ダイナスティとは遠きもの

直近の優勝チームがすべて敗退し、ニューチャンピオンになることは確定した今シーズンのプレーオフ。そして4年前にはプレーオフに出ていなかったウルブズと、3年前にはプレーオフに出ていなかったサンダー、ニックス、ペイサーズが勝ち残っているという状況です。

サラリーキャップの問題やケガなど、連覇するのは非常に難しいというのが前回でしたが、ある意味でそこはNBAのルール面だったり、コンディショニングといった準備の部分です。

ただこうして数年前は勝てなかったチームが生き残っているのはコート上でのプレーが変化していることを意味します。王朝を築くには新たな戦術にも対応する柔軟性を持つか、超強力なストロングスタイルを持つか、純粋に異常な戦力を誇るかってことになってきます。最後に王朝を作ったウォリアーズは3つとも持っていたけど、その中でも史上最高といえる戦力だったのが大きく、それもケガでスリーピートは出来なかったね。

◎アーロン・ゴードンとアントマン

ナゲッツがアーロン・ゴードンをトレードで獲得したのは、レブロンやレナードといったウイングを止める選手が必要だったことがあるはずです。しかし、優勝した時に最も苦労したのはアントマンへの対応であり、サンズのブッカー&デュラントにもクリスチャンとブルースのブラウンコンビで対抗したことで優勝へと繋がりました。翌年はブルースがいなくなったことでアントマンを止められなかった部分もあります。

2021年の時点ではウエストを制するために必要なウイングディフェンダーを求めたけれど、2023年の優勝時にはガードディフェンダーの方が必要になっており、むしろゴードンはヘルプディフェンスとオフェンス面の仕事での貢献が目立つようになっていったわけです。

ある意味でゴードンに関しては狙いと違っても他の部分で貢献できるスキルセットと身体能力があったからよかったけど、場合によっては全く必要のないタイプで終わっていた可能性もあるわけです。

そのアントマンは他のチームからすると極めて厄介な存在であり、実際にブルースは「アントマンがいたからウルブズが一番タフだった」みたいなことを喋っています。

『レブロンやレナード対応にアーロン・ゴードン』であれば、『アントマンにもアーロン・ゴードン』で良さそうなのですが、よりスピードで振り回してくるアントマンにはガードディフェンダーの方が向いています。

つまり、後からやってきたスーパースターへの対応策の方がタイプ的に悩ましくなるわけです。個人能力として誰が上かではなく、優勝するために必要な戦力を揃えるにあたって前を走っているスーパースターへの対応策は作るけど、それで優勝した時に後ろからくるスーパースターへの対応策としては不十分だったりするわけだ。

あぁなんと難しきダイナスティ

なお、こんなこと書いてますが、実際にはアーロン・ゴードンはレブロンとレナードにやられており、なんだったらアントマンの方を止めています。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA