さようならキャブスの前編はケビン・ラブを中心に触れていく事にします。
戦術レブロン時代のケビン・ラブはウルブズ時代の輝きは失い単なるシューターにされました。そのシュート力が異常だったので評価が劇落ちしなかっただけで、得点パターンの少ない選手になり下がったのです。
その点で昨シーズンはレブロンがいなくなったことで逆に期待する部分もありました。かつての多彩さを取り戻すのかどうか。そんなことを書いたのがこちら。
しかし、昨シーズンはケガや病気もあって22試合の出場にとどまり、しかもFG38.5%と酷い内容となりました。リバウンドは27分のプレータイムながら10.9本と二桁に乗せたけど、22試合なので参考程度です。
そして迎えた今シーズンがどうなったのか、というのが今回の趣旨にして、次回の「さようならキャブス’20」へと続く序論でもあります。なお、次回の記事を途中まで書いてから、ラブだけ別出しにして先に載せることにしました。
◎待ちぼうけのケビン・ラブ
結果はエースになったセクストンが「あまりにもパスをしない」「フリーに気が付かない」の繰り返しなので、シューティングポジションで待ちぼうけなんてことが増えました。ピストンズ戦を観た時のツイートがこちら。
この前に行われたサンダー戦ではブチ切れ事件もありました。クリス・ポールとのマッチアップになったのでポストに行ったのに、全く気が付かないセクストンに苛立ったのですが、このシーンだけではなく、ずーっとボールが来ないのがラブを苛立たせていました。
このように待ちぼうけのケビン・ラブという問題は大きくクローズアップもされました。しかし、実はそれでもラブは未だに「キャブスで最も多くのアシストを貰う選手」なのです。
〇被アシスト数
ラブ 4.3
トリスタン 3.0
セクストン 3.0
オスマン 2.9
ナンス 2.9
ガーランド 2.1
「高確率で決めてくれる」ことと「確実に打ち切ってくれること」が関係しているのですが、これらの数字を戦術レブロン時代と比較していくと、ラブの能力と現在のキャブスが少し見えてきそうです。
◎増えた3Pとポストアップ
若手たちにスペースと個人技の時間を与え、ノールールオフェンスによって「パスが来ないシューター」になってしまったラブですが、ウルブズ時代、戦術レブロン時代、今シーズンのFGアテンプトを並べるとこんな感じになります。
〇FGアテンプト
ウルブズのラストシーズン
13-14年 18.5本
戦術レブロン時代
16-17年 14.5本
17-18年 12.4本
今シーズン
19-20年 13.0本
平均26点をとっていたウルブズ時代に戻ることはなく、低空飛行を続けたわけですが、なんなら戦術レブロン時代よりもアテンプトが減っています。(17-18シーズンはプレータイムが短い)
その一方で驚くのは今シーズンは3Pアテンプトはキャリアハイの7.0本となりました。
戦術レブロンが終わったら、さらにシューター化した
もう意味が分かりません。3Pを増やして2Pが減ることになったラブ。若者たちにドライブするスペースを空けてあげたような感じでしょうか。
更にインサイドに詰めていかないのでフリースロー数はキャリア最少の3.9本まで減ってしまったのです。
〇フリースロー
ウルブズラストシーズン
13-14年 8.2本
戦術レブロン時代
16-17年 4.9本
17-18年 4.5本
今シーズン
19-20年 3.9本
ところで、この数字を観ているとポストでボールを触る回数が減った気がしますが、そうではないってのも面白いのです。ポストでのタッチ数は増え、だけどそこからパスすることが増えました。
〇ポストでのボールタッチ(パス数)
ウルブズラストシーズン
13-14年 8.8本(2.1)
戦術レブロン時代
16-17年 5.6本(0.9)
17-18年 4.5本(0.9)
今シーズン
19-20年 6.8本(2.7)
ポストでボール貰う回数が増えた
→インサイドの得点、フリースローが減った
変な構図です。こんな変な構図が成立していることが今シーズンのキャブスで、オフェンスの設計がメチャクチャなのです。メチャクチャっていうか、特にルールらしいルールがない。一体どんなプレーで、どういうフィニッシュに持って行きたいのかわからない。わからないからフリーでもボール来ないラブ。
ラブ個人で言えば、ポストで起点になることでアシスト数を増やしました。ポストアップの回数が多かったウルブズ時代よりも今シーズンの方がパスを多く出しています。シューターにもなれるし、ポストのパサーにもなれるってのはすごい長所なんだけど、ザ・器用貧乏にされている。
〇アシスト数
(ウルブズラストシーズン)
13-14年 4.4本
(戦術レブロン時代)
16-17年 1.9本
17-18年 1.7本
(今シーズン)
19-20年 3.2本
起点でありシューターであり、だけどパスは来ない
戦術レブロン時代よりもよっぽど鬱になりそうだぜ。あの頃は「やれることをやらせてもらえず、限定した役割に当てはめられた」けど、その役割においてはしっかりと使われていた。要はレブロンの邪魔をしないためにポストアップは減らし、代わりにアウトサイドでフリーになればレブロンから確実にパスが来た。
今は役割は限定されない代わりに使ってもらえないことが増えたんだ。
◎打ち切る能力
ドフリーになってもパスが来なかっただけに、印象としては3P7本も打っていた事すら不思議です。そこで3Pを分解してみると、アテンプトは増えたけどフリーで打つことは減っていました。
