さて1カ月たちましたが、率直に言って「よくわからん」というのが今シーズンの特徴です。その最大の理由はオフにリーグ大改造みたいな移籍があったことで、各チームの特徴や戦力のケミストリーが読めないことです。
言い換えればまっさらな気持ちで試合を見れるので面白いっていうのもあります。思い起こせば2年前、興味も何もないネッツをみて感動したように、フラットな気持ちで試合を見るってのは良いものです。良いものですが、開幕から1か月程度で各チーム3~5試合くらいの観戦なので、わからないよね。
それでもリーグ全体の特徴は見えてきました。最大の変化はオフェンスの限界値が見えてきた中で、ディフェンスチームの優位性が高まったことです。ただし、これは「オフェンス力があるのは常識」になったことがもたらした変化であり、純粋に「ディフェンスが良い」だけでは勝てません。
オフェンス力があるのは当然
ディフェンス力が差をつける
これくらいの認識です。この記事を書いている時点でオフェンスレーティング15位はナゲッツ、16位はピストンズですが、ともに107.6です。ここを中心点としたときに、
ナゲッツ 107.6
ペイサーズ 107.3
ジャズ 105.6
上位陣ではこの3チームだけが下回っています。一定以上のオフェンス力はどこのチームも持っているわけです。ちなみに昨シーズンの中心点は
15位 ウィザーズ 110.2
16位 サンダー 109.8
こんな感じなので今シーズンがディフェンス優勢だという事がわかります。ただし、これもロジック的には難しくて、こんな構図だと思っています。
×オフェンス力が低下した
〇ディフェンスの良いチームが増えた
ことが全体の低下につながっていると思います。3P戦術が固定化したことで防ぐ能力も高まってきました。ディフェンスレーティング上位10チームの中で最も勝率が悪いのが9勝6敗のペイサーズで、11位マジックになって初めて負け越しチームが登場します。
オフェンスレーティングは2位ウィザーズ、5位スパーズ、10位ペリカンズが負け越しています。12位ブレイザーズも負け越し中なので、オフェンスが良くても結果には結びつかないシーズンになっています。
ということでスパーズとブレイザーズから触れてみるかどうか。
◉不調の両チーム
それぞれの何が悪いかは置いといて、特にブレイザーズにいえるのはチームを再構成する流れの中で失敗しているわけですが、その主眼に合ったのが
「オフェンスをどうするか」
という視点でフッド、ヘゾニャを加えていますし、ホワイトサイドについても走れないのを承知で獲得しており、デメリットを上回るメリットを求めたと言えます。そしてこの方向性は基本的にオフェンスの調整からスタートしているので開幕で躓いたと言えます。
アミヌとハークレスが新チームでもディフェンス面でばかり活躍しているように、シフトチェンジは失敗になっており、ただしここからディフェンスを修正できれば浮上するチャンスがあるわけですがカーメロ補強なので、非常にあいまいな状況になってきました。
同じくスパーズも復帰したマレーにホワイト、フォーブズ、デローザンをどうやって絡ませるか、という命題からチーム作りをスタートしている印象です。ちなみにデローザンが加わった昨シーズンも同じ形でスタートし、開幕に躓きながらも最終的には48勝しています。
オフェンスを調整するラインナップでスタートした両チームが躓いたことは、今シーズンの特性を示している気がします。そしてこの特徴はHCの特徴でもあって、おそらく両HCはディフェンスを構築するのに自信があって、時間と共に解決できると信じているはずです。
ウエストとはいってもウォリアーズが沈んだことでプレーオフラインは近いので、ディフェンスの調整さえできればッて感じです。スパーズについては、いくつか試合を見て問題点を考えたいと思っています。
◉得点ランクトップ10
ハーデン、ドンチッチ、ヤニス、ビール、カイリー、リラード、タウンズ、イングラム、ミッチェル、ヤング
何がすごいって5割以上なのがハーデン、ドンチッチ、ヤニス、ミッチェルの4人しかいない事。遂にここまで来たかって事です。オフェンスもまた個人でやっているのは勝利が遠のくし、分業制が敷かれ始めました。
その中でドンチッチの数字はワンダフル!なんだけど、ここの考え方はとっても難しいよね。とりあえずマブスは時代の逆を行く戦術ドンチッチになってきています。行き過ぎるとハーデンになります。どうせなら逆に進んだ方が勝率があがりやすいのも事実です。
◉ヴォーゲル様!万歳!
