プレーオフ②バックスvsセルティックス

ゲーム4

ヤニスが完膚なきまでに止められたようなゲーム2から、今度はテイタムが完全に封じ込められるゲーム3となりました。それぞれ打開点はあるわけでして、特にセルツは「ホーフォード(グラント)が空く」ことがわかっているので、そこをどれだけ活用できるかになります。逆にバックスは「ジェイレン・ブラウンのディフェンスを狙う」という意味不明の解決策だったので、そこはブラウンが頑張れや。

◎奇妙な世界線

マシューズにスクリーンに行ったグラントが抱き着いてオフェンスファール。マシューズを引きはがしたくて仕方がないぞ。んっそういえばスターターにホーフォードとグラントが並んでいます。ということは、ホーフォードが空くパターンもあれば、グラントが空くパターンもあるわけだ。

ゲーム3の3Qは開始2分でブルックを下げたのですが、それは「ブルックかヤニスのどちらかはコートにいないと厳しい」から起こったようなローテでした。この2人がインサイドを塞ぎ、3Pを止めたいのがバックスの守り方。だからビッグマンは3Pで空くわけでして、グラントとホーフォードが3Pを打っていきます。決まらないけどさ。

バックスはヤニスよりもブルックのインサイドが目立ちます。相手がグラントなので攻めやすいよね。テイタム相手に押し込んでファールドローもしている。ただし、ヤニスはホーフォードに止められています。つまり両チームが「エースを止められるから、他の選手が決めろ」になっているわけだ。

テイタムは速攻ダンクこそ決めたけど、マシューズを引きはがせず。引き剥がしに来たホーフォードがオフェンスファールと、やっぱりバックスの守り方にハマっています。ヤニスの方が個人技アタックするんだけど、ヤニスの方がパスが上手いんだよね。

タイムアウトからセルツはゾーンになりますが、これが見事に3P連打されます。変化をつけてみたら失敗してしまった。カナートン、ホリデー、マシューズと見事に決めていくバックス。そしてアレンのドライブで10点差。

ベンチに下がっていたテイタムが戻ってくるのですが、マシューズはベンチに座っている。するとホリデー相手にドライブからジャンパーを決めるテイタム。「ホリデーとブラウンを狙え」という奇妙な世界線にあるシリーズなんだよね。しかし、マシューズが戻ってきた時に、なんとかスイッチさせたvsヒルでオフェンスファールのテイタム。

あーあ。って思ったらヤニスから見事なフロップするスマート。なお、フロップだけど(スマートなら倒れる必要がない)オフェンスファールだとは思う。それでもブラウンをぶち抜いてダンクするヤニス。凄いシリーズだわ。25-18でバックスリードです。

◎忠実なる両チーム

回せども回せども崩せないセルツですが、24秒ギリギリで打ったタフ3Pが決まるので追い上げます。守りに守ったのがバカみたいなバックス。逆にヤニスのアタックから鮮やかに回してフリーのフローターを外してしまうポーティス。少しずつセルツが点差を縮めます。

そして今度は鮮やかに回し切ってのテイタム3Pが決まり同点に。あれだよね。テイタムが決めると「マシューズは出ているのかな」って探してしまうよ。ここでもやっぱり出ていないよ。ホーフォードの3Pで逆転。でも、バックスもヤニスのパスからジョージ・ヒルの3Pで逆転。

さて、なんだかセルツが3Pを打ちまくっています。それはゲーム2から始まった形ではありますが、ゲーム3のバックスは「打たせたくない」から守り方を変えたはずなのに、なぜか打たれまくっているね。1つは空けられるビッグマンがいるからですが、それをコーナーに置けば問答無用に打てるけど、コーナーではなくウイングに上げています。

違いとしてはコーナーならディフェンスは間に合わないけど、ウイングならヘルプも間に合うはず。ただ、そこからパスで展開していろんな選手が打つようにしました。バックスのローテが間に合う事もあるし、間に合わないこともある。段々と間に合わなくなってきたってことです。

タイスが出てくるとマークのブルックは思いっきり無視します。そういう作戦に変更はないわけだ。ところがトップに出てきたタイスはスマートとのツーメンゲームで、簡単に剥がしたスマートが3Pを決めてしまいます。だってブルックが出てこないんだもん。戦略に忠実なブルックですが、忠実過ぎるとゴベアみたいになるよね。

これに味を占めたセルツ。PnRなら鉄板でプルアップ3Pじゃん。全く出てこないブルックとヤニス。そんなわけでタイムアウトから同じプレーを連発します。打つのはテイタム。マシューズを剥がしてのプルアップ3Pは・・・落ち続けます。なんでだよ。

