2018/11/15 バックスvsグリズリーズ

渡邊雄太はベンチ入りし、そして出番もあったのだ。

◉好調ではないバックス

パワーランキングで4位にしたバックス。その理由は「個人でアンテトクンポを止める」以外の対策が乏しいから。対策が乏しいって書くとものすごく強そうですが、自分達のミスで成り立たないことも頻繁に出てくるやり方でもあります。この試合はまさにそんな感じで、アンテトクンポのキックアウトパスが乱れたり、フリーで打つ3Pが決まらなかったりの繰り返し。決まったのはミドルトンがプレッシャー受けているのに関係なく打ったシュートくらいだよ。

ならばアンテトクンポへの対応も少し楽になります。カバーリングで追いかけることが可能になる。それはと別に、カイル・アンダーソンとジェイレン・ジャクソンが見事に抑えていきます。特にルーキーながらジャクソンは見事。ストレッチ5型のセンターは簡単に押し負けず、それでいてスピード負けしません。アミヌの悪夢再びみたいな止められ方をするアンテトクンポ。

オフェンスが単発になってしまったバックス。グリズリーズのローテーションディフェンスは高く評価していますが、その点を除いても純粋にバックスがダメだった。ロペスは相変わらず決めているのに、その前で決まらなかったよ。3P打つ代わりにオフェンスリバウンドは重視していないチームだし。

 

一方でガソルが3本の3Pを決めてディフェンスをおびき出すことに成功し、好調なスタートを切ったのがグリズリーズ。それが決まるから、その次のドライブも決まるのでした。

ここでジェイレン・ジャクソンはアンテトクンポとの1on1を突破してレイアップを決めれば、ドライブ&ワンと序盤は攻守にアンテトクンポを上回っていきます。とってもベーシックなんだけど、忠実に嫌がらせを続けていく感じ。高さで上まれない時のアンテトクンポはこんな感じとも言う。

しかし、ルーズボールでブレッドソーと激突。先にボールに触ったのにファールコールされたのがジャクソンという不運でした。この不運が日本人にとっては幸運にも渡邊雄太の出番を促したのでした。それくらいケガ人が多くて選手が足りない。

 

◉渡邊雄太の登場

それはちょっとグリズリーズの戦術を解き明かすヒントをくれます。イリャソバに抜かれたときにカバーに来るガソルですが、最近のインサイドと考えると機動力が無い。しかし、追いかけてきた渡邊がブロックします。割と全般的にこんな感じでガソルは確かに良いカバーリングをするのだけど、でもやっぱり広い範囲を守れていなくて、そこを素晴らしいローテーションディフェンスで補っている感じ。

オフェンスで渡邊の役割はストレッチ4なんだけど、コーナーに広がってではなく、組み立てに積極的に絡んでいきます。ガードとビッグマンで作っていくのがグリズリーズ型。で、渡邊は結構何して良いのか迷っている感じに。単に本人が迷っているだけではなくて、チームメイトからしてもボールを預けて良いのか悩んじゃう。ガソルなら迷わないけどさ。ガソルシステム。

ジャクソンだとポストアップがあるからパターンも多いのだけど、渡邊にはそれがないからね。逆にガードスキルを活かして、もっと積極的にプレーメイクに参加した方が良いのかもしれません。コンリーが存分に引きつけて3P打たせたけど、エアボールだった。ド緊張。

2Qになるともっとローポストでのスクリナー役に変更され、チームもアイソレーション型に変化しました。こっちの方が迷わずに済んだように、ガソルが行うゲームメイクがあってのグリズリーズ。ある意味、そこの代役を出来る方が面白そうだけどね。

ディフェンス面は及第点というか良かった。カバー早いし。あぁロペスに3P打たれた守り方はダメだろ。スピードでは絶対に追いつけるんだし隙間空けたのはマイナス。オフェンスが苦しいぜ。

 

◉決まらない3P

2Qはアンテトクンポがバックコートからのスピードを活かしてスピンムーブしたりと、少しずつ対抗していきますが、やっぱりジャクソンに手こずります。アンテトクンポを止めるタイプって単にスピードに対抗出来るのではなく、ターンシュートを打たせないタイプなのだと思う。アミヌもジャクソンもそこを止める事が出来る。

前半のアンテトクンポはFG4/6。つまり6本しか打てなかったわけで、打たせなかったジャクソンを褒めましょう。シュート打てれば確率は良かった。しかし、それらも単発で、ディフェンスを引きつけての鮮やかなキックアウトとかが出てきません。アシストは0。

重苦しい雰囲気のバックスオフェンスはディヴィチェンゾが足を痛めたことでカナートンの出番が増えエネルギッシュにしていくのですが、どうもそんなに伸びないし、3Pが決まらなかったとも。結局チームで3P4/23と全くもってらしさがないのでした。