開幕でサプライズだったのがレイカーズの好調。いやー信じられない。レブロンとADのコンビそのものは悪くなくても、チーム再構成には時間がかかると思っていました。特に戦術レブロンにするとベンチに下がったときに色々な問題が発生し、ADはプレーメイカーじゃないので解決できないわけです。
ところが、ヴォーゲルは思いっきりディフェンス優先の戦略を組んできました。選手交代はディフェンスを考えてしているだろうってくらいに、どのラインナップなら守れるのか、インテンシティを保てるのかが優先事項でした。
元々レブロンにはディフェンスのチームの方が向いていると思っていて、なんせオフェンスはレブロンに任せておけば、そこそこ何とかなります。点を取っても取り返される構図の方がよっぽど厳しいわけで、ディフェンス優先のヴォーゲルの決断はレイカーショーのカルチャーを気にしない強いメンタルがもたらしてくれたものです。
思えばヴォーゲルじゃなくてティロン・ルーをHCにしようとしていたわけで、典型的なオフェンスで打ち勝つ戦略構成だったレブロンキャブスの再現をされていたら、今の成績はなかったと思います。ここはHCの能力というよりも方針なので、どっちが良いHCとかいう問題じゃなくて危なかったと思うよ。
レイカーズファンはヴォーゲルの勇気と決断を讃えましょう。クズマに「3Pも守れや!」みたいに押されていたレブロンやオフェンスオフェンスオフェンスのチームにいたADを中心にしながら、ディフェンスチームに作り替えるって、論理以上に難しいことだと思うよ。ヴォ―ゲル万歳!
◉注目してみたいこと
ビッグラインナップにした上にジョシュ・リチャードソンとベン・シモンズという悪夢のペリメーターディフェンダーを並べたシクサーズも順当に守れており、セルティックスも本来のブラッド・スティーブンスらしさが戻ってきました。
あぁセルティックスといえばサマーリーグの時に「なんか面白い選手いますか?」とツイートしたところ「セルティックスのカーセン・エドワーズ!」という返信をもらってみたところ、それよりも地味役のグラント・ウィリアムスが気になりました。開幕から出番を貰えており、持ち味のディフェンス力を発揮しているようでうれしい限りです。
また同じようにウォリアーズにはパスカルという新たなドレイモンドが誕生しています。ちなみに前回のドレイモンドであるジョーダン・ベルは何をしているやら。
個人的に面白く見ているのがペリカンズのケンリッチ・ウィリアムスです。第2のPJタッカーなわけですが、要するにこの手のタイプが続々と登場してきました。
ディフェンス優先の空気が漂う新シーズンの中で、得点をとれる選手よりも重要性が高い気がしてくる新たなハードワーカーの登場はドラフトで狙うべき選手が誰なのかを見事に悩ませてくれます。八村が点取っているだけに日本人には皮肉だけどね。
◉ジャズとナゲッツ
ディフェンス優先の空気の中で、優先しすぎているというか、守れるから何とか出来ちゃうぜの空気が強すぎる両チームは好成績ながらも問題があります。
〇ジャズの負けた相手
レイカーズ
キングス
クリッパーズ
ウルブズ
グリズリーズ
ということで上位陣が混線なのに、落としてはいけない相手に負けています。基本的にオフェンスの問題です。コンリーの問題だともいえますし、控えセンターが酷いってのもあります。(エド・デイビス離脱中)
ジャズは困らない限りはドノバン・ミッチェルにエースムーブさせないのが特徴ですが、最近はコンリーとボグダノビッチの加入によって困っても頼らないことが増えました。あと頼ってもミスショットしていたってのもある。
要するに守れるからオフェンスはプレーオフモードは使っておらず、それが勝率に響いています。ポジティブなのかネガティブなのかはプレーオフのみが語ってくれます。
〇ナゲッツの負けた相手
マブス
ペリカンズ
ホークス
