20180501 セルティックスvsシクサーズ 第1戦

勢いに乗るシクサーズをセルティックスが止められるのか。大事な第1戦

 

〇マッチアップ

ブラウンが欠場のセルティックスはスマートがスターターでベインズも入ります。ブラウンの欠場は関係ないのですが、このスターターマッチアップがセルティックス感満載なので、非常に興味深いものがあります。

シクサーズにはシモンズがいます。アウトサイドからは打たないけどパスの起点になる選手の止め方は様々ですが、セルティックスはホーフォードにしてインサイドを攻めてくるのを止めます。これはシーズン中から同じです。そうなるとPFのサリッチにマークできる選手が必要ですが、テイタムもスマートも問題なく守ります。

シクサーズの強みはシモンズとサリッチが構築するミスマッチにもあります。インサイドを1人にするチームも多い中で3人もPFみたいな選手がいるシクサーズ。その3人を止めていくことはマッチアップ的に非常に難しく、アウトサイドにいるのもコビントンです。

しかし、セルティックスは問題なくマッチアップ出来てしまいます。ここで重要なのはセルティックスは別に特別ではないと言うこと。1年間通じてこれを繰り返してきただけで、実際にテイタムがPF相手に守れる選手だったかは微妙だけど、それが出来る選手にしていきました。

 

〇プレーメイカー問題

開始からエンビートの3Pも決まり快調なシクサーズですが、ベインズは割とエンビートを空けています。3P30%を空けるのは鉄板の作戦です。決められたら諦めよう。逆に言えばシクサーズはエンビートを経由しやすくなります。これがイマイチ。ランニングチームの良さが余り出ませんでした。

しかし、サリッチがオフェンスリバウンドを拾うことで助けていきます。だからやっぱりサリッチとのマッチアップは厄介なわけです。そしてオフェンスリバウンドの方がチームカラーになってきているシクサーズ。

エンビートがプレーメイクも出来るからこそ、ちょっとシクサーズらしさが減っている立ち上がりでした。

 

〇狙うはテイタム

セルティックスの狙いはシンプルです。相手の弱い部分をつく。初めのマッチアップではそれはテイタムに訪れます。相手はレディック。シクサーズ的には謎のマッチアップです。正直楽勝のテイタム。体幹の強さが特徴で弱いレディック相手です。怖いのはドライブした後にエンビートが飛んでくることですが、いきなりファールしてくれるラッキーもありました。

テイタムにはサリッチかと思っていましたが、レディックできたことでインサイドアタックが増えたので非常に流れの良いセルティックスのオフェンスです。つまりはお互いにマッチアップミスで生じる利点を活かせたスタートです。

おそらくテイタムはシリーズを通して楽に得点出来るはずです。

 

〇シクサーズの応戦

シクサーズは止められないのでベリネリがはいるとゾーン気味になります。弱点をついてくるセルティックスに対して準備した策がスイッチを増やしてのゾーン対応です。バックスとの対戦ではポストアップを多用していたことも有り、事前準備での回答です。

ロジアーがアーリーオフェンスで決めますが、エンビートがベンチということもあり、逆にシモンズも走りやすくなります。ここでシモンズがターンオーバーを連発します。ルーキーっぽいよ。逆転に成功するセルティックス。それも走る展開で逆転します。大丈夫、セルティックスはバテない。

チャージングもするルーキーらしいシモンズ。守ったのもルーキーのオジェレイだけど。

 

シクサーズの準備してきた応戦はシクサーズが好きな流れを生み出したものの、セルティックスが有利になる結果でした。インサイドではモリスがコビントン相手に決めるし、ベリネリにはロジアーは止められないし。あちらこちらに失敗があってエンビートを戻します

 

〇バックスとのギャップ

バックス戦ではロジアーもモリスも頼りになりませんでした。その理由は別に2人が悪いのではなく、バックスが頑張ったと言うべきです。ブレッドソーのタックル連発で疲弊するのは致し方ないよね。そんなバックスに比べると楽すぎるシクサーズのディフェンスに2人が躍動します。止められる匂いが全くしません。

一方でオフェンスもバックスとは違うので、トランジションなどでスッと空いた瞬間にベリネリやイリャソバがポジションを変えてショートパスからの3Pを打っていきます。バックスはしっかりと回さないと打てないチームだったので苦労するセルティックス。

個人技で決めていくけど論理的なミスマッチを使っているセルティックスと、ポジションを変えていき流れるようなオフェンスをするシクサーズ。だけど、シモンズにミスがあったのでセルティックスが上回った1Qでした。

 

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〇エンビートを狙え!

