ウルブズvsホーネッツ

2021/3/3

解任HCについて触れたところで、そろそろサンダースの後任であるクリス・フィンチを見てみましょう。ホークスのマクミランと違い、中身がすっからかんの状態でHC職を引き渡されたので、そんな簡単に特徴を出すのは難しいでしょう。とはいえ、これで5試合目なので、少しぐらい変化がないと寂しいよね。

ロケッツ、ナゲッツ、ペリカンズ、ラプターズでACをしてきたフィンチの特徴は、ポストマンを活用したオフェンス構築が上手いこと。時間をかけずにシンプルなシュートチャンスで積極的に打っていくのが持ち味です。これまでヨキッチやADがいるチームで過ごしてきたので、その特徴はわかりやすかったわけですが、当時のヨキッチはまだひよっこ時代です。

それが初めてポストマンのいないラプターズに来たのが今シーズン。さっそくシアカムを起点として機能させる形に取り組み、シアカムはキャリアハイの4.8アシストを記録しています。が、シアカムにボールを持たせることが増えたのでラプターズは開幕から躓きました。フィンチのオフェンスをすると守れなくなる事案も継続中なのです。

未だに見えてこないタウンズの正しい使い方をフィンチが見いだせるのかが注目です。AD=タウンズ、ロンド=ルビオ、ムーア=ビーズリーと考えれば面白そう。肝心のホリデーはいないけど、アンソニー・エドワーズがいます。

ディアンジェロはどこ行ったんだ?
やっぱり暖かい地域に行かないと働けないのか?

ホーネッツについては前置きはありません。HCの話で言えば、2年間プレーオフに出れていないけど、ボレゴのことを疑うファンはいないはず。多分。ガード過多のロスターですが、それこそが持ち味とばかりに見事なプレーシェアと多彩さを持つ3年目です。

ポストマン利用が得意なフィンチとガード戦法が得意なボレゴ。全く違う特徴なのかもしれませんが、実はウルブズもタウンズという存在を除けば、ボレゴ式の方が合っているようなロスターであることは秘密です。ルビオ、ディアンジェロ、カルバー、エドワーズ、ビーズリーなんてボレゴからしたら羨ましいだろうな。

◎ウルブズも変わったよ

初めの3オフェンスが全て左サイドでのタウンズのポストアップとなったウルブズ。ちなみにホーネッツは3つ全てヘイワードのミドルでした。

タウンズが自分で突破、ダブルチームが来たのでレイマンがカッティング、タウンズのターンシュートという3つでした。「フィンチっぽいぜ」というわけではなく、ウルブズはタウンズさえいれば、こういうオフェンスが出来る特徴があります。タウンズ中心のシステムというだけかな。

しかし、そこから先はコートに広がるだけだった今シーズンのウルブズとは違い、ルビオ&タウンズのピック&ロールの様子から急に進路を変えてリングに飛び込んだレイマンのレイアップ。同じくタウンズが貰いに来たところで逆を抜くルビオ。

要はタウンズは大切なんだけど、タウンズをディフェンスが気にするほどに違うプレーで攻略していけます。ルビオはフィンチに合うと思いましたが、試合序盤はまさにその通りで、タウンズを使う事を意図しながら、違う選択が出来るPGっぷりを発揮しています。ちなみに翻弄されているのはラメロ。判断力勝負に持ち込まれると守り切れないのかな。

4分経たずに18点まで伸ばしたので、これは期待できそうな匂いがしています。しかし、ここから3Pを決めたエドワーズがタウンズへのパスをミス。さらにアイソしてシュートミス。

元々オフボールカットするレイマンと、ストレッチするタウンズの代わりにインサイドに飛び込んでいくバンダービルドの2人がオフボールで動いていくところまでは狙い通りかもしれませんが、ハンドラー役のエドワーズはパスが合っていません。って思ったらルビオ→タウンズもミスパス。

タウンズも含めて「動いて合わせる」形を目指しているのは、サンダース時代には感じなかった良い部分です。しかし、そこで合わせミス連発すると、それが全部ホーネッツの速攻になってしまいます。特別ディフェンス強度を上げたわけでもないのに、勝手にミスしてくれるウルブズのおかげで点が入るぜ。

