ビッグマンは必要なのか? ディフェンス編

その存在価値が危ぶまれているビッグマン。カンファレンスファイナルに進んだ4チーム全てが旧来的なセンターをメインにはしていないタイプのチームでした。ではビッグマンは不要なのか?

 

ウォーリアーズ グリーン(ルーニー)

キャブス ラブ(トンプソン)

ロケッツ カペラ

セルティックス ホーフォード(ベインズ)

 

4チーム全てが終盤に信頼をするのは万能系かPFタイプのビッグマンでした。共通していえるのはペリメーターまで守れる事。んっラブは無理か。でもトリスタンはそこそこ守れていました。

もうビッグマンは不要なのか?

そんな嘆きが聞こえてくるわけですが、アンソニー・デイビスみたいなパーフェクトプレイヤーもいるので、そうとも限りません。というか、スキルや身体能力が同じ能力ならサイズが大きい方が良いに決まっています。

 

そう問題なのはビッグマン達が

スキルや身体能力で劣っている

ということなのです。極論いえばこれで終わりになる今回のお話。だってスキルで勝るヨキッチやカズンズは存在価値が大きいし、身体能力の高いターナーなんかも重要です。どちらかというとスキルが重要になりそうです。

 

そんなわけで考えなければいけないのは「スキルや身体能力で劣るビッグマン」についてです。

◉機動力で負けるビッグマン

 

ビッグマン達が負ける最大の理由は育成段階で求められる要素にあるでしょう。NBAのように頻繁にスイッチを促されてペリメーターを守らなければいけない事態が少ないし、ディフェンス3秒なんて厄介なルールがあるのもNBAならではです。

育成段階から高さのメリットが大きかった選手達は、同じサイズの相手とバチバチにやりあうことはあっても、自分よりも小さい相手にペリメーターでガンガン仕掛けられる経験は少ないだろうし、最後は高さで勝てたはず。しかし、NBAにくるとカリーやハーデンのように簡単に3Pを決めてしまえば、レブロンやウエストブルックみたいにスピードだけでなくパワーでも押し込んでくる超人がいます。

 

PFがセンターにコンバートされて上手く行くのは、おそらくそんな経験がセンター達よりも豊富だから。単にスピードがあるのではなく、スピードのある相手とマッチアップしてきた経験がものをいうのだと予想しています。

経験値の差

これは厳しすぎるのだよ。だからビッグマンが苦労するのもわかるわけです。

 

問題が発生するのは基本的にディフェンス面です。スモールラインナップが流行し、展開が速く、スイッチを促すパターンが一般化し、3Pを打ちまくる戦術になったのだから、それを守れるビッグマンである必要があります。守れなきゃ問答無用にベンチに行け!

 

さて、普通にゲームレポートを書くときなどは「スピード勝負で負ける」と一括りですが、もう少し分別して考えてみましょう。展開が速くなる一方のNBAにおいては、ビッグマンでもディフェンス面でどんな「スピード」が必要になるのか。

 

A.ガード相手のペリメーターを守れるスピード

B,スペースのあるインサイドで広い範囲を守れるスピード

C.展開の早さについていく切り替えのスピード

 

Aに関して言えばガードでもスピード不足だけど、それでも慣れと経験とフットワークで守れる選手がいるわけです。逆にオフェンスは素晴らしいのにディフェンスは全くダメな身体能力の持ち主もいます。トレーニング、経験、そしてチームとしてのヘルプディフェンスでカバー出来る要素もあります。

一方で「そもそも守らない」選手が多くいることが最大の問題点です。ハワードやジョーダンはそんなタイプで、身体能力も経験年数もあるけどあまり上達していません。能力的に高くなくても守ろうとする意思があるとそこそこ上達しそうです。

 

Bはコーナー3Pを活用しスペーシングマックスの時代になったので、リムプロテクターとしてヘルプで守る範囲が広くなりました。インサイド2人が基本ならばペイントの半分を守れば良かったのが、今では全体を守る必要があるわけです。ドレイモンド・グリーンとPJタッカーの戦いは見応えがありましたが、2人が活きる理由はここにもあるわけです。

圧倒的な高さがなくてもブロックに行く回数が増えれば、それだけシュートが外れる可能性も高くなります。ジョン・コリンズはAは怪しいけど、Bは優れているのでそこそこ守れたりします。

