さようならマクミラン、こんにちはスナイダー

◎もっとも対策されたHC

クイン・スナイダーの戦術は、バスケットの最終形態とでもいうべき戦術で、その美しさは他に類を見ない完成度でした。しかし、それは長いシーズンとプレーオフでは「完成されているから分析しやすい」ことにも繋がり、完成された戦術を用いるスナイダーは『もっとも対策されたHC』になりました。

さて、それでも忘れてはいけないのはスナイダーが攻略されたのは「ゴベアを中心としたディフェンス」であり、ドノバン・ミッチェルを中心としたオフェンスは対策しても止められない完成度だったことです。ただし、今から完成されたオフェンスをするのはムリなので、そこは考えても仕方ないんだよね。

まずはディフェンスから考えてみましょう。

スナイダー戦術の特徴は「ゴベアへ誘導するディフェンスシステム」です。ディフェンダーのロイス・オニールですが、割と抜かれることが多く、ただし、抜いた先にはゴベアが待ち構えているという流れでした。だから、先にゴベアを3Pラインまで連れてくれば、ゴール下にドライブし放題っていうね。いってみればスナイダーは

オンボールディフェンダーとヘルプディフェンダーの連動を重視するディフェンス

ということになります。なんか、この時点で今までのホークスにはなかった要素の匂いがしてきますね。同時にオンボールの弱いヤングにとっては、戦術理解が進めば形になりそうでもあります。コンリーやルビオで守っていたわけだしね。

ホークスは高速ヘルプ担当として何度も顔を出してくるコリンズを中心に、カペラとオコングがいるので、ゴベアほどではないにしてもリムプロテクトが期待できます。問題はスナイダーがツービッグでのディフェンスシステムを作れるかどうかですが、昔はゴベアとフェイバーズだったのだから、どうにでもなる気がします。

なお、カペラよりもスピードのあるオコングの方が面白いことになりそうですが、それは来シーズン以降かな。

ここにマレー、ハンター、ベイ、グリフィン、ジョンソンがいるので、何だかディフェンスの改善は近くにありそうです。

〇被FG47.8%(21位)
〇被3P35.0%(9位)

ホークスが困っているのは、55.5%決められている2Pへの対処です。個人としてのディフェンス力はあるため、そこそこ3Pは対処していますが、連動性のないチームディフェンスなので、ペイント内失点がボロボロかつリバウンドをキープできていません。

〇ペイント内失点 53.1(26位)
〇ディフェンスリバウンド率 71.3%(20位)

インサイド側にブロックを構築できていないので、リバウンドも反応力勝負になってしまっています。

カバーリングシステムとリバウンド体制の構築が最優先

そう考えると3Pで攻略され続けたジャズとは対照的な弱点です。ゴベアがいたとはいえ、ゴール下のリムプロテクトへと誘導しつつ、ペイント内を固く塞いできたスナイダーのやり方は「ホークスが改善すべき事項」にフィットしており、時間は限られているとはいえ、即効性のある修正になるかもしれません。

キーになるのは、ルーキー時代からディフェンダーとして使われ、立派な活躍をしながらも、4年目になって「なにか成長したっけ」と思わせてしまうハンターかな。オニール的な役割を担うことになるでしょうが、個人ではなくチームで守る前提なので、戦術的にふるまえるかどうか。成長のチャンスだぜ。

ジャズに比べると、リムプロテクトの脅威は薄まるけれど、働くウイングは充実しており、コリンズの存在がツービッグの選択肢も作ってくれるので、より強固で柔軟なシステムを作れるかもしれません。

その一方でスナイダーの場合はスモール戦略を好まないので、コリンズのワンビッグを使えるかどうか不明です。マクミランが使えなかったので、悪くなることはないけどさ。

さようならマクミラン、こんにちはスナイダー” への2件のフィードバック

  1. 最高のニュースです。こんな期待感のあるヘッドコーチ就任は中々ないので興奮しました。
    個人的にはブーデンフォルツァーHC時代のような完璧なホークスを思い出してワクワクしています。それってプレーオフではケチョンケチョンにされそうですが。

  2. ゴベアという特級呪物から開放されたスナイダーが新しい戦術を開花させるのに期待
    あとはトレヤンがコンリーの半分でもコート上の指揮官として自覚を持てば……

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