ペイサーズの「またも」な補強

もはやペイサーズの名物みたいな補強策

2年前のポール・ジョージのトレードは、オラディポとサボニスを獲得しました。そこにコーリー・ジョセフ、ダレン・コリソン、ボグダノビッチを加え、何故かランス・スティーブンソンまで獲得したペイサーズ。当時、言われていたのは

ペイサーズはタンクしている

でしたが、こんな評価を今では誰もしません。ペイサーズは正しかった。オラディポのケガさえなければ。

若手コアを揃えたレイカーズは、レブロン、ADに変換してビッグ3を目指したわけですが、それは「その他の選手」はミニマムみたいなサラリーとルーキー契約を集めるってことでもあります。

対してペイサーズは高額サラリーは少なく、ただしミニマムみたいな選手も少ない。それぞれが戦力として機能するけどスターではないわけです。チームとしての強さはスターの強さではないってことでした。ここにラプターズくらいの質の高さが加わると優勝にも絡めるわけだね。

さて、そんなペイサーズは「チームとしての結束力の強さ」が最大の武器でした。トレードを考えていたら選手達から止められたくらい。これって「パワーハウスじゃない方が強い」傾向がある最近の流れを象徴しています。序列がない方が良い。

しかし、このオフに予想外だったのはFAになった選手が誰1人として戻ってこなかったこと。ボグダノビッチ以外はオファーしたのかも不明だし、コリソンの引退なんてのもあったけど、見事に「特別な2年間」は2年間で終わったのでした。予想外の躍進を遂げたチームは、予想外に解体されましたとさ。

◉新たな布陣

PG ブログトン/TJマッコネル
SG オラディポ/ジェレミー・ラム/アーロン・ホリデー
SF マグダーモッド/TJウォーレン
PF ターナー/サボニス/TJリーフ
C  ゴガ・ビターゼ

普段はハンドラー、ウイング、ビッグで表記するのに、何故か5ポジションにしている管理人。つまりはペイサーズがそういうバランスってことだ。各ポジションに2人以上を揃え、それぞれが同じような特徴と異なる良さを持つような構成です。ストロングスタイルではなく柔軟な起用でもあるわけだ。

なお、ちょっと違和感があるのがジェレミー・ラム。ペイサーズの基本路線はディフェンス力とハードワークですが、ラムはどっちも怪しい選手です。その代わりに個人でも得点する能力があるわけで、オラディポ離脱中で1人は得点に特化した選手を選びました。なお、タイリークで若干の失敗があったポジションでもあります。

PGは変わらずコントロールを中心にした2人。ただし、ブログトンの方は時にエースムーブもしてきますし、マッコネルの方はパッシングでゲームを作るのと前線からのディフェンス力があります。「同じような特徴と異なる良さ」ってのがこういう部分です。同じ役割なんだけど、変化が起こる。

SGはやはりホリデー3男に期待。サマーもいるけどね。ホリデーもやっぱりハンドラー的な事もやるので、3年目に6thマンになろうぜ。ルー・ウィリアムス的な。

問題のSF。ボグダノビッチが欲しかった。それでもシューターのマグダーモッドとシュートが下手だけど(上手くはなった)抜群の運動能力があるウォーレン。ここは特徴から違う訳ですが、場合によっては両者を同時起用することになります。スモールラインナップ対応ってやつです。

ターナーとサボニスコンビを強く出すことになるようですが、そこにシュート力のあるPFリーフとCビターゼ。ってことはフロントライン3枚は選手の組み合わせで柔軟性を持ってくる様子です。

◉どこでバランスがとれるのか

つまりペイサーズのロスターは「柔軟であるためには、質の高い多くの選手が必要」ってことなわけです。あとは、彼らを上手く組み合わせるだけな訳ですが、相性ってそんな簡単ではないのでポジションだけはバランスよく配置しています。

見事に揃えたロスターとなり、論理的でもあれば、柔軟性があって安定感のある戦いが期待されますが、正直ここはかつての逆で、

信用しきらない方が良い

です。散々ペイサーズを推してきた管理人的には、なーんか「上手く行く感じ」が「上手く行かない結果」を招きそうな気がしています。

勝ってきたチームが再び適切な選手を獲得しただけに、同じような成績を期待したくなりますが、まず何よりも忘れてはいけないのが「困った時のサディアス・ヤング」がいないこと。ヤングがいないこと自体は問題ないのですが、

「柔軟である」ことは「シチュエーション別に必要となる選手がいる」

わけでして、ヤングがいなくなったことで【インサイドのキラーディフェンダー】がいなくなりました。なお、アウトサイドもオラディポの役割なのでケガが長引くと怪しいのですが、そこはウォーレンがカバー出来る面もあるので期待しましょう。