割と見過ごされがちなのがBなわけです。リムプロテクターといえどもブロック数ではわからない貢献度がそこにあるし、適切なポジショニングが必要です。本当にブロックできるかよりも、ヘルプが間に合っているかの方が重要になってしまった。

 

Cはさらに難しい要素になります。簡単に言えば「走っているか」なのですが、センターの場合はいわば「献身的に走っているか」に近くなります。例えばカンターは別に足は速くないのですが、ディフェンスからオフェンスに切り替わった瞬間にリングに向かって一直線に走り出します。センターにはこれが遅い選手が多いので、後ろからきたはずのカンターがドフリーになることが出てくるわけです。

なお、別にセンターに限らず遅い選手は遅い。ただ、マークマンを置いていくケースが発生しやすいのがセンターです。

 

カペラが絶賛されるのは、この3つの要素全てを満たすからです。 「走れるセンター」と一括りにしてしまうけど、ペリメーターを守れて、広い範囲にヘルプに出れて、しかも切り替えが速い。ウォーリアーズのルーニーはそのスケールダウンバージョンですが、全てをこなせるから穴になりません。

カペラのブロック集ですが、ひたすらカペラばかり追いかけると3つの要素全てを兼ね備えていることがわかります。

 

3つの要素に分解してみたときに、全てとは言わなくても2つをこなせていないセンターは絶滅の恐れがあると考えて良いはずです。1つしか出来ないならばサイズで劣ってもPFで優秀な選手を起用すべきなのです。

では、リーグで有名なセンター達をとりあげてみましょう。アンソニー・デイビスとカペラは3つ全てクリアしている特殊系

 

ルディ・ゴベアー

カペラのハイライトをみるとわかりますが、ブロックの後にすぐに走り出すカペラに対して、しっかりとついていっています。そうゴベアーはCの能力があるのです。サンダーとのファーストラウンドでも走りまくっていました。

そしてジャズのチームディフェンスはBの要素をふんだんに活用し、Aを隠そうとします。だから起用されるゴベアー

 

デアンドレ・ジョーダン

ゴベアーよりも優れているようでいて当ブログでは褒められることの少ないジョーダンはBしかクリア出来ていません。「スピードがある」という部分で現代的に思われがちですが、コーリーステインにおいてきぼりにされています。

 

ドワイト・ハワード

正直、スピードはあるのに全てが欠けている。ただ次第にご機嫌を取り戻したこともありCの面は向上してきました。Bがないのはスピードではなくポジショニングが悪いのと全員でインサイドを固めているホーネッツ事情なので、ウィザーズは期待と不安が入り交じる。

 

ジョエル・エンビート

エンビートは高さと運動能力でAとBがあります。Aはかなり怪しいのだけど、ドライブされたときに後ろからブロックできてしまう。なので実質Bが素晴らしく優れている。あと、そもそもイーストはあまりこれを狙わない。

そしてCがないから走りまくるシモンズは困ってしまう。

 

ハッサン・ホワイトサイド

ホワイトサイドはチームシステムもあってBは少し機能するけど、他の2つがありません。高さで劣るけどアデバヨが全てをこなすタイプなので、出番を失いがちなだけでなく、アデバヨの方がチーム成績が良いという。

 

アンドレ・ドラモンド

ドラモンドは割とAは頑張ろうとします。頑張ろうとしているレベルね。そしてCがあるからリバウンドへの参加数が非常に多い。

しかしBは単純なスピード不足だし、高さもそんなにないので最も大切な要素を欠いているのでした。他は優秀だけどブレークしきれない理由。

 

マイルズ・ターナー

ターナーには強力なBがありますが、その能力の割にAがいまいち。そしてCは一般レベルは超えるけどサボニスに完敗です。サボニスは逆にBがターナーのレベルにはない。

 

カール・アンソニー・タウンズ

タウンズはポジション怪しいけど、BはそれなりにあるしCもこなす。でもAが足りない。こちらは逆にそのパターンを狙いまくるウエストの事情に押し負けています。多分イーストだったら、もっと高い評価を受けているよ。

あとギブソンいないほうが成長しそう。

 