TJマッカナムとレディックがいるので、そこのフィジカル面の弱さを狙っていくセルティックス。とはいえ、そこまで簡単には負けないよね。そしてオフェンスで取り返そうとするレディックが積極的に打っていきます。シクサーズのトランジションミスにカウンターを決めたり、お互いの良さを出していく2Qです。

ただ、セルティックスはエンビートに対して特別な対応をしません。ベインズが1人で守ります。なので、シクサーズ側も任せるような体制に。頑張ったベインズとフェイスガードを外したがるエンビート。なんかフェイスガードがエンビートの心境を示してくれる気がします。

 

ベインズと交代でホーフォードがはいってくるとそのエンビートを相手に決めます。おそらく狙ったと思われるブラッド・スティーブンス。その次もラーキンとのピック&ロールだったので、エンビートイジメで精神的に上回りに行きます。そこに連続で決めて応えるホーフォード。論理的なのだけど、決めてしまうからマジック。即タイムアウトで交代させたブレッド・ブラウンは偉い。

この後の試合でも出てくる可能性があります。エンビートを止めた後のプレーでオフェンスでもエンビートイジメ。細かい戦略性も重要です。

 

〇ベリネリを狙え

タイムアウト後は走るチームなので積極的に打っていくシクサーズ。ヒート戦で証明したように前半の点差を気にせず走らないとリズムが生まれません。

しかし、問題はベリネリが全く守れないこと。これはウェイドも狙いまくりましたが、セルティックスはウェイドよりも遙かに動けるのでイージーシュートにしていきます。テイタムのクロスオーバーは素晴らしいのだけど、ベリネリは致命的についていけない選手です。

 

余計な話をするとジャズもヒートも戦略性の高いチームという印象があるわけですが、手を変え品を変えのヒートに対してジャズはもう少し戦略性の高いチームです。だからサンダーで唯一弱点だった「カーメロを狙う」という事を異常に高いレベルで実行していました。セルティックスはベリネリやレディックを狙いますが、それはあくまでも個人の戦いに持ち込んで狙うわけです。ジャズはピック&ロールの流れの中でカーメロのミスポジションを狙えるので優秀です。ベリネリに比べれば遙かに守れるカーメロですのでアイソレーション以外の方法で狙うジャズは異常でした。余計な話。

 

〇論理とマジック

10点差になりエンビートを戻したシクサーズ。シモンズがドライブを決めますが、ベインズがコーナー3Pという狙いすましたタイムアウト明けのオフェンスで対抗するセルティックス。バックスは許してくれなかったけど、シクサーズには狙いたい弱点がいっぱいあります。でもベインズが3P決めるのだからマジックなわけです。

さらにテイタムの相手がサリッチになったのできっちりと3Pを決めます。マジック。レディックにかわるとシンプルなバックドアでインサイドへ。マジックの後に論理的過ぎるぜ。

 

そこに個人で返していくシモンズ。それが決まらないとシューターも活きません。レディックをフリーにすることにも成功し、流れが生まれ始めるシクサーズ。このあたりは難しいよね。ウエストブルックにやらせ続けたジャズとシモンズはホーフォード1人で対応するセルティックス。やっていることは実は似ているけど、そこまで攻めないシモンズ。どちらが良いのか。この時間は自分で決めて流れが出来るけど、トラベリングもしてしまうルーキーらしさ。

 

そんなわけで論理的にシクサーズの弱点をつきまくったセルティックスのオフェンス。そしてシモンズ頼みのシクサーズが、シモンズが決めきれなかったことで差が開くのでした。なお、個人的にはシクサーズのオフェンスはこんなものだろうと思っています。だってギャンブラーだから失敗することもある。

あまりにも論理的に崩されているディフェンスですが、そこには個人の戦いがバックスよりも楽という要素がある気がするので、シクサーズ的にはアンラッキー。56-45で前半が終わります。

 

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〇セルティックスの流れとエンビート

単純にセルティックスの流れがきます。テイタムがエンビート相手に3P打つけど外れるもリバウンドをホーフォード。さらにスマートの3Pが決まり、あやしいキックアウトからフリーになったロジアーも3Pを決めます。