こっちはもう酷いもんです。ヒート、シクサーズ、セルティックス、ロケッツといったトップチームには勝つのにさ。
ナゲッツはマレーに持たせ過ぎってのもありますが、それ以上にオフェンスを舐めているというか、全然ギアをあげようとしないというか。ヨキッチのクラッチショットで勝った試合があるように最後までついていけば何とかなるだろ理論が激しくなっています。
2年前はオフェンスで打ち勝つチームだったのが懐かしい。マレー&ヨキッチの存在でどうせ守れないからオフェンスに偏っていたのにね。
ということで両チームから感じるのは守れるチームの余裕と、余裕があり過ぎてもダメって事です。奥の手を使わないジャズと奥の手を信じすぎているようなナゲッツです。この辺りはチームつくりの難しさというか、基本スタンスが変わらないシーズンを過ごしたことで惰性が働いています。
◉いまいち面白くない再建モード
サンズがブッカーの超絶シューティングで勝利を挙げていますが、再建チームはそれくらいかな。ホークスがよくわかんなくて、ブルズはもっとよくわかんなくて。
ニックスは再建モードなのかすらわかんなくて、ペリカンズはケガ人ばっかりで、キャブスは一昔前の戦い方で。
ホーネッツはそこそこ。グリズリーズはもう少し面白いかな。
ちなみに最近のお気に入りはウルブズです。タウンズ戦法はおそらく過去にない新たなる戦術だと思います。ただカルバーとオコギーの絡め方に面白さが足りず、ファンになるまでには至ってません。ケイタ・ディオップ、ボーンレイ、ウィギンズも含めてウイングの絡め方に工夫が欲しいね。
◉オフェンスリバウンド
1年前の予想が「オフェンスリバウンドが増える」だったのですが、それはルール改正もあって更に増えてきました。
〇オフェンスリバウンド10本以上のチーム数
13 → 18 → 21
2年前に最少になったことで軽視されていると思われがちですが、オフェンス力向上のために手を付けるチームが増えたって事です。ちなみに最少がジャズなので、フェイバーズが欲しい。
ちなみにこの分野でリーグトップクラスだったアダムスが数字を落としています。「ウエストブルックのシュートミスはアダムスへのアシスト」理論が証明されるのでしょうか。
◉観察したいこと
さて、そろそろ眠いので終わります。雑感なので気になることがあれば、随時書いていきますが、現状でもう少し試合を見て考えていきたいテーマを上げておきます。
・ヒートは何をしてどうなっているのか
うーん、よくわかんないんだよねヒート。悪くはないけど高勝率を上げるほど良いのか?っていう疑問さ。アデバヨ特集したいのに、毎回中途半端なことしてくれるしさ。
今のところヒートは「相手に恵まれていた」説が有力です。シクサーズ戦の惨敗がそれを助長させてしまったわけで、中途半端なアデバヨだけじゃなくてチームもね。「ここが素晴らしいヒート」って書きにくく、だけど悪くはないから「ここが問題だヒート」も書けないっていうね。
・スパーズの不調
こちらは明確に話題にできる状況です。なんとなく想像はついていますが、そこは置いといて、良い部分で言えば相変わらず3Pがリーグ最少なのにオフェンス力は5位っていうこと。これって凄いことなわけで、冒頭の3Pの常識化とオフェンス力の限界を真っ向から否定されている気がします。
オフェンスは問題ないだけに、はやいところ観察して触れておかないと勝率が改善される可能性があるので直近で試合を観たいと思っています。
・ハーデンのディフェンス
これは頭の中に描けているのですが、表現できないんだよね。うーん、どうやってまとめれば良いのか悩むのと、もう2試合くらいは観察したいんだけど、ロケッツの試合は飽きるから観たくないっていうね。
・SGA
まぁ・・・ね。
・ジョナサン・アイザックのブロック
ここまで2.8ブロックでADに次ぐ2位です。凄くね。これはハイライトみまくれば済むのかな?
