ビッグマンは必要なのかオフェンス編の続き
ビッグマンはスピード面で守れるかどうか?
それがダメならオフェンスで高いFG%を残せるか?
この2つが大切だし、可能ならば価値が高いよねというお話。あくまでも攻守合計しての価値なので、全てをクリアする必要はなくて、トータルでの優秀さを求めましょう。
ただ、まぁ日本人的というか、人によって価値観は違うもので
・欠点が目立つ
・長所が目立つ
このどちらに比重を置くかで変わってくるわけで、まぁ一概には言えないよね。
前回はオフェンス面で高いFG%が必要としたわけですが、その理由は
エース達が高いEFG%を達成するのは簡単ではない
ということでした。だから「ビッグマンがそれを引き上げようぜ!」なわけです。でも、それってエース的な位置づけには出来ないという意味なのか、というのが今回のお話。だからエース達について考えてみよう。
◉優秀なフィニッシャー
特集でも登場したとおり、1人だけ別格のビッグマンがいます。
〇カール・アンソニー・タウンズ
2P58.3%
3P41.2%
EFG59.6%はレブロンやデュラントすら上回る超高確率のスーパーフィニッシャーなのです。なんだかその存在感を忘れられていっていますが、データで観ればタウンズこそが「エースとして優勝できるビッグマン」なのでした。
イメージって怖いものです。情けないみたいな言われ方をするけど、タウンズは55.5%→57.6%→59.6%とルーキーイヤーから超優秀で、それを毎年伸ばしています。さすがにこれ以上は上がらないだろうけど、そんな予想を上回って60%を超えたら恐ろしいことになります。
本当にタウンズは別格中の別格です。それはビッグマンのカテゴリーを超えてレブロンクラス。でもウルブスはそこを中心にした設計にしてこないのでした。ちゃんちゃん。ちなみにアンソニー・トリバーはタウンズをも上回る超高確率。ギブソンも58%を超えているのでした。
フィニッシャーとして思い起こされる他のセンターのEFGもみていきましょう。
アンソニー・デイビス 55.2%
3Pが決まらないこともあり、思ったよりも低かったNBA最強のセンター。ただ水準としては個人で既にリーグトップクラスなのでエースとしては十分な大活躍です。そしてここにイートワン・ムーアが加わるのがペリカンズです。ある意味コンビプレー。
アル・ホーフォード 55.3%
3Pの高確率でチームを引っ張るので、素晴らしいのですがチーム全体を引き上げるには寂しい数字です。これはバランスアタックで全体の確率を上げようとするセルティックスらしさでもあります。ブラウンやテイタムも53%と平均的に高い。
ホーフォードのアーヴィングに次ぐ高確率は、言い換えればエースが自分で決めて確率をあげる必要があるチーム。ちなみにベインズは50%を割ります。
アンドレ・ドラモンド 52.9%
これこそがドラモンドの大きな課題。高いリバウンド力に意外に器用なスキルをみせるのだけど、最後の一歩のシュート成功率が悪い。10年前ならば良い水準なのだけど、現代では悪いのです。センターの悩みを体現しているようなスタッツ。
結構、合わせてもいたのだけど、天然で上手いわけではなく、チームシステムとして誘導されている形だったので、連携力とフィニッシュ力はドラモンドの課題
マイルズ・ターナー 52.4%
ドマンタス・サボニス 52.3%
仲良し過ぎる2人。ターナーはインサイドの確率が、サボニスはアウトサイドの確率が悪い。
2人の成長がペイサーズを優勝候補に押し上げるはず。
マルク・ガソル 47.3%
問題外。ガソルで勝つならディフェンスするしかない。
その代わりガソルにはパスワークがあってオフェンスを組み立てることが出来ます。周囲に高確率のための3Pやゴール下アタックを求めたフィッツデイルと「自分が」のガソルだから、根本的な考え方が合わなかったのだと思います。
ハッサン・ホワイトサイド 54.2%
微妙な数字をたたき出すホワイトサイド。悪いとはいえないけど、オフェンスで価値が高いとも言い難いのでした。パスが上手いとかもなく、押し込むのがお仕事なので60%決めて欲しいところ。
かといってアデバヨも確率が良くないので、ディフェンス優先ならアデバヨ。オフェンスで勝つならホワイトサイドという意外な起用法だったりします。
エネス・カンター 59.2%
有能なセンターは誰か?と考えていくと名前がなかなかあがらないカンターですが、これこそが必要とされている能力だともいえます。ポルジンギスは意外と決まらないからね。ホワイトサイドとどちらがチーム力を上げてくれるのか。非常に悩ましくなるのでした。
カンターはフリースローも上手いし、実はタウンズみたいになれたりして。
