サマーリーグ雑感④

ファイナルを見ながら書いています。

 

最後まで残ったのはレイカーズとブレイザーズ。しかし、ファイナルに残ったといっても大した意味はありません。それだけ本気に近いメンバーだったというくらいの話です。レイカーズのセミファイナルはキャブスとの接戦でしたが最後はハートｖｓセクストンになって何とか制しましたが、そこはまぁ勝たないとね。

しかし、レイカーズがここまで勝ったのは何故だろうと思いながら見ていました。確かにハートはいるし、エアーズみたいなキャリアのある選手もいて強そうですが、ルーキーなんかも多いのです。そこにはペリンカＧＭになってからクズマ、ハートに続いて指名したワグナー、マカイリュークとシュート力がありセレクションするタイプを指名し続けいる狙いが表れています。

毎年完成度が高い選手を選んでいき、能力タイプはあまり評価していません。マジックはインタビューで「ハイバスケＩＱ」と瞑眩していました。今回のサマーリーグでも能力タイプはいない気すらします。サンダーとは評価基準が真逆。だからサマーリーグではあるけど、無理なシュートは少ないし、強引な突破もないからターンオーバーも少なく、フリーなら高確率で決めています。

 

ヤングコアがいると「将来に期待」と言いたくなりますが、１年に２人を指名して選手が増えていくとルーキー契約が終わるころには全員を残すのは難しくなります。だからどんなルーキーを指名するかは方針が分かれるところです。

「素材型」を多く指名し、その中から成長した選手を残すのは一つのパターンです。

「完成型」を多く指名し、サラリーの安い即戦力として活用するのがもう一つのパターンです。

ワン＆ダンが増えてきたことで後者は少なくなってきましたが、逆に若い選手に完成されたタイプが増えてきたことと、上級生は上位で指名されなくなってきたことから完成型を集めやすくなったかもしれません。トーマス・ブライアントを解雇したレイカーズなので、その方針を徹底するのかも。中心選手はＦＡで獲得すればよいわけで。

 

そんなわけで粗さの残る選手はほとんどおらず、シュートがうまく賢くプレーするサマーリーグチームになったので、勝利を重ねていったレイカーズだったのでしょう。

ちなみにシーズン中のレイカーズは３Ｐが決まらないチームで有名ですが、打ちまくって決まらないロンゾがいなければあそこまでひどい確率に沈むことはなかったでしょう。

 

〇ジョシュ・ハート

 

サマーリーグのＭＶＰに選ばれたジョシュ・ハートはシーズン後半になって頭角を現してきました。クズマに比べるとプレータイムが少なかったのでサマーリーグの中心として経験を積ませたのでしょう。期待に応える活躍を見せたといえます。

特に素晴らしかったのはドライブからシュートのためのステップにはいってからの身体の使い方、緩急、冷静さでした。ここにシュートスキルが加わらないのはそれほど多くのシュートパターンがあったわけではなく、巧みにレイアップを決めていたからです。ＮＢＡのゴール下はブロックが降りかかってくるわけですが、それをステップの段階で振り払ってしまうのが非常にうまかった。高い完成度を誇るといいたくなるのは、強引さもなければ高い能力で決めるわけでもなく、プレー選択の冷静さで決めてくるからです。

 

一方で終盤になるとハートに託してしまうのですが、個人技で突破することはそこまでうまくはないです。抜くのが上手くなくて、ステップまでもっていけばうまいという感じかな。前回はクリッパーズのガードＳＧＡを絶賛しましたが、平面で抜いてしまうので目立ったことも関係します。ハートはそこまではできない感じです。

何が言いたいかというと、オフボールでギャップを作ってしまえばうまさを発揮できるので、個人任せにしないほうが良い選手だし、それはクズマも同じです。レイカーズが最も機能するのは動きの中でボールをもらっていくこと。そこにレブロンが加わるので、どんな整理をしてくるのか。

 

キャブスはレブロンのドライブに対しスポットシューターが多かったのですが、レイカーズはちょっと違うタイプの若手が多くいます。動いている選手にパスを出すのが好きなロンドも加わって、ウォルトンＨＣの選択が試されそうです。

 

 

〇ブレイザーズのベンチメンバー

 

そんなレイカーズを抑えて優勝したのはブレイザーズ。その強さの要因は全員がバランスよく得点していく形でしたが、単純に豪華メンバーでした。ここでいう豪華はサンズのような有望株だらけではなく、ＮＢＡ経験がある若手ばかりだったということです。そりゃあ強いだろうという安定感がありました。

 

ブレイザーズのオフに話をもっていくと、非常に動きが悪くネイピアーとエド・デイビスを失い、カリー弟とスタウスカスを手に入れたくらいです。ネイピアーの穴すら埋まっていません。バランスの悪いロスター改善が出来ず苦しくなっています。どうすんだろうか。

そんな中でみたサマーリーグはおそらく、ほぼこのままのメンバーがベンチになるのではという形でした。システムもほぼ同じで若い選手たちが非常にバランスよくプレーできており、特にオフェンス面はこのままシーズンにもっていけそうでした。

 

リラードとマカラムが突破してしまうスターターと違い、５人の役割がそれぞれ果たされて上手くいくのはむしろベンチとしては悪くないですし、全員がシュート能力もあるのでひとつのプレーに拘らず、パッシングとオフボールムーブを繰り返しています。

ルーキーのゲーリー・トレントはサマーリーグのスターターから落とされてしまったくらい充実しており、そのトレントもディフェンスのヘルプで手を出すのが上手く、シュートも決めるので足を引っ張るタイプではありません。こちらも完成度は高めです。

 

スワニゲンとコリンズのインサイドは強さの面で不安もありますが、ベンチメンバーとしては十分に働けるようになってきました。スワニゲンはもっと期待していたのでおとなしくなって残念なのですが。

ウェイド・ボールドウィンはリラードみたいなコントロールをしながら、すきを見てドライブ出来ているのでネイピアーよりも強さがある分成長すればよいＰＧになるかもしれません。そこにレイマン、ＫＪマクダニエル、ジェンキンスがオフボールムーブからシュートを決めていきました。

 

サマーリーグ優勝したのは経験のある選手が多かったからというだけですが、このメンバーがそのままシーズンでもベンチから出てくる可能性があるブレイザーズ。それは突出した個の力よりもチームワークが基盤にあるユニットでもあるので、良い練習の場になったでしょう。

戦力を落としたと思われたけど、期待値が上がったブレイザーズでした。むしろバランスを崩しそうなカリー弟は不要な気がしてくる。

 

シーズン中に大活躍したため２年目のスターがあまり参加しなかった今回のサマーリーグとなりましたが、その分だけ違う発見もあったような。そしてまたシーズンになるとルーキーたちが輝きそうな気配もみせてくれました。

ビックマンが豊作のドラフトでしたが、個人で突破してしまうのはバグリーくらいで、全体的にチームの中で合わせていくことで目立っていく選手が多いです。チーム力重視の傾向がより強まっていくのかもしれません。