モラント・ワンモアステップ

モラントはスゴイ。間違いなくスゴイ。でも、ちょっと物足りない。

そんなシーズンを過ごしていたけれど、プレーインからプレーオフにかけて急激に物足りなさを埋めていったモラント。すっかりファンになってしまったぜ。それくらい破壊力があるシーズン終盤でした。まずはシーズンの成績とプレーオフの成績を比較し、何が物足りず、何が加わったのかを考えていきましょう。

◎ドライブと駆け引き

〇シーズン
得点 19.1点
2P 49.9%
3P 30.3%

モラントの凄みは3Pも2Pも確率が悪いながら19点を取っている事です。特に3Pの確率は悪く、ガードの選手でモラントよりも3P成功率が悪く、モラント以上に点を取っているのはデローザンしかいません。ウエストブルックよりも確率悪いんだぜ。

しかも3Pアテンプトは3.8本しかなく、この少なさも同じくデローザンしかいません。ここまで3Pに頼らずに19点を奪っていることは1つの脅威にもなるわけです。

そのデローザンと比較した場合、3Pはなくても神がかったミドルがあるデローザンに対して、モラントの点の取り方は大きく異なります。

〇デローザン
5ft以内 4.2本 60%
9ft以内 2.7本 51%
14ft以内3.6本 48%
19ft以内2.8本 47%

〇モラント
5ft以内 6.4本 58%
9ft以内 2.7本 38%
14ft以内1.9本 43%
19ft以内0.4本 38%

ドライブには駆け引きが必要ならば、3Pかドライブかは重要です。デローザンには3Pがないけどミドルレンジで踏み切って打つのでドライブしてからの駆け引きが存在します。

それが14ft~のアテンプト合計6.4本という数字に出ていますが、モラントはそれが2.3本しかなく、ほぼショートレンジで打ち切っていることがわかります。それも5~9ftの確率はデローザンとは大きな差があり、ほぼ5ft以内のアテンプトに持ち込んでいることが特徴です。

3Pやミドルによる駆け引きが少なくても、ゴール下までドライブする能力が高い

これ自体はすごくネガティブな話なのですが、ポテンシャルとしては凄いものがあります。要するにヤニスみたいなプレーをしてしまっている。だから「モラントはスゴイ、スゴイけど物足りない」わけだ。これだけ強引に飛び込める能力を持っているガードはいないし、現代のガードはそもそもそんなことしないし。

ならば、よりドライブを増やせないのか。ドライブの回数をシーズンとプレーオフで比べてみましょう。

〇ドライブ
回数 18.4回 → 24.2回
得点  9.5点 → 14.4点
パス  7.2本 →  8.6本
アシスト 2.2本 → 2.6本

SGA、ドンチッチ、ヤング、フォックスに次ぐリーグ5位のドライブ数を記録していたシーズンから、全員抜いてリーグトップに躍り出たプレーオフです。平均6回近く増やすと、得点は5点も伸びており、一気に怖さを増してきました。

得点率も伸ばしており、自分で点を取るプレーが目立ったわけですが、何よりも「自分が試合を決める」という強い意志を感じたのです。これまでも4Qになると自分で行く傾向は強まりましたが、他のエースほどは「オレが決める」な空気を出していなかったモラント。それがスーパーエースな風格に代わってきたのでした。

また、そこには「強気に3Pを打つ」のも加わります。打ち切れるかどうかは重要な要素だけに、決まるかどうかよりも駆け引きの中で迷いなく打っていたのが印象的さ。

そんなわけで新シーズンのモラントには、より強気に自分で決めていくことを期待したいわけですが、だからといってプレーオフレベルにやって欲しいわけではありません。モラントに期待したいことは「常にプレーオフレベルで戦え!」ではないよね。ギアを上げずに効果的に得点を増やしていこう。

だから今回のテーマは「ワン・モア・ステップアップ」になります。ワンモアであっているのかな?