グリズリーズが止めたと言うには23本も打たれているわけで、得意の戦法が機能しないとこんなものだともいえます。

 

グリズリーズの方も4/17と決まらないのですが、こっちはむしろインサイドへの個人アタックがメインなので、オフェンスとしては組み立てることが出来ていました。でも48-45と3点リードにしかならないのでした。外したのはテンプルとマックの2人くらいなのだけど。

それなりに良かったグリズリーズオフェンスですが、でも爆発力を秘めたオフェンスではないので、良かったけどこれくらいという感じ。それはそれで寂しいのだけど、ディフェンスで勝つチームになるためには、堅実性のあるオフェンスを採用したのだと捉えています。

うーん、ロペスのマークをするのが渡邊雄太なんて想像もつかなかったけど、ひょっとしてガソルの代役をこなせるようになるのが、最もチャンスを広げるのかも。大学時代にガードだったPFは珍しいからね。

 

◉スローorアーリー

後半もアンテトクンポがジャクソンを嫌がるように仕掛けず、逆にゴール下を押し込めば1on1で勝利するジャクソンというスタート。さらにガソルの3Pでリードを得ます。素晴らしいジャクソンですがファールコールされて追い出されます。

これで少し楽になったのですが、グリズリーズのゆっくりとしたテンポにハマっていきます。1本決めてもたたみかけるようなオフェンスにならないバックス。アンテトクンポがカイルをかわして見事なダンクを決めるけど、その次のグリズリーズのオフェンスはゆっくりと何度も動き直してのミドルなのでカウンターにもならないし、ハーフコートの連続にされてしまいます。

各チームが早くなっている中で、なかなか打ってくれないグリズリーズに焦れているようなバックス。しかもガソルがターンシュートを決めてくるのでどうにもこうにも。そう思っていたらベンチからマックが3Qだけで3P3/3で11点と大活躍に。ちなみにこの活躍が渡邊の出番を減らしたとも。途中からマックに任せて周囲は動かなかったりしてね。

ちょっとシェルビン・マックは調子よすぎ。今シーズン素晴らしい活躍を繰り返しています。そしてあまりに決まるから2人寄ってくるとパスアウトし、再び出てきたジャクソンが3Pといろいろなことが上手く回っているグリズリーズです。これで15点差に。

 

バックスは珍しくソン・メイカーが出てくるとジャクソンをブロックし、そこから走ったカナートンが3P。危機感があるのかメイカーもよく走る。そして連発するカナートン。これで流れがきたか、ブルックスがスローダウンせずに打ってしまいミスに。アンテトクンポにあっさりかわされたカイルのカバーに跳んできたジャクソンがファールコールされて5つ目でベンチへ。

短い時間でしたがメイカーを起用したことでジャクソンはアンテトクンポのマークを出来ず、それが突破口になったといえます。もうちょっとが足りなかったジャクソン。しっかり止めていただけに、ファールトラブルは勿体ないのでした。

ジャクソンがいなくなったことで自分で行くアンテトクンポ。そしてピック&ロールで全くついて来れないガソルを置き去りにしたブレッドソーが豪快なダンクで84-80と一気に4点ビハインドまで減らしたバックスでした。グリズリーズからするとオフェンスで時間を使えなかったのが間違いだった。スローダウンって大切。

 

◉スローダウン

初めの2プレーで追いつくバックス。カナートンの見事なダンクと、ブレッドソーのスティール&ダンク。ちなみにガソルのパスをカットしての速攻だったのですが、昨シーズンのグリズリーズが負け始めた理由は、このガソルのミスが大きく、パスカットされると全く追いつけなかったんだよね。スピード不足なので、変なミスがあると苦しいのがガソルシステム。4Q始まったばかりなのにフルメンバーみたいなグリズリーズ。

メイカーの3P、ディフェンスリバウンドから走るアンテトクンポともうムードは完全にバックスに。肩から当たってカイルを吹っ飛ばしてもディフェンスファールにしてもらえるアンテトクンポ。カナートンがオフバランスのゴール下を決めて8点リードに。

カナートンまで働いて補強的中のバックス。ディヴィチェンゾよりもゴール下で仕事できるのがカナートンの良さ。この2人が戦術に柔軟性というか、アンテトクンポとは違う形の組み立てをしてくれる印象。

 

しかし、グリズリーズは連続3Pで反撃に。ちょっとミスが続いてごたごたするのですが、そこでスローダウンするべきかどうか悩ましいのがバックス。バカみたいに突っ込むブレッドソーで成功しますが、良くも悪くもって感じ。逆にゆっくりするしかないグリズリーズ。わかりやすくなり、そしてショットクロック無くなって強引に打ったテンプルの3Pが決まって逆転に。