9-0のランで追い付かれた後のウルブズは、タウンズ以外のスターターが下がってのセカンドユニット。4人が大きく広がってインサイドにタウンズだけにすると、またもレイマンがオフボールで動いてコーナー3P。見事だけど決まらない。タウンズとピック&ロールするノーウェルもパスが乱れちゃう。動きながらパスを貰ったカルバーはその勢いのままドライブするけどシュートミス。

タウンズだけは自分で行けば点が取れますが、全体的に戦術が浸透できておらず、個人レベルでのミスも多いのでした。まぁメンバー的にかなり苦しいので仕方ないのでしょうが、「メンバー的に苦しい」ように見えるけどカルバーはハンドラーやらせてもらえないのも気になるね。

そんなわけでフィンチの良い部分も悪い部分も出てきた1Qのウルブズ。明らかにオフボールで動き意識が生まれ、タウンズを囮に使うプレーも使い、そして連携が合わないからミスが多く、ミスから簡単に失点してしまいました。

サンダースの頃に比べればオフェンスとしては観ていられるよ。ただ、サンダースの時以上に、しょーもないミスが多く、個人のレベルは低く見えてきます。この戦術が浸透するには時間もかかるし、時間がかかってもミスは多いってのが、フィンチあるある。

◎回数が多いホーネッツ

グラハムが欠場していて、モンクはロジアー側のスコアリングガードなので、すっかりPGラメロになってきたホーネッツ。こう書くとラメロがアシスト能力を発揮しまくる形に見えてきますが、実際にはホーネッツのPGは「プレーメイクの前のゲームメイク」がお仕事。つまりヘイワード、ロジアー、モンクあたりにボールを供給する役割です。

それがホーネッツのオフェンスをワンパスで終わらせず、連続アタックが可能なチームにしているのですが、やっぱりルーキーってこともありミスが多く、ホーネッツも同じくカウンターを食らいまくってしまいます。

本日はセンターがビヨンボしかおらず、スモールラインナップも多用するホーネッツですが、ガードを多く起用するのは、スピードで振り回すのと個人スキルの正確さと多さで、単なるドライブ1つでもフィニッシュへの選択肢が多くなるのが狙いです。別にガードじゃなくてもいいわけで、ヘイワードが欲しかったわけだし、大きなラメロは便利だ。

そして、その差は次第に出てきて、ホーネッツはギリギリのところを狙ったミスは出るけど、ウルブズは何でもないのに合わないことが増えてきて、2Q7分経過したところで8点リードになります。「合わせ」が特別に上手いわけじゃないけど、運動量が多いから「合わせに行く回数」はホーネッツの方が多いよね。

この差はディフェンスでも如実に出てきます。3ファールになったタウンズがベンチに下がると、怖い相手がいなくなったので、3Pへのチェックもガンガンでてくる。ルビオのフェイクに騙されても2回も3回も飛んでブロックしてしまう。1人多い状態で試合をしているかのように、ローテが回りまくります。

そんなわけで共に動きながら合わせのプレーをしていくのですが、連携で上回るのはもちろん、正確性・運動量でもホーネッツが上回りました。前半は62-56で6点リードです。

◎変わらなかったマインド

タウンズのポストアップから、ゴール下に飛び込んだバンダービルドで鮮やかなアシスト。さらに連続パスで5人全員を経由する見事な連携からルビオがコーナー3P。マジでウルブズとは思えない鮮やかさが生まれました。

これに対してホーネッツはパス3本つないでロジアーが3P。同じくラメロが3P。ディフェンスブロックを崩さずに外から射貫いてしまいます。ウルブズは確かに鮮やかなプレーで攻略していますが、試合に勝つには、こういうシュートを決めていく事だよね。ってことでロジアーがさらにもう2本決めて点差が14点に広がります。

さらにタウンズがドライブでディフェンス引き付け、ゴール下のバンダービルドにパスを出しますが、これを読んだヘイワードがマークを捨てて飛び出してきてスティール。そこから速攻でロジアーが&ワンをねじ込みます。

タウンズはフリーになったバンダービルドを見つけたのは偉いのですが、後半ということでヘイワードが上回った感じです。さすがに、ここでヘイワードの動きを見て判断を変える能力はタウンズにはないよね。ヨキッチならパスを出す先を変えそうだけど。