困ったシクサーズは単純にエンビートの高さを使います。これは欠場していたヒート相手ではなかったパターン。スローダウンされて相手の流れになったときに堅実に得点出来る武器。ランニングゲームとポストアップゲームが出来る強みがあるシクサーズ。さらにサリッチのミスマッチも使えて落ち着きを取り戻します。

なお、シモンズだけはいまいち。パスコース、ドライブコースを読まれまくっています。それでもエンビートが個人で決めてくれるので助かります。

 

それでもセルティックスの流れは止まらない。またもスマートの3Pがヒットします。ロジアーをなんとかしたいのにスマートにまで決められたらお手上げ。さらにベインズまでコーナー3Pでお手上げ×2。12点リードします。

 

〇シモンズを孤立させろ

エンビートがミスしたので交代させランニングチームに変更するものの、より守れなくなっていきます。ホーフォードに好き勝手やられてしまうシクサーズ。サリッチが個人技で決めますがシクサーズらしさは生まれません。やっとトランジションでシモンズがダンクを決めますが、即タイムアウトのセルティックス。だから狙いはハッキリしています。

「シモンズを孤立させる」

でもシモンズはレブロンやウエストブルックみたいな得点能力はありません。シモンズのアシストは止められないけど、個人のアタックは止められると判断しています。3Pがあいとかは関係ありません。

あとさ、ジョシュ・リチャードソンはやっぱり追いかけすぎだったと思うよ。走りすぎて隙をいっぱい生んでいました。ヒート全体の戦略ミス。ベリネリに裏をとられたけど隙は出来ていないので普通にヘルプが潰しています。

 

〇苦しいシモンズ

そこからシモンズが積極的にアタックします。これ理解してやっているのかな?しかし、確率の悪いシモンズ。フォローもいない。一方でエンビートが出てきたのでホーフォードは3Pを決め、マッチアップがかわるとポストアタック。

1人で頻繁にミスマッチを作り上げるシモンズが、同じような事をホーフォードにやられています。仕方ないので再びエンビートのアタックにシフトして成功していくシクサーズ。でも今度はラーキンまでベリネリ狙って3P決めます。

本当に酷いディフェンスのベリネリ。それを助けに行くシモンズというシーンもありましたが、オフェンスでベリネリに打たせるためにイリーガルスクリーンとなるシモンズ。何でもやるけど、全てが上手くいかないような試合です。

最後はスマートのリバウンド&ワンも飛び出すものの、シモンズがスティールからレディックの3Pに繋げてなんとか3Qを87-75の12点差で終わったシクサーズでした。

 

内容的には20点差になってもおかしくなかったので、エンビートの活躍は偉大でした。自分達が苦しいときにしぶとくポストアップからねじ込んでくれたので見た目の流れほどの点差になりませんでした。

しかし、ひとつ言えるのはここまでセルティックスじゃなくてもスタミナ切れはしない展開です。もちろんそれはスローダウンを促したセルティックスの力ではあります。お得意のランニングゲームに持ち込む選択肢はエンビートの存在が削っています。欠場中は何があっても走るしかなかったチームが違う武器を使うと苦しいこともあるわけです。

スタミナ切れは期待できないので、ハーフコートゲームで12点差を追いかけなければいけない。最近のシクサーズが体験してこなかった状況になっています。

 

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〇中途半端

セルティックスのミスが続き、ディフェンスに戻っていなかったエンビートのダンクが決まります。ギリギリでしか守らない方が走れそう。ぐちゃぐちゃの展開に自力で持ち込めれば強いはずのシクサーズです。まぁでもダメな部分はレディックとベリネリを同時起用にしているので、セルティックスはシモンズ孤立作戦で来ることです。だから全くボールムーブしません。

エンビート頼みにするとベインズが素晴らしいディフェンスで止めます。

 

個人的にはエンビート頼みにするならマッカナムを使ってしっかりとプレーメイクすべきだと思います。ペリメーターも守れるしね。しかし、そこにフリーになれない上にディフェンスが弱点のベリネリを起用しているのだから、一気にラッシュする可能性も低くなります。

もっと思い切ろうぜ!エンビート外してディフェンスはぐちゃぐちゃにして走るのか、エンビート使って堅い試合運びするのか。中途半端なシクサーズ。

 