バックスはちょっとメイカーを引っ張りすぎた感じに。良いプレーをしたのは確かだけど、途中から続かなくなったのでした。さらにブーデンフォルツァーがタイムアウトのタイミングで2回目のテクニカルをコールされて退場してしまいます。

 

コンリーが突然の3Pを決めて残り3分7点差に。バックスはミドルトンが急いでアタックし決めるものの、今度は時間いっぱい使ってガソルが3P。タイムアウト明けにミドルトンが3P。コンリーが時間いっぱい使ってレイアップ。アンテトクンポが直ぐにダンク。さらにアンテトクンポはドライブ&ワン。直前にガソルがトラベリングをコールされたのに、足を動かしまくったアンテトクンポはノーコールというホームコートアドバンテージ。

ブレッドソーのプレッシャーディフェンスに苦しむコンリーですが、ボールを失わず時間を使いに使って、最後は難しいフェイダウェイを決めて逃げ切ったグリズリーズでした。

こうみるとやっぱり時間を使えるチームは強いよね。ジャズはグリズリーズに対して、最後はミッチェルが時間を消費しまくって勝ちましたが、急ぐバックスがシュートを決めても時間を消費してシュートまで辿り着くグリズリーズなので、なかなか追いつけませんでした。爆発力は足りないけど、リードを守り切れる強さがあったグリズリーズ。

 

〇マルク・ガソル

29点 3P6/12

お前はどこのブルック・ロペスだと言いたくなるくらい決めていたロペスのお株を奪うような大活躍のガソル。そのロペスは4Qに出番がなく、メイカーを使いすぎたバックスでした。バックスの3Pは9/35で26%。後半は頑張ったけど、その代わりに12本しか打たせてもらえませんでした。守り勝ったグリズリーズだし、それだけスローダウンして爆発させなかったね。

 

〇ヤニス・アンテトクンポ

31点 FG10/14

後半はジェイレン・ジャクソンが長くベンチに座っていたので大活躍だったアンテトクンポ。もう少しだったけど、クラッチタイムに試合を支配できなかったとも。それくらいスローダウンに悩まされたのでした。

 

〇渡邊雄太

7分46秒

2リバウンド 1ブロック

ディフェンス面が良かっただけに、前半はプレータイムが与えられたけど、3P外したのが印象悪かった気がします。それが後半は出番なしになったかな。チャンスをもらえているので、もう少しオフェンスで貢献する方法を見つけられると良いのですが。得点って意味ではなく、プレーメイクにどう絡むのか。

 

全体的にはバックスが良くなかった試合でしたが、その一方で勝利を手にするための方法論がしっかりと機能したグリズリーズでした。粘り強く、そしてコンリーの勝負強さを武器にした戦い方が成功したのでした。

 

2018/11/15 バックスvsグリズリーズ” への6件のフィードバック

  1. シクサーズがカーメロとコーバーの獲得を狙っているらしいですが、コーバーはともかくカーメロは必要なんですか?個人的には3&DもどきぐらいのレベルでいいのでしっかりハードワークしてくれるPFをとって欲しいのですが…

    1. カーメロは獲得しちゃうと、その段階で覚悟というか後には引けなくなります。今のチームをどうしていくのか決めてからで十分かと。
      コーバーですが、今日の試合を観る限りは辞めた方が良い。これ以上スコアラータイプが加わってもロクな事がなさそうです。

  2. バックスは脇役が充実してる反面、変化をつけられるメンツが欲しい感じはあります
    最近少し落ち着いてきたブレッドソーがジノビリみたいになれれば面白いかなと密かに思ってるのですがまぁそう上手くはいかないですよね

    渡邊君がインサイド起用されたときはロペスにポストアップされたらヤバいだろうなと思ってヒヤヒヤしましたがされなくて良かったです
    逆にポストも守れるなら価値は上がりそうな気もしますけど

    1. ジノビリになれる選手がいたら各チームかなり楽になるのですが、まぁ難しいですね。コーバー狙いって話も出てきたので、当面は変化よりも現状の強化ですね。

      確かにロペスにポストアップされたらヤバかったですが、バックスもそこまで相手を観てくるチームじゃないですからね。アンテトクンポに狙われたら吹っ飛ばされていたでしょうが、そこのスイッチを促す上手さはバックスに欠けている要素でもあります。コーバーがオフボールで動き回る事でスイッチさせて、アンテトクンポを楽にする方法論はあるかも。

  3. はじめまして。
    渡邊雄太出番ありましたね。内容はバタバタ感がありました。もうちょっとコーナーで待ってても良かったように思います。
    でもグリズリーズの主力たちと同じコートに立てたことは大きいと思います。これからに期待。

    1. グリズリーズはコーナーで待っていてもパスがこないんですよ。そこからドライブで仕掛ける選手を求めていますし。
      なによりインサイドプレイヤーに組み立てを求める変なオフェンスなので、渡邊雄太の役割はとっても難しい。

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