そしてテイタムを狙いすぎたので、スマートからのパスを読み切ってスティール速攻のカナートン。戦略に忠実過ぎたバックスと、そこを狙いすぎたセルツ。

残り1分。カナートンの3Pで同点にすると、マシューズは3Pファールドローに成功。ところが最後に限って3Pにチェックに行ったヤニスもファールしてしまい、前半は48-47で終わります。忠実過ぎると相手に読まれてしまうけど、だからといってファールはもっとダメなのでした。

◎マシューズのいぬ間に

後半もドフリーの3Pを打つグラントで始まります。外れたけどさ。そしてテイタムがドライブからファールドロー。この試合初めてマシューズから得点を奪うことに成功します。1本外したけどさ。

しかし、狙いすぎたのかパスアウトをホリデーに奪い取られるとヤニスが速攻ダンク。で、ホーフォードを見ながら叫んでテクニカル。八村じゃないんだから、ルールくらい知っているだろうに。お互いに煮え切らない序盤になります。

テイタムのドライブに対してヘルプポジションにいたホリデーがどこかに逃げてしまいレイアップをヒット。呆れるマシューズ。あんなに戦略徹底していたのに、ヘルプに誰もいないんじゃ・・・。ヤニスはまたブラウン相手のアタックでファールドロー。ちょっとスキがあると決めてくる両エースをよくぞ止めてはいるんだけどね。

で、テイタムが決めたからか今度は3人ヘルプに行ったのでワイドオープン3Pを決めるホーフォード。外したと思ったらテイタムがプットバック。そういや珍しい気がするね。マシューズがベンチにいるとリバウンドもとるのか!?

そしてテイタムはvsブルックにしてステップバック3Pを決めます。マシューズいないと楽だな。っていうか、なんでここまでマシューズが嫌いなんだろ。レブロンみたいじゃん。

3Qにマシューズがベンチに下がっていた6分ほどの間にセルツの14本のアテンプトのうち7本がテイタムになりました。楽にドライブしているのでアシストも2つついており、テイタム連打です。多くの事を個人で解決するバックスらしさというか、完璧なテイタム対策があったようでなかったような。

ただレイアップを外すテイタム。おいおい。逆にテイタムを抜いてレイアップを決めるヤニス。再びドライブしたのはヤニスの前にシュートミス。そこからのカウンターでファールドローするヤニス。エグイ。クレームしているグラントですが、足が動いてるもんな。フリースローを外してくれたヤニスですが、ブルックがプットバックします。

そして今度はヤニスのディフェンスリバウンドに対してファールしたグラント。これで4つ目となりホーフォードを戻します。ゲーム2は完璧だったけど、ヤニスはボールがない時こそ怖い選手なので、次第にスタミナを削られたかのようです。そしてヤニスのショートレンジフックで11点差に。それが決まらなかったゲーム2だったのにさ。

残り3分。戻ってきたマシューズが早々にファールコールされます。どう見てもファールじゃないんだけど、その一方で途中からレフリーがファールにうるさくなっており、損をしているのはセルツの方なので、ニャンともいえない。そしてマシューズがベンチに下がるのですが、今度はヒルに対してタイスの入り―ガススクリーンがコールされます。うん、損をしているのはセルツ。

ホリデーのドライブをホワイトがチャージドローし、「コールされまくるな」と思ったようなホリデーがブラウンのドライブに倒れますがディフェンスファールとなり、バックスはチャレンジ。これが成功してホリデーのファールが消えただけでなく、ブラウンが4つ目になります。

このまま終わりそうな3Qだったのですが、残り1分でトランジションからホワイトが3P。ポストアップしたブルックがピボット踏んだらトラベリング。80-73となんとか一桁点差で終わらせたセルツでした。

◎お疲れ

連続シュートミスのヤニスに対してスマートの3Pで追い上げたセルツは、さらにホーフォードが3Pフェイクでヤニスを抜き、ダンク&ワン。抜いたヤニスに追いつかれてファールされたんだけど、さすがにムリがありすぎたヤニス。これはあれですね「危ないプレー」でしたね。

ところがテクニカルをコールされたのはホーフォード。ダンクからの落ち際に腕がヤニスの顔に入ったからですが、そのスピードでぶつかってこられたら、そりゃあバランス崩して当たることもあるでしょ。何はともあれ同点。

グラントもタイスもいないセルツのディフェンスに対して、ブルックのゴール下、アリウープで取り返していくバックス。ホーフォードがブルックのマークに変更されたらヤニスのポストアップを使います。でも、これをチームで止めたセルツ。プリチャードがパスアウトを奪い取ってホワイトの速攻。そしてトランジションからホーフォードの3Pです。