・ドラモンドのターンオーバー 4・0
・レブロンのターンオーバー 3.5
2.2から急増のドラモンド。10.8アシストながら少ないレブロン。それぞれ個人の資質以上にチームオフェンスが関係しているので、何となく触れたいけどピストンズをまたってのはなぁ。レブロンってのも大衆的だしなぁ・・・。
・ノーカイリーネッツ
ちょうど不在なので試合を見たい気持ちが出てきました。ディンウィディのネッツね。思えば勝率5割ってネッツ的には普通だしな。昨シーズン後半が強かったのに騙されるけど、1年前は大したことなかったわけで。
で、これは見てしまった。1試合でほぼ理解できてしまった。その代わりに登場したのが
・無得点のエンビード
ラプターズが何を仕掛けたのか気になりますね。
今シーズンは新チームみたいなところが多いから注目してみたいことが多くて楽しいけど、1試合じゃわかんないしな。何か隠し玉の選手とかいたら教えてください。
チーム個々はまたまだ分からない段階ですが、個人的には現時点の順位はまずまず予想通りです。その中でロケッツだけが勝ちすぎてるんですが、それはロケッツはあまり変わって無いからですかね?
ラスがおとなしくしてるのもポイントかも知れませんが。他チームが変化に対応してるなか、相対的に安定してるロケッツは実は変化はそんなに無いからやれてるような気もします。
ラス君は暴れまわっていますが、上手くハーデンと役割シェア出来ていますね。
ロケッツはハーデン大先生が何とかしている・・・ってのが通説でしたが、最近はカペラ+タッカーを酷使っていうね。
要するにスターターは強いです。かなり強いです。ベンチ弱すぎ!
その意味では安定しているというよりは「ケガ人がいない」で良いのかと。
ハードワーカー系でいくとウォリアーズのカイ・ボウマン、キングスのリショーン・ホームズなんかおすすめです。
ホームズはアマレみたいな機動力を生かしてロールしてダンクに徹して自分の仕事をしてくれます。意外にもFTが上手なので終盤も器用されてます。カペラ、アマレ、ゴベアの3者取りに近いかも知れません。
ボウマンは果敢に攻めつつもセルフィッシュなプレーが無くてきちんとコントロールしてくれて、プールが不調なだけに有難いです。ただ前後半での波が激しいので(1試合通して観ると)って感じです。
キングスはホームズになって改善した印象なので、効いていますね。
ボウマンは知らない。でも、ハードワーカーは短時間タイプってのも必要ですから、長時間で初めて意味のあるプールよりもチャンスがあるのかもしれません。
開幕当初はドンチッチとヤングが大活躍してるという話だった中、ヤングの個人の活躍もホークスの勝率も徐々に落ちてきたのがかなしい、、、、
ヤングはコリンズいなくて苦しそうです。ホークスも同じく。
パスを出す先が足りないから、個人技が頭打ちですね。それもまたヤングですし。
ヒートは強力なセンター陣を抑えられず負けたってイメージが強いです。
レナードですからねぇ・・・。
シアカムの成長が著しくて本当にビックリしています。シーズン前は「エースやれんのか?」って思ってましたが、すっかり攻守でオールスター級の選手に駆け上がってしまって。エンビード0得点に併せて触れてもらえれば嬉しいです。
スゴく自信をもってプレーしている印象です。ここまで活躍するとは予想外。3Pも躊躇なくて、エースとしての自信しかない!!!
ほんとにペリカンは怪我ばかりですが、いろんな選手が経験を積めるので長い目で見れば、怪我の功名になればと願うばかりです。
しかし、ザイオンが復帰してきたらハードワーカーのケンリッチと入れ替わりなんですかね?ただでさえディフェンスが弱いのに・・・
ケンリッチはザイオンと同時起用も出来るので、そんなに気にしなくてもよいかも。ヘイズが成長したら出番はなくなるかもしれません。
ハードワーカー達はエースとの組み合わせなので、ジャーニーするしかないんです!
ラプターズの0番テレンス・デイビス
ドラフト外からの入団ですがケガ人続出で起用されはじめると中々の活躍を見せてます。アメフトの実力もすごかったようでハイライト見てみたら異次元のスピードしてました。気になる選手です。シアカムとヴァンブリートのPTが伸びがちだったので助けになってくれるといいな。
酷使といえばロケッツは成績安定してますけどスターター酷使の結果ですからどうにも不安が…。シーズン終盤とプレーオフでまたケガ人出なきゃいいんですが。ダントーニ先生大丈夫ですか?
アメフトっぽい!!!
ダントーニはそろそろ限界かも。戦術能力は高いけど若手が伸びないならば長期政権はリスキーですね。