ラウンド16 スペインvsリトアニア

「グループ4位だったからスペインが相手になった」リトアニアよりも、「グループ1位なのにリトアニアが相手になった」スペインの方が運が悪い気がするカードです。世代交代の過渡期にあり、若いビッグマンとオジサンのガード陣になっているスペインに比べて、NBAプレイヤーがインサイドにいて若きガードが加わったリトアニアの方が充実はしています。平均レベルではなく、タレントがいるのはリトアニア。

◎前半のリトアニア

予選リーグ初戦でスロベニアと大接戦を演じてから、浮き沈みも含めていろんなことがあったリトアニア。1つは若きPGヨクバイティスが強気なアタックで違いを作れるようになったこと。インサイドにお任せ状態は解消されるどころか、PG中心の方が形になるように。

もう1つがインサイド渋滞になって全く機能していなかったサボニスに対して、次第にチームでスペースを作るようになり、特にバランチューナスがサボニスのために上手く動いてくれるようになりました。ゴリゴリのインサイドチームは形を変え始めたのでした。

本日もバランチューナスのポストアップから押し込みが決まりますが、レフリーコールも大会中に変化したので、バランスを崩さずにフックを打っても&ワン。自分たちだけでなく、ルールも変更されたので良かったね。そしてインサイドからのパスアウトで組み立てるベーシックなスタートになります。

これがガルバの登場で良くも悪くも変化します。バランチューナスのポストアップに対して、フルフロントで守り切るガルバ。パスアングルを変更されてもポジションを組みなおすのが早く、パワー負けもしないのでリトアニアはポストに預けることが出来なくなります。バランチューナスへのパス、サボニスへのパスそれぞれカットするガルバ。よし、キングスはガルバを取ろう。

得意技が使えなくなってしまったリトアニアですが、逆にヨクバイティスのドライブジャンプシュートが決まれば、サボニスのスクリーンを使って突破してフローターも。つまり、懸念のインサイド渋滞が消えた上に、サボニスの有効利用も始まります。なお、ヨクバイティスは素晴らしいプレーを見せたんだけど、速攻のレイアップミスなんかもあって「才能は素晴らしいけど、ちょっと物足りない」状態です。

スペインからすると、良いディフェンスをしたことで逆に的を絞れなくなるという皮肉な展開。

ガード陣とのコンビプレーが増えてきたサボニスなので、マークを引きはがした状態でオフェンスリバウンドに参加してプットバックも。予選の時はリバウンドをとっても3人くらいに囲まれていましたが、ディフェンスの体形が崩れているなら関係ないもんね。

これまでの試合になかったくらいサボニスのスクリーンを利用していく中で、これまでの試合通りにサボニスのスクリーンを無視して展開したらクズミンスカスの3Pが決まるし、今度はクズミンスカスがローポストで受けたところに外からサボニスが走りこんでフィニッシュ。今大会4試合目までは考えられなかったくらいサボニスがフィットし始めました。ダムダムしないサボニスはNBAのオールスター。

これで前半の終わりに逆転したリトアニア。バランチューナスのファールトラブルはあったけど、ポイントセンターが機能したので強いよね。単なる個人技アタックが通用しない相手になったら、コンビプレーのサボニスが活きたのでした。ゴリゴリさせるならサボニスよりもエルナンゴメス兄の方が遥かに優れた選手だ。

◎前半のスペイン

NBAでまともにプレータイムを得ているのが過渡期の真っただ中の世代となるエルナンゴメス兄弟という奇妙なスペインというか、タイミングの悪い兄弟というか。ウィリーが得点とリバウンドで引っ張っており、フアンチョを含めたPFに強みを持つスペインです。

そしてガードは未だにルディ・フェルナンデスが活躍しており、あまりにも足りなかったからかロレンゾ・ブラウンが帰化枠で参加しています。言い換えればガード陣には不足事項が多いという事。ルビオのゲームメイクがないこと以上に、シューティング不足が痛いんだよね。予選は見事なコンビプレーで3P決まらなくても解決していましたが、本日はインサイドだけなら格上のリトアニアなので、そうもいってられない。

そんなわけでフアンチョが1本決めることはあったけど、インサイドの1on1は分が悪く、こちらもガード陣が大事になります。ロレンゾ&ルディのアウトサイドだけでなく、ディアスやブリジエラほかベンチメンバーも外から打っていくシーンが増えます。自分たちの長所で負けるのだから、普通に考えれば苦しいのですが、そこはスペインなのでベーシックレベルが高く、特に戸惑うことなく、リトアニアに合わせたオフェンスをしていきます。

「自分たちのバスケをする」のが勝利への近道だけど、相手がいるスポーツでは難しいわけで、強いチームってのは「自分たちのバスケが出来なくてもアジャストできる」チームだよね。そんな空気のスペインでした。

前半の終わりになるとウィリーからフアンチョのインサイド合わせも飛び出し、次第に連携も見せ始めますが、とにかく外から攻略するのが重要な前半であり、格下相手にみせていた「パスだけで崩す」シーンは殆ど出てきませんでした。

唯一、PFについてはバランチューナスがファールトラブルになるとスペインのアドバンテージにはなったのですが、それが「リバウンドで繋いでいる」だけにも見えてしまうので、印象は悪かったね。

そんなわけで結果論として、両チームがアウトサイドを構築していく重要性に迫られた前半でした。もともとサボニス中心で考えた時の設計が悪かったリトアニアにとってはポジティブに働き、スペインにとっては苦し紛れでも決めていっただけにみえたので、45-40とリトアニアリードで折り返します。

後半へ ⇒ ⇒ ⇒

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