ヤニスばかりで攻めていたバックスですが、ホリデーがカナートンとのツーメンゲームをチョイスすると、カナートンが見事に3Pをヒット。テイタムがマシューズ相手にドライブで決めきったのもつかの間、テイタムがエンドラインで倒れている間にホリデーがボールを運び、今度はヤニスがレイアップ&ワン。

それでもテイタムのドライブキックアウトからホーフォードのコーナー3Pでセルツがリードします。さらにトランジションでホワイトの怪しいパスを受けたホーフォードがフック&ワン。この時スマートが逆サイドのゴール下でヤニスと共に倒れていました。ある意味でナイスアシスト。ヤニスを起こそうと手を差し伸べるけど拒否されたスマート。

さらに今度はテイタムがヒルを吹っ飛ばしながら&ワン。逆にヤニスはスマート相手にチャージング。この試合で損していたようなセルツが4Qになって一気に回収しているような展開が続くと、テイタムが3Pをヒットし、残り3分半で10点リードに。あっマークはヒルです。

タイムアウトのバックスはアレンが3Pをヒット。さらにマシューズも3Pで追い上げます。ヒルはルーズボールやリバウンドに食らいついていく。しかし、テイタムがサーカスショットを決めスマートはホリデーをパワーで押し込んでゴール下。そして速攻でブラウンがダンクにいってファールドローし、セルツが逃げ切ったのでした。

〇4Q
セルツ 43
バックス28

まず何よりも4Qにトランジションされすぎているバックスでした。理由がさっぱりわからないので「ヤニスが疲れた」って感じかもしれません。ゲーム3も疲れていたもんね。1Qからヤニスで攻めすぎなんだよ。モンスターが疲れるの珍しいけど、「珍しい」ってだけで普通の選手なら3Qには限界を迎えて倒れている。

〇4Qのセルツ
FG16/19

いや、なんだそれ。決めすぎのセルツ。もちろん、テイタムのサーカスショットもあったし、3Pも4/5だからセルツが凄かったんだけど、それくらいバックスは間に合っていなかったね。ここを切り取るとゲーム5以降もセルツが優位かな。

〇ホーフォード
30点
FG11/14
8リバウンド

黙々と決め続けたホーフォードおじさん。ちょっとヤニスを守る時間が減ったので負担も落ちたけど、それよりも負担の少ないプレースタイルだよね。しっかりと空いているスペースを見つけて、正確にシュートを決めていく。ヤニスと対角にあるようなプレーぶりで、最後まで集中力が落ちませんでした。

なお、空けられているのも事実ですが、途中からはヤニスが間に合っていないだけにもなってきました。それもゲーム3で起きていた事象だし「ヤニスなら間に合うから大丈夫」の前提で戦略が作られているので、ムリヤリな戦略でもありました。最後はそこでスタミナ負けしてしまったね。

〇テイタム
30点
FG11/24

凄く変な話ですが、これでも効率的に点を取った気がするテイタム。だって30点なんてとれそうにないペースだったし、マシューズに苦労していたんだけど、4Qになるとマシューズ相手のドライブも決めており、なんだか急に楽になってしました。うん、多分バックスの運動量が落ちたんだよね。

そんなわけで奇妙なシリーズになってきました。「ブラウンとホリデーを狙え」という世界線も奇妙でしたが、試合トータルで見ると「選手層が薄いはずのセルツの方がスタミナで優位」になっています。ゲーム3だって最後に逆転できそうだったもんね。

ゲーム2で3Pを決められまくったバックスは、ヤニスの運動量という異次元の武器を使って対処してきましたが、ちょっと限界が見えてきてしまった。ミドルトンがいないからといえばそれまでですが、もうちょっと何とかなるんじゃないのかな。ならないか。ならないよね。

オフェンスは個人技アタック中心のバックスなので、ここからパターンを変えるのは難しい。せめて個人技が通用しているポーティスをもう少し長く使う事かな。そうするとテイタムが楽になるかもしれないけどさ。

ちょっとセルツに分がありそうなゲーム4に見えたのでした。

プレーオフ②バックスvsセルティックス” への1件のフィードバック

  1. お疲れ様です。
    ゲーム3と全く同じ形でヤニスがガス欠おこしたので、この試合はブーテンの敗北だと感じたのですが、管理人さんはどう感じましたか?
    ゲーム3踏まえてヤニスのいない時間帯でブルック活用してほしいなーと思ってこの試合を見てましたが、ブルックのディフェンスは諸刃の剣すぎて難しいですね。
    仰る通り少なくともポーティスのミニッツは増やしてみてほしいです。
    ミドルトン抜きでこんなに善戦できると思いませんでした!優勝した経験なんですかね。

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