マルク・ガソル

ガソルは正直、全部ない。全部ないけどヤル気はあるから、そこそこ出来る。そしてポジショニングが良い。だから穴っぽいけど大穴にはならないし、狙われるようであまり狙われない。他の選手の所で仕掛ければヘルプに来れないし。Cはオフェンスリバウンドにいかない事情もある。

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ちょっと飽きてきました。はい。他にヨキッチやカズンズなんかは全部こなせそうなのですが、純粋に体重が重すぎます。ダイエットすればヨキッチは相当良くなるはず。ヌルキッチはダイエットにより成功したパターンです。

だからまぁ3つに分けてみましたが、〇か✖かではなく、それぞれがそれなりの課題がある状態です。ちなみにルーキーのバグリーを気に入っているわけは全部をこなせそうだから。

 

しかし、何が最低必要かと言えばBです。広い範囲を守れるスピードやポジショニング。そしてこれは高さでも代用が効く部分でもあります。だからこそビッグマンだし、AとCなら他のポジションの選手にこなして貰えば良い。

最終的にはなんだかんだでリムプロテクト出来るかどうかがビックマンの要

 

AとCを重視するならビッグマンじゃなくて他の選手を起用すれば事足ります。なのでBの「広い範囲を守れてリムプロテクト出来る」というのがセンターの最低条件になってきました。この能力の多寡で価値が大きく変化してきます。いろいろ怪しいのに、この能力がスーパーで優秀なのがエンビート。

サマーリーグを観ても動けるビッグマンだらけになってきたのは、そうしないとブロックすら出来ないからだと考えられます。むしろ身体が重そうなパワー系でもプレーしている選手は、3Pほかのスキルが高いことが多い。動ける方が不器用で、動けない方が器用。

デカいだけじゃダメなのがNBAだし、どんなに上手くてもリムプロテクトする高さがないなら意味がない世界。

 

優勝を考えたら全ての能力をもった選手を獲得したいところですが、「良い成績を残す」目的でよければ2つあれば何とかなるのが現実。Cの切り替えが遅くても1試合に2本くらいイージーショートが生まれるだけです。そして不足部分はチームで補うか成長を促す必要があります。

ではBはあるけど、他の能力が不足している場合、それでもビッグマンが必要となる理由はなんなのか。それはオフェンス面でより高い貢献が出来ることです。ディフェンスで何らかの穴になるのは致し方ないこと。

 

リムプロテクト能力+オフェンスでの貢献

結局はビッグマンの生き残る道なんて、王道も王道なのでした。しかし、オフェンス面での貢献度が低くなったから起用されなくなってきたのです。

その一方でオフェンスに優れたビッグマンが台頭してきたのも、そんな理由だと思います。守りたくても全てを守れるケースは稀。ならば取り返せるオフェンス力は必須だから磨き上げてきたビッグマンです。続く。

ビッグマンは必要なのか? ディフェンス編” への32件のフィードバック

  1. GSWではPTが少なかったですが、マギーもまたABCの要素を全て持ち合わせていませんか?
    管理人さん的に、安いけど現代的なセンターとして価値が高いセンターって誰かいますか?

    1. マギーはオフェンスからディフェンスへの切り替え遅いですよ。ディフェンスからオフェンスは早いですが、パチュリアも早いのでチームとして徹底してますね。

      モアランドやリードを評価していたのは全部出来るところなので、人数足りないならミニマムで契約出来ておススメです。でも、いまは人数足りないチームがないという。

  2. 毎度面白いです。
    Cはメンタル面の要素が大きい気がするのでコーチの腕の見せ所かなと思ったり。

    1. メンタルというか試合展開で使い分けたいポジションなので、起用法と不満を抱かせないコントロールが必要になりましたね。

      フィジカルで消耗もすれば、相手次第で強気に行くかどうかなど、アンソニー・デイビスクラスじゃないと交代も致し方ない。

    1. サラリーが高すぎて獲得しづらい。

      そして優勝したいチームが欲しがるようなAのディフェンス力がありません。
      センターのケガでもなければトレードは成立しない気がします。

    1. あいつヤバいけど、まだ動き方がわかっていないからお勉強が必要です。
      ペリメーター守れるかはちょっとわからない。

  3. 純粋なセンターではありませんが、
    ボッシュが今の時代まだプレーすることが出来ていたら
    きっと重宝されていたのになと思ってしまいます。

    1. ボッシュは良さそうでいて、そうでもないかもしれません。
      それがオフェンス面で出てくるような。

  4. 10kg減量したらしいドラモンドなので来季はBにも期待してます。

    ところで、トリバーとモアランドがタッカーとカペラの控えになる予想をしてましたがなかなか叶わなくて残念です……

    アダムスが今回取り上げられなかったのは次回のお楽しみってことですか?

