◎キックアウト3Pを防ぐオフボールディフェンス
古くはイグダラ大先生が異様な速度でオフボールのカバーに行ってましたが、ウォリアーズではボブ・マイヤーズがハッキリと
「高さよりもスペースを守れる方が大事」
と明言しています。これが進み過ぎて単なるガード収集家になってしまったのは、マイヤーズの呪いなのか何なのか。それでも戦術の進化は個人能力のアップデートにも繋がっていきます。
3P時代に突入した当初、スプラッシュブラザーズがいないチームはスポット3Pを決められるディフェンダーを集めていきました。レブロン、ハーデン、ウエストブルックのような怪物たちと、それに続くベン・シモンズ、ドンチッチ、ヤングのようなプレーメイカーが自らのアタックからのキックアウトで3Pを打たせていくのがオフェンスのトレンドでした。
しかし、今ではワンパスキックアウトでの3Pが頻繁に出てこなくなりました。もちろん、エースハンドラーが引き付けてのキックアウトで3Pそのものは大量にありますが、昔はもっと大量にシンプルキックアウトがあったのだよ。
一方でシンプルキックアウトは減ったけど、アシストは増加しています。アウトサイドでのボールムーブが一般化され、みんな上手くなったのと、1on1突破が難しくなってきたので、チームでのパッシングが大事になってきました。要するに個人によるアクションよりもチームによるアクションの方が強くなってきた。
パッシング&3Pに対抗するアウトサイドのオフボールローテ
シーズンでリーグトップの3PDIFFを記録したのはピストンズでした。そのピストンズで被3Pアテンプトが最も多いのがカニングハムでしたが、これを驚異的なDIFFで抑え込んでいます。続くアーサーの機動力も含めて、パスを出される先を読み、クローズアウトする能力はディフェンス構築に重要になっています。
〇カニングハムの3Pディフェンス
被アテンプト 5.8本
被成功率 31.7%
〇アーサーの3Pディフェンス
被アテンプト 4.7本
被成功率 34.4%
ピストンズの場合は、この2人がプレータイムの関係で被アテンプトが多いですが、控えのデニス・ジェンキンスが△4.0、ポール・リードが△9.1と同じく高い数字を記録しています。リムプロテクトに強かったスチュワートが+3.4であることを考えると、先読みと機動力で3Pを抑えに行くポール・リードってのは見えにくい能力を持っています。
3PDIFFのリーグ2位はサンズでした。このチームの平面のディフェンス力はサプライズを起こした要因でしたが、チーム内でDIFFに大きな差がついており、マンマークの激しさとオフボールローテで担当が異なるような数字にもなっています。
〇サンズの3PDIFF
ブッカー △3.5
ギレスピ △3.4
オニール △1.4
ブルックス ±0.0
アレン +2.7
グッドウィン +2.1
ブッカーもギレスピもサイズがないので、ショットブロッカーとしては弱いのですが、サンズ全体がハードに守っている中で2人がチェイスして落とさせる形が作られています。DIFFよりも「打たせない」ことの方が重要ですが、サンズは被アテンプトが6番目に少なく、平面ディフェンスで勝っているチームでした。
オフボールローテで3Pを止める能力は、チームディフェンスでもあるので個人として優れている選手をあげるのは難しいところがあります。一方で試合を見ていれば「遅い」という選手もいっぱいいます。明らかにパスを受け取ってから追いかけているのは、どうにもならないぜ。
そして、この能力の厄介なのは「本気出したら追いかける」選手もいることです。シーズン中は追いかけないのに、プレーオフだと追いついてしまうようなね。ドンチッチとかレブロンとかハーデンとか。サボり系だけど読む能力が高い人たちだ。