そして積極性が失われたウルブズはパス回しは良いけれど、アタックするのがタウンズだけになってしまいます。まぁ総じて1試合続ける集中力は、まだ持ち合わせていないってことかな。プレーが不正確なのも含めて、これまでやっていなかったことをするのだから、限界かもね。

気が付いたら18-0のランです。単にランを食らったことよりも、タウンズのオフェンス以外は踏ん張れるポイントがありませんでした。ルビオもびっくりするようなミスするしな。ロジアーが凄すぎたとはいえ、ディフェンダーが足りないことも含めて、ガタガタガタっと一気に崩れるマインドは何も変わっていないのでした。

大差がついたのでおしまい。あとは感想です。

◎負け続けるかもね

サンダースからフィンチになって5試合。まだまだ課題だらけではありますが、退屈だった試合内容は改善してきました。まず良かった部分を挙げると

・オフボールでの合わせをするようになった
・タウンズを囮にしたプレーが増えた
・個人技アタックが著しく減り、早いパス回しからのアタックになった

このポジティブな要素については、評価してよいでしょう。まぁこれまでが5人が広がって個人技で仕掛けるだけの酷いオフェンスだったからな。フィンチが素晴らしいとかじゃなく、起点役と合わせ役などの役割分担が出来てきたって感じです。ウィザーズみたいな。

一方で戦術的にポジティブになったからこそ、浮き出てきてしまったネガティブな要素があります。今まで通りなら、そんなに問題にならなかったかもしれないのに、オフェンスを変えたから問題になること

・動いている選手へのパスが超絶不正確
・ミスをすると簡単に速攻に持って行かれる
・オフボールムーブからのシュートが下手
・パスの意識が高すぎて積極性を失う時がある

最後のは慣れの問題だと思いますが、とにかく「こういうプレーをしたい」というビジョンはあるのに、信じられないくらいミスしていました。ターンオーバーになるようなミスではなく、体半分パスがズレるからシュートにならないとか、シュート打っても決まらないとか。これはガードを増やして正確性を求めているホーネッツが相手だから特に目立ちました。シンプルなパス1つの正確性が足りなすぎるウルブズ。

加えてオフボールムーブは良くても、そこからシュートに行くのも下手。今日はビーズリーがいないし、ディアンジェロは慣れていると思うので、選手が変われば状況も違うでしょうが、ロジアー・ヘイワード・ラメロが決めていく3Pに比べるとウルブズはとにかく下手。今までやってこなかったからでしょうね。

そんなわけでウルブズファンは、内容は良くなったけど、それ故にクソみたいなミスが多発されるから、今まで以上に勝利は遠のくかもしれません。

そして変わらずダメな部分もありまして

・苦しい時間帯になると、個人技で点を取って助けるのがタウンズのみ
・ディフェンスでは誰も流れを止めてくれない
・オプションが少ない

タウンズも手首が痛いのを忘れていました。シュートもドリブルもちょっと怪しい。それでも何とか個人でねじ込んでくれるシーンはありましたが、1人で流れを止めるほどではない。そして誰もディフェンスでのビッグプレーをしてくれません。こればかりはロスター構成の問題だからな。

もう1つフィンチで良くなったというか、ロスターの問題だったのをサンダースの頃からどうにかしようとしていたのが、インサイド不足なのをバンダービルドやマクダニエルズで補う事です。タウンズがストレッチ系のセンターなので、誰かはインサイドに飛び込んでほしいところ。たまたまではありますが、バンダービルドはスピードで飛び込めるので、フィンチのやり方と、この役割に合っていそうです。

ちなみにマクダニエルズは兄がホーネッツにいます。大差になったことで4Q残り5分半から兄弟でコートに立つことに。直接マッチアップもありまして、試合的にはこれが一番の見どころでしたね。

いずれにしてもウルブズは「見れるようになった」のですが、勝てるようにはなっていません。個人のスキルアップが必要なので、信じられないくらい負ける可能性もあるよ。

ホーネッツは良かったよ。30点差もついたら誉める所しかないもんね。でも、ここに辿り着くために、長い時間を要した事は忘れてはいけません。昨シーズンのロジアーは全然ダメだったし、モンクがローテに入ってくるとは思いもしなかった。いろんなものを乗り越えてスキルアップすることで今があるのさ。

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