    1. ひとりずつ書き続けるのが途中でめんどくさくなっただけです。

      ロケッツはトリバーだけでなく、ナナリーとかいうユーロの選手もウルブスに取られてしまいました。
      ライアン・アンダーソンで何を狙っているのか?

      ドラモンドは楽しみです。リバウンド職人は続けて欲しい。

    1. レブロンはビッグマンにかなりやられます。
      でもファールで止めてしまえば、何故かそれはノーファールになります。
      主な被害者はサボニス

  5. チームの方針もあったけどセンターが弱点って言われてたバックスですけど、
    ずっと干されてたヘンソンがモンローからスターター取り返したのはそういうスピードとディフェンス力なんですかね?
    正直オフェンス力なんて殆どないに等しいのに。

    1. ヘンソンは最も弱点のないディフェンダーであり、アンテトクンポのブロックがあるから、他の所で穴を作りたくないのだと思います。

  6. Kと言う人が書いた「NBAはsmallにはならない」と言う記事を思い出しました
    ADって本当規格外だなぁ

    1. Kは知らないけど、ビッグマンは不要かもしれませんが、一方でスモールマンもまた不要になってきています。
      全体が平準化されてきただけで、低くなったと言えるかどうか。

  7. スモールラインナップと言われてはいますがコート上に少ないからこそビッグマンに求められる役割は重大かつ多岐にわたるものなってますね
    オフェンス面ではリム付近での得点力だけでなく現代はシュートレンジの広さやパス能力さえも求められ最も練習量と技術の必要なポジションとさえ感じます

    1. 結局はサイズ・スキル・身体能力の全てが揃うかどうかです。大きくってスキルがあって動ければ無敵だけど、大きいだけじゃ何も通用しなくなりました。
      ウイングよりはハンドラーよりなのは面白い傾向です。

  8. ヒートなんて今回の話の典型的パターンでホワイトサイドよりアデバヨの使い勝手の良さが光るシーンが散見されます。
    今回の話の観点からするとクリッパーズとか誰が走れるの?って思ったんですけど
    もしかしてハレルがCやったりするんですか?

  9. センターって死語になりそう
    DF面に関してはもはやただのデカいウイングになりつつありますよね
    KDもジャンル的には一緒な気が
    それもこれもルール変更と純粋にNBA全体的なアウトサイドシュート力の向上がそうさせるのでしょうか

    1. 長い目で見るとデカい選手にもちゃんとスキルを教え込むヨーロッパの影響が大きいでしょうね。

      センターもガードもフォワードも全部死語みたいなものです。

  10. ひしめき合うルーキーのセンターたちの活躍も楽しみですね
    個人的にはサマーリーグでA,Bの項目に関しての、素晴らしい能力を目撃したW. カーターに期待しています

  11. 平面の速さ>高さが常識のようなものになってきたと考えると面白いです。
    トランジションで走る、ビッグマンとスイッチさせてスピードのミスマッチをつくなど、OFでフリーを作るのに平面の速さを使うのが主流になってきたためDFに求められる能力も変化してきた感じですね。
    GSWとHOUのシリーズのように動ける5人vs動ける5人が当たり前になると今度は1対1の強さが重視されるようになるんでしょうか。

    1. あのシリーズになると急激にドレイモンドが目立ちましたが、ディフェンスのローテーション力も重要ですね。
      ウォーリアーズはミドルとか打ってしまってカペラの出番がなかったですが、単にロケッツのオフェンスが決められない問題でしたし。

      速攻の上手いビッグマンが最高に機能していくかもしれません。
      後ろから走ってきて、正しいコースをとられると止めるのが難しい。

  12. 今回こそはハワードは改心してくれるのを祈るばかりです。
    オフィスは期待してないから
    とにかくディフェンスを頑張って欲しいですね

    1. ハワードは結構頑張るようになりましたが、オフェンスで不機嫌になるとディフェンスもやらなくなりまっせ!

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