ジョエル・エンビート 51.4%
一気に新時代の象徴みたいになったエンビートですが、実際にはフィニッシャーとしての効率性が悪いのでした。プレーを観れば圧倒的。だけど、というかだからこそ特定のプレーに追い込んでしまうディフェンスが機能します。
ただし、シクサーズはレディック、サリッチ、シモンズの3人が54%を超えており、エンビートの効率性の悪さを支えてくれているのでした。管理人がシモンズの方を重要視する理由がここにあるのかな。
ヨナス・バランチューナス 59.0%
パートル君には及ばないものの、バランチューナスもまた高確率でチームを支えました。デローザンが50%を割ることもあり、実は58%もあるアヌノビーと共にラプターズを押し上げた存在。
エースじゃないけど自分で打開して得点するタイプ。パートル君は合わせる専門。
ユスフ・ヌルキッチ 50.5%
問題外。ブレイザーズがディフェンスのチームで助かったし、そのためにダイエットをしてスピード対策をしているのでした。
ヌルキッチは合わせるのも下手じゃないし、器用なんだけど、本当に押し込むことが出来ない問題が大きすぎるのです。ヌルキッチがFG55%に到達するとブレイザーズは、益々厄介なチームになります。
EFGだけに絞って考えても意味がないわけですが、絞ったら絞ったで傾向としての面白さはあります。チームの特徴を考えていくと、ラプターズが勝てていたのはインサイドの確実性にあったといえるし、ブレイザーズがオフェンス力で苦労したのがインサイドにあったともいえます。
カンターとバランチューナスはともに攻守の切り替えが速く献身的なので、イージーシュートが増えた事も重要です。これもまた機動力。
最後に登場していない2人の特殊系を考えましょう。
デマーカス・カズンズ 53.0%
パスの上手いカズンズからすると53%決める事が出来れば、残りをシューターに埋めて貰うことが出来ます。ムーアの恩恵であり、ウォーリアーズとか反則。ただフィニッシャーとしての役割だけで言えば微妙と言うこと。
あとメチャクチャターンオーバーが多いから、正直あまり意味のない数字です。
ニコラ・ヨキッチ 55.4%
タウンズよりはターンオーバーも少なく、それでいて周囲にイージーシュートを生み出しまくるのがヨキッチ。自分自身も55%オーバーなので極めて優秀なポイントセンターです。
前回出てきたプラムリー60%に、ゲーリー・ハリス57%というのが相棒としてチームの数字を上げてくれています。でもミルサップは51%と見事に下げてくれました。もう1人シューターとして60%近い選手が欲しいところ。マイケル・ポーターしかいない!?
カズンズとヨキッチの真骨頂は周囲に得点を獲らせる上手さです。スピードがなくてもディフェンスを収縮させ、単純に高い位置からパスが出てくるので、パスコースが開けているし、カットされにくい。
センターのポストアップが非効率なプレーになってきたと前回は書きましたが、その一方でこの2人の存在は価値観を大きく変えてくれます。つまりポストアップからの
パスアウトで3Pを引き出すこと
カットプレーを促すこと
EFG60%超えが狙えるこの2つのプレーを連携で生み出せるのが、カズンズとヨキッチの強みです。だから非常に特殊な存在なのでした。でもダイエットはした方が良い。
カズンズとヨキッチの完成形プレイヤーが出てくると非常に面白いことが起きそうです。今のところ、それに一番近いのはベン・シモンズかもしれないけど。
エース達が自分で決めるのが効率的ではなくなってきた中で、重要になるのがビッグマンが連携力を使って高確率で決める事。ならばビッグマンのエースは、さらに周囲に高確率で決めさせることも大切です。
次元の違う高確率のタウンズ
最強フィニッシャーのアンソニー・デイビス
この2人がビッグマン本人が高確率で決める形の最高峰だといえます。周囲に高確率を生み出すカズンズとヨキッチ型がそれを超えることが出来るのかどうかも、進化の方向性を大きく変えてくことになるでしょう。
結局のところ、同じようにセンターといっても役割が非常に大きく違う選手達が出てきているので
「そもそも一括りにするのが間違い」
という結論なのでした。
気になって調べてみたらロペス兄弟って二人共eFG%低いんですね。
ブルックの契約破格すぎる!って思ってましたけど時代を考えるともうASレベルのセンターじゃないのかな…
ブルックの方は3P打つようになって改善し、あと2%で良いから3Pの確率が上がれば及第点ですかね。インサイド広げてくれますし。
ロビンの方はよく働くけど、押し込むのが仕事だけに、もうちょっと確率よくしてくれないと。
エースのFG%が低いのを補えるならハワードはウィザーズでフィットするんですかね?