◎3P

モラントに初めに期待することはもちろん3Pの改善。これさえ改善されれば、もっと楽に点が取れるようになってきます。アテンプトを増やすことはドライブ効率を高める事にも繋がり、怖さが増してきます。プレーオフ後には3Pを打ちまくっているトレーニング動画もあがっていましたが、超適当に打っていたので決まる気はしなかったなぁ。

〇3P
アテンプト 3.8本 → 6.2本
成功率  30.3% → 32.3%

こちらもプレーオフになると明らかにアテンプトを増やしました。決まりまくったわけじゃないけど、ディフェンスを攻略するには必要な武器だったという事。ジャズディフェンスとの兼ね合いもありましたが、この経験があるだけに新シーズンはアテンプトを明確に増やしてくるでしょう。

〇3P
キャッチ&3P 1.7本29%
プルアップ   2.0本30%

セクストンやフォックスと違って、モラントはプルアップの方が多くなっており、しかも確率もね。プレーオフではプルアップが4.4本まで増えたのが印象的です。つまり、アテンプトを増やしても確率が下がる可能性は低そうです。

っていうか、キャッチ&シュートの確率の悪さが問題。パスを受けても思い切りが悪いし、フェイクの事が多いんだよね。本来は「3PがないPG」と思われているから、楽に打てるはずなんだけど、打ち切らないことが多いです。

1つにはオフボールで動き回るタイプでないことも関係しそう。トップにいるのでキックアウトパスを受ける機会は少ない。ってことで、改善はして欲しいけど、基本的にはキャッチ&シュートは増えず、プルアップ増で成功率まで改善を図ることになりそう。

〇ディフェンスとの距離別
4-6ft 0.9本 27%
6ft以上 2.7本 33%

思い切りの悪さはココにも出ていて、「オープン」と位置付けられる4-6ftですら1本を切っています。プルアップでこれを打ちまくる必要はないのですが、さすがにもう少し打とうぜ。

思い切り良く3Pを打て!

本当にこれだけではあるよ。ただモラントが打ち切らないことは、グリズリーズオフェンスをゆっくりと正しくプレーさせることにも繋がっており、難しいラインでもあるんだよね。3.8本のアテンプトのうち1.0本がショットクロック残り7秒切ってからのシュートにもなっていて、基本的にモラントは早打ちをしない。

チームのペースを崩すことなく、だけど積極的に3Pも打っていけ!

うーん、ムズカシイネ。何が正解になるのかわからない。だから、やっぱり「成功率をあげろ」に尽きるのかな。トレードで動いたグリズリーズですが、モラントの役割は何も変わらないので、エースである前にPGなんだよね。そんな事情もあって3Pの改善は期待したいけど、改善されたからと言ってチームのプラスになっているかどうかは検証しないといけないかもね。バランスアタックこそがグリズリーズの真骨頂。

◎コンビプレー

ドライブ能力の高いモラントは、ミドルによる駆け引きはなくてもセンターに合わせるパス能力の高さがあり、緩急を巧みに使ったパスフェイクを活用し、シュートまでいくことが出来ます。伸びやかなジャンプも、飛んでからパスに判断を変更できるので、パスとシュートの駆け引きは秀逸です。

そこにはバランチューナスやクラーク、ティルマンとのかみ合わせがありましたが、ティルマンを除いてフィニッシュ力に特徴のある選手でした。クラークが出番を減らし、ティルマンが増やしたのはバランチューナスとの違いを作りたかったのかもしれません。

しかし、これらの特徴に反してコンビプレーの精度には課題が残ります。狭い空間を突破してアシストするのは非常に上手いモラントですが、自分で決めきる確率が悪かったのでした。ピック&ロールで自ら決めるFGの悪さね。

〇ピック&ロール ハンドラー
回数 10.3回(7位)
得点  8.3点(11位)
FG 40.9%

モラントより確率の悪いのはケンバくらいしかいなかった。アタック数は多いけど自分で決めきれていないことに。ここは大きく改善しなければいけません。

プレーオフではFG成功率が51.4%まで改善しました。回数自体が18回まで増えているため得点もドライブだけで20.4点と圧倒的でしたが、大事なことは回数を増やすことよりもFG成功率をプレーオフ水準にしておくことです。

ピック&ロールからの安定したフィニッシュ

これはプレーオフで出来たことを新シーズンでもやればOKなだけに期待も膨らみます。ちょっとパスに拘り過ぎていたことがシュートミスを生み出していた気もするので、あの経験がポジティブに変わってくれることを期待するのみ。

〇スクリーンアシスト 22.1(19位)

そんなモラントの確率の悪さもあってグリズリーズのスクリーンアシストは19位とイマイチでした。しかし、ここにリーグ最強のスクリナーであるアダムスが加わります。

〇スクリーンアシスト
バランチューナス 4.4回
アダムス     4.1回

ありゃ。そうでもないな。

ウエストブルック時代はリーグ2位だったこともあるアダムスですが、最近はあまり有効活用されていません。スコアリング能力の高いバランチューナスとのトレードだっただけに、アダムスのスクリーンからモラントが決めていくパターンを増やすことは必須にも思えます。

アダムスとのコンビプレーを確立しろ!

