◎ザイオンとヘイズ
昨シーズンのペリカンズが成功した要因の1つに、ジャクソン・ヘイズをストレッチ4に(ムリヤリ)変更して、ツービッグによるディフェンス強化を図った点がありました。その結果、オフェンス力は落としながらも、ディフェンス力アップで終盤に勢いが出てきた経緯があります。
なお、本当はラリー・ナンスがやればよい役割なので、本職を連れてくる必要性も低く、何よりもザイオンの復帰という「課題」も出てきます。
圧倒的な破壊力のザイオンですが、ディフェンスではローテの反応が悪く、アンダーサイズからくるヘルプ要員としての不完全性があります。
オフェンス面でもハンドラーとして圧倒的な一方で、センターとしてはサイズ不足で押し込み要員にはなれず、シューターとしてはシュート力不足です。中からでも、外からでも仕掛けられるアタッカーですが、ツービッグ+ザイオンというのは使いにくいでしょう。
ここがペリカンズの新シーズンを左右するポイントになります。マカラム、イングラム、ハーブ、ヘイズ、バランチューナスというラインナップで成功した中、ハーブとヘイズのどちらを削るのか。
マカラム、イングラム、ザイオンのうち2人をコートに置く戦い方になるでしょうが、ザイオンのためにインサイドを空けることを選択するのか。それはワンビッグか、ノービッグ(ナンスorヘイズ)なのか。
いずれにしても、なんとなく想像するのは「インサイド専任はバランチューナスだけでいいのではないか?」ということです。前提はナンスとヘイズが時にセンターを、時にストレッチ4をこなすことなので、ザイオンだけではなくヘイズ次第なところもありますが、上手くいけばウィリーは「バランチューナスがケガした時のカバー要員」程度の位置づけになります。
とはいえ、ペリカンズはビッグマンを加えていないので、手放す気はないのでしょう。
ガード側にはダイソン・ダニエルズが加わっており、ガードを削ってザイオンをSFにするとも思えません。まだ、どういう戦い方に落ち着くのかわからないし、やりながら考えるのでしょう。
いずれにしても、ザイオンが戻ってくるとペリカンズは昨シーズン終盤の形からバランスが崩れます。その崩れ方次第ではウィリーはプレータイムを大きく減らす可能性があります。
一定の需要があるタイプのセンターなので、起用されないならば欲しがるチームも出てくるかもしれません。例えばエイトンの代役とか、パートルがケガしたとか、センターが誰もいないネッツとかね。
◎ユーロバスケMVP
ややネガティブであり、ポジティブでもあるというのが今回の話。ウィリーはNBAでは2番手センターの座を確立できず、3番手として微妙な位置づけであることが多いにも関わらず、6シーズンに渡って「チームに置いておきたい選手」として扱われ続けています。
それだけの実力を持ちながらも、なかなか適性のある戦術に巡り合えていないのが現状で、自分の能力をフルに使い切れていませんでした。残念ながら「戦術を選ばずに活躍できる」ほどではなく、特に現代バスケではスピード不足の面が痛くなっています。
そしてNBAよりもスピードの面では明らかに劣り、ウィリーに適した戦術のスペイン代表では、見事にユーロバスケMVPを獲得したわけです。
NBAでも一流のリバウンド力と押し込めるだけのフィジカルの強みを生かし、ツーメンゲームを中心にして崩していけば、スピンムーブとフィニッシュスキルを活かして得点面でも大活躍できることを示したともいえます。
このプレー集を見ると、ツーメンゲームを中心に活躍できそうなんだけどね。相方のガードには外から決めて欲しいのでルビオじゃなくてロレンゾ・ブラウンだったこともプラスに働いたかもしれません。
サンズ(クリス・ポール)
ナゲッツ(マレー)
ネッツ(カイリー)
ブレイザーズ(リラード)
シクサーズ(ハーデン)
ウォリアーズ(カリー)
キャブス(ガーランド・ドノバン)
このあたりのチームで組ませたら面白そうな選手です。っていうかマカラムとのツーメンゲームも良さげなんですけどね。タレントが多いと活躍するのも簡単じゃないね。
ユーロMVPを取ったからと言ってNBAで活躍できるわけではありませんが、ユーロMVPをとったことでウィリーを活用したいチームが出てくるかもしれません。
見事なチーム力で優勝したスペインに欠かせなかったエースには、NBAでももう一歩ブレークして欲しい所です。