現代NBA入門:TSという評価指標

◎TSを上げるにはイージーショットを増やそう

ホーバスジャパンの問題点は、ホーバスじゃなくてメディアに「3Pを打とう」と表現されてしまったことです。実際には3Pを重視するといっても
・ワイドオープンの3Pを増やそう
・3Pでインサイドにスペースを増やそう
・ゴール下とフリースローこそTSを向上させる

という流れです。特に10年前でいえば3Pを打つことは「手段」でした。3Pを多く打つチームは2Pの確率が高かったのです。

また3P成功率について言えば20年前でも35.8%もあり、ほとんど変わっていません。3Pが確率良く入るようになったわけではありません。ただし、確率良く入るようにワイドオープンを作るオフェンスシステムは発達したし、3Pを35%決める選手はメチャクチャ増えました。

初めに起きたのは、こんな変化でした。トランジションが増え、パッシングが増え、そしてスモールラインナップが増えました。当時はスモールの方がメインになっていくようにすらみえたよね。
アシストは10年前が22.3本だったのが、今は26.7本まで上がっています。にもかかわらずターンオーバーは増えていない。人もボールもより動くようになっているのでゲームスタイルは大きく異なってきています。誰もが3Pを打てて、スペースを作って・・・

これもトレンドになっていきました。ヨキッチという特殊な存在がいることでオフェンス力が簡単に上がりますが「ポイントセンターがいないなら他の選手がセンター役すればいいじゃん」という派生形も出てきました。特にジャズがオニールを使ってリーグトップのオフェンス力を身に着けていったのはファンキー。今でもカニングハムがポスト担当を始めたりするしね。

しかし、これらが普通になっていくと異なる問題が発生し始めます。スモール化しすぎたチームがペイントでのフィニッシュ力に問題を抱えていったのです。ノービッグ同士になっていくと、高速ヘルプも常識になってきて、そうなると小さいガードがドライブしたときにゴール下の確率の悪さが目立っていきました。典型例が20-21のラプターズです。

3Pは36%を超える成功率でリーグ4番目に多かったのに、得点力に欠けるオフェンスになりました。優勝から2年後であり、前年もイースト2位だったのに、ケガ人事情もあって27勝45敗と大きく負け越し、スコッティ・バーンズを手に入れています。
結局その後のラプターズはパートルを戻しました。ツーメンゲームのスクリナーであり、ゴール下の正確性がチームには必要だったのでした。まぁ解体するんですけどね。

ゴール下を高速ヘルプで塞がれる可能性が強まっていくので、ドライブからロブパスフィニッシュの選択肢も必要になり、ノービッグのスモールラインナップはすたれていきました。ただ常に押し込みの強い(ちゃんと守れる)センターを用意するのが難しいこともあり、ショートレンジで柔らかく決める形を重視するチームも出てきました。
筆頭がタイラー・ジェンキンスのグリズリーズですが、流行になる前からやっていて、その優位性を見て流行していくんだよね。次に何が大事なるのかを読んでいる一面もあれば、トレンドを気にし過ぎず効率の良いオフェンスを取り込んだだけでもあるし。

「3Pとゴール下で攻めろ」があったので「3Pとゴール下を守れ」のディフェンス戦術が広まって、どっちに展開されるのか読めないポストアップ起点で攻めるのは有効になったし、ディフェンスの緩くなるミドルを確率良く決められるSGAはMVPになりました。この流れは非常にわかりやすかったです。

現代NBA入門:TSという評価指標” への2件のフィードバック

  1. 全員が走れるスモールラインナップが現代バスケの完成形かな、と当時は思ったものですが、今はいいセンターの取り合い…。戦術もトレンドも指標の解釈も進歩するんですね。
    次回、続きが楽しみです。

    1. ちょうどアダムスが「みんな3P打ちたがるから、スクリーンやリバウンドのスキルが低くて助かる」って言ってますが、まさに特定の方向へスキルが進むと、希少価値が逆になるんですよね。

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