〇3Pアテンプト
16-17シーズン 6.7本
17-18シーズン 5.6本
19-20シーズン 7.0本
〇ワイドオープン3P
16-17シーズン 3.9本
17-18シーズン 3.3本
19-20シーズン 2.4本
これもなかなか凄い数字です。戦術レブロン時代は自分が空いたらしっかりとパスが来たし、そこで決めきる高い能力を示しました。役割定義はハッキリしていたんだ。
今シーズンのキャブスの問題は「シューター化させているけど、ドフリーで打たせる仕組みがない」ってことでした。もちろんレブロンみたいなモンスターがいないからドフリーになりにくいってのもあるでしょうが、それ以前にパスが届く仕組みが出来ておらず、セクストンが1人でなんかゴニョゴニョやっていた。
また、今シーズンはワイドオープンで打つことが減ったため、成功率も37.4%にとどまりました。いや、これだけ決めていれば凄いんですけどね。ウエストブルックに教えてあげなよ。
この状況でも3Pアテンプトが多かった理由は「打ち切る能力」の高さにあります。ビッグマンながらクイックリリースで決めてしまうのは驚異的。
パスが来ないとか言いながら、ちゃんと打っているわけですが、そこにはラブなりの特徴も出ていました。
タッチ数 37.4回
平均タッチタイム 1.9
チームで最も多くフロントコートでボールに触れるも、その時間は極めて短く、すぐにパスを出しています。パス交換を増やすことでシュートチャンスを作っているわけです。
ちなみに戦術レブロン時代はタッチ数が28.2回と少なく、当時とは違う形になっていることがわかります。現在の方が本質的なラブな気がします。
チームメイトとのパス交換を多くすることで真価を発揮する
完全にシューターな数字なんですけどね。パス交換の中でズレをつくれば打ち切ってくれます。起点としてアシストも出来るし、細かいパス交換から高確率で打ち切ってくれるわけなので、チームメイトとの連携こそがラブの真骨頂なのかもしれません。
キャブスの不思議なところは、このラブを待ちぼうけにするのだから
なーんで、この能力をもっと使わないのだろうか?
であり、見方を変えれば
戦術的に活用しなくても結果を残す個人能力
なんていう部分もあります。あるいは現在のケビン・ラブにはこれが限界なのか。勿体ないのか、それとも活用しきってこれなのか。
ちなみに凄く高くラブを評価しているように書いていますが、管理人がGMだったら30Mもするラブを獲得しようとは思いません。チームにいたらもっと活用するってくらいです。
◎キャブスの苦しさ
今回はあくまでも「さようならキャブス’20」なので、ラブの境遇とか選手としての活躍度は気にしませんが、わかりやすいスター選手だけに、ここで言いたかったのは
・チームオフェンスの中で適切なパスが来ない
・高い能力を示しているのにアテンプトが少ない
・打っているのはシューターとしての3Pばかり
・その3Pもワイドオープンにはなっていない
・本来はチームメイトとのパス交換を増やすことで真価を発揮する
こんな要素でした。これをキャブスがどんなことをすべきだったのかという視点で言い換えてみると
・ラブと若手たちによるパッシングゲーム
・チームで崩し、インサイドでもアウトサイドでも多様なフィニッシュを志向
・ポジションチェンジを多用した流動性アタック
ってことになります。もちろん、キャブスはまだまだ再建段階なので、これをパーフェクトにやって勝利を目指すってわけではありませんが、チームオフェンスを徹底して「適切なパスと判断力」を若手にしみこませていくのが正解だったイメージです。それは育成の視点からも悪くないよね。
ケビン・ラブの能力から考えた戦術と、現実の戦術がかけ離れていた
主題はこれでした。わかりやすいラブを題材にして出てきた答えです。キャブスに残ったけど、まるでお高いサラリーを貰って晩年を過ごすチームの功労者みたいな扱いをされたわけでした。
そして次回に続くわけですが、
・セクストンとガーランド
・増やしたビッグマン
なんていうチーム事情が益々?マークを浮かばせてくれます。
そうそうオスマンも結構可哀そうな感じでしたね。こちらも管理人的には全くほしくない選手ではありますが、NBAで生き残っていこうと努力する中で、放置されたようなシーズンでした。まぁラブもオスマンも放出しても良かったのですが、手を挙げてくれるチームがなかったのかな。
ラブにはサンズって噂も出ましたが、確かにPFに困っているし、シューター系ビッグマン欲しいので補強ポイントには合いますが、ラブでキャップスペース埋めるなんて絶対に拒否したいわけです。あっでも、サンズのGMは伝統的に・・・。
続く。
>キャブスに残ったけど、まるでお高いサラリーを貰って晩年を過ごすチームの功労者みたいな扱いをされたわけでした。
最近のラブの印象はまさにその通りになってしまいました。31歳でプレイヤーとして心技体が充実している時期のはずなのに。本当にもったいないですよね。ラブはどこのチームにいけば幸せになれるのでしょうか。
いろいろ考えていくと、キャブスでしっかりと主力扱いされるのがベストな気もします。まぁしてくれないからこんな記事になるんですけどね。
優勝したければサラリー下げないと苦しいですね。JRスミスもサラリーが安ければ、万が一、どこかのチームが拾ってくれたかも・・・。
ラブがアデバヨの相棒としていちばん最適と信じてやまないんですがどう思いますか?