あと2人の違いとして、ポストで身体をはってボールを呼び込むバランチューナスに対して、動きながらパスを受けるのが上手いアダムスっていうのもあるので、よりアグレッシブにモラントが飛び込み、ディフェンスがブロックに飛んでから(ちょっと雑でもいいから)スペースにパスを出すのが正しいかもね。

いずれにしてもフィニッシュ力を中心にしたセンター陣から、スクリーンやハードワークで多大な貢献をするアダムスに変更されたことで、よりモラントは得点しやすくなるし、得点しなければいけません。コースを作るスクリーンなど、目に見えない貢献をしてくれるアダムスだけに、コンビとして有効活用するのは必須

グリズリーズ自体がプレーコールの上手さを誇っているだけに、アダムスのスクリーン能力は最大限に利用してくるでしょうが、モラントが決めきるからこそ価値のあるスクリーンです。

◎キックアウト

7.4アシストを記録したモラントは優れたポイントガードとしてオフェンスを作っています。クイックネスに優れ、ドライブ能力が高いからこそ、ディフェンスは安易にボールを奪いに行けず、その余裕からコート全体のチームメイトの動きをしっかりと捉え、的確なパスを供給してくれます。

しかし、その一方でモラント自身がドライブした場合はキックアウトパスが少ないのも特徴です。トップ近辺では視野が広いけど、インサイドまで攻め込んだら、そこまで全体がみえるわけではない。

これは多くの選手が同じなので「モラントの弱点」ではありません。しかし、スーパースターへの道を歩むならば避けては通れないスキルの壁がそこにはあるのです。一部のトップPGと「スターだけど何か物足りないレベルのPG」の差かもしれない。

〇モラントのパスからのシュート数
2P 11.6本 → 13.2本
3P  7.5本 → 10.6本

一方でこの点でもプレーオフになって劇的に改善してます。ジャズディフェンスの弱点があったことも含めて、モラントのパスから3Pが多く生まれました。10本を超えているのはスーパースターっぽいぜ。ちなみに他のスターを見てみよう(プレーオフのスタッツ)

〇3Pに繋がったパス
ヤング 10.3本
ハーデン 8.3本
ドンチッチ10.6本
シモンズ 9.6本
CP3  8.1本

ハーデンとクリス・ポールは試合途中でいなくなった試合があったので平均が落ちていますが、大体10本くらいあるメンバーです。モラントもドンチッチにひけをとらないレベルで3Pを生み出したわけだ。

ただし、5人はシーズンでも10本前後の数字を叩き出しており、グリズリーズが3Pの少ないチームである事情はあれど、モラントもこのレベルまで引き上げたいところです。

コートを広く使うキックアウトパスを増やせ!

シーズンでは物足りなかったけど、プレーオフになって「スーパースター」と言いたくなったのは単に得点が増えただけでなく、コートを縦横無尽に使っていくダイナミックなパスが増えたことも関係しているわけだ。

〇グリズリーズのワイドオープン3P 36.8%(24位)

同時にチームとして確率の悪かったワイドオープン3Pが改善することも期待したいわけです。シュート能力不足もあるけれど、もっとディフェンスを振り回すようなキックアウトパスが増えることで余裕も生まれるはず。

なお、ワイドオープンの確率が悪いのはモラント自身のシュート力のせいでもあるので、ダブルで改善しよう。モラントのワンモアステップアップは、チーム全体にとって大きな影響を与えるのだから。

◎リバウンド

グリズリーズの強みはリーグ最高だった速攻です。固いディフェンスが生み出すカウンターアタックは強力で全員がしっかりと走り抜きます。この強みは継続しなければいけませんが、オフの補強はモラントの役割をするPGは残さず、ディフェンダーのクリス・ダンを加えた形だっただけに、さらに速攻を増やすことが望ましいです。

〇速攻 17.3点(1位)
〇トランジション 23.0点(6位)

速攻が多いにもかかわらずトランジションは6位でした。ちなみにトランジションの1位はウィザーズですが、速攻の得点は23位に沈んでいます。

ウィザーズ
〇速攻 11.2点(23位)
〇トランジション 24.9点(1位)

速攻の得点ではウィザーズよりも6.1点も多いのに、トランジションになると1.9点負けてしまいます。その差は8点もあり、これがある意味でウエストブルックの強烈なボールプッシュとの差異ってことになるわけだ。モラントにはこの差を埋める仕事を期待しています。

