◎ジャンプシュートマスター
ヒーロー最大の武器はジャンプシュートです。なんせ、ゴール下(ノーチャージエリア)でのFG成功数が1.8本しかありません。ケイレブが2.0本も決めていることを考えると、異様に少なく見えます。20点オーバーでそんな選手他にいるのかな?
〇FGアテンプト
ゴール下 3.0本
ペイント内 3.3本
ミドル 4.1本
コーナー3P 1.5本
その他3P 5.1本
ミドルと3Pで10.7本のアテンプトがあります。もちろん、インサイドへのアタックもしますが、ゴール下まで行かずに打ち切ることが多いです。
〇3P以外のアテンプト
ジャンプシュート 6.7本
レイアップ 3.3本
その他 2.7
ミドルが多いこともあって、3P以外でもダントツにジャンプシュートが多くなっています。ドライブを選んでも、ストップジャンプシュートでフィニッシュに行くのがメインです。
この特徴は映像で見ると、さらに奇妙だったりします。
ジャンプシュートマスターといえばデローザンですが、ストップジャンプシュートに移行する際にポンプフェイクが多く、ディフェンスのタイミングをずらして、正しいフォームで飛び上がります。要するに「空中の体勢を崩さないジャンプシュート」が基本です。どこの教科書にも、そう書いてあるだろうね。
一方でカリーみたいに流れながらのシュートが上手いタイプもいます。このケースはジャンプシュートというよりは、フローターやフィンガーロール系で柔らかく押し込むタイプです。「体が流れてもフィニッシュスキルが多彩」なタイプです。教科書には書いてないし、センスな部分だね。
ヒーローは多彩なフィニッシュではなく、ジャンプシュートが多いのでデローザン型なのですが、割とディフェンスを引き連れてきてしまうし、空中の体勢が乱れまくっていることも多いです。
ジャンプシュートに対してチェックに行って、体のバランスを崩したらディフェンスの勝利・・・なのに、何故かヒーローは崩されても打ち切って決めてしまいます。強靭なフィジカルで吹き飛ばすわけでも、多彩なスキルで鮮やかにかわすわけでもなく、ディフェンスに困らされるけど決めきってしまう。
オフバランスでも決めきるジャンプシュート
このシュートが目立つっていうのは、それだけディフェンスに追い込まれているように見えるからでもあります。必然的にヒーローはタフショットが多いです。
〇2P タフショット
アテンプト 6.0本
成功率 46%
〇3P タフショット
アテンプト 1.8本
成功率 36%
ハッキリ言って異常です。タフショット大好きタイプですね。それもディフェンスのタイミングをずらしたり、フィニッシュパターンの豊富さで避けるわけでもないので、ジャンプシュート打ち切りタイプとして、いわゆる
ディフェンスがいても全く気にせずに打ち切れる
良くも悪くもディフェンスを見ているとは思えない選手です。クラークソンなんかも同じような感じですが、そもそも成功率が高いヒーローなので、打たれないように守るしかありません。
◎ヒラリマント
しかし、ヒーローはディフェンスの間を抜け出すのが上手く、なかなか捕まえきれません。ものすごくスピードがあるわけでも、アジリティに優れているわけでも、ましてやフィジカルが強いわけでもなく、総合的な能力にヒラヒラと闘牛士のようにかわしていくのが上手いです。
この手のタイプは、身体が柔軟でくねくねしたプレーが出来るものですが、ヒーローはカクカクしているというか、割と鋭角に切り返してきます。やっぱり、ちょっと見ないタイプです。
物凄くハンドリングが良いようには見えないけれど、ボールの置き所が非常に上手く、身体から大きく離れた位置でドリブルをついて、ボディフェイクのような形で一瞬の隙を作っていきます。
また、ヒーローは手と足が同じ方向に動くプレーを頻繁にします。右手と右足が同じ方向に動いてますね。身体のひねりを使わない。
手足がクロスしないので、身体の真ん中を軸にしないで、右手・右足を軸にして、180°動くように左手・左足を前に出す(ターン)も多いです。これがスピード以上にディフェンスを引きはがすのに役立っています。体は大きくなくても、一歩が大きいというか。一気に二歩分進むというか。
さらに、この動きで厄介なのは、右手・右足を前に出してから、そのまま下がるパターンもあること。いわゆるステップバック3Pですが、わかりやすく「ステップ」していない、ただの「バック」なのに、何故かヒーローは打ててしまいます。
一時期、流行した古武術バスケってやつですが、NBAだと昔からやっている人も多いよね。ヒーローの場合は、この身体の使い方の上手さが際立っており、スキルや身体能力がスペシャルには見えないんだけど、ディフェンスが反応しにくい動きでシュートに持っていきます。
シュートが上手く、縦のフェイクが効く
身体の動かし方が上手く、ディフェンスをずらしてしまう
ドリブルの置き所が上手く、急激な方向転換が出来る
ヒーローの強みはあくまでもシュート力ですが、「シューター」と表現するのは違う。何故ならば、シュートに持っていく動きが優れているからです。
スピードでぶっちぎるわけでも、ハンドリングで翻弄するわけでも、高さで打ち切るわけでもないけれど
ディフェンスの反応を遅らせる身体の使い方から、スペースに大きくボールを運び、得意のジャンプシュートで仕留める。
だから止められそうで止められないのもヒーローです。非常にわかりにくいし、シュート勝負ではあるので、爆発力タイプであるのは間違いないけど、極めて優秀なスコアラーです。