リムプロテクト以外は全てお互いの長所短所が噛み合った最強のコンビだと思ってるんです。ラブにはレブロンに使われてた頃ともミネソタでペコビッチにブチ切れてた頃とも違う新たな世界があるのではと
うーん、タイプとしては良いですよね。レナードと似たようなものですし。
パスも上手いから見方を上手く使うことも出来る。
問題はヒートディフェンスにとって大きな穴になりそうなことかと。
そしてヒートにとってはディフェンスこそ大切です。アデバヨとのコンビは面白そうですが、ヒートってのは難しいかもしれません。
ラブとコンリーをトレードしようみたいな噂が出てるみたいです。ラブにとっては悪くないです。CLEにとってはよく分かりませんが。
あーなるほど。それはあるかもしれません。
ジャズはコンリーの必要性が低くなりましたが、PF不足には困っています。
ゴベアーの契約(高い)が来シーズンまで、ミッチェルの契約(安い)も来シーズンまで。その次のシーズンからサラリーバランスが変わります。ゴベアーがサラリー競争で高騰して契約できないリスクを考えると、ラブを獲得しておくのも一案です。
キャブスからすると、ラブは23年まで契約が残りますが、コンリーは来シーズン(プレイヤーオプション)までなので、2年後が軽くなります。
キャブスにはメリットが大きく、ジャズにとっては長期にわたるリスクもあるトレードです。ジャズのGMはシューター集めて、若干の失敗が多いので、手を出してしまうそうな気が・・・。
サラリー等の問題を考慮しないならウォーリアーズにはすごくあう気がするんですがどうですかね?
合うでしょうね。ウィギンズよりも良いかもしれません。クレイとは小学校時代のチームメイトですし。
ただ、やっぱりディフェンスでドレイモンドにキレられる未来が見えます。
長期高額の再契約したのが双方にとって案の定仇となってますよね。
再契約した時に今後の方針とか考えなかったんですかね。
コロナでサラリーキャップ縮小して益々引き取り手もいなさそうでどうするんでしょうか。
アムネスティ条項がまた採用されるかもなんて話もありますけど、それでチームを離れるのが今考えられる最高のシナリオかもしれませんねお互いにとって。
サラリーの高さもありますが、契約年数が長かったですね。
ラプターズは功労者ラウリーに高額契約を提示するも、代わりに契約期間を短くしています。
チームの再建について言えば、セクストンの次にガーランドを指名しているのも謎です。確かにガードは弱かったですが、設計図が見えてこないです。その意味でも今年のドラフトはポジションをどこにするのか注目しています。
> サンズのGMは伝統的に・・・
マクドノーの残したトラウマを掘り起こすのはヤメテー!!
まあそれは置いといて、2020年のオフは去年のフロント刷新での効果がどの程度のものかが最も問われる重要な期間なので不安ですが、去年のオフは残念オーナーの影響をうまく排除できてる感じの補強具合だったので、今までより期待はしてます。
ラブはプレー的には器用な便利屋で馴染むしょうが、エイトンとミカルの契約を圧迫してまでは取れませんね。
理想はサリッチのプレーにムラが無くなって第二のラブに進化することだったんですが、可能性を見せつつも可能性だけでシーズン中断まで来ちゃいましたから、残りの8試合で存在感を示してほしいところです。
ミカルとウーブレイがいるだけに、PF的なところに、どんな選手を落とし込むのか悩ましいんですよね。
現行メンバーでは試合終盤はベンチに置く選手になるだけに、サリッチくらいで収めておきたい。ラブのサラリーは邪魔でしかないです。
PJタッカーやダドリーがいれば・・・。
素朴な疑問なんですけどレブロン時代にラブには半ば強引にシューターにコンバートしたのに何でトリスタントンプソン直球なセンターのプレイスタイルのままはスタメンに残れたんでしょうか?
