとってはキーです。そのジャンプシュートは3Pが決まらない代わりに2Pショットが増え、確率もそこそこまでいきました。

2Pジャンプシュートを積極的に打てる環境が重要

「止められない」ボルボルですが、止められなくても「やらせない」は簡単にできます。それを簡単にさせないために必要なチームオフェンス。

マジックはバンケロも2Pジャンプシュートを打っていくので、そもそもPF系統のプレーが似ていること。WCJとワグナー兄の存在がストレッチセンターとしてスペースを作ってくれることなど、ボルボルに適した環境でした。これを再現できるチームじゃないと厳しいぜ。

そういえばバンバもクビになったようなもんですが、マジックではコーナーでプレーできるビッグマンとして面白かったのに、レイカーズに行ったらインテリジェンスの低さが如実に発揮されていたよね。いいかえればマジックはインテリジェンスを隠すのが上手い。勝ちに行くチームじゃなかったから許されていた部分も含めてさ。

「止められないけど」のボルボル” への1件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝読しています。
    まさにデータからわかる選手の本質だなと思いました。

    お手隙の際に、同じような「ハイライトはすごいのに、、、」な選手、また逆に「ハイライトはないけど実は、、、」な選手について解説いただきたいです。

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