ターナーとサボニスのコンビはオフェンス面でもインサイドディフェンスでも悪くないのですが、常に2人で組ませることになると、「どちらがペリメーターを担当するか」が難しくなります。要するにスモール気味の布陣だったり、ストレッチ専門のPFを相手にするのが難しいってことです。これまではヤングの役割であり、ヤングをスターターで起用している理由でもありました。

例えばイーストだけでもマルカネン、アーロン・ゴードン、クルッツといった選手への対応役が難しく、それだけでなくシアカム&ガソル、ヤニス&ブルックという「ストレッチ5とスピードあるPFコンビ」も悩んでしまいます。これらは決して大きな弱点ではないのですが、少しずつの綻びがチームを狂わせてきます。総じて言えば

柔軟に対応する強さを持っていたチームが、柔軟に対応しきれるか疑問が生じている

ペイサーズが初めにやるべきことは「どのユニットがバランス良いのか」を見つけること。それはスターター5人のユニットではなく、いろいろな組み合わせが必要なわけです。だから5つのポジションに別れている方が使いやすいわけだ。

「AがダメでもBがある」戦法は魅力的ですが、機能させるのは簡単ではありません。特別な2年間のチームはこの組み合わせに悩むことが少なく、AでもBでもCでも殆どの組み合わせが機能しました。でも、ランスよりも使い勝手の良さそうなタイリークにしたら組み合わせに困ったからね。

◉2つのクラッチタイム

また、2年前と違うのはペイサーズの補強シナリオは結果に繋がってきたため、スター選手を採らなかった今回のオフも割と評価されていることです。要するに懸念しているのは「40勝すれば上出来」と「50勝を期待する」では大きく違うってこと。

この10勝の違いはNBAレベルでは非常に大きな違いだし、50勝32敗は簡単にはクリア出来ない数字です。それに加えてペイサーズの勝ち方は「どこかでディフェンスから爆発するのを待つ」勝ち方でもありました。

特に17-18シーズンは、この戦い方が顕著になっており、そして無類の強さを発揮したのがクラッチタイムでした。ただクラッチタイムといってもペイサーズの場合は特殊で、4Q序盤にベンチメンバー中心のラッシュがあり、それに失敗してもスターターがラッシュすることで勝利を掴み取ってきました。

いわゆる「終盤に刺して逃げ切る」ような勝ち方こそがペイサーズ

ジョセフ、ランス、サボニスの3人はこの流れを生み出せるベンチメンバーでした。特にランスなんて10試合に3試合くらい大爆発するから、そんな時は長く起用し、普通の時は「すぐにベンチ」って感じでした。ただ3人ともラッシュを生み出すディフェンス力とオフェンスの連動性がありました。

良い補強をしたこのオフではありますが、この「ラッシュ力」については良い選手だから生み出せるってわけでもありません。TJマッコネルはハードなディフェンスからチームに流れを持ってきてくれますが、他のベンチメンバーはあまりそういう流れを生み出すわけでもないし。

それこそブログトンは「苦しい時間に的確なプレーで助ける」ような選手ですが、その一方で「一気に相手を仕留める勢いをもたらす」ような選手ではありません。前者がブログトンで後者がマッコネルと位置づければPGについては「柔軟さ」の「バランス」がとれていますが、他のポジションはどうかね。

ラム、ビターゼ、マグダーモッドの3人がどこまでチームに愛され、インディアナに愛され、そして「終盤のラッシュ」をもたらすことが出来るのか。

ホリデー3男に期待したくなるのはこういう部分と言うこともあり、オラディポが不在の間にどれだけ結果を残せるのかも注目です。

◉アイデンティティを強めることが出来るのか

カワイ・レナードが「ポール・ジョージと一緒にプレーしたい」と勧誘したことで話題になったのが、両者がペイサーズに指名された選手だったこと。ペイサーズがそのまま2人を残していれば、リーグを席巻するコンビになったはず。(レナードはペイサーズが指名したわけではなく、事実上トレードが決まっていたらしい。詳しくは知らない)

当時のペイサーズにはエースのグレンジャーがいて、同じポジションのポール・ジョージもいたので、並べるのは難しかったでしょう。

しかし、時を経てペイサーズはスター選手こそ集められないけれど、同じポジションの有力選手を並べることを好むようになりました。これは中々、面白い変化でもあります。スターをFAで集められないスモールマーケットのチームが、ポール・ジョージを失ったことで採用した方法論です。

2サイクル目に突入した今回のメンバーは、ある種のアイデンティティを問われることになります。ここで成功すればペイサーズのやり方が正しいと証明されます。

もちろん優勝するためにはポール・ジョージとレナードがいてくれる方がありがたいわけですが、クリッパーズもネッツも「チームとしての魅力」を作ったからこそ選ばれたわけで、ペイサーズと似たようなロスター構成をしていました。大都市ではないだけにFAで大物は簡単ではないのでしょうが、ドラフトでスーパースターの卵という推し量りにくい要素よりも、可能な限りの努力をする正しいチーム作りを選んだわけです。