数字並べるとオフェンス面はフィットしそう。
ハワードの問題は余計なプレーをする事と合わせが上手くない事。ウォールに委ねたプレーのみに集中してくれれば。
ゴータットのEFGが急激に落ちたのがウィザーズの悩みだったので、ハワードが60%オーバーになってくれれば。
ライアンアンダーソンのトレードでマーキーズクリスが入ってきました
身体能力が高いPF(C?) だと思うのですが ロケッツの戦術にフィットしてくれるでしょうか?
あともう一人入ってきたブランドンライトはMCWとどっちが優先して使われそうですか? また彼の膝はもう大丈夫なんですかね
膝が大丈夫とかは知りませんが万全ならナイトで、ダメならMCWなのかな。
クリスはロケッツにいない未知数の選手。何を取っても荒いけど、何でもできるタイプのPFなので、シーズン通して成長させる事が出来るかどうか。
結論は3月まで待つ必要がある選手です。
タウンズってこんなに優秀なフィニッシャーだったんですね!
ですがタウンズを活かす選手たちを集めるって案外難しそうなイメージがあります。
パスの供給役が欲しいのでルビオで良かった説もあります。あとはオフボールスクリーンを掛け合えるシューターとか。
トリバーとギブソンを使い分けるなら良い合わせ方かと。
全盛期ノアが今いたらどういう評価になるのでしょうか?
ノアってちゃんと守れたような。あまり観たことないのですが。
オフェンスでも確率が高くローズ向きの選手でした。
今となると連携できるかどうかですが、シボドー問題ですね?
プレーオフではeFG56.7%なベインズなのでコーナーからしっかり決めればかなり驚異ですね。同じような方法論でオフェンス力を上げようとしてるドラモンドには期待してません。
ドラモンドにはゴール下の強さとタイミングの良い合わせで勝負して欲しいです。ケーシーが何をしたいのか、始まらないとわからないですね。
いつも楽しく拝見しております。ビッグマンのオフェンス力の指標としてFT%も重要な気がするのですがいかがでしょうか?
FTは難しくなってきました。もちろん苦手だとハックもあるので苦しいですが、そもそもファールされずに高確率で決めたいのが現代です。
70%越えれば合格点なのは基準が厳しくなりました。
ポストアップが時代遅れになったということは、打開力<連携力という感じですか?センターの良し悪しに関しては個人の能力以外にパスの出してとの相性も大いに関わってきますね。むしろ出して側の能力さえ高ければ、どうにでもなる気も…
ペリカンズに行ったオカフォーはまさに旧タイプのセンターといったところでしょうか。まずはロールプレイヤーになることを受け入れなきゃだめすね。
パスの出し手は非常に重要ですが、それは同時に受け手としてのスキルも大切で磨くしかありません。複数のチームで活躍できるビッグマンは自分の形をもってますね。
ポストアタックは次に流行る気がするので、新しい戦術が登場すれば評価激変するでしょうね。
極端な話、ADがもっとGSを苦しめていれば、ビッグマンの評価も変わったと思うんですよね。
結局はGSを倒せるかどうかが価値基準なわけで。
それな!
ペリカンズはカズンズがいなかったので、勝機はなかったのですが、ツインタワーの有効性を確認したかったです。
たった数年で様変わりするわけでNBA選手も流行に振り回されて大変ですね。
今はセンターが振り回されてますけど、あと数年経てばまたトレンドが変わって他のポジションも他人事じゃないかも。
他のポジションはある意味もっと顕著で、3Pが打てなければ何の役にも立てないですし、最近はディフェンスの穴も目立つようになってしまいました。
ガードもリバウンド取れないといけないですし、どこも総合力を求められています。
総合力がある地点に到達すると、再び一芸が目立つかもしれません。
センターって最も接触が多くファールアウトが気になります。
4ファール以上でもプレイの質を落とさない選手はいるのでしょうかね。
またセンターじゃなくてもいいのですが、現役で最もクリーンな選手やチームはどこなのでしょうか?
ファールが少ないのとクリーンはあまり関係ないですし、守り方の方法論はレフリーにさゆうされる部分もあって難しいですね。
フリースローを与える数はキングスが圧倒的に少ないです。
今回特に、すごい面白いです!
ありがとうございました😊
確かにEFG%はFTを考慮されないので、ハーデンやカリー等の効率性を表すには不十分で、一概にエースが効率悪いとは言い難く、係数の算出方法には議論の余地があるものの一昔前に流行ったTS%もひとつの指標として考慮するのも傾向を判断する材料なのかなと思います。