プレーイン、プレーオフとハードディフェンスが光ったように、グリズリーズの持ち味は上位チーム相手にも通用しました。だから、スローダウンはスローダウンとしてしっかりとコントロールすることを変更する必要はありませんが、モラント個人で言えば、もっとディフェンスリバウンドをとって自らのボールプッシュを増やしたいところです。

〇リバウンド 4.0
〇スティール 0.9

スティールを増やす形でもOKですが、高い能力を誇るだけに、もう一歩モラントがスピードを生かした仕掛けをする機会を増やしていきたいところです。それ以上に能動的にトランジションを増やすチャンスを得られることは

試合の流れを変えるプレーを生み出せ!

これが何よりも重要です。スタッツの上で大きく増やさなくてもいいから、モラント自身がアグレッシブに流れを変えていく要素が欲しい。良いチームプレイヤーだけど、ディフェンス面でもどこかしらワガママに、強引に流れを引き寄せて欲しいわけだ。

ちなみにこの点についてはプレーオフになってもスタッツは伸びていません。それはオフェンスの役割が増えたモラントにとって厳しい要求かもしれないしね。新シーズンはオフェンスでの役割が大きくなるなら、ディフェンス面はそこまで求めてはいけないかも。だけど、流れを変えることは大事。

試合の流れすらも、自ら仕掛けて変えられる選手になって欲しい

難しすぎる課題だけど、単なるスターではなく「スーパースター」であることを要求したいんだ。それはまだザイオンにも出来ていない事。スゴイだけではない、勝利を手繰り寄せるプレーさ。

◎チームメイトの成長次第

グリズリーズの新シーズンは正直いってモラントよりもJJJの成長が大事なわけで、チームの成績が上がるにはモラント以外の奮闘が必要です。だけど、それよりも上にあがっていきたければ、モラントはもっともっと成長しないといけない。プレーオフに進めるかはチームメイト次第だけど、プレーオフで勝てるかはモラント次第。

HCタイラー・ジェンキンスの良い部分の1つがプレータイムシェアになっていて、特定の選手にムリをさせることなく、健康をキープしながら戦ってきました。モラントも2年目では32.6分のプレータイムに押さえられています。

それでもさすがにプレーイン・プレーオフは40分オーバー。その期待にもこたえたモラントだけど、シーズンまで長かったら死んじゃうし、あまり意味がない。チームとして強くならないとね。

だからこそ33分くらいのプレータイムの中でモラント自身は質の高いプレーをしないといけません。クオリティーを引き上げることが大事な3年目になるでしょう。マックス契約は確定だけど、スーパーマックスになれるかどうか。

成長に満足するかどうか、さらに上のステップに進めるかどうか。素晴らしかったプレーオフだっただけに、ここで留まるのではなく、驚くほどに進化した姿を見たいのでした。

モラント・ワンモアステップ” への3件のフィードバック

  1. ジャモはPOの活躍に近い水準にRSもやれるかですね。自分としては昨年のグリズリーズはバランチュナスのチームだと思ってます。ジャモのPIEがエースとしては低く勝ち試合でも伸びない事がその理由でした。
    今シーズンはバランチュナスを放出したのでよりジャモに比重が掛かる中のRSなのでそこは楽しみですね。

  2. 見てて惚れ惚れするほどの身体能力・躍動感があるモラントですが、こうして数字を見ると確かにまだ物足りなさがありますね。今季の更なる成長に期待です。

  3. 個人的にモラントに今年求めることは、「得点の部分での個人技をチームのプラスアルファに(個人で得点を増やすのは前提!!)」です。基本的にはチームオフェンスを引っ張る存在でいて欲しいのですが、管理人さんもおっしゃってる3Pやピックアンドロールからのハンドラーとしての得点・DRからのトランジションなどなどは、チームの中心ではなく、一つのオプションで活用してチームを勝たせて欲しいですね。
    とりあえず、ホーネッツとのプレシーズンの前半だけ観た印象は、アダムス加入はOFでもDFでも非常に効果的に見え、モラントもやりやすそうでした。あと、JJJがDRへの意識を高めた感があって好印象でした。ガード陣のDRからのボールプッシュもよかったです。ま、シュート入りすぎ感はありましたし、期待しすぎてもあれなのですが・・・選手としてはモラントのオールスターとJJJのMIP・チームはプレイオフで期待のもてるチームになってほしいです。

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