ここで成功すればペイサーズのアイデンティティは強まるはず。「優勝を目指す勝負のシーズン」ではないけれど、ペイサーズの今後5年を占うシーズンになるのかもしれません。

ペイサーズの「またも」な補強” への17件のフィードバック

  1. 個人的には大好きな構成です。というかラリーバードが来た時から、ずっとストレッチビッグとディフェンスのチームですよね、なんか観てて落ち着きます笑。

    1. ラリー・バードだけあって身体能力だけで選手を判断しないカルチャーがありますね。決してハイスコアリングマシーンではないレジー・ミラーを絶対的な存在にした凄みが延々と残っているのかな

  2. 初コメです!ペイサーズは個人的にいい感じの補強が出来て羨ましいです。オラディポ抜きでもプレーオフチームになれると思いました。キャブスは何も動かないというのに。。。

    1. キャブスはドラフト5位をサマーリーグにも出さず、トレードもしかけず、何してんのか

  3. ブログドンはスターの横で地味に確実に仕事をして気づいたら活躍している3番手だったので、スター不在のペイサーズでどれだけのパフォーマンスができるのか気になります。

    オフェンスの懸念点はターナー君の長に期待したいです。彼が点を取れるようになればチームのオフェンスも安定するのに。

    1. ディフェンスがどこにも引き寄せられていない環境でブログトン が何を出来るのかは、高いサラリー払っただけに重要でしょう。確かにどうなるかわからないです。

  4. なんとまー

    人気者なブロングトンとマッコネルが同じチームに来シーズンからなるとわ やったなーペイサーズ

    この2人なら揃えても使えそうだし、別々に使う利点もあるはず(以外とこの2人がケンカして合わなかっりして…予想外が起こるのが現実ですからねー)

    とはいえ、普通に考えれば良さげな起点役で『同じ役割なんだけど、変化が起こる』まさにですね。
    サボニスを絡めたブロングトンとマッコネルのボールムーブメントは、ナゲッツの3人『ヨキッチ・マレー・ハリス』みたいになれないかなー 

    この3対3ならナゲッツが上だけど、ペイサーズにはオラディポがいるので(スター力ではナゲッツの3人で、4人を休ませながら使えるとゆートータルバランスでペイサーズの4人的な勝負)では五分五分かなーと。

    ジャズとペイサーズのチーム作りは凄く考えさせられますね。大物FA無しでチーム作りする健気さはなんだか応援したくなっちゃうなー

    1. ジャズはドノバン・ミッチェルを当てなければ、目も当てられない状況でしたが、その一点が成功すれば、かなりの優位性をもてる面白さです。

      今回のペイサーズはFAではなくトレードで動いているので、失敗すると苦しくなるので、是が非でもなんとかしないと!

      1. そーですねー 

        チーム作りと一括りに言っても、ドラフトで若手スターが当たるのと、FAで呼ぶのと、トレードで選手を変えるのとでは、最後のトレードが1番リスク?がありますね-。

        勉強になりした。あざっす。

  5. 確かにエースキラーいないですね。補強が好み過ぎて浮かれてました。ヤニスどうしよう。
    予想では、オフェンスはターナーを4番的にサボニスを5番的に使い、ディフェンスはその逆だと思ってます。サボニスはディフェンス頑張れ。ターナーはシュート15本打て。
    なので、今年のチームはオラディポが元気に復帰できるか、ツインタワーは弱点を小さくできるか次第だと思ってます。周りは固めたわけですから。
    ちなみにラムはランス感があるので楽しみです。誰かに息吹きかけそう。

  6. 気になってるのはマグダーモットの扱いですね。
    マクミランHCはシーズン中に、もっとマグダーモットに3Pを打たせるオフェンスセットを組みたいとどこかのインタビューで答えていたのを見たのですが、結果はサッパリでした。
    ディフェンスもそんなに良くないイメージなので持て余しているのかなぁと思うとともに、ボグダノビッチが抜けたチームにおける貴重なアウトサイドシューターとして、もしも活躍できればチーム全体の風向きは良くなりそうなのですが、そんなにうまくはいかなそうですねぇ…

    1. どこのチームでも評価されるけど、どこのチームでも重要視はされない選手って感じですね。
      もう一皮むけるかどうか。4チーム目で経験を重ねてもいるので、頑張りどころです。

  7. 初コメントします。ペイサーズファンには、たまらない記事で感謝感謝です。
    管理人さんの言う通り、レブロンタイプには、誰がディフェンスするのか。課題がありそうな布陣の気がします。おすすめのPFいませんかね。

    1. あまり思いつかないので、キラーディフェンダーではないけど、トレイ・ライルズなんかどうですかね。

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