ラブってまだ31だったんですね退職金代わりの高額サラリーもらってめでたしめでたしというイメージがつくぐらいの認識だったので本人としてはすごく歯がゆいでしょうけど
ルビオみたいなパスファーストのPGと組ませれば生きるでしょうけどキャブズの試合は2,3試合ぐらいしか見てないですがセクストンとガーランドは違うタイプのようですね、ウルブズ時代のラブは見たことないので是非とももう一度輝いてるラブを見てみたいけど…そうだベンシモと組んだら面白そう…まぁ無理か
なるほど。ホーフォードとラブのトレードなら・・・トバイアスいるから難しいでしょうね。
トリスタンはサイズ的にもプレー的にも、そもそもはPF型です。
レブロンを良い意味でサボらせるために、ディフェンスでアウトサイドまで追いかけるくらいのフットワークが必要で、
オフェンスではセンターを務める選手が欲しかった事情がありました。
そして1人でオフェンスリバウンドを拾いまくってくれるのも、アウトサイドに広く構えているキャブスでは重要な能力だったと思います。
ベンチにはチャイニング・フライがいて、ストレッチしたいときは選手交代できました。
本当はコビントンみたいな選手がいれば、なおよかったでしょうが。
ラブはF〜PFくらいで、外でボールもらっての仕事に戻るとよいのに。
ラブとセクストンが両立できないことを示したシーズンなので、スタッツが見た目良いセクストンは売り時。買い先は見当たらないが。
セクストンはオーナーお気に入りなんで、そこもトレードが難しそうな理由です。
貰い手がいても「こんな対価で放出できるか―」と怒ってしまいそう。
サンズもブルズみたいにフロントを一新してほしい。。。
ラブの噂はありましたが、上に書かれていた通りサリッチで十分かなという印象です。ミドルで契約更新できるといいなぁ。
サンズは今年もロッタリーが引けそうなので、そちらでアチュワが引けると嬉しい。ハンドラーが欲しいですが、FAのボグダノヴイッチがダメならアブディヤを!それもダメならマキシー、ハリバートンあたりでしょうか。
勉強不足なので、ドラフト選手の情報知らないのですが、キャブスの次がブルズで、そこにハリバートンも出てきます。
順位的にはサンズまで残っていてもおかしくないわけですが、オールマイティなPGでルビオ後も見据えたらよい選択に見えました。取れなかったら、エイトン関係でアロンゾ・トリアーをとりましょう。
サリッチの代役くらいすぐ見つかりますよ。でも、サンズってGリーグから上がってくるイメージもなくて・・・。
先日のニックスの記事で、コメントさせて頂いたサンズファンです。
今回も素敵な記事、ありがとうございます。
ラブはわかりやすくDFは穴ですが、アウトレットパス、シューティング、そして本記事からパス交換魅力とのことなんでスタメンOFの3番手にピカイチなんですよね…
マルカネン放出疑惑のあるブルズとか獲得に動くんじゃないかと推測しています。サラリー調整もうまく行きますし。
またサンズの話題が上がっておりましたが、仰る通り自分もラブ獲得は反対です。
ウーブレが来オフ、ミカル、エイトンが再来オフに更新控えているのに23年までマックスはナンセンス。
ルビオの1700万ドルも再来年までなんでベンチスカスカは改善出来ないんで。
また今年のドラフトでサンズがガード指名は流石にないでしょう。あったらアホすぎる。前例ありますが、、、
アリゾナで一緒のトリアー、キングスのボグダン、最高ですね!
他には今オフFAの点では無理でしょうけどドラギッチ、微妙ですがジョーダンクラークソン、安定のDJオーガスティンあたりにベンチから出るハンドラーや任せたいです。
ロンドやマリオヘゾニャもFAとはいえ、うーん。
ラブを取りにはいかないでしょうが、ドラフトはどうでしょうね。
ブッカー、ミカル、ウーブレイ、エイトン、あとカム・ジョンソンを核と考えれば、やっぱり将来に向けてPGは欲しいのでは。
ルーキースケールなら安いので、ベンチ要員に。
ボグダンは高くなりそうなので、DJオーガスティンをお勧めします。第3ハンドラーにトリアーで!