〇好調時のシクサーズ

エンビートからイリャソバにするとそんなパターンに移行します。シモンズのポストアップに合わせてバックドアカットするイリャソバ。ディフェンスも躊躇わずにスイッチしていき、テイタムのカットインがギリギリで外れるとトランジションに移行します。強かったシクサーズが戻ってきます。強かったというか振り切ったシクサーズ。やっと走るパターンになってカットプレーも決まります。

トランジションで乱れているのでイリャソバとサリッチがオフェンスリバウンドもとってくれ、シクサーズらしくなってきます。しかし、セルティックスは戻りが早いし、3Pが決まらないので逆にロジアーに走られもします。それを諦めてでもやりきるのがシクサーズの良さなのですが、エンビート戻してしまった。3P決めたけど。

 

〇戦術シモンズ以外

ホーフォードがミドルを決めます。そして3P。どちらもエンビートがついてこないのを理解しているピック&ロールからでした。結局、走りたいなら抜かれても良いからエンビートが思い切ってマークにつくべきです。ヘルプを捨てても良い。中途半端なシクサーズ

ちなみにこういう部分はロジアーよりもラーキンの方が上手いです。PGの判断力不足に悩むチームは狙おう。しかし、能力はロジアーの方が上だし、3Pを決めまくります。点差を詰めさせないセルティックス。

下を向き始めるシクサーズ。そういえばこのチームって誰がリーダーなのだろうか?やっぱりシモンズにしかみえてこない。何でもシモンズ頼みなわけで。ロジアーとのミスマッチになるシモンズへのパスが低すぎてロジアーにカットされるなど、周囲に問題があるシクサーズ。

 

クラッチに強いとも言えるけど、点差があるので気持ちに余裕があって打っているセルティックスと、それを妨害するようなディフェンス力をもたないシクサーズなので、詰めることが出来ないまま逃げ切ったのでした。

 

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◉百聞は一見にしかず

 

ただ4Qのシクサーズはやっていることは悪くなかったです。いつものシューター達が動いてギャップを作っていく事が出来ていました。出来なかったのは振り切ってしまうことだけです。まぁでも負けていてエンビートを外す勇気はないでしょうね。

そして弱点が多い部分を的確に使っていたセルティックスなので、そう簡単に追いつけるわけがありません。シクサーズはもう少し弱点を理解して振り切ってくると思っていたので、その部分では期待外れな面がありました。セルティックスは予想通り。

 

プレビューの時点でスティーブンスが作戦をいっぱい用意してシクサーズの弱点をついていくとしましたが、非常にわかりやすい内容だったので、プレビュー読むよりも第1戦みれば十分という感じです。テイタムは素晴らしい活躍をしましたが、それよりもテイタムのマークマンが誰かをみていけば簡単です。「テイタムなら勝って当たり前」みたいなマッチアップで決めまくっています。最後はシモンズ相手に決めていましたが。

そしてエンビート相手にホーフォードが外から決めていく。相手の弱点と自分達の強みがフィットしているので、終盤にリードを奪っているならばそれを簡単には詰められないはずです。

 

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個人的に意外だったのは「シモンズを孤立させる」パターンの採用です。ここまで孤立させることが出来るのかという驚き。18点6アシスト7ターンオーバーのシモンズ。ターンオーバーはセルティックスが良かったというよりも「シモンズもルーキーだった」という感じです。

問題は18点だったこと。

レブロンの45点じゃないですが、セルティックスが採用してきた作戦を考えると30点取る必要がありました。そこから始まるシクサーズの流れというのが正しいわけですが、今シーズンのプレーオフの特徴は「30点取られても対策は変えない」というチームが多いことです。ペイサーズ然り、ジャズ然り。そしてサンダーは作戦変えて大失敗しました。

だからシクサーズもシモンズが30点とる試合を連発できるかどうかにかかっている気がします。

 

非常に論理的かつ予想通りだったセルティックスがシクサーズの弱点をつきまくった試合でした。

では第2戦でシクサーズが対策への対処をすべきかというと違います。そんな器用なことを出来るチームではありません。必要なのは「振り切って自分達のオフェンスをやること」です。オフェンスね。ディフェンスはもう無視してランニングゲームをしておかないとホームに戻ったときに苦しくなります。

走って走って走りまくった結果、本当に必要な対策がみえてくるはずです。

〇オフェンスリバウンド

サリッチ 5

イリャソバ 3

エンビート 1

もう今季のシクサーズはこういうチームだと言うことです。エンビートが高いから何だというのか。オフェンスリバウンドをとるのはいつだってランニングゲームからです。

 

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